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噺の話

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2017年 10月 16日 ( 1 )

 恒例の日曜のテニスが、雨で休み。

 さっそく、ネットで寄席、落語会の情報を確認。
 浅草で、行きたかった二代目志ん五の披露目だ。
 三人の交代だから、この日に当たるのは、僥倖と言えるだろう。
 落語の神様が雨を降らせてくれた(^^)と勝手に喜び、しばらくメジャーリーグの試合を観た後で、浅草へ。

 雨とはいえ日曜の浅草は、海外からの旅行者を含め、人通りが多い。
 裏道を通りながらホールに着いたが、先に近くのコンビニで食料と飲料を仕込んで、12時を少し回った頃に入場。
 志ん丸が『浮世床ー本ー』を演っていた。
 一階席は、結構埋まっていた。ところどころに十席ほど空席が見えるだけ。
 腹も空いていたので、買った弁当を食べやすいであろう二階席へ。
 二階は三分の一位は埋まっていたが、最前列の下手端の席が空いていた。

 後ろ幕の送り手は、ちょっ蔵応援団、有限会社希助、みかねた、の合同。
 上手の酒は、長命泉。下手には、帯が五本。

 二階席に落ち着いて、ちょうど始まった色物さんから順に、感想などを記したい。印象が良かった落語の高座には、を付ける。

おしどり 音曲漫才 (11分 *12:14~)
 聴きたかった二人。出番が少し押していたようで、これも僥倖。
 女性のマコがアコーディオンとメインMC担当。男性のケンが、針金細工。
 お客さんへのお土産になるケンの金正恩やトランプにそっくりな針金細工は見事。また、マコの語りは、スピーディでセンスが良い。ほぼ満席のお客さんを大いに沸かせた。
 お土産の針金細工は、遠くから来た人ということで客席に挙手してもらったところ、鹿児島や北海道から、というお客さんがいた。はとバスのお客さんかな。
 この二人、私は、その芸よりも、社会的な活動で先に名を知った。
 彼らのホームページから、プロフィールを紹介したい。
「おしどり」ホームページ
マコとケンの夫婦コンビ。横山ホットブラザーズ、横山マコトの弟子。
よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。社団法人漫才協会会員。
認定NPO法人沖縄・球美の里 理事。二人はフォトジャーナリズム誌「DAYS JAPAN」の編集委員でもある。
ケンは大阪生まれ、パントマイムや針金やテルミンをあやつる。パントマイムダンサーとしてヨーロッパの劇場をまわる。
マコと出会い、ぞっこんになり、芸人に。マコは神戸生まれ、鳥取大学医学部生命科学科を中退し、東西屋ちんどん通信社に入門。アコーディオン流しを経て芸人に。
東京電力福島第一原子力発電所事故(東日本 大震災)後、随時行われている東京電力の記者会見、様々な省庁、地方自治体の会見、議会・検討会・学会・シンポジウムを取材。また現地にも頻繁に足を運び取材し、その模様を様々な媒体で公開している。
第22回平和・協同ジャーナリスト基金 奨励賞を受賞。
 「DAYS JAPAN」の編集委員だよ。
 東電の記者会見におけるマコの毅然とした態度での取材は、ネットで結構見ている。
 社会問題に対して発言し、行動する芸人さんとして、今後も期待したい。
 落語協会には今年6月に正式会員として入会したばかりなので、プロフィールにはまだ反映していないようだが、同じ日に正式会員となったジキジキとこの二人の夫婦の音曲漫才、落語芸術協会と比べて色物全体では見劣りする落語協会にとって、貴重な戦力となるだろう。

金原亭世之介 漫談 (9分)
 定番の漫談。少し押している状況で、披露目の短い出番としては、やむを得ないかな。
 I Live In 東京.の過去形が、I Live In 江戸.ってぇネタは、どこかで使おう^^

春風亭栄枝 『都々逸坊扇歌物語』 (15分)
 久しぶりだ。小さなネタをいくつかふってから、十八番へ。
 田舎の人が東京に出てきて、長命寺の桜餅を食べる時に、どうやって食べるのか聞いたら、皮をむいて食べるとのことで、隅田川の方を向いて食べた、というネタでも、会場からは笑いが起きる、実に良いお客さん達。ビートルズが来日した際に、林家三平がネタにしていた、オナラの温度は、ヘイ・ジュード、も結構受けたねぇ。
 「七つ、八つでいろはを覚え、はの字が抜けて、いろばかり」なんてぇのも、オツ。
 秋田藩佐竹公と扇歌との逸話なども楽しませ、しっかりとした高座。
 昭和13年生まれは、志ん朝と同じだ。79歳の元気な姿を見ることができたのも、雨のおかげだなぁ。

