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噺の話

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カテゴリ:寄席・落語会( 489 )

 昨夜は、8時間のアルバイト後の晩酌でほろ酔いになり、どうせ日曜恒例のテニスが、コロナ対策でクラブが休業なのでと、記事は途中まで。

 さて、あらためて、三百回を超えた本家の小満んの会に、初めて行った記事。

 受付には、久しぶりにお会いする師匠の奥様の姿。
 朝日の記事を読みました、今日で300回なんですか、とお聞きすると、302回目、とのこと。
 
 アルコール消毒液があり、マスク着用での開催。
 
 これは、致し方ない。

 座布団が敷き詰められた客席は、最終的には七十名ほどの入りだったかと思う。
 いかにも、常連さんと思しき人たちが大半。

 さて、マスクだらけの客席での会が、始まった。
 
柳亭市松『道灌』 (15分 *18:30~)
 これまで何度か聴いているが、これだけ反応のないことは初めて。
 教科書通りとも言える語りで、実に真面目な高座なのだが、小満ん目当てのご通家ばかりの客席は、びくともしない^^

柳家小満ん『ふぐ鍋』 (20分)
 マスクだらけの客席を見て、「美人が増えた」で笑わせる。なるほど、同感^^
 「目が大事ですね」などにも、いやらしさが微塵も感じられないのが、品のある噺家さんの証。
 そのあとには、ネタにふさわしいマクラが続く。
 「片棒で かつぐ夕べの ふぐ仲間」
 「名古屋ふぐ」---身の終わり(尾張)
 なんて科白で、市松の高座でびくともしなかった客席が湧く。
 また、その笑いのタイミングなども、実に、良いのである。
 幇間の一八が旦那を訪ねて、本編の始まり始まり。
 出された小鉢を一八が見て、「このわた・・・いや、このこですね」と喜んで、爪楊枝でつまみながら、次に出された鍋を見て、「旦那、なんの鍋ですか、これは」に、「いいいから、食べな」と、旦那。
 しつこく聞く一八に旦那も負けて「テツだよ」。
 「テツ・・・鉄鍋ではないでしょう、土鍋」に旦那、「ふぐだよ。ちゃんと料理屋から取り寄せたものだから、安心して食べな」。
 しかし、そうは簡単に箸をつけない一八。もちろん、旦那も一八を毒味にさせるつもりだから、食べはしない。
 この二人のやりとりの間に、おこもさん(乞食)登場。
 ということで、この噺は新たな展開を迎える。
 旦那が、まず乞食に食べさせて様子を見ようと思いつき、一八に丼ぶりにふぐをよそえ、と言う。 
 この時、一八が「では、旦那の箸で」という場面で、私も含め客席爆笑。
 後半のあらすじは、ブログ読者の皆さんには必要ないだろう。
 旦那と一八のやりとり、まさに軽妙洒脱。
 加えて、高座と客席とのキャッチボールが、実に良いリズムで進むのだ。
 想い出すと、昨年1月、関内の会終了前の会でもこの噺があった。
 今、日々消滅する脳細胞を奮い起こしてみて、あの高座で客席とこれほどの一体感があっただろうか。刈り込んだ高座も良かったはずだが、客席との一体感は違う。 
 さすが三百回の日本橋、と実感した一席、文句なく今年のマイベスト十席候補とする。

柳家小満ん『越の海』 (23分)
 一度下手に下がって再登場。
 寛政期に江戸の相撲は人気になってと、この噺へ。
 初めて聴く。
 元は、講談ネタ。実在の力士の話らしい。
 こんなあらすじ。
 相撲が盛んであった寛政年間は、元年に横綱になった谷風梶之助や、小野川喜三郎、雷電爲右エ門などそうそうたる力士が活躍した時代。その時代は、現役の力士も部屋を持つことができた。鳥越に部屋を持つ柏戸が、越後直江津、当時の今町に巡業に行った。
 地元の勇蔵という子がいた。身の丈五尺五分(約150cm)ほどしかないのに、体重が三十四貫(約130kg)もあるという体つきである。ほぼ四角い体。どうしても勇蔵が相撲とりになりたいと言うので、そのうち諦めるだろうと、江戸まで連れて帰った。
 江戸の町を歩いていても、水ガメに手足、提灯の化け物、などと冷やかされ、こんな妙なのと稽古をして怪我でもしたら大変と、相手にしてくれる力士はいない。
 ある日、江戸の相撲を見たい勇蔵は、兄弟子たちの稽古に無理矢理ついて行った。
 その土俵でぶつかり稽古に胸を貸していたのは、横綱谷風。若い力士連中は、谷風にまるで相手にならない。
 勇蔵は行司の木村庄之助から、あれが横綱の谷風であることを教えられる。勇蔵は自分も力士であると告げ、なんと谷風と対戦することになった。親方譲りの廻しを締め、谷風との勝負が始まる。勇蔵は「ダダダダダーッ」と一気に頭突きで突進し、驚く谷風を押し出した。
 次に、身長2メートルを超える雷電爲右エ門と対戦。勇蔵、また「ダダダダダーッ」と突進し、雷電も押される。谷風は感心した。このことを知った親方の柏戸も勇蔵をあらためて弟子と認めた。
 越後出身なので、越の海と名乗り活躍し、小結の座を五年間譲らなかったという。
 
 ややうろ覚えな点もあるが、こういう出世噺。
 とにかく、小満んが、実に嬉しそうに「ダダダダダーッ」とやってくれるのが楽しく、客席一体となった笑いの中で、初めての相撲噺を聴かせてもらった。
 横で大きく頷きながら聴いていたのが、相撲大好き、ミニたにまちのYさん^^

 ここで仲入り。
 外の空気を吸いに。
 中は、けっこう蒸し暑い。マスクも外さないとね。

 では、三席目。

柳家小満ん『首提灯』 (30分 *~20:14)
 剣の達人に斬られると斬られたことが分からない、とマクラをふって『胴切り』を挟んでからネタ出しの本編へ。二席聴けて得した気分。
 田舎侍に毒づく江戸っ子の酔っ払いが、いい。
 博打で金が入って品川宿のなじみの女の所へ遊びに行く途中。酔いもあるし、機嫌もよく気も大きい。芝山内の追いはぎの出るというさみしい所へさしかかると、「おい、待て」と声がかかる。「何かようか、おじさん」と答える。「おいと言うから、おじさんだ」でも笑える。
 田舎侍と見くびった男は、「かんぱらちんき」など悪口雑言を浴びせた末に調子に乗って侍に唾を吐く。堪忍袋の緒が切れた田舎侍、抜き手も見せない居合で、男の首を斬って、鼻歌まじりに去って行く。この鼻歌「徂徠の待ちかねた豆腐」というような歌詞だったように思うが、自信なし。
 そこからは、生の落語でしか味わえないのが、この噺。
 男の首が、あらあら、大変なことに。
 その仕草で、客席も大爆笑。
 江戸っ子が活躍する噺は、小満ん、外れがない。

 三席とも、しっかり楽しませていただいた。

 さて、リーダー佐平次さん不在の六人での居残り会は、都内に詳しそうなOさんに店探しをお願いしていた。

 徒歩数分の、串焼き屋さんは、結構なにぎわい。
 そろそろ、世の中は閉塞感に耐えられなくなってきているのだよ。
柳家小満んの会 お江戸日本橋亭 3月13日_e0337777_10533561.jpg

柳家小満んの会 お江戸日本橋亭 3月13日_e0337777_10531788.jpg

 備長炭にこだわった串焼き、なかなの刺身、などなど美味しい肴に、落語や何やらの会話が弾む。後半は、ホッピーだったなぁ。

 Nさんからは、和菓子のお土産まで頂戴してしまった。

 もちろん(?)、帰宅は日付変更線を超えたのであった。

 世の中がなんとも息苦しい中、小満ん落語の原点、聖地を訪ねることができた、思い出の一日となった。

by kogotokoubei | 2020-03-15 11:11 | 寄席・落語会 | Comments(6)
 雨でテニスが休み。

 今年は、なんとか月に二回は落語に行こうと思っていたので、茶楽が主任の末広亭昼の部へ。

 夜の部は、六代目伯山の披露目で、末広亭では私の記憶にない、昼夜入れ替えだ。
 
 そんな席の昼の部が、どんな雰囲気なのかを確認したい思いもあった。

 コンビニで買い物をした後で入場したのが、12時を少し回ったところで、昔々亭喜太郎の高座の最中。新作のようだ。

 ちなみに、末広亭の前に、夜の部のお客さんは並んでいない。整理券を渡しているからだ。

 客席は、入った時は椅子席が半分ほど、桟敷が三割程度。
 最終的には、椅子席八割、桟敷が半分位だったろうか。

 いろんな意味で、昼夜の違いがあった席ではなかろうか。

 二階も開いて立ち見も出るであろう夜の部とのギャップが大きい。

 一服し、山上兄弟の奇術の際に、好みの下手の桟敷に席を確保。

 高座の上下に贈呈された胡蝶蘭。
 上手はジブリの鈴木敏夫、下手は尾上松緑。
 他にもお祝いの花が上下に二つづつ。上は、テレビ朝日と爆笑問題。下は集英社社長と、藪木健太郎。
 後ろ幕は、芸術協会で中央に「寿」。

 初めから聴けた高座の順に感想などを記す。

三遊亭遊喜『反対俥』 (13分 *12:20~)
 ずいぶん久しぶりだ。調べてみると9年ぶり。
 小遊三門下。
 以前の印象と、あまり変わらない。
 いわゆるアラフィフだが、まだまだ精進してもらいましょう。

