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カテゴリ:落語芸術協会( 26 )

落語芸術協会で今春真打昇進した五人のうちの一人、春風亭柳城(旧名、柳太)が緊急入院のため池袋中席およびお江戸日本橋亭の昇進披露興行番組が変更になることが、同協会のニュースとしてサイトに掲載されていた。落語芸術協会サイトの該当ページ


更新日2012年6月1日

六月中席池袋演芸場及び6/22お江戸日本橋亭/休演について

六月中席池袋演芸場及び6/22お江戸日本橋亭における真打昇進披露興行において、下記の演者の休演をお知らせいたします。

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休演:春風亭柳城(新真打) ※緊急入院のため
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つきましては主な出演者に下記の変更がございます。

【池袋演芸場】
6/11-6/20 春風亭柳城休演

6/17-6/20 昼席 笑福亭里光、笑福亭鶴光 → 夜席へ出番変更
(昼夜入れ替わりますが、里光主任の日程は変わらず6/18.6/20となります。)

6/17-6/20 夜席 桂歌春 → 昼席へ出番変更

※春風亭柳城よりお求めいただいた共通チケットは、6/11-20迄、池袋演芸場のいずれの公演もご入場いただけます。

【お江戸日本橋亭】
6/22 春風亭柳城真打昇進披露興行 → 番組内容変更(詳細未定)

真打昇進披露興行期間中の新真打の休演、ご来場を予定されていたお客様には大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。謹んでお詫び申し上げます。


 末広亭、浅草に続く披露の場を目前にして、いったい何があったのか、詳細は書かれていない。6月1日のニュース掲載だったので、しばらくどこかのwebニュースやブログで詳しい情報が判明するかと思っていたが、私が知る限りは見当たらない。

 協会のサイトに、本人の昇進にあたっての次のコメントが載っている。落語芸術協会サイトの該当ページ

柳太改メ 
春風亭柳城

真打ち昇進後の噺家人生とかけて、病んでいるうぐいすととく、、
ソノココロハ、、、鳴かず飛ばず、、、。
ということは絶対ないよう今後とも日々精進していく所存であります。
よろしくお願い申し上げます。



 この人の高座は未体験である。プロフィールによると最初は小柳枝に入門し、その後当代の柳好門下となっている。実は、昨年芸協から昇進のニュースを目にしてブログに書いた時点では、協会サイトのプロフィール内容に誤りがあって苦言を呈した。2011年8月3日のブログ
 
昭和48年6月15日生まれらしいから、来週で39歳。池袋の披露興行中に誕生日を迎える、はずだった。

 一之輔のことは、マスメディアを含め話題になったが、披露興行中の柳城の入院については、今のところほとんどのメディアやブログの情報をネットからは拾えない。あえて言えば、あまりにも極端な話題性のギャップである。もちろん、抜擢による一人真打昇進であり二ツ目時代から名の売れた一之輔と、年功的に五人一緒に昇進した中の一人で知名度も低い柳城ではニュースバリューが違って当然なのかもしれないが、何かさみしいものを感じる。

 協会が詳しくは説明できないことでもあるのか、それとも重病なのか・・・・・・。はたまた、プレッシャーに負けたのか。

 本人がブログを書いていそうにないし、師匠である柳好のホームページがあるようなのだが、上手く開けない。この件、非常にミステリアスなのだ。
 もう少し時間がたてば、いろいろと分かってくるのかもしれないが、大事な披露興行の半ばでの休演は、支援者や客にとっても、もちろん本人も残念に違いない。
by kogotokoubei | 2012-06-05 17:50 | 落語芸術協会 | Comments(4)
 先週土曜、久しぶりに落語芸術協会主催の国立演芸場の定席に行ったことを書いた。

 会長である歌丸の『双蝶々 雪の子別れ』の力演には感心したが、その反面、ふがいない若手やベテランの高座への小言も書いた。

 以前にブログにいただいたコメントで、芸協が円楽一門や立川流の噺家も交えた定席開催の件がほぼ決まったとの情報を得ていた。実は3月16日に行った新宿亭砥寄席で桂平治が、出演人数の上限を決めて両派の噺家も加えた開催をすることを検討していると語っていたが、まだ最終決定ではない、とのことだったのでブログには詳細を書かなかった。。しかし、どうやら本決まりになり、この夏から実施することになったようだ。
「NHK NEWSweb」の該当記事*映像は、なぜか末広亭の一之輔真打昇進披露興行の会場。

落語 “会派の垣根を越えて
4月16日 5時46分

人気落語家の桂歌丸さんが会長を務める落語芸術協会は、寄席の活性化を目指して、かつて落語家の団体から分裂した円楽一門会や落語立川流の人気落語家たちと組んでことしの夏から興行する方針を決めました。

落語芸術協会はおよそ130人の落語家が所属する団体で、東京の新宿末廣亭など4か所の定席で興行していますが、ここ数年、観客数の減少傾向が続いているということです。
このため落語芸術協会では、寄席の活性化を目指して人気落語家を擁する円楽一門会と落語立川流と組んで興行していく方針を先月の理事会で決めたもので、ことしの夏の興行から2つの団体の落語家がゲストとして出演していくということです。
円楽一門会と落語立川流は、亡くなった5代目三遊亭円楽さんと立川談志さんが、それぞれ既存の団体から分裂したあと旗揚げしたもので、これまで落語芸術協会と落語協会の2つの団体の興行には原則として出演できませんでした。落語芸術協会では、「会派を問わず出演してもらうことで、落語界を活性化させたい」と話しています。