 二階から観ていて、一階の最前列の下手側の端の席が空いているのが分かったので、この後に急いで一階に移動した。

 なんとか、落語から漫談への高座切り替え中に座ることができた。
 最前列は、すべての寄席を含め、初体験かな。

昭和こいる 漫談 (8分)
 相方のいるが、自転車で転んで複雑骨折のため長期療養中。
 元気だ、とのことだが、少し休養期間が長いのが、気になる。
 師匠てんや・わんやのことや、森昌子ショーでの逸話などで楽しませてくれたが、やはり二人の漫才が、早く見たい。

春風亭柳朝 『紙入れ』 (11分)
 若手から中堅、という表現に近づいている印象。この人の醸し出す、清潔感というか品の良さは、二ツ目あたりの見本になるだろう。
 その生真面目さは、毎日更新されるブログを見ても、分かる。
 とはいえ、芸の幅もあって、この噺での女性の描き方にしても、艶っぽさもほどほどで悪くない。だんな、新吉も、しっかりと表情や仕草などで演じ分ける。
 人によっては、もう少しアクが欲しい、という思いを抱かせるかもしれないが、最近のアクの強すぎる若手を多数見ていると、まずは基本を大事に、丁寧な高座を心がけることの大切さを感じさせる噺家さんだ。
 もう少し年齢を重ねれば、自然と味わいが増すに違いない。一之輔とは違う持ち味で、一朝の総領弟子は、大きな看板となると私は思っている。

 
三遊亭円丈 『金さん銀さん』 (14分)
 母校の熱田高校のことや名古屋自虐ネタをいくつかふってから、本編へ。
 「あまり、おもしろくないです」と前置きしたが、会場大爆笑。
 新作落語の大御所の健在ぶりを確認できた。
 なぜか、講釈の台が設置されている状態での高座だったが、あれ、必要あったのかなぁ。
 
ロケット団 漫才 (13分)
 前半は、十八番の四字熟語ネタ。
 「疑心暗鬼」となるはずの設問で「加計学園」は、センスの良さを感じさせる。
 後半は、セキュリティ、エグザイル、アルギニンが、秋田では日常会話だ、という、これまた十八番ネタ。
 初めて聴くお客さんも多かったようで、大いに客席を沸かせた。
 
柳家甚語楼『猫と金魚』 (14分)
 このネタも持っていたのか、と少し驚いた。
 居残り会のお仲間であるI女史は、この人の大の贔屓だが、それも納得できる、しっかりした高座で、笑いも多い。
 平成18(2006)年三月真打昇進の同期に、三三、左龍がいるが、それぞれ個性の違う三人は、きっと良きライバルなのだろう。
 まだ、行ったことはないが、同期との二人会や、一年先輩の白酒との二人会も、芸を磨くための良い機会となっていると思う。そのうち、それらの会にも足を運びたい。
 この高座でただ一つの疑問に思ったのは、トリの志ん五のネタとツクのは、志ん五のネタを知らなかったからだろうか、ということ。

三遊亭吉窓 『大安売り』 (13分)
 協会理事で、後の口上でも司会役を担っていたが、この人の高座、私は相性が悪い。
 円窓の総領弟子なのだが、後継者としては、萬窓の方がずっと相応しいと私は思っている。
 
鏡味仙三郎社中 太神楽 (14分)
 三人で登場。近くの二列目と三列目に座っていた、初めて寄席に来たと思しき五~六名のグループの方から、小さな歓声が続いていた。初めて、それも高座近くで太神楽を見た時は、私もそうだったなぁ。
 寄席の吉右衛門は、健在だった。
 それにしても、浅草演芸ホールのプログラムでは、「曲芸」となっているのが、いつも気になる。太神楽にしましょうよ。

 感心しきりのグループが、ここで退場。飲み会の前の時間潰しであったような、そんな、会話。
 さすがに最前列で端っこは、首がくたびれるので、空いた二列目のやや中央寄りの席に移動。
 