桂文月『転失気』 (15分)
 この人、見かけはもっと上に見えるがまだ五十歳一歩手前。
 同じ末広亭での2017年の一月下席の『出来心』以来。
 経歴的には、もっと深い席でしかるべきなのだが、こんな浅い時間に出るのは、元気な若手が夜の部に集まったせいか。
 とはいえ、出番と合わせたようなネタ選びと出来だった。
 

 この二人とも、伯山の披露興行について、一言もふれない。実は、結果的にマクラで触れたのは、たった一人。それも、ややネガティブな内容。

 どうも、夜の部とは別世界の席だった。
 
 続ける。

D51 漫才 (12分)
 定番の踊るお婆さんコント。
 しかし、客席は、あまり、わかない。

三遊亭王楽『大安売り』 (12分)
 円楽一門の交替枠、この日は久しぶりのこの人。
 以前は、たとえば朝日名人会でさえ「上手いだろう」という感じの雰囲気が鼻についたのだが、ずいぶん変わったと思う。
 寄席に出るようになった効果かもしれない。
 短いながらも、好高座。
 
三笑亭可龍『初天神』 (16分)
 学校寄席のマクラから本編へ。
 父親が団子の蜜を舐めまくる場面などは、この人、十本の指に入るのではなかろうか。
 ようやく寄席の空気になってきた。

マグナム小林 バイオリン漫談 (13分)
 前半は、一服。後半は後ろのパイプ椅子で、タップダンスとバイオリンの芸を見ていた。
 たしかに、世界でこの人だけだろう。

三遊亭とん馬 漫談&踊り/かっぽれ (14分)
 九官鳥のマクラや、小咄の後、かっぽれで締めた。しかし、彼も伯山の披露目であることは、一言もふれない。祝いの踊りなのかと思ったのだが・・・・・・。

桂南なん『壺算』 (15分)
 初めてのお客さんが多かったようで、序盤はなかなか温まらなかったが、後半から客席も沸いた。
 寄席には、欠かせない人だ。

国分健二 漫談 (14分)
 久しぶり。膝の手術をしたらしい。たしかに、少し、ぎごちない。
 とはいえ、なかなか元気。
 小林旭の真似はほどほどに、貼り紙の東西の違いなどで、客席を沸かせた。
 
三遊亭遊三『長屋の花見』 (18分)
 仲入りは、この人。
 定番のマクラからこの噺へ。
 ところどころ、言いよどみはあるが、頑張っている姿が、伝わる。
 昭和十三年生まれ、二月二十八日で八十二だ。
 そう、志ん朝と、ほぼ同じ。
 この人を聴くと、志ん朝を思い出す。
 
 一服しながら、こんなことを思っていた。

 もし、昼夜入れ替えなしなら、今頃、立ち見になっているかもしれないなぁ。
 しかし、ここまでの高座で、誰一人、披露目について触れないというのは、どういうことだろう。
 雰囲気も、実に暗い。とても、目出度い席の空気でなない。
 それは、客席にも伝染する。
 昼夜入れ替え、たしかに、末広亭も芸術協会も、それで潤うのかもしれない。
 しかし、昼の部は、この披露目を祝っているのか、どうか・・・・・・。

 そんな思いを抱きながら、さて、仲入り後。

桂夏丸『英会話』 (11分)
 夢花の代演。
 芸協の伝統ある柳家金語楼作だが、最近は、柳亭左龍でも聴いている。
 ほどよく、くいつきの役割を果たした、とは思うが、この短さは、すべて昼の部のハネる時間を気にしてのことだろう。

東 ゆめ子・京太 漫才 (10分) 
 いつものようにはリズムが良くない。よって、客席のノリも今一つ。

桂幸丸 漫談 (15分)
 唯一、この人だけが、披露目のことにふれた。
 つい、この前まで、楽屋で「こら、松之丞!」なんて言っていたのに、今は、人気はあっちが上だからね、という調子。
 私と同世代なので、昭和歌謡を中心の漫談は、まぁ、それなりに楽しめたが、この人なら、もう少し、お目出度い扱いができたのではなかろうか、とも思っていた。

三笑亭夢太朗『替り目』 (8分)
 幸丸が長めだったので、時間調整の高座、という感じ。

翁家喜楽・喜乃 太神楽 (5分)
 五階茶碗の途中から「えーっ!」とか拍手が起こった。
 寄席初心者の方も多かったかな。
 とにかく、この日の客席は、なんとも芸人泣かせだった。

三笑亭茶楽『三方一両損』 (20分 *~16:20)
 こんなひどい茶楽は、初めて。
 可楽譲りの十八番のはずなのに。
 噛むし、言い間違い、言い直しが多すぎた。
 20分で仕上げるためのプレッシャーとしか思えない。


 ハネて、すぐ入れ替えの案内。
 
 なんだろう、この席。
 昼の部は、まったく、お目出度い空気がない。

 噺家が登場して、これほど拍手の起こらない客席は初めてだ。
 人数にも増して、寂しい空気が蔓延していた。
 しかし、それは、演者の思いが伝染していたのかもしれない。

 外に出て、末広亭の前は、整理券の早い方だろう、30人ほど。
 しかし、近くのビルに沿って、とんでもない行列。

 中には、寄席とは無縁と思しき若者も多い。

 末広亭も協会も、商売的には、入れ替えは実があったのだろう。
 しかし、この入れ替え制は、分断も招く策ではなかったのではないか。

 そんなことを思いながら駅に向かった。


by kogotokoubei | 2020-02-16 21:47 | 寄席・落語会 | Comments(4)
 観客も審査に参加できる「さがみはら若手落語家選手権」の予選第三回目に行ってきた。

 出場者は、次の五人。

 春風亭昇也、柳家やなぎ、林家扇兵衛、春風亭一花、三遊亭ぽん太

 ぽん太以外は、生の高座を聴いたことがある。

 お目当ては、女流の二ツ目で私の一押し、一花(いちはな)。

 この会は、一昨年の本選(決勝大会)以来。

 あの時は、私は古今亭志ん吉に投票したが、優勝は桂伸三だった。
2018年3月12日のブログ

 会場の多目的室は、パイプ椅子で200席とサイトに説明があるが、九割ほどは埋まっていたのではなかろうか。
 以前は自由席だったが、指定席に変わったので事前に買い求めていたが、幸運にも三列目の中央を取ることができた。

 開演の午後二時、着物を着た若い女性が登場し、ルールなどを説明して出場者五人登場。

 以前と同じ司会役の子、大学の落研から、プロになったようだ。
 鈴々舎美馬。あら、昨年、立川左談次を偲ぶ落語会で開口一番だった。
 そうか、つい、入門してしまった(?)か。

 抽選で、順番が決まった。
 ネタは事前にプログラムで発表されている。

第19回 さがみはら若手落語家選手権 予選第三回 杜のホールはしもと 2月9日_e0337777_18292083.jpg


 出演者が下がって、司会役でもある美馬が、『金明竹の』開口一番を短く務めた。

 では、出演順に感想などを記す。

三遊亭ぽん太『紀州』 (16分 *14:15~)
 五人の中で唯一初の人。好楽の弟子。
 ファンネームのことや、好楽一門での運、不運というマクラを約六分ふってネタへ。
 年齢は三十四歳と昇也(三十七歳)の次に年上だが、入門から五年なので、もっともキャリアは浅い。その経歴からはやむを得ないが、全体に固い。途中で入れごとの出来る地話なので、いろいろ工夫もしてはいるが、二十分と思しき持ち時間(また、司会役は説明しなかったなぁ)を余して高座を降りた。

春風亭昇也『寄合酒』 (19分)
 最初に聴いたのが九年前の桂平治(当時)の独演会だった。その後、連雀亭で『庭蟹』に感心した。
 そして、五年前のこの大会の予選で『時そば』。
 この人、最近、賞レースに強い。
 平成三十(2018)年に平成二十九年度彩の国落語大賞受賞し、昨年、北とぴあ若手落語家競演会大賞を受賞している。漫才から昇太門下で落語家になったこともあり、語りは上手い。
 この日、一花の強敵は、この人だと思っていた。
 セレモニーホールでの落語会のことで客席を沸かせ、浅草演芸ホールでのオバサン五人衆という客のネタで、笑いはもっと大きくなった。そんなマクラ約八分からの本編も、なかなか良いリズムで客席の反応も良い。しかし、鱈の値段を乾物屋に聞く場面で、つまづいた。一円と言うべきところで、百円と言ってしまい、それに輪をかけて「百円、そりゃぁ高えや、隣町では七百円・・・」
 このあたりから、言い間違いをやり直したものの、一度崩れたリズムを立て直すのは難しかった。
 このミスがなければ昇也が一位でもおかしくなかっただけに、下がる際の悔しい表情は、よく分かる。

春風亭一花『権助提灯』 (20分)
 あっさりと昇也のミスにふれ、最近賞をたくさん取っている打倒昇也でがんばります、で客席から拍手。
 女子校に六年通っていたが、女子校カースト制度があって、と女性同士でも友達の一人が恋人とののろ気話を聞いた際の他の友達の怖さ(?)で笑いをとって、本編へ。
 この人が他の女流噺家と違うなぁ、と感じたのは、女性の描き方だ。
 結構、女流噺家が女性を描く時、その造形を作りすぎるのが気になることがあるが、この人は、自然に映るのだ。本妻はそれらしく、妾もそれらしく演じ分けながらも、過度な演出はしない。それでいて、色っぽい。形容が難しいのだが、女であることを、上手く生かしているように思う。
 もちろん、旦那や権助の造形も的確。
 この人、昨年結婚したらしいが(夫は金原亭馬久)、その結婚は落語にも良い影響を与えているような気がする。