 芸協の定席に客が来ないという問題の根本的な解決のためには、協会の噺家全体の技量やモラルを向上させる努力を腰を据えて続けるしかない、というようなことをこれまで書いてきた。合同開催により目新しい顔ぶれが寄席に登場することで、たしかに一時的に芸協主催の定席に客は増えるかもしれない。しかし、それだけでは年功的に真打に昇進するため緊張感のない若手や、年功と名前のみで深い席に上がり中途半端な高座で会場を冷え冷えとさせるベテラン達の存在、という構造的な問題の解決にならないと思うからだ。また、小三治会長の革新的な真打抜擢昇進により、ますます落語協会との差がついているわけで、今年の五名の真打昇進記者会見で、落語協会のことを質問された際に「うちはうち!」などと居直っている場合ではないはずだ、と思っていた。

 しかし、自助努力での限界もあるだろうし、歌丸会長が元気なうちにしかできない、彼の人脈頼りの策かもしれない。

 歌丸人脈と言う意味で危惧するのは、円楽一門からの出演が笑点メンバーが中心となりそうな気がすること。好楽、円楽二人の高座を知らない人は、最初はテレビでの知名度で寄席に出かけるかもしれないが、果たしてリピーターになり得るかどうか。もし他派の出演枠が3~4名とすると、円生襲名問題で名が少し売れた鳳楽を加えた幹部のうちの誰かを客寄せの目玉として、その脇を、なぜか一部の評論家に買われている王楽、そして大勢の落語愛好家が評価する兼好などと他のベテランで固めるような布陣になるのだろうか・・・・・・。

 しかし、そう簡単には済まないかもしれない。以前にも書いたように円楽一門は落語協会に比べて小所帯とは言え、落語家だけで45名いるのだ。
2012年2月7日のブログ
 *星企画」のサイトがなくなっているので、Wikipediaから引用。( )内の人数は幸兵衛の計算。
Wikipedia「円楽一門会」
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構成員
※以下一覧では、孫弟子の見分けとして、《1》( = 鳳楽の弟子)、《2》( = 好楽の弟子)、《3》( = 圓橘の弟子)、《4》( = 6代目円楽の弟子)を末尾に付記。

総帥
5代目三遊亭圓楽(2009年10月29日死去)

会長(1)
三遊亭鳳楽

幹部(4)
三遊亭好楽、6代目三遊亭圓橘、6代目三遊亭円楽(楽太郎改め)、三遊亭楽之介

真打(30)
三遊亭貴楽、三遊亭小圓楽、三遊亭喜八楽、三遊亭五九楽、三遊亭楽麻呂、三遊亭圓左衛門、三遊亭道楽、三遊亭栄楽、三遊亭とん楽、三遊亭楽春、三遊亭洋楽、三遊亭真楽、三遊亭好太郎《2》、三遊亭楽松《1》、三遊亭竜楽、三遊亭良楽、三遊亭愛楽、三遊亭京楽、三遊亭全楽、4代目三遊亭小圓朝《3》、三遊亭鳳好《1》、三遊亭神楽、三遊亭上楽、三遊亭楽生《4》(楽花生改め)、三遊亭圓福(福楽改め)、三遊亭楽京《4》(花楽京改め)、三遊亭兼好《2》(好二郎改め)、三遊亭大楽、三遊亭鳳志《1》、三遊亭王楽

二ツ目(6)
三遊亭楽市《4》、三遊亭きつつき《3》、三遊亭橘也《3》、三遊亭好の助《2》、三遊亭鳳笑《1》、三遊亭楽大《4》

前座(4)
三遊亭一太郎《4》、三遊亭好吉《2》、三遊亭たい好《2》、三遊亭こうもり《2》

色物(1)
ニックス《4》
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 計46名。落語家のみで45名。

 会長、幹部を含む真打だけで35名。もし、ある程度の出演の公平性を保とうとしたら、いったいどのようなローテーションになるのだろう。それとも、客寄せと割り切って人気者だけで固めるのか。その場合、円楽一門の中で出番のない噺家達から不協和音が聞こえてきはしないか。


 次に立川流。真打は20名。
 *昨年昇進が内定した、こしら、志らの、談修(内定したはず?)を含む
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4代目桂文字助、10代目土橋亭里う馬、立川左談次、立川談四樓、6代目立川ぜん馬、
立川龍志、立川談之助、立川談幸、立川志の輔、立川談春、立川志らく、立川談慶、
立川談笑、立川生志、立川志遊、立川雲水、立川キウイ、立川こしら、立川志ら乃、
立川談修
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 客を呼べる名前で組みたいのなら、志の輔、志らく、談春、談笑の、いわゆる立川流四天王(?)を参加させたくなるだろうが、独演会などですでに十分に稼げるしスケジュールも結構埋まっている彼らを十日間拘束するのは難しかろう。せいぜい日替わりで人気者が出演し他2~3名は別の顔ぶれになるのが現実的ではないだろうか。

 いずれにしても、芸協は“腐っても”何とかで、人数だけならいる。円楽一門、立川流の真打に対しても、中堅どころには実力的に結構対抗できる噺家だっている。もし、彼らの出演機会を減らしてでも他派の噺家を招くことで、芸術協会内での不協和音が発生しないとも言えない。しかし、そんなことを言ってられない非常事態でもあるのだろう。