桂文楽 『替り目』 (11分)
 途中でサゲたが、寄席らしい楽しい高座は、悪くなかった。
 「ペ・ヤング」の小益も、志ん朝、栄枝と同じ昭和13年生まれの、傘寿なんだなぁ。しかし、この後には、米寿の方が登場。

三遊亭金馬 『表彰状』 (17分)
 仲入りは、大御所。
 見台は用意されていたが、板付きではなく、自ら歩いて登場。
 このネタは、初めて聴く。
 泥棒の兄貴分と弟分の会話が中心。二人で泥棒に入ったが見つかってしまい、弟分が走って逃げる途中に、お婆さんを突き飛ばした。しかし、その結果、車でお婆さんがはねられるのを助けたので、警察に表彰される、というのが、発端。その後、表彰されて新聞などに顔がばれたら困るから、悪いことやって表彰を取消しにしてもらおうとするが、何をやっても裏目(逆裏目?)に出て良い行いになり表彰されることになる、という筋書き。
 後で、ネタをを調べたら、昭和38(1963)年に、「創作落語会」として芸術祭に参加し、奨励賞を受賞している中の一席だった。
 Wikipedia「創作落語会」から、引用する。
Wikipedia「創作落語会」
1963年11月30日の第14回創作落語会公演は、団体として以下のプログラムで芸術祭に参加した。

「表彰状」(作:大野桂)演:三遊亭小金馬
「遺言」(作:正岡容)演:三遊亭歌奴
「賢明な女性たち」(作:星新一)演:桂米丸
「一文笛」(作:中川清)演:3代目桂米朝
「義理固い男」(作:玉川一郎)演:春風亭柳昇
「時の氏神」(作:粕谷泰三)演:三遊亭圓右
「笑の表情」(作:はかま満緒)演:林家三平
特別出演:5代目古今亭志ん生
(中川清は米朝の本名である)
その結果、昭和38年度(第18回)の芸術祭奨励賞を受賞することとなった。
 米朝の『一文笛』や、三平のために、はかま満緒さんが作ったネタも含んでいる。
 トリの志ん五のネタを知って、古典ではなくこの噺を選んだのであれば、さすが金馬、と思わせるじゃないか。
 それにしても、この創作落語会の作者の顔ぶれが豪華だ。
 山田洋次が五代目小さんのために落語を創作してから、しばらく経つ。作家や脚本家が落語を創作して芸達者が演じる会、今でもおもしろい試みになるのではなかろうか。

 さて、仲入りで、外の喫煙コーナーで一服。
 雨は、まだ止まない。

二代目古今亭志ん五真打昇進襲名披露興行 口上 (17分)
 幕が上がり、下手から、司会役の吉窓、続いて権太楼、志ん五、志ん橋、金馬、馬風の六人。
 後ろ幕は、東松山のやきとり、「ひびき」の寄贈。
 権太楼は、先代志ん五とは、同時期に前座修業をしていたと話す。
 実際は、昭和41年9月に志ん五が志ん朝に入門、権太楼は昭和45年4月につばめに入門、志ん五は翌昭和46年11月に二ツ目になっているので、前座で一緒だった時期は、一年余り。その一年ほどの共有体験の印象が、きっと強いのだろう。
 二人は、昭和57年9月に権太楼、同11月に志ん五が真打昇進している。
 権太楼は、二代目志ん五は、その可愛さ(?)のためいろんな女性の魔の手が待ち受けているだろう、それは、昔の私と同じ、で笑わせた。
 金馬は、実に真面目な口上を披露。馬風は、いつものノリで笑いを誘う。
 二人目の師匠である志ん橋は、「新作もたくさん作ったようだが、ほとんどが駄作」と会場を笑わせてから、「ようやく二つ三つは、マシになった」と語っていたが、この日にその新作を演ることを知っての言葉だったのだろうなぁ。
 馬風の音頭による三本締めでお開き。

 いったん閉じた幕が上がった。
 後ろ幕は、立正大学校友会、立正大学同窓生有志、であい寄席実行委員会の合同。

にゃん子・金魚 漫才 (7分)
 金魚の頭の飾り(?)は、志ん五からのもらい物を材料にしたので、費用ゼロとのこと。
 十八番ネタで、会場は大爆笑。

古今亭志ん橋 『からぬけ』 (10分)
 古今亭で入門後最初に稽古をしてもらう前座噺を披露。
 披露目に相応しいと思う。

柳家権太楼 『代書屋』 (12分)
 白夜を見にアイスランドにまで行った、というお得意のマクラなどから、予想もしなかった(私だけ?)十八番ネタに。
 学歴はー>小学校ー>どこの学校ー>森友学園、でサゲたが、場内この日一番の笑いが渦巻いた。さすが。