 ここで、仲入り。

 後半の二人。

柳家やなぎ『禁酒番屋』 (23分)
 ほとんど、マクラなしで本編へ。
 この人は、今よりたくさん落語会に行っていた時期、前座(さん坊)としての開口一番をよく聴いた。
 その頃からの、成長は感じた。
 しかし、丁稚も若い衆も、侍も、皆があれほど大きな声を出すことはない。
 緩急のない落語は、疲れる。
 まだまだ、精進してもらいましょう。

林家扇兵衛『厩火事』 (20分 *~16:09)
 あまりにも、言い間違え、言い直しが多く、落着いて聴くことができない。
 また、口癖なのだろう科白の前に「あぁー」と言うのも気になる。
 基本から、もっと学び直す必要があるのではないか。

 これで全員の高座が終了。
 客席に投票を集める係の方が来られて、迷わず、一花の札を渡す。

 集計ができる前に司会の美馬が登場し、五人をステージに呼ぶ。
 
 先に、協賛社賞の発表だ。

 「左利き文具の菊屋賞」は・・・一花。
 「グリーンホール八起寄席賞」は・・・一花。

 これで、昇也が、マイクを取り上げ、五年前と一緒、と嘆く。
 そうそう、そうだった。
 あの時は、春風亭正太郎が一位、この人が二位。残念ながら惜敗率での本選出場も逃がした。
 協賛社の受賞者を読み上げる際、春風亭しょう、まで正太郎と同じで、何度もズッコケていたなぁ^^
2015年2月1日のブログ
 今回も、「春風亭」までは、緊張したことだろう。

 そして、集計ができて、優勝は・・・一花。

 昇也、マイクを持って、「さがみはらには、二度と来ません!」とわめく^^

 ちなみに、2位はその昇也、3位やなぎ、4位ぽん太、5位扇兵衛。
 
 終了は、16時23分。

 嬉しい気分で帰路についた。

 第四回予選は2月22日だが、古今亭志ん吉が出る。
 
 私としては、3月8日の本選(決勝戦)は、志ん吉と一花での戦いになって欲しい。

by kogotokoubei | 2020-02-09 20:54 | 寄席・落語会 | Comments(4)
 本年二度目の生落語は、居残り会仲間(居残りセブン!)のMさんが主催者側のスタッフとしてご活躍されている、都民劇場の一之輔独演会。

 いまやチケットが取れない噺家の一人、一之輔の会である。

 少し早めに紀伊國屋ビルに着いたので、結構気に入っている地下一階の「銀ちゃん」で、生ビールと焼きそばのセットで腹ごしらえ。

 四階に上がると、大勢のお客様が開場を待ちわびている。

 開場となり行列が落ち着くまで、古典芸能の書籍棚を眺めていたら、中込重明さんの『落語の種あかし』が文庫化されているのを知った。

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中込重明著『落語の種あかし』(岩波現代文庫)

 単行本を持っているので、買いはしないが、巻末の延広真治さんの解説を立ち読み。
 中込さんが、この本で推理していたことが、その後証明されたことを知った。
 落語学(?)分野において、本当に惜しい人を亡くしたと、あらためて思う。

 さて、ようやく行列もなくなったので、会場へ。

 居残りセブンと並んでいるわけではないが、Mさんのおかげで、結構前の中央の席。

 周囲には、夫婦連れや、家族連れのお客さんが多い。
 後で再認識したが、落語歴の浅い人も多かったようだ。

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 開演まで、受付でいただいたプログラムに長井好弘さんが書かれていた文を読む。
 一之輔落語は「ワンチーム」か、というお題だ。
 受付近くで、45席収録のDVDを販売していたが、その解説のためのロングインタビューをしたらしい。
 
 こんなことが書かれていた。

「僕の頭の中に、真面目なAチームと、やんちゃなBチームがあって、せめぎ合っているんです。僕がちょっとAチームのネタばかりやっていると、Bチームの連中が『ダメだよ、そっち行っちゃ。一之輔さんはボクたちの味方のはずだよ』ってヤキモチ焼くの。そっちもたまに可愛がってやらないとね」
 落語好きのお客様なら先刻ご承知だろうが、あえて「解説」しておこう。
 Aチームとは、『帯久』『百年目』『中村仲蔵』など、一之輔が真っ向から取り組んでいる大ネタや難物のこと。
 ヤキモチ焼きのBチームとは、『新聞記事』『時そば』『短命』『がまの油』『千早ふる』など、現代のギャグを盛り込み、斬新過ぎる演出を加えるなど、一之輔が噺と一緒に遊んでいるようなネタのことだ。
 そう考えると、本日の演目予想が俄然面白くなる。トリはAチームの大物を配すが順当だが、あえてお茶目なBチームを起用する手もある。さらにさらに、いきなり想定外のCチーム(!)が登場する可能性も・・・。

 この後、長井さんは、「たえず進化する一之輔落語」という表現を使っている。

 それが「進化」なのかどうか・・・・・・。

 実は、終演後の居残り会では、この夜の高座の評価について、結構、議論(?)が白熱したのであった。


 まずは、出演順に感想など。

春風亭与いち『やかん』 (13分 *19:06~)
 開演が少し遅れたのは、感心しないなぁ。
 それはともかく、この人は、初。
 後で調べると、一之輔の二番弟子のようだ。
 協会のサイトには、このようにある。
  2017(平成29)年3月   春風亭一之輔に入門
  2018(平成30)年1月21日 前座となる 前座名「与いち」
 いわゆる待機児童期間が十ヶ月ほどあったわけか。
 前座期間がほぼ二年、ということを考えても、この高座は悪くない。
 口跡が明確で、メリハリもある。講釈部分も、客席から拍手こそなかったが、リズム良く聴かせた。
 見た目は、サラリーマンのお兄さん、という印象だが、話し始めると、江戸の雰囲気も滲み出る。今後も、期待したい。

 次の高座の前に。
 この与いちの高座で、「くじら」や「こち」などの問答場面でも、結構、笑いが起きていた。
 居残り会で、Oさんが言っていたが、笑いの沸点の低い方が多かったと思う。
 それを、袖で聴いていた一之輔。
 昼夜居続けのNさんにお聞きすると、昼の部は『味噌蔵』と『子は鎹』だったらしい。
 そういった流れや客席の様子も、次の一之輔の高座には、何らかの影響を与えたのかもしれない。

春風亭一之輔『百川』 (36分)
 マクラでは、この後に登場する萬橘のことや、噺家は、受けなくても客のせいにする。すべったという言葉は年配者は使わず、蹴られたと言うが、これも客のせいにする気持ちの表れ、など約8分。
 さて、この噺。
 紹介したAチーム、Bチームで区分するなら、間違いなくBだな、と思いながら聴いていた。
 この噺については、結構前になるが、記事にしている。
2009年5月13日のブログ
 その記事でも書いているが、一之輔は、「四神」について、一つづつ身振りや表情を使って説明した。このあたりは、丁寧で良い工夫だと思う。
 さぁ、その後、百兵衛さんの田舎弁と河岸の若い衆との会話で、Bチームが暴れだす。
 その“やんちゃ”ぶりが、評価の分かれ目になったようだ。

 若い衆の初五郎が、百兵衛の受付役となって、百兵衛にあらためて名前を聞く場面。
 「(百)ベイチャーッテノーチャ」「・・・ロシアからお越しで?」 
 クワイのきんとんを目の前に出された百兵衛が「アンチュウモンデガッチ?」と言うと、「アンチュウモンデガッチの方がいいらしいや。あるかい?」
 長谷川町三光神道で道を尋ねる場面で、百兵衛が、歌女文字の名を言おうとして「カー、カー、カー」「おいおい、カラスが集ってきたよ、黒魔術か?!」

 なお、サゲも独自で、実際に隣町から「四神旗の掛け合い人」がやって来て・・・という工夫。

 居残り会では、結構、この高座に否定的なご意見が多かった。
 私は、客席に落語初心者の方も少なくなかったようだし、一之輔ファン倶楽部的な客層も過半だったことへの、サービス精神の表れかもしれない、ってなことを申し上げたが、あの場では、肯定的なこと、言いにくかったなぁ^^

 ここで仲入りとなったのだが、私は席に座ったままで、こう、メモしていた。
 「独自のクスグリと本来のネタの可笑し味との、絶妙なバランス」
 “絶妙”なバランスと評価するか、“やんちゃし過ぎ”と感じるかは、結構、好みの問題でもある。一之輔の“Bチーム”そのものに感心しない方もいらっしゃるだろう。
 独自の演出をどこまで許容するか、人によって違うのは致し方ないと思う。
 たとえば、昨年11月に池袋で白酒の『百川』を聴いた。結果としてマイベスト十席には選ばなかったが、良い高座だった。
 白酒も百兵衛の「(な)あんでがす?」に若い衆が「アンデス山脈?!」と返すような楽しいクスグリがあったが、大きく基本形を崩すことはなかった。
 この高座には、その日の居残り会でも、皆さん肯定的だった。
 では、一之輔は、崩しすぎなのか・・・・・・。
 私は、彼のAチームもBチームも両方好きだし、Bチームの、“やんちゃ”ぶりも、持ち味の一つと思っている。
 居残りセブンに内緒で(?)、今年のマイベスト十席候補としたい。
 