 1984年に、鈴本から芸協主催では客の入りが悪く、落語協会との合同開催を要請されたのを「侮辱」として蹴ったために、鈴本という老舗への出番を失ったままである。そして、昨年末の末広亭席亭からの、ある意味同じような要請に応えた結果が、これだ。芸協がこの四半世紀で失ったものは、プライドだけではないようだ。「危機感」という言葉が、この協会の辞書から時間とともに失われていたのだろう。

 紹介したニュースでは、十日間の席に円楽一門と立川流の両方から参加する場合もありそうな内容。そうなると、他派からの人数はどうなるのか。

 いろいろ不明な要素はまだ残っているし、私が不安を指摘するのは老婆心かもしれないし、芸協からは大きなお世話と言われるかもしてない。

 ビジネスとして考えると「提携」と言えるような芸協の決断。これまでの「定型」的な緊張感のない高座に良い刺激を与えて、「落語界」ではなく、「落語芸術協会」が活性化することを期待している。「落語界」への心配より先に、まず自らの足元をしっかり見直すことが先だろう。
by kogotokoubei | 2012-04-16 10:24 | 落語芸術協会 | Comments(12)
私がブログで書いたからではなかろうが、本日3月5日の落語芸術協会のホームページで、下記のように翌日の定席における休演・代演情報が案内されていた。落語芸術協会HPの該当ニュース

明日の定席の出演変更のお知らせ【3月上席、3月6日(火)】
■新宿末廣亭

昼の部
二ツ目交互 → 羽光
ぴろき → 美由紀
美由紀 → 国分健二
楽輔 → 伸治

夜の部
二ツ目交互 → 健太郎
国分健二 → ぴろき
金遊 → 小南治
伸治 → 金遊

■池袋演芸場

昼の部
東京ボーイズ → 一矢
南玉 → 東京ボーイズ

夜の部
変更なし

■お江戸上野広小路亭

鯉枝 → 鯉太
寿輔 → 右紋

※出演者の都合により急遽変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。



 今後も継続されるのであろう、きっと。「新着情報」という掲載場所の是非はともかく、客にとっては有益な情報であることは間違いがない。
 
 以前から案内されている落語協会に遅れを取ったとは言え、落語協会が当日発表なので、前日の発表という意味も含め、主催する定席の情報公開において従来より改善されていることは評価したいし、こうやって紹介もしたい。
 ちなみに、明日の末広亭の昼夜それぞれ四人というのは多そうに見えるが、昼夜の入れ替えを含んでいるので、必ずしも多いとは言えないだろう。

 「寄席はそういうもの」とは思っていても、特定のお目当ての休演が会場で初めてわかるより、事前に休演情報を知ることは客にとって好ましいことである。

 何度か紹介しているが、昨年末の末広亭真山席亭からの苦言に発した芸協主催の落語会が落語協会に比べて客が不入りであることへの対策、このような情報面での改善を含め、一歩づつ行うしかないだろう。円楽一門との合同開催も、試みとしてはおもしろいかもしれないが、とても根本的な解決に結びつくとは思えない。

 次は、真打昇進基準の見直しや、理事会の刷新などが、具体的に打てる手ではないかと思うが、どうなることやら。

 さぁ、しばらくは定席で休演が多いのが誰か、ウォッチしてみようか、などと思っている。また、定席への出演の少ない人気者のことも、時々は書くつもりである。
by kogotokoubei | 2012-03-05 14:45 | 落語芸術協会 | Comments(4)
春風亭昇太が、昨日のイベント(「落語会」とは言えないなぁ)で「城好きの人」という歌を披露したらしい。SANSPO.COMの該当記事

春風亭昇太、デビュー曲「城好きの人」披露
2012.2.14 05:01

 落語家、春風亭昇太(52)が13日、東京・渋谷のさくらホールで開いた落語会で、同日発売された配信限定の歌手デビュー曲「城好きの人」を初披露した。

 城マニアの昇太が、普段から訪れる山城に思いをはせて作詞したムード歌謡。独身だけに「愛や恋ならすんなり書けなかった」と自虐的にアピール。親交があり、32歳年下の一般女性(24)と結婚したタレント、ラサール石井(56)について聞かれ、「僕も可能性を秘めている。年の差婚ができるのは笑点メンバーで僕だけ。うらやましいと言わせたい」と触発されたようだ。
(紙面から)



 「城めぐり」が大好きなのはつとに知られたことでもあるし、趣味を持つことはもちろん悪いことではない。

 しかし、そうした“私”としての昇太の活動の華やかを見ていると、昨年末の協会の納会における末広亭席亭からの“檄”とも言える苦言を聞いた、協会の理事という“公”としての彼は、落語芸術協会の実態について、どれほど危機感を持っているのか、という素朴な疑問を持った。
 
 落語芸術協会ホームページのプロフィール欄には、次のような出演情報が記載されている。
落語芸術協会HPのプロフィールのページ

出演が予定されている定席
浅草演芸ホール四月上席 前半 4月1日~5日

出演が予定されている落語会
2012年2月18日春風亭昇太独演会 昇太のらくごINにほんばし
2012年2月21日春風亭昇太独演会
2012年2月22日春風亭昇太独演会
2012年2月25日いちはら名人寄席 小遊三・昇太二人会
2012年2月29日春風亭昇太・林家たい平二人会
2012年3月22日春風亭昇太独演会



