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噺の話

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2019年 05月 01日 ( 1 )

 一昨日「平成」三十一年四月二十九日の「昭和の日」に、久しぶりに末広亭で居続けした昼の部の記事を、「令和」に書いている。
 九時間の居続けの後で、昨日は野暮用もあり、平成のうちに書き終わることができなかったなぁ。

 混むだろうとは思って、いつもより早めに家を出た。
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 11時20分頃に並んだ行列の最後尾。左は、栄寿司。
 ということは、末広亭からの列は、角の洋風居酒屋(?)さんを曲がってここまできている、ということ。

 さて、好きな桟敷が空いているか、と不安があったが、なんとか下手の中央位に一人分を確保。結局、夜の部終演まで、9時間、同じ席にいたことになる。

 後から後からお客さんで、二階も空いた。

 入場に時間がかかり、開口一番も遅く短くなった。

 その前座さんから順に感想などを記す。

橘家門朗『 ? 』 (3分 *12:00~)
 泥棒の小咄をさっとふって、すぐ下がった。

柳家小もん『手紙無筆』 (7分)
 主任の小里んの弟子。小多け時代には何度か聴いているが、小もんでは初めて。
 短い持ち時間ながら、端正な見た目同様、丁寧な高座に好感が持てた。

ダーク広和 奇術 (10分)
 三目並べは、初めて見た。この人、見た目も優しく軽妙な語り口なのだが、結構、凄い腕を持っているような気がする。
 寄席が初めてのお客さんも多かったようで、満員の客席を大いに沸かせた。

入船亭扇蔵『真田小僧』 (9分)
 三朝の代演。遊一時代には何度か聴いているが、扇蔵では初めてかもしれない。
 高座には、小言がある。短い時間とはいえ、按摩さんの姿、白い服(白衣)・ステッキ(杖)・色眼鏡(黒眼鏡)、という仕込みを金坊がふらないのが、気になった。
 聴く者の想像力をかきたてるのが落語であるから、この噺では不可欠な演出だと私は思うのだがなぁ。

桃月庵白酒『子ほめ』 (15分)
 師匠の雲助は、寄席でかけるネタでこの噺が一番好きだと言っているが、それは弟子にも伝承されているような気がする。実に楽しそうに演じていた。
 赤ん坊の横で寝ているのがお爺さんと知り、布巾をかぶせようとするというこの人ならではのクスグリはあったが、基本的にはそれほど本来の噺をいじらず、それでいて実に可笑しい。流石だ。

ジキジキ 音曲漫才 (14分)
 落語協会に強力な色物さんが増えたと思う。
 ギターとピアニカの夫婦音曲漫才なのだが、ともに実に高いレベルの演奏能力を持っているのに加え、語りも楽しい。
 ♪シャレで全国旅巡り、なども楽しいし、♪聖者の行進の「お椀出せ、茶碗出せ」も傑作。♪うらわ、は名曲。♪Let It Beと♪なごり雪のハーモニーなども流石。
 そして、♪トルコ行進曲から、おでこピアニカの♪男はつらいよ、は絶品だ。

橘家富蔵『親子酒』 (13分)
 初である。実に端正な顔立ちで、あの円鏡の円門下とは意外^^
 マクラが楽しかった。ネタばれになるが一つ。
 公園に犬を連れて来た女性がいた。
 「公園にブタを連れて来ちゃだめだよ」「失礼ね、犬よ!」「いや、俺は犬に言っている」・・・オリジナルかどうかは怪しいが、可笑しい^^

桂才賀『カラオケ刑務所』 (13分)
 何度目かなぁ^^
 新作台本コンテストの準優秀作品で、柳昇の『カラオケ病院』への“オマージュ”作品。
 サゲの後に「これで、現金20万円ですよ。締め切り6月まで、まだあります。ぜひご応募を!」と応募を勧めていたのは、いつものことだが、これも大事なPRか^^
 とにかく、才が元気なら、それでいい。

三増紋之助 曲独楽 (17分)
 いつもながらの、見事な芸。
 しかし、チャンレンジもしているのがよくわかった。
 「五つ独楽」は初めて見た。地味ながら、楽しい。

柳亭小燕枝『宗論』 (13分)
 この人が「インテリジェンス」「パーソナリティ」などの科白を繰り出すのが、なんとも楽しい高座だった。
 クリスチャンの息子が父親に「一緒に聖書の訪問販売をしましょう」に笑った。
 サゲの番頭が旦那に言われ「息子のかたを持つとは、番頭さんもキリスト教かい」に「いえ、私は説教でございます」は、ご本人の工夫だろうか、初めて聞いた。
 古典の小燕枝というイメージが強いので、少しお茶目な別の一面を見た、そんな得した気持ち。

金原亭伯楽『猫の皿』 (15分)
 志ん生の思い出として、骨董屋の主人に勧められて五千円で字が読めない書を買ったが、後でよく見ると「いまがわやき」と書いてあったという逸話(ネタ?か)から、無理なく本編へ。
 8分ほどマクラがあったから、本編7分。そうは思えないしっかりとこの噺に楽しさを味合わせてもらった。はた師と茶屋の主との短い会話だけとはいえ、この噺はよく出来ている。

林家正楽 紙切り (15分)
 ご挨拶代りの「相合傘」から、「吹奏楽」「新元号」「ドラエモン」と続き、私の席のすぐ近くの桟敷のお客さんのリクエスト「端午の節句」で締め。
 いつもながら、お見事。
 私は、「端午の節句」で、次の仲入りでの権ちゃんのネタに、淡い期待を抱いていた。