三遊亭萬橘『代書屋』 (27分)
 この人は、マクラがとにかく楽しい。
 一之輔に、ねずみ男を言われたことを受けて、昔昔亭喜太郎に噺の稽古をしていたら、「ねずみ男がキタロウに稽古するんだ」といじられたことがある、などと笑わせる。
 今では、着物で外出するということからのネタなども合わせて、長めのマクラが14分。
 ネタ出来るのかと心配していたら、独自のこの噺へ。
 最初の田舎弁丸出しの女性は、完全に百兵衛とツイたなぁ。
 次の依頼人の名を、川上隼一としたのは、お約束か^^
 一昨年11月の末広亭以来だが、あの時の『紀州』は、下期の寄席の逸品賞に選んでいる。
 きつつきの頃から、どんな噺家さんになるか楽しみだったが、この日は、一之輔を立てるために大ネタは遠慮したのだろう。

春風亭一之輔『笠碁』 (30分 *~21:05)
 トリネタは、Aチーム、ということか。
 とはいえ、独自の演出は、もちろんある。
 待ったなしと言っておいてマッタをした方が、五年前の十二月二十八日のこと以外に、八歳の時の雨の日の出来事を持ち出す。これは、サゲにもつながっていた。
 私は、この八歳の「たけちゃん」「よっちゃん」の二人の思い出話を挟んだことで、本来の持ち味が消し去られたように思えてならない。
 この噺は、ある意味、無邪気で頑固ではあるが、大人の噺であって欲しい。
 大店の主人同士の噺としての、重みが必要だろう。
 また、喧嘩分れの後の雨の日に、暇でたまらなくなって、よっちゃんが傘を被って、たけちゃんの家の前をウロウロして、なかなか入ってこないという場面が、冗長すぎた。
 その際の顔の表情を含め、過剰な演技にも見えた。
 
 あえて、過去の記事から、飯島友治さんが、三代目三遊亭小円朝のこの噺について書いている内容を引用したい。
 2016年5月7日のブログ

 飯島さんは、『落語聴上手』で、こう書いていた。

名人芸が伝えられた『笠碁』
 小円朝はここだというときはうなるような芸を見せましたよ。
 『笠碁』『碁泥』などは大きな噺ではないが難しい噺です。少人数で味わう芸、小味な芸です。こうした演題は六代目円生、八代目文楽のネタ帳には載っていません。優れた演者がいると、その得意芸として認め、比較を恐れることもあり、芸の奥深さや怖さを心得ている連中は、自分の演題に加えることを遠慮したものです。
 どこが山場ということのない、もちろんどっと笑いをさらうことのできるような噺でもない。目の動きとか煙管の扱い、碁をさす手の高さなど微妙な所作が味わいどころとなります。 
 小円朝ですごいなと思ったのは・・・・・・碁をさしに来た男が新しい盤を見て、「やあ、榧(かや)の八寸盤ですね」と言う。そして碁が始まると、石を置く手の高さがちゃんと碁盤の高さのところに置かれる。
 一遍、どれほど気をつけて演じているのか見たいと思って、高座に上がる前に「小円朝さん、今日はひとつ楽しませてください」と頼んだ。そのときの碁石を置く手の位置が、一センチぐらいずれているかもしれないが、見た目には寸分違っていない。石を置いて相手を見る。「どんなもんだい」と、ほんのわずかな視線で自慢の気持ちを表わす。その顔の表情が上手でしたね。目だけで気持ちを表現する、ここいらが「芸」なんだと感じ入りました。

 このあたりの飯島さんの落語を評価する細かな視点、落語家によっては、いや、落語家の多くは嫌がるかもしれない。
 しかし、古典落語の中には、こういう繊細な描写、わずかな仕草などにこそ、そのネタの味わいが深まるものがあると私は思う。
 『笠碁』は、まさにそういうネタの代表だろう。
 一之輔のように、嫁が赤ん坊におっぱいをやる姿を、奉公人が全員で見つめている、なんてクスグリは、必要なかろう。
 また、この噺は、その背景に歴史と伝統を持つ。飯島さんは、こう書いている。
 三代目小さんから七代目可楽〔玉井の可楽〕に伝わり、その可楽から教わったと小円朝は話しています。小円朝も三代目小さんの『笠碁』をなんべんも聴いていて、目の演技がよかったと言っています。小円朝の『笠碁』を見ていても、まさに「目」の芸。小円朝という人は、他の演者の芸の見巧者であるとともに、円喬にしろ三代目小さんにしろ、その芸の精華をみごとに吸収して消化し、自分の芸として演じ出す天分を備えていたと思います。

 三代目小さん→七代目可楽、という継承で今日に残る名作は、少なくない。
 五代目小さんも、七代目可楽を経由して、三代目小さんの十八番であった「猫久」「大工調べ」「宿屋の富」「高砂や」などを受け継ぐことが出来た。
 なお、五代目小さんの『笠碁』は、三代目柳亭燕枝の演出が継承されているらしい。
 十代目馬生のこの噺は、実にくすぐりが楽しいが、その小さん譲りなのかどうかは、勉強不足で分からない。

 長くなったが、Aチームとして一之輔がこの噺を選んだのなら、つい、茶目っ気が出るのを、我慢することも必要だろう。
 変えていい部分と、変えちゃいけない部分、実に難しいのだが、Aチームの噺には、ある程度の縛りは必要だ。
 とはいえ、彼の落語は、どんどん変わるところにも魅力があるわけで、しばらく後に、この噺をまた聴きたいものだ。


 終演後は、この街で何軒もお店を持つ北海道出身の太田オーナーのお店「犀門」で居残り会。
 Mさんは、スタッフの皆さんと打ち上げだろう、と六人で始まったのだが、しばらくすると、そのMさんとスタッフの皆さんも来店された。すぐ隣りのテーブルにお座りになった。
 それまでは、結構、一之輔への否定的な会話があったので、次第に話題は別なことへ^^
 その会話の中で、三月のイベント開催が決定。

 美味しい肴とお酒と、尽きない話題で、あっと言う間に時は経つ。
 帰宅どころか、電車の中で、日付変更線を越えていた^^

by kogotokoubei | 2020-01-31 12:58 | 寄席・落語会 | Comments(4)
 居残り忘年会で新年会の日程と場所が決まっていたので、休みをとって落語も楽しもうと思っていた。
 ネットで調べたらちょうど立川流の落語会があり、この日は談四楼の仲入り、そして、まだ聴いたことのない土橋亭里う馬が主任と知って、メールで席を予約していた。

 ほぼ一年ぶりに、お江戸日本橋亭へ。

 地下鉄三越前の駅の地下は、とにかく広い。

 半蔵門線を降りて、出口10番まで、結構歩くのだよ。

 開演20分ほど前に到着。

 名前を告げ、前売りの木戸銭1,500円を払い入場。

 お客さんは、ちらほら、という感じで、最終的な人数も20人ほどだったかな。

 この会場は、ほぼ一年前の、立川左談次を偲ぶ落語会以来。

 手違いで90人で打ち切るつもりが120人受け付けてしまったため、追加のパイプ椅子も含めぎっしり満席だったことと対象的だ。
2019年2月13日のブログ

 出演順に、感想などを記す。

立川花修『つる』 (14分 *13:00~)
 開口一番は、女流で初めてのこの人。談修の弟子とのこと。
 後で調べると、昨年春の入門。
 『道灌』のマクラで、この噺に転じたが、なぜそうしたかが、よく分からない。
 立川流なら『道灌』で良いだろうに。前座とはいえ、言い間違い、言い直しが多すぎて閉口した。
 北海道出身で応援したいとは思うのだが、間違いなく、私の方がうまい。
 談修なら、しっかり稽古してくれそうなものだが・・・・・・。

立川縄四楼『たらちね』 (24分)
 本来は、笑二のはずだが「来ていません・・・・・・」とのことで、談四楼の弟子の前座が代役。笑二との共通点は同じ沖縄出身とのこと。
「前座が二人続いて、申し訳ありません」とこの噺になったが、同じ前座とはいえ、こっちは三年目なので、私の方が上、とは言い切れない味もある。
 「きゃうとで、京都・・・勉強になります」なんて科白も、どことなく可笑しい。
 前座の南北対決は、南の勝ち・・・とはいえ、笑二はどうした^^
 
立川小談志『悋気の独楽』 (18分)
 2017年の5月、どうしても談四楼が聴きたくなり、日曜のテニスを休んで駆けつけた国立で『お菊の皿』を聴いて以来。
2017年5月29日のブログ
 前座がまとめて首になった時の被害者(?)の一人で、現在は龍志門下。
 前の名は、泉水亭錦魚。
 今回も、三人目で、やっと真っ当な落語を聴けたのが、この人、という感じ。
 たとえば、この噺は古今亭菊志んの高座が好きだが、それほどは、弾けない。しかし、古典の本来の可笑しさを、無駄なくすぐり挟まず聴かせてくれる高座は、好感が持てる。