 予定されている定席は、二ヶ月近く先、4月上席前半までないらしい。

 ちなみに、会場表記のない落語会の場所は、2月21日が水戸、22日は大宮、29日は町田、そして3月22日は横浜は関内ホール(大ホール)である。

 本人のホームページには、他の予定も記載されており、たとえば、3月2日・3日は毎日新聞社主催「渋谷に福来たる」に出演、また3月28日・29日は名古屋で「オレスタイル」などが予定されている。春風亭昇太公式ホームページ

 「笑点」やNHKの番組での露出の多さもあり、人気は全国区と言えるだろう。SWAでの活躍も、“新作の芸協”の中堅としての面目躍如と言えるかもしれない。都内の人気者大好きの興行会社や地域のホールが昇太のスケジュールを奪い合う状況は分からないではない。地域落語会で、その場所に「城」があれば、本人も出演に動機づけられもしよう。

 しかし、昇太は芸術協会の“理事”であることを考えると、あまりにも「定席」への出演が少ないのではなかろうか。昭和34年生まれ、今年53歳になる、協会の幹部なのである。

 末広亭の真山席亭が、芸協主催の寄席の客の入りの悪さから、立川流や円楽一門との合同開催までを要望する事態だが、もし、主催する定席の観客動員を考えるのなら、芸協は外に目を向ける前に、まず芸協の売れっ子昇太を定席にもっと出るようにすべきだろう。

 では、それを昇太に言うのは誰か?
 
 そうなのだ。会長も副会長も「笑点」仲間。彼らは後楽園ホールや地域落語会で顔を合わせることも多い、“売れっ子”だ。しかし、芸協の幹部でもある・・・・・・。
 
 先日紹介した朝日の記事にある小遊三副会長の「重く受け止めたい」という言葉が本当なら、「笑点」仲間で開催される落語会の回数を減らしてでも、会長歌丸や副会長小遊三、そして理事である昇太という“テレビの顔”が定席にもっと出演することが、協会独自の観客動員策として優先事項のように思う。彼らの落語会を楽しみにしている落語愛好家も多いとは思うが、何も、「笑点」メンバーばかりが落語家ではない。地域落語会の主催者の方は、テレビには出ていなくても達者な落語家さんを地元で紹介することが、落語愛好家の裾野を広げることになるということを、長い目で考えていただきたい。

 もちろん、協会所属の噺家のレベルとモラルの向上のための施策も重要だが、それは息の長い仕事であり即効的な効果は期待できない。

 鈴本以外の定席三席が、落語協会と芸術協会に同じ機会の出演枠を提供しているのに、客を呼べる“顔”がほとんど独演会や地域落語会に飛びまわっている、そのこと自体にメスを入れずにして解決はあり得ないだろう。
by kogotokoubei | 2012-02-14 18:00 | 落語芸術協会 | Comments(8)
先日紹介した朝日の記事と“根(ルーツ)”は一緒なのだが、少しニュアンスの違う記事が読売に出た。なぜか、「ジョブサーチ」というコーナーの「Biz活」“今を読む”というページでの掲載。YIMIURI ONLINEの該当ページ

落語界に再編の風?
文化部 田中聡
 
 その発言は昨年末、落語芸術協会の納会で飛び出した。

 挨拶に立った新宿末広亭の真山由光社長が「落語芸術協会の定席は、落語協会に比べて客入りが悪い」としたうえで、こんな事を言ったのだ。

 「円楽一門会や立川流と一緒になって欲しい」

 この世界、寄席を経営する席亭の言葉は万金の重みを持つ。ましてや公式行事の席上での発言である。芸協の田沢祐一事務局長は、「正式な要請と認識している。検討したい」という。落語界が賑やかになって来た。

 東京の落語界には、4団体がある。柳家小三治会長の落語協会、桂歌丸会長の落語芸術協会、三遊亭鳳楽会長の五代目円楽一門会。そして、落語立川流である。立川流は家元・談志が昨年11月に亡くなって以降、「会長」「家元」は置いていない。

 もとはといえば、円楽一門会や立川流のルーツは、落語協会にある。真打昇進制度などを巡る意見の相違で袂を分かったのである。1978年に三遊亭円生が一門を率いて協会を離脱、円楽一門会の前身の落語三遊協会を作り、83年には談志一門が脱会した。

 円生が脱会する際、三遊協会が落語協会、落語芸術協会とは別個に寄席興行を行うという案があったが、都内4件の寄席で作る「席亭会議」が否決。都内の寄席興行は、その後も落語協会と落語芸術協会が交互に行っている。つまり、円楽一門会と立川流は通常の寄席興行には出演していない。

 落語協会に所属する落語家は約200人、芸協は100人強、円楽一門会と立川流は50人弱。芸協の落語家の数は、落語協会の約半分で、以前から層の薄さを指摘する声があった。単純に数だけで言えば、芸協に円楽一門会、立川流を加えれば、落語協会に肩を並べる。

 さらにいえば、円楽一門会には三遊亭円楽や三遊亭好楽、立川流には立川志の輔や立川談春といった人気者がいる。両会が合流すれば、芸協の顔ぶれは落語協会に引けを取らないものになるし、これまで寄席に出ていなかった実力者の登場は観客増加の起爆剤になる。まあ、真山社長の発言の背景を筆者なりに補足すればこういう事になろうか。

 五代目円楽が亡くなった後、六代目を継いだ今の円楽が一昨年、落語芸術協会の定席で襲名披露興行を行った。このことの意味も大きい。その後、落語芸術協会と円楽一門会は、"業務提携"の可能性を探っていたからだ。合併まではしないが、円楽一門会の落語家を寄席興行に組み入れようという動きである。賛否両論があったこの案は昨年6月、芸協の理事会でいったん否決されたのだが、「真山発言」で再び議論の俎上に登ることになった。