鈴々舎馬風 漫談 (6分)
 談志、三平、毒蝮などが登場する十八番ネタを軽く。権太楼がつくった会場の空気を維持して、さすがの話芸。

林家楽一 紙切り (12分)
 膝替りはこの人。ご挨拶代わりに「土俵入り」の後、リクエストで「新郎・新婦」「志ん五」「屋形船」。紙切りの技術は、相当上がっていると思う。話芸も、あの独特の間が、板についてきたようだ。この人、結構、凄いかもしれない。

古今亭志ん五 『出目金』 (19分 *~16:30)
 オレンジの派手な羽織で登場。実は、この衣装もネタの重要な演出の一つであったことが、後で判明。
 遠隔地の落語会に行くには、格安航空会社をもっぱら利用するが、と最近乗った某航空会社での経験を、楽しく聞かせた。その行き先の徳之島の落語会のことでも、大いに笑わせてくれた。
 この人、こんなにマクラが良かったっけ、と再認識。話の間が、実に結構なのだ。
 本編は、昨年公開の映画「の・ようなもの のようなもの」のために志ん五が作った新作だったことを、帰宅後に調べて知った。
 残念ながら、あの映画は観ていない。松山ケンイチが、どう演じたのか、興味があるなぁ。そのうち、CSで放送されるのを、待とう。
 筋書きは、こんな感じだ。
 父親が、金魚すくいで出目金をすくってきた。しかし、男の子は、「ちっとも目が出ていない」と拗ねる。それを聞いた出目金が、排水溝を経由して墨田川に逃げて、あちこち修業の旅に出る、という筋書き。
 川で泳ぐ出目金が、オレンジの羽織をばたつかせる姿が、なんとも可笑しい。
 その川には、魚を相手にした寿司屋がある。主人の魚が何かは、不明としている。その寿司屋の主人の羽織のバタつかせ方、伝法な物言いが、なんとも滑稽で、会場が沸く。その寿司屋でメダカの握りなんぞを、出目金は注文するのである。
 その後、出目金は草津温泉に行きついた。志ん五は、湯もみの仕草をして「草津節」を唄い出し、「さぁ、皆さんもご一緒に」で、結構なお客さんが唱和^^
 「初めて、一緒に歌ってもらったなぁ。これも披露目のおかげだなぁ」と出目金に言わせて、ここでも会場から笑いが起こる。
 北極で皇帝ペンギンに食べられそうになった後に、浅草の大道芸人に呑みこまれてしまった。
 逃げた出目金を探し回っていた父親が、倒れているその男の腹を叩いたら、出目金が戻った。ここでのクスグリ、「富士そば、食べたな」が、あまりにも可笑しい。
 父親が出目金に「逃げて、どこへ行っていた?」に、出目金が「ほうぼう(あちこち?)で修業をしてまいりましたが、○○○○○○○○○!」でサゲ。
  サゲの言葉は、想像のほどを^^
  最初に、子どもがどんなことを言ったか、がサゲにつながっているのだ。

 筋書きにやや無理はあるが、SF的な要素、すなわち、落語的な要素もあるし、とにかく、出目金や寿司屋を描く姿が、頗る可笑しく、擬人化によるネタとしては、三年ほど前に同じ浅草で聴いた、喬太郎の『任侠流山動物園』にも似た味わいがある。
 トリにしては短い時間での高座だったが、マクラの良さ、その仕草を含めた自作ネタの秀逸さを含め、今年のマイベスト十席候補に値すると思う。
 この人、やはり、並みじゃない。


 夜の部の主任、志ん輔には申し訳なく思いながらも、小雨の中を帰路についた。
 良い披露目だった。
 浅草まで来て良かったなぁ、と思いながらの帰路は、ついうとうとと寝てしまった。
 そして、自分が出目金になっている夢を・・・見たわけではない。
 
by kogotokoubei | 2017-10-16 18:27 | 寄席・落語会 | Comments(12)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