立川談四楼『柳田格之進』 (30分)
 仲入りは、お目当てのこの人。
 マクラなしで、「彦根の城主井伊氏のご家来で~」と本編へ。
 格之進が、潔癖過ぎる性格が災いして藩を追われた上司とのやりとりを少し挟んで、舞台は江戸へ。
 格之進が、手習いの塾を開いていたが、子供にも手加減せず厳しい指導をするため、塾生が一人減り二人減り、結局塾をたたむことになった、という話は、初めて聞いたと思う。なるほど、ありえる設定だ。
 碁会所の主人も、格之進の塾に通った近所の子供が、しっかり挨拶ができるようになったことに感謝し、万屋の主人を紹介する、とつながっていった。
 格之進と万屋の交流が深まり、そして、あの月見の夜に。
 侍の凛々しさ、万屋の大店の主人としての恰幅、談四楼には、どちらもニンで、聴いていて、品格を感じさせる。
 しかし、この人、女性を描いても上手いのだ。
 2017年5月国立での『人情八百屋』でも、平助夫婦の会話において、女房の優しさと内に秘めた強さがしっかり伝わったのが印象的だったが、この噺においても、格之進の娘いとの健気さが伝わり、実に良かった。
 達者な噺家は、その見た目が坊主頭であろうが、いったん若い女性を演じると、そこに十代の娘の像が浮かんでくるのだ。
 最後、碁盤を真っ二つにした格之進が、散らばった黒(那智黒)と白(日向蛤)の碁石を万屋に指して、「見ろ、二人の勝負、シロクロがついた」でサゲ。
 構成として特徴的なのは、娘は客をとる前に吉原から救い出すことができたが、なにも口にせずやせ衰えていくばかり。
 万屋と番頭徳兵衛を前に、刀を振り下ろそうとする格之進が、五十両作ったいきさつを明かし、この娘のことにふれての科白で、客席も水を打ったようになった。
 湯島切通しでの格之進と徳兵衛の会話を、茶店には行かず、石段でのすれ違いでのやりとりにするなどは、時間を詰める工夫だろう。
 そうそう、切通しで格之進が乗っていた駕籠が、あんぽつと言うとの説明は、初めて聞けたように思う。談四楼、丁寧なのだよ、意外と。
 とても、30分だったとは思えない、重厚な高座。昨年唸らされた、むかし家今松とは、また別な味わいのあるもので、今年のマイベスト十席候補としたい。

 外で一服し、さて、後半。

立川吉笑『親子酒』 (21分)
 高座は初だが、NHKの「落語ディーパー!」で、出演者としての姿は観た。
 あぁ、あの番組のあの落語好きの男優、昨日あたりから、ネットで名が飛び交っているねぇ。
 さて、この高座。
 マクラで、2018年5月から禁酒していると語る。理由は、話さなかった。
 年末年始は、酒の席が多く、本来は好きなので、ノンアルコールで我慢するのが辛い。ほとんど、覚醒剤中毒者と同じ、と笑わせる。
 五~六年後にあるだろう真打昇進披露パーティーで、自ら乾杯の音頭をとって飲むことを夢見ているらしい。
 少し長めのマクラだったが、ネタにふさわしいし、結構笑った。
 本編は、思ったほど独自のくすぐりを入れることもなく、父親と息子の酔っ払い方を大袈裟にするくらいで、ネタそのものの可笑しさを基本に笑わせてくれた。
 新作を期待していたが、マクラを含め、この人の潜在能力の高さを感じた、好高座。
 二ツ目を対象にする、今年の新人賞候補としたい。

立川志ら玉『六尺棒』 (14分)
 初・・・だと思う。地味~な着物の色に、包まれた、なんとも古~い感じの噺家さん。
 ネタも、地味だが、好きなお古~いオハナシ。
 最後に、踊り「ずぼらん」を披露。
 へぇ、立川流にも、こんな人がいたんだぁ、と、ちょっとした発見だった。

土橋亭里う馬『蒟蒻問答』 (38分 *~15:50)
 ようやく、立川談志の直系総領弟子の高座を聴くことができた。
 墓のことや宗派のことなどのマクラから本編へ。
 なんだろう、この重さ・・・。
 ドスの利いた声のせいもあろうが、六兵衛、八五郎、寺男、それほど声の調子が変わらない印象で、ずっと、ネタが超低音の上で流れていく感じなのだ。
 それが心地よくもあったようで、つい、ウトウトしてしまった。
 サゲ少し前で起きた。トントンとリズムよくサゲてくれた。
 達者だとは思うが、もう少し、人物の演じ分けがあっても良いように思う。とはいえ、ネタ次第だろう。違うネタで、そのうち聴きたいものだ。

 
 さて、居残り新年会には、少し時間があったので、会場(?)の「球磨川」がある東銀座のドトールで、一服しながら本を読む。

 その本とは・・・そのうち記事にするつもり。

 六時開始なのだが、待ちきれず(^^)五時半に、球磨川へ。

 ご主人が、淡々と仕込みをしているのを観ながら、一服。お客さんがお一人来られビールを美味そうに飲んでる姿を見て、つい、私もビールで乾きを癒す。

 すぐに、七名全員集合。

 居残りセブン!

 最初に出された刺身の盛り合わせのみ、スマホで撮ったのだよ。
 拙ブログでは珍しい料理の写真。

立川流日本橋亭(昼席)と、居残り新年会 1月22日_e0337777_11210719.jpg


 その後、名物の馬刺しやら、おでんやら、美味い肴に、話も弾む。

 私とMさんが最近ガラケーからスマホに変えたこともあり、「居残り会グループライン」を作ることを提案。

 いろいろ大変なプロセスもあったが、目出度くグループラインが誕生したのであった。

 さて、熊本は美少年の熱燗徳利が、何本空いたのやら、途中から記憶も定かではないのだが、とにかく、楽しい、美味しい、居残り会でした。

 そして、ご主人と同じ古希少し上のIさんやMさんの先輩であるNさんが、居残りセブンの中で、もっとも上手にスマホを使いこなしているのに、感心したなぁ。気持ちは、一番、若いのではなかろうか。

 来週も、この七人の侍は、ある落語会で再会する約束をして別れたのが、さて何時だったものやら。

 本日は、結構、二日酔い。

 しかし、先輩方は、朝からラインで会話が始まっている^^

 皆さん、お若い!

 歌舞伎に美術館に能に狂言に落語に・・・スケジュールが一杯なのである。

 なかなか真似できないが、少しでも近づくよう、がんばりたいものだ。

by kogotokoubei | 2020-01-23 13:47 | 寄席・落語会 | Comments(4)

今年のマイベスト十席(2)

 昨日は、寄席の逸品賞と特別賞を発表した。
 
 では、マイベスト十席の発表。

<2019年 マイベスト十席>

171.png春風亭一朝『宿屋の富』
>立川左談次を偲ぶ会 お江戸日本橋亭 2月11日
“同じ年に入門した前座仲間左談次を偲ぶ会での、志ん朝型を踏まえた、名高座!”
2019年2月13日のブログ

171.png五街道雲助『付き馬』
>立川左談次を偲ぶ会 お江戸日本橋亭 2月11日
“同じく前座仲間サダヤンを偲ぶ会での、小三治にも迫る、さすがの雲助落語!”

171.png柳家喬太郎『掛取万歳』
>柳家喬太郎プロデュース とみん特選寄席 紀伊国屋ホール 2月26日
“ウルトラマンから形態模写、熱海殺人事件まで、面目躍如の掛取りに乾杯!”
2019年2月27日のブログ

171.png柳家小満ん『らくだ』
>柳家小満んの会 関内ホール(小ホール) 3月16日
“関内の最終回で魅せた『らくだ』も凄かったし、著書へのサインにも感謝!”
2019年3月18日のブログ

171.png柳家権太楼『人形買い』
>新宿末広亭 四月下席 昼の部 4月29日
“テニス合宿の余興で演るつもりでいたネタを、目の前で手本を見せてくれた爆笑高座!”
2019年5月1日のブログ

171.pngむかし家今松『柳田格之進』
>国立演芸場 六月上席 6月9日
“これぞ今松落語、格之進と娘おきぬの会話に代表される、人物描写の妙!”
2019年6月10日のブログ

171.png古今亭志ん輔『唐茄子屋政談』
>鈴本演芸場 七月上席 7月7日
“徳の叔父、叔母の情愛に目頭が熱くなった。リズムも良く、志ん輔落語健在!”
2019年7月8日のブログ

171.png林家染二『菊江仏壇』
>雀三郎・染二 ふたり会 繁昌亭 9月8日
“初の天満天神繁昌亭で、染二の見事な大ネタに脱帽!”
2019年9月12日のブログ

171.png柳家三三『居残り佐平次』
>余一会 市馬・三三 二人会 新宿末広亭 10月31日
“三三ならではの、若き佐平次が躍動する高座を堪能!”
2019年11月1日のブログ

171.png柳亭小痴楽『宿屋の仇討』
>真打昇進披露興行 国立演芸場 11月15日 夜の部
“持ち味の江戸っ子の啖呵が生きる高座、今後もますます期待!”
2019年11月16日のブログ

 今年も、なんとか選ぶことができた。

 師走になり、なんとも言えない喪失感を味わった年だったが、いつまでもくよくよしていては、ミミーに叱られる。

 なんとか、気持ちを切り替えて、年を越したいと思う。

 皆さんも、良いお年をお迎えください。


by kogotokoubei | 2019-12-29 09:47 | 寄席・落語会 | Comments(6)

今年のマイベスト十席(1)

 さて、マイベスト十席を選ぶ時期となった。

 今年行けた寄席・落語会は、総数18。一月平均、1.5回か・・・・・・。

 年間50回以上も行った頃にに比べると、激減。

 しかし、ほぼ週三日出勤の会社と、それ以外の日の多くは某飲食チェーンでバイトの身では、それもしょうがない。
 そのバイト、昨日から30日まで四日連続でシフトに入っている。
 今日も、これから行かなきゃ。
 