 21世紀も10年以上が過ぎた。昭和の時代の落語界分裂の当事者の多くは、すでに故人となった。一昨年、三遊亭円生の名跡を巡って門下の確執があったように、まだその傷跡は癒えたとは言えないが、徐々に世代交代が進む中で、微妙に情勢は変わりつつあるようだ。

 三遊協会の寄席興行を否定した「席亭会議」をリードしたのは、当時の新宿末広亭の席亭で、「新宿の大旦那」と言われた北村銀太郎氏だった。年月がたち、三遊協会の末裔、円楽一門会の寄席出演の提案をしたのも、同じ末広亭の席亭、真山氏である。歴史の巡り合わせを感じるのは、筆者だけだろうか。

(2012年2月7日 読売新聞)



 発端は、すでに紹介した通り、昨年の芸協納会における末広亭の真山社長の言葉。

 前回のブログでは、他の一門の加盟は無理があるので、あくまで協会の“企業努力”として集客を増やすための施策を実施したり、根本的な組織改革を進める必要がある、と書いた。
2012年1月27日のブログ

 芸協には落語協会を観客動員で凌駕した歴史もあるし、かつて数多くの名人もいた。また、芸協の“新作”へのこだわりは、やはり継承して欲しい伝統でもある。加えて、今でさえ寄席の出番の少ない二ツ目の出演機会がもっと減ることの問題も指摘した。
 その後いただいたコメントへの返信の内容も含め、会長、副会長があの「笑点」を降りて協会の改革に注力するとか、幹部の顔ぶれも刷新し、たとえば春風亭昇太が副会長になるなどの思い切った施策が必要とも書いた。

 しかし、組織改革、などという悠長なことを言っていられる状況ではない、ということなのだろうか。 
 この記事の中の、合併までにならずとも、円楽一門会を芸協主催の興行に組み入れる、ということが、 「真山発言」で再び議論の俎上に登ることになった。 のが事実なら、その後に動きがあった、ということなのかもしれない。

 たしかに、組織改革には時間と労力がかかる。そう簡単にはいかないのも事実。長らく芸人の“置屋”として歩んできた協会の体質は、一朝一夕には変わらないし、会長が何か提案しても、反体制派(?)も少なからずいるだろう。だから、協会の改革などを気長に待っている余裕はない、という席亭達の思いがあるとしても不思議ではない。とにかく、客を呼びたいのだろう。たしかに、六代目円楽襲名披露興行には客が来たのかもしれない。

 六代目円生や先代円楽をよく思わない芸協の噺家は少なくないと思うが、三人の席亭が、「円楽一門と一緒に興行しないなら、寄席に出さない!」と強行策に出たら、彼らも従わないわけにはいかないなぁ。

 さぁ、これからどんな展開を示すのか。

 円楽一門会の顔ぶれを確認したい。以前に存在していた「星企画」のサイトがなくなっているので、Wikipediaから引用する。( )内の人数は幸兵衛の計算。Wikipedia「円楽一門会」
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構成員
※以下一覧では、孫弟子の見分けとして、《1》( = 鳳楽の弟子)、《2》( = 好楽の弟子)、《3》( = 圓橘の弟子)、《4》( = 6代目円楽の弟子)を末尾に付記。

総帥
5代目三遊亭圓楽(2009年10月29日死去)

会長(1)
三遊亭鳳楽

幹部(4)
三遊亭好楽、6代目三遊亭圓橘、6代目三遊亭円楽(楽太郎改め)、三遊亭楽之介

真打(30)
三遊亭貴楽、三遊亭小圓楽、三遊亭喜八楽、三遊亭五九楽、三遊亭楽麻呂、三遊亭圓左衛門、三遊亭道楽、三遊亭栄楽、三遊亭とん楽、三遊亭楽春、三遊亭洋楽、三遊亭真楽、三遊亭好太郎《2》、三遊亭楽松《1》、三遊亭竜楽、三遊亭良楽、三遊亭愛楽、三遊亭京楽、三遊亭全楽、4代目三遊亭小圓朝《3》、三遊亭鳳好《1》、三遊亭神楽、三遊亭上楽、三遊亭楽生《4》(楽花生改め)、三遊亭圓福(福楽改め)、三遊亭楽京《4》(花楽京改め)、三遊亭兼好《2》(好二郎改め)、三遊亭大楽、三遊亭鳳志《1》、三遊亭王楽

二ツ目(6)
三遊亭楽市《4》、三遊亭きつつき《3》、三遊亭橘也《3》、三遊亭好の助《2》、三遊亭鳳笑《1》、三遊亭楽大《4》

前座(4)
三遊亭一太郎《4》、三遊亭好吉《2》、三遊亭たい好《2》、三遊亭こうもり《2》

色物(1)
ニックス《4》
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 計46名。落語家のみで45名。
 
 芸協は、先日のブログでも書いた通り、真打ち86名、二ツ目が31名、前座19名、色物が40組という所帯である。落語家のみで136名。よって、円楽一門を合わせると、落語家が181名ということになる。まだ足らないが、落語協会に迫る“数”にはなる。

