噺の話

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2017年 12月 31日 ( 1 )

 『二番煎じ』について記事を書いている中で、さて、他に冬の噺にはどんなものがあるか、ということで、懲りずに二冊の本を比べてみた。

 昨年9月に、同じ二冊を元に、秋の噺のことを調べて記事を書いた。
2016年9月21日のブログ

 比べたのは、次の二冊。

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矢野誠一著『落語讀本』(文春文庫)

 まず、一冊目は矢野誠一さんの『落語讀本』(文春文庫、1989年初版発行)。
 副題にあるように三百三席のネタが紹介されている中で、冬として分類されているのは、35席。
 ちなみに、正月のネタが7席、春が100席、夏66席、秋が95席なので、冬に分類されているネタは、もっとも少ない。


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麻生芳伸編『落語百選ー冬ー』

 次に、麻生芳伸さんの『落語百選-冬-』(ちくま文庫)。初版は1976年に三省堂から発行され、その後に社会思想社の現代教養文庫で1980年に再版。ちくま文庫では1999年の初版。

 百席を四季ごとに同数づつに分けて掲載しているので、冬篇は25席。

 秋の噺の時と同様、『落語百選』を元にネタを並べて、『落語讀本』ではどう分類されているかを調べてみた。
 両方で冬の噺として分類されているネタにをつけた。
 なお、『落語讀本』では、正月の噺を「年の始めの・・・・・・」として、別分類しているので、こちたも冬の噺を考える。


    落語百選 <冬>   落語讀本<冬ざれの>
(1)うどんや       冬
(2)牛ほめ        夏
(3)弥次郎        春
(4)寝床         秋
(5)火焔太鼓       秋   
(6)首提灯        秋
(7)勘定板        なし
(8)鼠穴         なし
(9)二番煎じ       冬
(10)火事息子      冬
(11)按摩の炬燵     冬
(12)大仏餅       春
(13)文七元結      冬
(14)芝浜        冬
(15)掛取万歳      冬
(16)御慶       *年の初めの・・・・・・
(17)かつぎや     *年の初めの・・・・・・
(18)千早振る     *年の初めの・・・・・・
(19)藪入り      *年の初めの・・・・・・
(20)阿武松       なし
(21)初天神      *年の初めの・・・・・・
(22)妾馬        春
(23)雪てん       なし
(24)雪の瀬川      なし
(25)粗忽長屋      春


 二冊とも挙がったネタは、半数以下の十二席。

 秋の噺の時にも感じたことだが、噺は必ずしも季節が明確ではないものもあるので、そういう噺の分類は、結構難しいと思う。
 加えて、麻生芳伸さんの『落語百選』は、四季それぞれに分けて二十五席ということなので、他の季節では選ばなかったが、取り上げたネタを別な季節の巻に入れる、ということはありえる。
 そして、春夏秋冬の百席以外のネタは、「特選」として「上」「下」の二冊に収められたことは、落語愛好家の方はご存知の通り。

 よって、「冬」に収めることができなかった『富久』などは「特選・下」に載っている。

 矢野さんの本では正月を別の枠にしている。もちろん冬の噺。
 その特別なネタを別にして、冬の噺としてこの二冊で合致しているのは、次のものだった。

 ◇うどんや
 ◇二番煎じ
 ◇火事息子
 ◇按摩の炬燵
 ◇文七元結
 ◇芝浜 
 ◇掛取万歳

 結構、大ネタが並んだと思う。
 
 さて、年が明けて平成30年一月一日は、旧暦の十一月、霜月の十五日。
 まだまだ冬の噺に出会えそうだ。

 本年の記事は、ここまで。
 拙ブログにお立ち寄りの皆さん、良いお年をお迎えください。
 来年も、皆さん、よろしくお願いします。


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by kogotokoubei | 2017-12-31 18:17 | 落語のネタ | Comments(2)

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by 小言幸兵衛