 とは言うものの、できれば月二回位は生の落語を聴きたいものだ。
 
 今年それぞれの高座を聴いた後に選んだ、マイベスト十席候補ならびに寄席の逸品賞候補は、次の通り。また、特別賞候補も、ある。

(1)柳家小満ん『天狗裁き』
>柳家小満んの会 関内ホール(小ホール) 1月21日

(2)春風亭一朝『宿屋の富』
>立川左談次を偲ぶ会 お江戸日本橋亭 2月11日

(3)五街道雲助『付き馬』
>立川左談次を偲ぶ会 お江戸日本橋亭 2月11日

(4)三遊亭兼好『夏泥』
>柳家喬太郎プロデュース とみん特選寄席 紀伊国屋ホール 2月26日
*寄席の逸品賞候補

(5)林家正楽 紙切り 「ボヘミアン・ラプソディ」 with恩田えり
>柳家喬太郎プロデュース とみん特選寄席 紀伊国屋ホール 2月26日
*特別賞候補

(6)柳家喬太郎『掛取万歳』
>柳家喬太郎プロデュース とみん特選寄席 紀伊国屋ホール 2月26日

(7)柳家小満ん『らくだ』
>柳家小満んの会 関内ホール(小ホール) 3月16日

(8)桂南なん『反対車』
>新宿末広亭 三月下席 夜の部 3月24日
*寄席の逸品賞候補

(9)柳家権太楼『人形買い』
>新宿末広亭 四月下席 昼の部 4月29日

(10)柳家喬太郎『任侠流山動物園』
>新宿末広亭 四月下席 夜の部 4月29日

(11)春風亭一花『やかん』
>国立演芸場 五月中席 四代目圓歌襲名披露興行 5月15日
*特別賞候補として。

(12)古今亭菊志ん『野ざらし』
>国立演芸場 六月上席 6月9日
*寄席の逸品賞候補

(13)柳亭左龍『鹿政談』
>国立演芸場 六月上席 6月9日
*寄席の逸品賞候補

(14)むかし家今松『柳田格之進』
>国立演芸場 六月上席 6月9日

(15)柳亭小燕枝『長短』
>池袋演芸場 六月下席 昼の部 6月30日
*寄席の逸品賞候補

(16)柳家勧之助『中村仲蔵』
>池袋演芸場 六月下席 昼の部 6月30日

(17)古今亭志ん輔『唐茄子屋政談』
>鈴本演芸場 七月上席 7月7日

(18)露の都『堪忍袋』
>新宿末広亭 八月下席 8月23日

(19)春風亭一之輔『夏泥』
>新宿末広亭 八月下席 8月23日
*寄席の逸品賞候補

(20)林家染二『菊江仏壇』
>雀三郎・染二 ふたり会 繁昌亭 9月8日

(21)柳亭市馬『穴泥』
>余一会 市馬・三三 二人会 新宿末広亭 10月31日

(22)柳家三三『居残り佐平次』
>余一会 市馬・三三 二人会 新宿末広亭 10月31日

(23)柳亭小痴楽『宿屋の仇討』
>真打昇進披露興行 国立演芸場 11月15日 夜の部

(24)桃月庵白酒『百川』
>池袋演芸場 十一月下席 昼の部 11月27日

(25)柳家小里ん『にらみ返し』
>新宿末広亭 十二月下席 昼の部 12月25日
*寄席の逸品賞候補


 同じ噺家さんから一席に絞るという内規(?)がある。

 重複は、小満んと喬太郎。

 小満ん、やはり、横浜の会の最終回となった三月の『らくだ』かな。
 終演後に、著書にサインをしていただいた思い出の会でもあった。

 喬太郎は、プロデューサーでもあった「とみん特選寄席」の『掛取万歳』かな。

 ということで、マイベスト十席は、十四席の中からの選択となった。
 少ないから楽か、というと、そんなことはないのだよ。

 しかしマイベスト十席の前に、まず、寄席の逸品賞や特別賞を発表。

<寄席の逸品賞>
◇上半期
桂南なん『反対車』
>新宿末広亭 三月下席 夜の部 3月24日
“弱々しい車屋と元気な車屋の対比の妙と、秩父から京都までスケールの大きな名高座!”
2019年3月25日のブログ
 最初の弱々しい車屋は、南なんだから、ピッタリだし、二人目の元気者のパワーも凄かった。芸協の寄席には欠かせない人。

◇下半期
柳家小里ん『にらみ返し』
>新宿末広亭 十二月下席 昼の部 12月25日
“師匠小さんの芸の継承、見なきゃ分らない、表情の至芸!”
2019年12月26日のブログ
 聴いたばかり、ということもあるが、生で見なければ分らないあの芸は、しばらく忘れないに違いない。

 次に特別賞。

<高座と下座さんの即興大賞>

林家正楽 紙切り 「ボヘミアン・ラプソディ」 with恩田えり
>柳家喬太郎プロデュース とみん特選寄席 紀伊国屋ホール 2月26日
 最後、五つ目のお題が「ボヘミアン・ラプソディ」だった。記事では、このように書いていた。
 なんと言っても最後の作のご注文の後、下座がすぐ「We Will Rock You」を演奏。
 恩田えり嬢、やるねぇ。太鼓は、たぶん、小辰だろう。
 客席も拍手で応える。
 この日の会場、客同志の一体感があったなぁ。
 また、正楽師匠の、フレディー・マーキュリーとブライアン・メイも、良かったねぇ。
2019年2月27日のブログ
 なかなか、あれほど当意即妙な下座さんの芸も見られないし、客席も自然に反応したなぁ。

<新人賞>
春風亭一花『やかん』
>国立演芸場 五月中席 四代目圓歌襲名披露興行 5月15日
2019年5月16日のブログ
 いちはな、と読む。
 実は、この日の圓歌襲名披露興行で、もっとも印象に残った高座。
 三代目金馬の型を踏襲していると思うが、講釈場面のリズムも良かった。
 女流落語家が増えているが、先輩たちより、昨年二ツ目になったばかりのこの人に注目している。あの日の顔ぶれの中でのこの高座、新人賞に値する。


 さて、次の記事で、マイベスト十席を発表しますよ。

by kogotokoubei | 2019-12-28 09:23 | 寄席・落語会 | Comments(2)
 まだ、心の底から笑えそうな気分ではないのだが、友の会に入っていて、今月までの招待券があったこともあり、時間ができたので昨日は末広亭へ。

新宿末広亭 十二月下席 昼の部 12月25日_e0337777_13520684.jpg


 昼の主任は柳家はん治。
 
 夜は、彦いち。
 昨年まで恒例だった、夜の主任、むかし家今松の席がなくなったこともあり、昼の部のみ行くことにした。

 コンビニで助六とお茶を買って、十二時二十分頃到着。
 米粒写経の漫才の途中だった。
 
 椅子席が七割くらい、桟敷が四割くらい埋まっていた。
 漫才が終わるまで一服してから、好みの下手の桟敷に場所を確保。

 最終的には椅子席は九割ほど埋まり、桟敷も八割がた入った。

 順に感想などを記す。

柳家小八『小言念仏』 (8分 *12:24~)
 久しぶり。ずいぶん見た目が落ち着いたように思う。高座にも味わいが出てきた。
 師匠の十八番を、今後もぜひ聴かせて欲しい。

入船亭扇辰『子ほめ』 (14分)
 こういう中堅どころが、前座噺をしてくれると、安心して聴いていられる。 
 ネタによっては、過度な表情の変化が気になるが、そういうこともなく、楽しむことができた。

のだゆき ピアニカ漫談 (14分)
 最初の「象」は、以前にもあっただろうか・・・忘れた。
 コンビニのチャイムや救急車のサイレンの真似などの後で頭で演奏するピアニカ(本人いわく、神ー髪ー技)、二本同時に吹くリコーダーなどの芸の技量と、なんとも言えないゆる~い語り。落語協会の“ぴろき”という感じかな^^

林家錦平『紙入れ』 (15分)
 初だ。間男のマクラから本編へ。
 意外と言っては失礼だが、悪くない。
 三平門下に、これほどまとも(?)に古典ができる人もいたんだ、というちょっとした驚き。
 女房が「旦那にもお囲いがあるんだから」と言うが、初めて聞く設定。
 その旦那が、「主あるものと枯れ木の山は、登りつめたら先がない」なんてぇ科白も、さまになっている。

柳亭燕路『安兵衛狐』 (16分)
 へぇ、柳家でも、この噺を持っている人がいるんだねぇ。
 最後は、やや端折った印象だが、この人にはニンなネタかもしれない。

ロケット団 漫才 (13分)
 十八番の四字熟語から、「セキュリティ」->「石油入れてぃ」などの英語から山形弁のネタへ。初めてのお客さんも結構いらっしゃったようで、客席大爆笑。さすがだ。

橘家半蔵『反対車』 (15分)
 志ん弥の代演。小咄をいくつか披露して本編へ。
 師匠によく似てきた。この日の客席には、ちょうどはまったようだ。ロケット団が上げた熱を維持。

隅田川馬石『たらちね』 (12分)
 八五郎の隣りのおばさんが用意してくれた、赤飯、お頭付き、一合ばかりの酒で、祝言の真似事をする場面がある構成は、初めて。師匠譲りなのかどうかは勉強不足で、不明。
 
松旭斉美智・美登 奇術 (12分)
 クリスマスなので、てっきし、キャンディーばらまきネタがあるかと思ったら、なかった^^
 前半は、BGMがうるさ過ぎ。最後のお客さんを参加させてのパンの芸は、良かった。

柳家小満ん『時そば』 (16分)
 仲入りは、お目当ての一人、この人。
 二人目の師匠、五代目小さんの十八番の一つ。
 噺本来の楽しさをしっかり味わわせてくれた。
 一人目の蕎麦の食べ方も、くどくなく、過度な表現もしない。
 蕎麦が食べたくなった。
 