 しかし、単純に「噺家の数」の問題ではないわけで、真山社長はじめ席亭は、「観客動員数」の増加を期待しているわけだ。

 円楽一門の中で、芸協主催の席に加わることで、観客増を期待できる噺家とは・・・・・・。

 個人的な好みは別として、「笑点」の二人は、名前だけは売れている。鳳楽も、定席で聞いたことのない人は、最初だけでも「観てみよう」となるかもしれない。もちろん、兼好は動員力は大きいだろう。王楽も、一応、NHK新人演芸大賞受賞者という勲章がある。あと、円楽一門に詳しくなくても落語愛好家が知る名前は、二ツ目ではあるが、きつつきかなぁ。

 もちろん、他の噺家さんも、私を含めて聞いていないだけで魅力のある人もいるのかもしれない。

 しかし、前回も書いたが、上席、中席、下席の十日間通しの寄席で、出演できる落語家枠は、せいぜい12名位なのだ。そして、通例であれば、開口一番は前座。プログラムに載るトップバッターは、二ツ目。ともに、日替わりのことが多い。残る10名の真打枠を芸協と2:1の割合で分けるとして3~4名出演することになる。そうなると、上述したような人たちの誰かと、他の真打との組合せとなるのだろうなぁ。

 そういった番組を組んだ場合、本当に観客動員は増えるのだろうか・・・・・・。最初は興味本位のお客と仲間内も含めて客が来るかもしれないが、果たしてどこまで長続きするだろうか。

 ここからは、個人的な見解。もし、芸協の顔ぶれがそれ相応で、そこに兼好が出演するなら、私は行くことに大いに動機づけられるだろう。元々昨年から芸協の寄席に行く努力(?)もしているのだから。しかし、他の顔ぶれには・・・・・・。

 私の持論は、あくまで芸協の自助努力なのだが、観客動員が減ってさらに定席寄席が減るようなことは望まない。
 立川流は芸協と一緒に寄席興行するとは思えない。芸協が、今回の席亭達の要請に従って円楽一門と手を組むのは、試みとしては面白いかもしれない。少しでも“寄席”が活気づくことを良しと考えることにしよう。しかし、そう簡単に決着はつかないかもしれないなぁ、企業体ではない組織、それも芸人の世界のことだから。
 
by kogotokoubei | 2012-02-07 17:11 | 落語芸術協会 | Comments(4)
落語愛好家として大先輩の“ほめ・く”さんのブログで、昨日26日の朝日新聞夕刊の記事について書かれていた。“ほめ・く”さんのブログ
 私は夕刊をとっていないので、“ほめ・く”さんのご考察を含め貴重な情報として拝見した。

 末広亭の席亭が落語芸術協会(以後、芸協)に、落語協会(以後、落協)に比べて客の入りが悪いため、「円楽一門会や立川流と一緒になってほしい」という要望を出したらしい。他の二つの定席(池袋、浅草)も同調するとのこと。

 ネットで探したところ、「朝日新聞デジタル」で見ることができたので、全文を引用する。朝日新聞デジタルの該当ページ

「今のままじゃあ、寄席にお客来ない」
2012年1月26日10時14分

■定席側、芸術協会に他流と合流提案

 今年、東京の落語界が動きそうだ。寄席の定席が客の入りをめぐって落語芸術協会に注文をつけた。家元の立川談志亡き後の落語立川流も揺れている。

 東京の定席は上野・鈴本演芸場、浅草演芸ホール、新宿末広亭、池袋演芸場の四つ。このうち浅草、新宿、池袋には、落語協会(柳家小三治会長)と落語芸術協会(桂歌丸会長)が10日ずつ交互に出演している。五代目円楽一門会(三遊亭鳳楽会長)と落語立川流は両協会に所属していないため、これらの定席には出演できない。

 だが、昨年末の芸術協会の納めの会であいさつに立った末広亭の真山由光社長が、芸術協会が出演している時の客入りの悪さに言及し、「円楽一門会や立川流と一緒になってほしい」と発言した。この二つの会も出演させたいとの趣旨で、浅草演芸ホールと池袋演芸場も同調の姿勢だ。

 これに対して、芸術協会の三遊亭小遊三副会長は「重く受け止めたい」と答えた。

 一昨年、三遊亭楽太郎の六代目円楽襲名の際は、芸術協会の歌丸会長らが協力して定席でも披露興行を開けるよう配慮。三遊亭鳳楽や好楽、円橘らが久々に末広亭などに出演した。この縁で、円楽一門は昨年春に芸術協会への合流を申し入れたが、同協会は昨年6月の総会でこれを否決した経緯がある。

 真山社長は「具体的な数字をあげることは避けるが、芸術協会の時は客が入らない。所属の落語家の数も落語協会の半分で選択肢が狭い。なんとか考えて欲しいという問題提起をしたつもり」と話す。

 定席側の一存では出演者を決められない仕組みだが、芸術協会の理事でもある田澤祐一事務局長は「正式の申し入れと受け止めている。特に夜の部の客入りが悪いことは認識している。近く理事会を開いて、まずはうちの協会の側でお客を呼ぶ努力をしたい」という。

 
■家元亡き後、立川流も課題山積み

 一方、昨年11月に談志家元が亡くなった落語立川流。年明け早々に弟子たちが会合を開いて今後を話し合った。家元制度をやめること、一般に浸透した「立川流」の名称は残すことなどを決めたが、今後の検討課題は多い。

 「入門から3年以上で、落語50席と歌舞音曲ができること」という二つ目昇進の条件、「落語100席と歌舞音曲」という真打ちの条件は当面そのまま残す見込み。家元存命中に真打ち昇進が内定していた談修、こしら、志ら乃の昇進披露は、今後時期を調整する。

