噺の話

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2018年 04月 29日 ( 1 )

 落語の舞台を巡ることをテーマにした本は、結構多い。

 先月紹介した、「はなしの名どころ」管理人さん田中敦さんの『落語と歩く』もそうだし、落語ファンの多くがお世話になっていると思われるサイト「落語の舞台を歩く」(サイト『吟醸の館』内)を運営している河合昌次さんによる『江戸落語の舞台を歩く』もある。また、朝日新聞の記者だった佐藤光房さんが同紙に掲載していた内容が『東京落語地図』として出版されている。
 落語家が案内人になっている本も、円生のものや、三代目と四代目の三遊亭金馬による本、柳家小満んが「東京かわら版」に連載していた内容も、出版されている。

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吉田章一著『東京落語散歩』(角川文庫)

 吉田章一さんの『東京落語散歩』も忘れてはならないだろう。
 著者の吉田章一さんは、昭和8年生まれで、東大落語会の一員。

 以前紹介した『正蔵一代』(青蛙房)は東大落語会の編集で、監修と“動き”の記録を吉田章一さん、演目解説のまとめを保田武宏さん、芸談・身の上ばなしを山本進さん、という分担だったとのこと。

 この『東京落語散歩』も最初は平成9(1997)年に青蛙房から単行本で発行され、平成21(2009)年に角川文庫として再刊。

 コンパクトなのだが、結構中身は、濃い。

 再読していて、最初気が付かなかった発見が多い。

 たとえば、「浜町」の章に、このような姉妹のことが書かれていた。

 靖国通りを横切ると、もとも米沢町になる。女悦道具の店四ツ目屋(東人本橋二ー18-4)が江戸期から明治末まで営業した。小咄甚五郎の作に登場する張形は、名作すぎて人を妊娠させてしまう。
 明治五年から震災まで営業した有数の寄席「立花家」(東人橋二ー13-7)もあった。ここは二階の正面に桟敷があり、四〇〇~五〇〇人はいれた。こけら落としに出演を予定していた圓朝は、門下の三代目圓生に芝居噺の道具一式を譲って代演させ、自らは素噺に転向したという。「立花家」の向かいにあった「初音」という寿司屋の娘の、姉つねが四代目古今亭右女助の、1886~1935)と一緒になり、次の千代は八代目桂文楽(1892~1971)と駆け落ちし、下の妹マキが林家彦六(1895~1982)の妻になった。近くに太平記場跡(東人本橋二ー6-8薬研堀不動院内)、講釈場「福本」(同二ー19-6)もあった。

 四ツ目屋のことから引用したのは、文章の流れを踏まえたもので、どうしても紹介したかったわけではないので、誤解(?)なきよう。

 寿司屋「初音屋」姉妹のこと、知らなかった。

 この文を読んでから検索すると、千代は、文楽の妻とはなっていないようだ。
 
 寄席の近くの寿司屋の姉妹・・・なるほど出会うのは自然の成り行きかもしれない。

 以前読んだ本をあらためてめくると、最初は読み飛ばしていて記憶に残っていない、こういう発見があるのが、読書の一つの楽しみと言えるのだろう。


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by kogotokoubei | 2018-04-29 18:21 | 落語の本 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