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噺の話

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2019年 06月 05日 ( 1 )

 立川志らくが、自分が主宰している芝居の稽古を見に来なかった、という理由で弟子の二ツ目全員を、前座に降格させたとのこと。

 弟子ならば師匠のやっていることに興味を持つのが当然であるはず、ということらしい。

 この件に特段興味はなかったのだが、志らく自身が、師匠談志から破門を言い渡されても拒否していたことを思い出し、紹介したくなった。

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立川志らく著『雨ン中の、らくだ』

 『雨ン中の、らくだ』に書かれている、前座時代、他の兄弟子と同じように築地で修行するように師匠に言われた時のこと。

 なお、志らくは、大学落研の先輩、高田文夫の紹介で、談志に入門している。

「お前は見込みがあると思ってたいがいのことは我慢してきたが、やっぱり駄目だな。お前も明日から築地に行け」
 とうとう審判が下されたのです。私の頭の中に一瞬、高田先生の顔が浮かびました。高田先生にこのことを報告したらどれだけ悲しむか。
 それから師匠のあのときの言葉が浮かんできました。
「お前は築地に行くような馬鹿になるなよ」

 私は覚悟を決めて言いました。
「師匠、築地に行くのは嫌です」
「・・・・・・お前だけエコひいきするわけにはいかないのだ。行け」
「嫌です。行きたくないです」
「ならば、破門だ。辞めてもらう」
「それも嫌です」
 師匠に逆らうなんてこの世界ではありえないことです。師匠の言うことは絶対というのが不文律。でも、師匠の「師匠は絶対ではない。ケースバイケースだ」という言葉を思い出しました。築地には行きたくないし、破門は嫌なのだから、ここはどんなことがあってもくらいつかないといけない。私は必死でした。
 師匠はちょっと驚いた顔をしましたが、しばらく無言のあと、こう言ってくれました。
「両方嫌なんじゃしょうがねェ。じゃあ今までどおり、いろ」
(中略)
 談春兄さんは半ば呆れた顔で私に言ってきました。
「嫌って言えばよかったのか。ずるいなぁ」


 昭和61(1986)年、談春が二十歳、志らくは二十三歳でのこと。

 さて、今回、志らくに降格を言い渡された弟子たちの中で、「嫌です!」と答えた人はいたのだろうか。
 
 「嫌です!」と拒否してもいいんじゃないか、志らくの弟子なら。

 師匠のやっていることに興味を持つのが弟子なら、師匠が彼の師匠の命令に抵抗した事実にも大いに興味を持って、師匠がとった行動を見習うべきではなかろうか^^

 とはいえ、もし弟子が「嫌です!」と拒否した時、志らくが師匠談志のように認めるだけの度量があるかどうかは、疑問。
by kogotokoubei | 2019-06-05 12:36 | 師匠と弟子 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


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