 まとめ役は総領弟子の土橋亭里う馬。幹事は各世代から立川左談次、談四楼、談幸、志の輔、志らく、雲水の6人。里う馬は「これまで家元が唯一絶対のルールだったから、今後は話し合いで一からルール作りを始めなければならない」と話している。(篠崎弘)



 円楽一門合流の件が芸協の会議で昨年否決されたことは、ある一部の噺家さんが落語会で暴露したらしいが、“6月の総会”だった、という情報をマスメディアで見たのは初めてである。

 円楽一門のことは以前に何度か書いたが、芸協に(限らず落協にも)、六代目円生や先代円楽への抵抗感を未だに抱いているベテランが少なくないので、芸協に円楽一門が正式メンバーとして加入するのは難しいだろう。本来は落協に“戻る”のが筋道かと思うが、それもありそうにない。七代目円生襲名問題が再燃するからね。

 立川流だって落協に“戻る”ことはあり得ても、芸協に入ってまで寄席に出たいとは思わないだろう。

 あり得るのは、余一会や落語会でたまに企画される「四派合同」のような、“芸協&円楽一門”や、“芸協&立川流”という共演(相乗り)企画までではなかろうか。
 しかし、昨年の総会で円楽一門の加盟を拒否したように、“共演”とは言え、一緒に寄席に出ることを毛嫌いするベテランは多いだろう。そういった人たちは、立川流にだって、抵抗がないわけでもなかろうと察する。ごく一部の中堅や若手が余一会などで合同で出演するのとは、訳が違うのである。

 もしそういったご意見番達も席亭の声を無視できずに、共演を受容したとしよう。そうなると、芸協だけの席なら出演のチャンスのある噺家の出番を減らすことになる。

 落協より少ないとは言え、協会のサイトで調べたところ、真打ち86名、二ツ目が31名、前座19名、色物が40組という所帯である。落語家のみで136名。落語芸術協会のHP

 この人たちに、どれだけ寄席に出演する機会があるか計算してみたい。

 昼席と夜席、そして寄席によっても出演者数は違うが、もっとも出演者数の多い浅草と少ない池袋の間、ということで末広亭昼席を基準として計算してみる。
 落語家さんの出番はほぼ11~12、色物が5~6。落語枠12として、その中身は、前座(開口一番)が1、二ツ目を1、残る10が真打ちと想定する。
 同じ顔ぶれで出演する10日間の興行の昼か夜の会を一つの“席”とした場合、鈴本を除く三つの定席を落協と交互に担当しているのだから、一カ月での出演可能な席の数は、

 3(上席・中席・下席)x 2(昼席・夜席)x 3(末広亭・池袋・浅草)÷2(落協と芸協)= 9

 だから、前座枠が1x9=9名、二ツ目枠も9名、真打ち枠が9x10で90名となる。
 *「池袋の下席の夜の部は・・・」などと細かいことは言わないこと^^
 先ほど書いたように、前座は19名いるので、開口一番が回ってくるのが一ヵ月おき、二ツ目は31名いるから、ほぼ三ヵ月に一回しか出番がない勘定になる。真打ちは86名で、中には寄席に出ない(出られない?)人もいるので、ほぼ毎月、上か中か下席の、昼か夜の部に出るチャンスはある、ということだろう。
*あくまで「機会」であって、席亭が「No!」と拒否する人もいるけどね。 

 落協はもっと大きな所帯なのだが、鈴本という強力な味方がいるので、席数も芸協より多い。

 ここで良く考えなければいけないのは、円楽一門にだって、立川流にだって、前座は少ないにしても二ツ目はいる、ということ。寄席という修業の場で揉まれるのが、先の真打ちへの通過儀礼でもあるわけだが、もし合同の会をするとして、パートナー(?)の二つツ目も定席に出るなら、芸協の二ツ目さんの出番は、今以上に減ることになる。

 そういったことも含めて考えると、他流派(?)との合同ではなく、自助努力で観客動員を考える、芸協の主催の会を魅力的なものとする努力をするしかないわなぁ。

 私は昨年、定席寄席は末広亭のみ六回通った。芸術協会が二回、初席は別として、九月の中席を他の落協の時と比較すると、席亭指摘の通り客は少なかった。しかし、二回の芸協主催の席では、新発見も含め、今後も聞きたい噺家さんに結構出合うことができた。やはり、“意図して芸協の席にも行こう”と思っていた。言い換えると、「意図」しないと行かない、ということになる。落協の席では、その顔ぶれを見て「行きたくなる」ので、そこには大きな違いがある。

  柳家小三治会長の英断で、年功による真打ち昇進を打破した落協。一之輔の春の真打ち昇進披露興行、秋の朝太と菊六の披露興行は、十分に席亭を喜ばせることになるだろう。
 しかし、果たしてどれ位の落語愛好家の方が、芸協で今春真打ちに昇進する次の五名を知っているだろう。あるいは、協会は知ってもらう努力をしているだろうか。
・昔昔亭健太郎(昔昔亭桃太郎門下)
・春風亭柳太(春風亭柳好門下)
・昔昔亭笑海(昔昔亭桃太郎門下)
・瀧川鯉橋(瀧川鯉昇門下)
・笑福亭里光(笑福亭鶴光門下)