 一服し、手洗いへ。
 食いつきが、つる子。
 さらに一服。
 『宗論』の途中から立ちながら聴いていたが、なぜ、あれほど大袈裟にパアパアしゃべるのだろう。
 ぴっかりとの交替で、クイツキを務めているが、私は感心しない。
 二ツ目でいいなら、はん治の弟子の方が良かったのではないか。

 つる子が終わって、桟敷席に戻った。

笑組 漫才 (11分)
 さじき上手の最前列に小学生がいて、ゆたかさんが、優しくいじる。
 お婆ちゃんに時分がお願いして連れて来てもらった、とのこと。
 ゆたかさん、褒める^^
 他のだめな子どもは、走り回って高座の前に来て話しかける、と子どもネタをふってから、喩えでのお互いの罵倒ネタへ。
 「カーリングの石」が、「重たいくせに、よく滑る」など、可笑しい。
 久しぶりに笑組を楽しむのも、お目当ての一つであった。
 
桂才賀『カラオケ刑務所』 (14分)
 そろそろ、この噺には飽きてきた。
 また、以前も書いたが、この作品が落語協会が募集した新作落語台本の準優勝になったのは、2014年で五年前。そろそろ「一昨年の準優勝」というのは、あらためて欲しいものだ。

柳家小里ん『にらみ返し』 (13分)
 いいなぁ、こういう人の、こういう噺。
 まず、旬である。そして、師匠の十八番。また、生でなければ味わえない、表情が決め手のネタ。
 言い訳屋の、片方の眉毛の上がり方、これは、実際に見なきゃ分らない。
 寄席の逸品賞候補として、を付けておこう。

鏡味仙三郎社中 太神楽 (11分)
 三人で登場。仙三郎が元気で、土瓶の芸をやってくれると、ほっとする。

柳家はん治『君よ、モーツァルトを聴け』 (30分 *~16:36)
 マクラで、新幹線で反社会的勢力(?)の親分が携帯で大声で話していて・・・というネタだったので、てっきり『背なで老いてる唐獅子牡丹』かと思ったら、この噺。
 この人が手がける他の新作同様、あの人の作品。
 途中、音響効果として、♪アイネ・クライネ・ナハトムジークが流れる。
 演歌好きな魚屋さんと、クラシック好きな医者との会話に、いろいろと笑える部分もあるが、サゲが良くない。
 本音のところ、はん治落語として、他のネタを聴きたかった。
 我がままな言い分になるが、『ぼやき(居)酒屋』あたりが、今の心境にはぴったりきた気がする。


 やはり、心の底からは笑えなかった、四時間だった。

 とはいえ、五代目小さんの十八番を、小満ん、小里んで二席聴けただけでも、年納めとしては良かったかな。

 そんな思いで、家路を急いだ。
 
 帰宅すると、ちょうど連れ合いも仕事から帰って来た。
 
 一緒に、一人残ったユウと散歩。

 どうしても、ミミーの姿がないことを意識してしまう。

 連れ合いも、きっと同じ思いだろう。無言の二人を振り返るユウを、つい、抱きしめる。

 いつまでも、こんなことじゃミミーが浮かばれない、とは思うのだが、しょうがない。

 さぁ、今日26日は、旧暦十二月一日。師走だ。寒いはずだ。

 年が改まれば、少しは気分も変わるのだろう、きっと。
by kogotokoubei | 2019-12-26 12:27 | 寄席・落語会 | Comments(6)
 一昨日、少し早めの居残り会忘年会開催となり、まず、白酒が主任の池袋の昼席へ。

 佐平次さん、I女史と三人が、正しく(?)居残り会、ほかに四名の方と、あとで桜新町の「はじめ」で合流するのであった。

 久しぶりに白酒を聴きたかったし、他の顔ぶれも悪くなかったので、お誘いした次第。

 また、池袋の下席の昼は、二時から五時まで、木戸銭二千円、という気軽さが好きだ。
 少し早めに着いて、テケツが開くのを待った。一時十八分にテケツが開いた時の行列が、ざっと二十五人ほど。とはいえ、二番前の方が「大人十枚」とのことで、団体さんの代表の方もいらっしゃった。
 地下へ降り、会場へ。前から二列目の中央を確保し一服。
 喫煙室ができ、以前のように楽屋脇の長椅子に座りながらとはいかなくなったのが、愛煙家としては、残念。

 席に戻ると、一列目と二列目の私の隣まで、団体さんだった。
 どういうお集まりかは知らないが、なかなか趣味の良い(?)ご一行^^

 さて、佐平次さんI女史の席は、大丈夫かな、と思ったが、お二人とも無事着席。
 最終的には、空席が十ほどあったかどうか、という、まずまずの盛況ぶり。

 出演順に感想などを記したい。

桃月庵あられ『二人旅』 (13分 *13:47~)
 初。協会のホームページによると、昨年白酒に入門しているが、前座は今年に入ってからのようだ。白酒が以前マクラで言っていた「待機児童」の一人だったわけだ。
 見た目はがっちりとして、古風な噺家らしさがある。高座は、まだ論評する段階ではないが、頑張っていただきましょう。

桃月庵白浪『牛ほめ』 (15分)
 今年五月に二ツ目となり名前が替わった。ひしもち時代に二度聴いている。
 あられとは好対照で、なんともひ弱な見た目。しかし、それに反するしっかりとした口調とのギャップが持ち味となるように思うが、この高座では、まさに見た目と同じような与太郎が主役。前の印象の方が良かったかなぁ。

古今亭ぎん志『町内の若い衆』 (15分)
 縁があって、国立の真打昇進披露に行った人なので応援したい気持ちはある・・・のだが、どうしても小言になってしまう。
 表現が難しいのだが、テレのようなものが途中で何度か感じられる。
 もっと、堂々と演じて欲しい。メリハリもなく、なんとも締まらない印象。
 真打はスタート、ということで、一層の精進を願いましょう。

古今亭菊生『権助魚』 (15分)
 実に久しぶり。調べてみたら、2013年の9月池袋(『新聞記事』)、10月末広亭(『鮑のし』)と二度聴いて以来。
 ずいぶん上手くなったなぁ、と少し驚く高座。
 六年前は、無駄とも思える間もあり、リズムが良くない印象だったが、人物描写もしっかりできているし、科白回しのリズム、間も良い。
 主役の権助が光る。旦那の偵察に行けと女将さんに言われ、「おら、村でジェームス・にかわ、と言われていた」というクスグリに、笑ってしまった。脇役の魚屋も楽しく演じた。
 父であり師匠だった円菊の重みから脱することができた、そんな印象の好高座。
 一門の兄弟子、菊丸にも似た芸の冴えを感じた。
 マクラで言っていた「頭の中には三百席入っています・・・すぐできるのは・・・二席」というネタ、使わせてもらおう^^

ニックス 漫才 (15分)
 十八番の旅館ネタ。
 ウェルカムドリンクが豊洲の地下水、というのは、何度聞いても笑える。
 妹の「そーでしたか」の科白を使いだしてから、この二人の漫才は、ずいぶん良くなったと思う。

三遊亭歌武蔵 漫談 (13分)
 歌舞伎座の客と池袋との比較や相撲ネタの十八番で客席を爆笑させる。
 ここまでくると、一つの芸だなぁ。

金原亭伯楽『親子酒』 (19分)
 仲入りは、この人。
 少し「いだてん」のことにふれて酒にまつわる逸話など、大師匠志ん生の思い出。漫談のままかな、と思ったら、この噺へ。
 マクラが10分近かったので、短縮版ではあったが、なかなか味わい深い高座。
 登場した時は、痩せたなぁ、と思ったが、昭和十四年、傘寿ならではの枯れたマクラと本編を堪能した。
 寄席の逸品賞として色を付けておこう。

 さて、喫煙室で、一服。
 まだ、狭い隔離された一角に、馴染めない。

蜃気楼龍玉『鹿政談』 (17分) 
 クイツキは、主任の弟弟子のこの人。
 実は、九月の同期会の余興の落語のうち一席を、この人の音源を元に『鹿政談』にしていたので、かけてくれないかなぁ、と思っていたら、なんと大当たり!
 余興の際、奉行の根岸肥前守の名が飛んでしまって冷や汗だった^^
 なるほど、身振り、手振り、表情が、二列目なので、よ~く分かった。
 再来週のテニス合宿で、やらないわけにはいかないなぁ。

むかし家今松『はなむけ』 (13分)
 この人の名があったのも、この席に来たかった動機の一つ。
 珍しいネタだが、やはり今松で六年前の十月、末広亭で昼夜居続けをした日の昼の部で聴いている。
 寄席ならではのネタだと思うが、他に演る人はいるのだろうか。
 内容は、金に困った男、ずいぶん前に兄が北海道に旅に行く時に餞別をあげたことを女房が覚えていた。そこで、ケチな兄のところに旅に行くからと嘘をついてお返しをもらおう、と金策に行く。しかし、いくら遠回りに匂わせても、なんとも感じない、ケツな兄。そんな兄弟の会話が、なんとも楽しい。
 サゲでは狂歌の応酬。
 兄が金を貸してくれないので怒って帰る間際に弟が一発放屁。
 弟「旅立ちに オナラ一つの 置き土産」
 兄「あまりの臭さに はなむけもせず」
 お題は、このサゲから。最後はやや尾篭なネタだが、この人が演ると下品にならない。