柳家権太楼『人形買い』 (17分)
 年号のことなどから、正楽の紙切りにふれ節句のことへ。
 「おっ、やってくれるか!」と期待に応えてくれるこの噺。
 この人のこの噺、私は大好きだし、まさに旬のネタ。
 人形屋の小僧、定吉の仕方話の可笑しさで、満員の客席がどよめくような笑いに包まれた。
 権太楼も、この噺は三代目桂三木助版を下敷きにしていると思われる。
 『正蔵・三木助集』(ちくま文庫)から、定吉独演会(?)の一部をご紹介。

ちくま文庫_正蔵・三木助集
「先月あたしがおなかが痛くて部屋で寝てェたんで、隣の部屋がおもよさんの部屋なんで、ちょうど、薮入り(やどり)に行く日なんで、すっかり着物を着かえちゃって(右手で顔をなで)鏡台の前でこうやってお化粧をしてえたン・・・・・・そこィトントントンッて若旦那が上がってきて
『おもよ・・・やどりに行くのにそんなに気取って行っちゃァあたしが心配じゃァないか』
 ・・・そ言ってくるんで・・・・・・そしたらおもよさんが、
『女の部屋へ男なんぞ上がってくるもんじゃありません、だれか来るとおかしゅうござんすから下へおりてらっしゃい』
『大変に髪(あたま)が乱れているから、俺がちょいとなでつけてやる』
『女の髪が男になでつけられますか』
『つけられるか、つけられないか、櫛をこっちィ貸してごらん(荷を持った手をそのままに、肩ごと右へ揺する)』
『だれか来ると変だからおよしなさい(今度は左に揺する)』
『櫛をこっちィ貸してごらん(また右へ)』
『そんなとこをさわっちゃくすぐったい(ぐらぐら揺する)』」
「(両手で押える形で)おいおいおい・・・・・・大変な小僧が付いてきやがった・・・・・・(後略)」
 権太楼は、松っつぁんが、「とんでもねぇ小僧だ」と言うと、相棒が「おれ、こういう話、好き。五十銭づつ出して、もう少し聞こう」「馬鹿言っちゃいけねぇ」でサゲ。
 当代でこの噺は、間違いなくこの人が一番。今年のマイベスト十席候補とする。

 仲入りで一服。
 すでに立ち見状態になっている。

柳家海舟『ちりとてちん』 (15分)
 主任の小里ん門下。四十歳を過ぎて脱サラ(ご本人いわく、リストラ^^)して入門した人。以前は、見た目のみならず全体的に固すぎる印象が強かったが、この高座は、知ったかぶりの六さんが苦悶して「ちりとてちん」を食べる表情も楽しく、客席も笑いで包まれた。しっかし、クイツキの仕事を果した。
 

笑組 漫才 (9分)
 久しぶりだ。
 どうしても仲入りは時間調整もあって、長いネタ、私の好きな文学シリーズなどは難しい。
 師匠が内海好江から志ん朝、志ん五と続いて・・・という話から、お互いを揶揄する言葉遊ぶを、リズム良く掛け合い。かずおが噛まなかったのが、珍しい^^
 「第四位」「なんで」「どう(銅)にもならない」なんてぇのも可笑しい。
 短かったから、私を含めお客さんの誰も「古い掃除機のコード(早く引っ込め)」なんて、思わなかったよ。

金原亭馬の助『漫談:相撲の世界(?)』と『百面相』 (15分)
 初めての寄席というお客さんも多かったようで、『百面相』では、結構笑いが多かった。今では、実に貴重な余芸のできる噺家さんだ。

柳家小団治『つる』 (13分)
 オリンピックのメダルのネタは、定番か。
 「金でも銀でも銅でも、鉄でもいいんです」「鉄は錆びるじゃないか」「いえ、参加(酸化)することに意義がある」 
 これは、私の余興の落語のマクラでいただこう^^
 本編には、少し小言を言わざるを得ない。
 八五郎を作り話で騙したご隠居が八五郎が外で言いふらそうと出て行く場面で、「おいおい、外で行っちゃ駄目だよ」というような引き止める所作・科白がなかった。あれでは、ご隠居が悪い人に見えてしまって、後味が良くないように思う。

鏡味仙三郎社中 太神楽 (10分)
 二人で登場。傘、土瓶、花笠を短時間でもしっかり。これぞ、膝の見本。

柳家小里ん『三人旅-鶴屋善兵衛』 (25分 *~16:30)
 連作の一つだが、「びっこ馬」に続くこの噺を聴くのは初めて。
 びっこ馬の馬方が勧める小田原の宿が、鶴屋善兵衛。
 提灯に宿名が書いてあるが、その字が三人共読めない。
 中に「四角い字は読める。まずは口、それから田、国なら分かるが、鶴屋善兵衛はこの中にあるか」なんて、頓珍漢な会話が挟まれる。
 見つける策をいろいろ考えた末に、「宿場の真ん中で腹痛を起こし、鶴屋善兵衛が指し宿だから連れて行ってくれと頼んだら誰か連れて行ってくれるだろう」、ということになり宿場で一人が腹痛だと仮病を使ったところ、そこに現れた助っ人が、主の鶴屋善兵衛だった、というのが前半。 
 後半は、馬方が言っていた夜のお伽の件。女が二人しかいないと言われ「三人で回しはいけねぇや」と、なんとかしてくれと頼む。そうすると、年増の尼さんでもいいか、と言われ、それでいいとなった。しかし・・・後略^^
 珍しいネタを聴かせてもらった。


 さて、ここで昼の部はお開き。
 夜に備えて、二つ目の弁当を食べたのであった。
 


by kogotokoubei | 2019-05-01 09:47 | 寄席・落語会 | Comments(8)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