 昨年発表があった時に彼らを紹介した。その際、協会HPのプロフィールの誤りを指摘したが、未だに修正されていない。
2011年8月3日のブログ
 こういうことも含め、芸協には、芸人を売込む意欲や危機感が不足していると言わざるを得ない。ほめ・くさんんも指摘されていたが、当日の休演・代演情報は、落協のようにホームページに掲載すべきである。「客の立場」にたった視線や施策に欠けている。これは両協会に共通しているのだが、真打ち昇進者を発表する前に、それぞれの噺家のプロフィールの間違いを正すとともに、もっと情報を記載すべきである。人によって書かれている項目がバラバラで、内容にも誤りが散見されると、ガッカリする。

 そういったことも含め、協会としてのあり方を定め、傘下の会員をリードするのは幹部だと思う。さて、それでは両協会の幹部の顔ぶれを見てみよう。

<落語芸術協会>
会長   桂 歌丸
副会長  三遊亭 小遊三
理事   三遊亭 遊三
理事   橘ノ 圓
理事   三笑亭 茶楽
理事   三笑亭 夢丸
理事   春風亭 小柳枝
理事   三笑亭 夢太朗
理事   桂 米助
理事   三笑亭 夢之助
理事   古今亭 寿輔
理事   春雨や 雷蔵
理事   桂 歌春
理事   春風亭 昇太
監事   柳亭 楽輔
監事   瀧川 鯉昇
参与   玉川 スミ・鏡味 健二郎
最高顧問 桂 米丸
相談役 三笑亭 笑三

<落語協会>
会長      柳家小三治
副会長     柳亭市馬
常任理事   柳家さん喬
常任理事   林家正蔵
常任理事   三遊亭吉窓
理事      桂文楽
理事     古今亭志ん輔
理事     入船亭扇遊
理事     三遊亭歌る多
理事     五明楼玉の輔
監事 柳家小さん・三遊亭圓丈・柳家さん八
相談役 橘家圓蔵・古今亭圓菊・三遊亭圓窓・入船亭扇橋・林家こん平・林家木久扇
顧問  三遊亭金馬
最高顧問 三遊亭圓歌・鈴々舎馬風

 「あれっ、どっちが人数多いんだっけ?!」と勘違いするほどの芸協の幹部の人数の多さ。どれだけ“名誉職”としての幹部が多いか、ということを裏付けていると思う。また、これだけ理事が多いと、「船頭多くして」の譬もあるように、全員参加するわけではないだろうが、会合などで話がまとまらないだろうし、時間もかかってしょうがなかろう。

 「なにせ、会長が高齢でかつ病気がちで、テレビなどでも忙しくて・・・・・・」などの言い訳は許されない。小三治会長のように、手足となり中堅・若手とのパイプ役となる副会長を新たに任命するなど、施策はいくらでもあるはず。相変わらずの年功真打ち昇進も含め、やはり、「危機感」が足らないとしか言いようがない。

 三遊亭小遊三副会長が「重く受け止めたい」のなら、幹部組織のあり方から見直す位の覚悟が必要だろう。

 芸協のホームページには、次のような沿革が記載されている。
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昭和5年  会長・春風亭柳橋(6代目)、副会長・柳家金語楼が日本芸術協会を設立。
昭和9年  柳亭左楽が会長を務める落語睦会を合同する。その後、桂小文治(初代)が副会長となる。
昭和49年 古今亭今輔が会長となる。.昭和51年会長・桂米丸、副会長・春風亭柳昇となる。
昭和52年 12月、文化庁より社団法人の認可を受け、社団法人・落語芸術協会と改称。
平成11年 会長・桂文治 副会長・桂歌丸 副会長付・三遊亭小遊三となる。
平成16年 会長・桂歌丸 副会長・春風亭柳橋(7代目)となる。
平成17年 会長・三遊亭小遊三となる。
平成23年 4月、内閣府より公益社団法人の認可を受け、公益社団法人・落語芸術協会と改称。
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 昭和9年の「落語睦会」の“合同”というのは、やや不正確な表現で、解散した睦会から、五代目の柳亭左楽と三代目春風亭柳好が加入した、と言うべきだろう。睦会の「四天王」の一人は八代目文楽で、ご存知のように文楽は落協に移っている。

 私個人は、落協と芸協の合流などで、銀行が合併を重ねたことで、かつての銀行のどれが何になったのか、ほとんど分からなくなったような状態になることを望まない。

 現状では人数の多さのみならず、実力者の割合も落協より少ないかと思う。しかし、芸協には、沿革にあるように六代目柳橋と柳家金語楼が創設し、その後に加わった三代目柳好をはじめとする人気者の活躍で、落協を圧倒していた歴史がある。その伝統を継承して、あらためて芸協主催の寄席に客を呼び寄せることに努めて欲しい。

 江戸の昔に数多くあった定席寄席は、東京でたった四つになってしまった。そして、それらの寄席も決して経営状態が万全とは思えない。しかし、席亭達は頑張っているように思う。その席亭達が他の流派との相乗りを勧めるような発言をしなくなるようにするには、客を呼ぶための“企業努力”をする必要がある。もし、旧態依然とした、単なる寄合に毛の生えた組織としてしか認識せず、傘下の芸人の売込みにも特段工夫や努力をしないなら、落協との差は、広がるばかりだろう。

 本来は「古典の落協」、「新作の芸協」という謳い文句があった。理事には柳昇の弟子昇太も名を連ねている。SWAが解散した今、昇太が芸協にとってどんな役割を果たすか、それが鍵を握っているような気がする。
by kogotokoubei | 2012-01-27 13:15 | 落語芸術協会 | Comments(6)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