鏡味仙三郎社中 太神楽 (12分)
 三人で、しっかり。近くの団体さんたちも、喜んでいた。

桃月庵白酒『百川』 (30分 *~17:00)
 ブームや不可思議なイベントを少しだけ批判する話からだったが、恵方巻きが下火になって喜ぶのは、大いに同感である。あんなものは、昔はなかった。ともかく、日本人はお祭り好きで、と本編へ。マクラが十分ほどあったので、本編は二十分ほどだったことになるが、基本的な骨子は外したように思えない。それだけ中身が濃かったと言えるだろう。
 この人の百兵衛が悪かろうはずがない。「うっ、ひょっ!」で客席から笑いの渦。
 百兵衛の「あんでがす?」に河岸の若い衆が「アンデス山脈」などと返すのも、なんとも可笑しい。
 若い衆の中の源ちゃんに「源ちゃん、どう思う」と途中で聞くやりとりも、効果的。
 そういった独自の演出はあっても、噺本来の味は十分に出されている、さすがの高座、今年のマイベスト十席候補とする。


 さて、池袋お開きの後は、桜新町の佐平次さんの地元の「はじめ」で忘年会だ。
 池袋の三人に、お店で四人が合流。七人の侍、かな^^

 磯野フネさんの看板が待ち受ける「はじめ」は、ご夫婦で心のこもった料理とおもてなしの嬉しいお店。旦那さんが病から復活されるのを待ちわびていた。お元気そうでなにより。

 とにかく、食べ、呑んだ。
 その料理の写真などは、ぜひ、佐平次さんのブログでご参照のほどを。
「梟通信~ホンの戯言」の該当記事

 二次会では翌朝健康診断というIさんを除き、近くのスナックでカラオケ大会。
 翌朝は、何を歌ったか覚えておらず、メールでお仲間に確認して、ようやく少しづつ思い出した次第^^

 それにしても、落語に歌舞伎に狂言に能にとスケジュールが一杯の先輩の皆さん、お元気ですねぇ!

 新年会の相談も出来た。
 
 いやぁ、楽しい落語、そして居残り会でした。


by kogotokoubei | 2019-11-29 15:27 | 寄席・落語会 | Comments(6)

 昨日、なんとか、末広亭に続き国立の披露目にも行くことができた。

 先日の落語協会の披露目の日、チケットを入手していたのだ。

 
国立演芸場 十一月 中席 柳亭小痴楽真打昇進披露興行 11月15日 夜の部_e0337777_09042719.jpg


 演芸場前に掲げられた幟は、後ろ幕と同様に二本。

 場内に入ると、開口一番時点では五割ほどの入りだったが、最終的には九割ほどになった。
 夜の部で六時開演だからね。


 後ろ幕は、末広亭と同様(当たり前か)、明星学園明星会与利。
 出演順に感想などを記す。

春風亭かけ橋『黄金の大黒』 (16分 *17:45~)
 柳橋の四番弟子。ほぼ一年前、昨年11月の末広亭以来、二度目。
 昨年の『狸の札』でも、変な癖のない高座に好感を抱いたが、この噺も、なかなか楽しかった。羽織がなくてもいいのだと知って喜ぶ長屋一同、なんと、与太郎が胴上げされている、というのは初めてかな^^

柳亭明楽『子ほめ』 (14分)
 小痴楽の弟弟子、三度目だが、ようやく『まんじゅうこわい』以外のネタを聴けた^^
 不思議な魅力のある人だ。
 「百歳だったら・・・すげぇーでしょ」と八五郎に言わせるのは可笑しい。
 兄弟子を支えるのも、あと五日。がんばれ。

桂伸三『古着買い(古手買い)』 (13分)
 この噺は、六年前に志ん輔の会でこの人の高座を聴いて以来。他の人では聴いたことがない。
 甚兵衛さんが女房に言われて、同居することになった女房の弟のために古着を買いに行くのだが、人のいい甚兵衛さんでは心持とないので、女房の言う通り、“こすっからい”熊五郎に一緒に行ってもらう、という内容。だから、『人形買い』や『壺算』に似ているし、古着屋が甚兵衛さんを馬鹿にしたのに怒って熊さんが江戸弁で啖呵を並べる場面は。『大工調べ』的でもある。 なかなか楽しい高座だった。
 四代目円遊-明治三十五(1902)年生まれ、昭和五十九(1984)年没-の十八番だったようだが、当時の芸協の大看板のネタを、こういう若手が継承するのは、実に良いことだと思う。

江戸家まねき猫 動物ものまね (14分)
 「ものまねショッピング」ということで、「ニワトリの目覚まし」や「(本当の)鳩時計」「犬の防犯システム」「猫のコンパニオン」などを披露。
 いろんな工夫で、ものまねという芸に色付けをしている努力は、評価できると思う。

桂小文治『片棒』 (20分)
 寄席で名があると、行きたくなる人の一人だ。
 金を短めに、銀をしっかりと。
 神田囃子も良かったし、ケチ兵衛人形の動きも、実に楽しい。
 銀を追い出した後、ケチ兵衛が、「あいつは、今、思いついたんじゃないよ、ずっと考えていたんだ」という科白に笑った。

桂米助『野球寝床』 (21分)
 仲入りは、小痴楽の父五代目痴楽の前座時代からの友人の、この人。
 漫談で終わるかと思ったら、ロッテのオーナーを旦那に見立て、子会社の役員や部長を長屋の店子に見立てた『寝床』を披露。
 まぁ、この人らしい、とは言えるが、言い間違え、同じセリフの繰り返し、など、どうも、連日の打ち上げの疲れがたまっているような高座^^

 一階の喫煙室で、一服。
 口上が楽しみだ。

口上 (18分)
 後ろ幕は、九月の末広亭と同様、「本寸法噺を聴く会」「町内の若い衆」「武蔵境商店連合会」「武蔵境自動車教習所」によるもの。
 下手から、司会のまねき猫、小文治、柳橋、本人、師匠の楽輔、米助。
 柳橋が、「本来は会長が来るべきですが、家庭の事情で」で客席から笑い。
 末広亭では聞けなかった師匠楽輔の話で笑った。
 その内容に末広亭の席亭のことがあり、なるほど、あの席にいなかったわけだ、と納得。
 内容は、秘密^^
 全般的に、皆が父を知っており、中には生まれた時から言っている米助などもいるわけで、身内のやんちゃ坊主が、ここまでになった、これからもよろしく、という感じの口上。
 アットホーム、という形容があてはまりそうだ。

春風亭柳橋『やかん』 (14分)
 九月の末広亭と同じネタ。
 それでも、こういう達者な人の、こういうネタ、大好きだ。

柳亭楽輔 漫談(『痴楽伝説』) (12分)
 小痴楽のこと、その父五代目痴楽の思い出から、師匠の四代目痴楽の思い出や、十八番ネタのことへ。
 客席で『綴り方教室』や『恋の山の手線』を知っているのは、半数位だったかな^^

東京ボーイズ ボーイズ (12分)
 なぞかけ問答、大好きだ。
 小痴楽の時間をつくるため、やや唐突なサゲだったが、これもやむなし。

柳亭小痴楽『宿屋の仇討』 (45分 *~21:25)
 短いマクラから、「旅のお噺で」と、本編へ。
 とはいえ、そのマクラも、楽しかった。
 松之丞や鯉八と、ベトナム旅行をした時、松之丞が、どこに行っても「Wi-Fi飛んでる?」と」言っていたが、本人は、そういう現代的な機器には縁がなく、「何言ってんだ、この野郎!」といったような、お話^^
 そして、本編・・・正直言って、驚いた高座。
 三代目桂三木助版が土台にあるのだろうと思うが、父の十八番でもあったのかもしれないい。
 とにかく、難しい噺だ。
 登場人物が多いし、スピーディーに場面展開をする必要もある。
 前半は、源ちゃんたち“始終三人”の江戸っ子の神奈川の宿屋での騒ぎぶりがヤマの一つ。
 三人組の場面も、芸者を呼んでのどんちゃん騒ぎ→寝床に入ってからの相撲→源ちゃんの色事師話、と色合いを替えて演出する必要がある。
 そして、江戸っ子三人と万事世話九郎の部屋を何度も行ったり来たりする伊八も大事な脇役。
 また、サゲで落差をつけるには、侍の万事世話九郎をいかに凛々しい、また怖い存在に描くかも大事。
 それぞれの噺の勘所を、小痴楽は、しっかり押さえていた。
 また、下手に演じるとダレる場面展開だが、小痴楽、三人組の騒ぎでの手拍子→世話九郎が伊八を呼ぶ手、と三度見事につないでくれた。
 また、相撲で世話九郎から苦情が出てやって来た時の三人組は、言葉を発せず、手振りと表情だけで、伊八とやりとりする様子で、笑わせた。
 三人組の相撲のせいで世話九郎に呼ばれた伊八が世話九郎に「たった今、捨衣(すてごろも)が三連勝しました」なんて言う科白も、なんとも楽しい。
 サゲ近く、伊八に「明朝、街はずれで出会い仇ということで・・・お連れの方が助太刀するのはかまわないとのことです」と言うと、連れの二人が「しない、しない」と返すのも可笑しい。三木助の工夫らしいが、しっかり、踏襲していた。
 小痴楽の持ち味である江戸っ子の啖呵、象徴的なのは、「(な)ぁによっ!」の科白などが、まさに江戸っ子三人組にお生きているし、予想以上に、世話九郎の貫禄もある。
 伊八が振り回される姿は、この人の本来の個性(?)にぴったりか^^
 この噺では、当代では筆頭か、とまで思わせた高座。
 もちろん、今年のマイベスト十席候補だ。


 真打昇進披露興行で、二度来たのは、一之輔以来。
 来た甲斐が、あった。

 この人、今後どうなるのだろうか。

 なんとも、楽しみでならない。
by kogotokoubei | 2019-11-16 23:18 | 寄席・落語会 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