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噺の話

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2014年 07月 25日 ( 1 )

 この日は紀伊國屋ホールの権太楼独演会(とみん劇場)も気になってはいたのだが、確実に行ける自信がなくチケットは買わずじまいだった。結果としてなんとか時間のやりくりはついたが、これはあくまで結果論。

 寄席にもしばらく行ってなかったので、下席の末広亭、小柳枝が主任の夜の部にもぐり込んだ。 地下鉄から外に出てコンビニでお茶などを買っている間に、いきなりの豪雨。少しおさまるのを待っていたが、しばらく止みそうになく傘をさして末広亭へ。
 18:00少し前に中に入ったので、出番が早まった寿輔には間に合わなかった。ぴろきの代演マグナム小林のバイオリン漫談の途中。実はこの人は初めて。バイオリンとタップダンスの器用な芸に、芸協の色物の充実ぶりを再認識。

 客席は四割ほどの入りだったろうか。私はいつもの下手の桟敷を悠々と確保。終演まで、雷が鳴り響いていた。こういった経験も得難いものだ。

 初めから聴けた芸人さんとネタ、所要時間などを記録しておく。良い印象の高座にを付けた。

春風亭笑好『ぜんざい公社』 (14分 *18:00~)
 なぜか縁があって、昨年7月の国立演芸場での真打昇進披露にも行っている。二年前の5月、師匠が主任の池袋でも聴いたネタ。実は、その時と師匠のネタも、この日は同じだった^^
 舌足らずなのはしょうがないのだが、それを魅力にした八代目の三笑亭可楽という人もいる。つい、早口になりがちなのだが、それも可楽を聴いてもらえば、勉強になるはず。
 来年の真打昇進者には弟弟子で、この日もクイツキに登場した笑松や他にも実力を評価されている顔ぶれが予想される。もっと精進が必要だろう。明るい印象は悪くないのだから、落ち着いて、もっと噺の登場人物の了見になり切ることで、良くなるはずだ。

桂富丸 漫談&新作(演題不明) (17分)
 初である。後で調べてみたら昭和45年に米丸に入門した新作派さんのようだ。「スキンヘッドの富丸です」と挨拶した。 
 漫談の後の新作は、馬や鹿や犬、猿などの動物たちが、彼らの名を使った言葉に異議を唱えるというもの。「動物会議」とでも仮に名づけておこうか。団塊の世代としては若い高座だったが、どうもリズムに乗り切れていなかった印象。今後、別なネタでまた聴いてみたいものだ。

北見 伸 奇術 (11分)
 番組表にはスティファニーの名もあったが、別な若い(はず)の女性二人を従えて、彼女たちも芸を見せた。
 スティファニーとは、何かあったのか・・・・・・。
 それとも、この人の弟子を一括してそう呼ぶようにしたのだろうか。 まさか^^

春風亭柳好『浮世床-夢-』 (13分)
 代演でこういう人の高座に出会えるのも寄席の良さである。床屋の名前のマクラから半公の夢へ。九州の入り口=もじもじ、などのクスグリが楽しい。芸協の中堅どころで寄席を引き締めることのできる大事な存在。

三遊亭円輔『長短』 (16分)
 仲トリはベテランが務めた。柳好が温めた高座をしっかり保持した好演。昭和一桁生まれとは思えないなぁ。サゲ前の長さんと短七さんのやりとりで会場も沸く。さすが、最初の師匠が三代目三木助というだけのことはある。

春風亭笑松『つる』 (14分)
 クイツキは小柳枝の弟子で、二ツ目の一番上の香盤のこの人。昨年7月の笑好の真打昇進披露では先代今輔作『五人男』という芸協ならではのネタを聴かせてくれたが、なかなか結構だった。
 来年の真打昇進は確実ということもあるし、その実力が認められての深い大事な出番での登場なのだろう。たしかに、一年先輩の笑好のお尻をムズムズさせているだろうと思わせる、しっかりとした高座。浜辺の岩頭を「浜辺の癌病棟」と八五郎が言い間違えるクスグリは、結構クスッとさせてくれた。来年は実力のあるライバルと一緒の昇進することだろう。切磋琢磨して、より一層芸を磨いて欲しいものだ。

ニュースペーパー コント (16分)
 この席での楽しみの一つは、芸協入りして初めて聴く(見る)この人達だった。
 結論から言うと、芸協の色物に、とんでもない強力な人たちが加わった、と思う。
 この日は9人のメンバーの中から、福本ヒデと土谷ひろしの二人が出演。政治家に扮したエスプリとユーモア満載のコントが頗る楽しい。
 最初に福本が安倍。次に土谷が前原と谷垣という地味な二人を演じ、そこに福本の、狂気じみた、とんでもない石破が加わる。
 内容は、明かせない^^
 冒頭に安倍役の福本が、「こんな雷の日にお越しいただいた皆さんには、お土産としてファミリーマートのチキンナゲットをお持ち帰りいただきましょう」と言った位は、書かせてもらおう。
 とにかく福本の石破の目の演技で会場が大爆笑。もちろん、それぞれの科白は笑いで包んだ棘のあるジョークの連続で、切れ目がない。
 寄席には、本来こういった権力を笑い飛ばす精神も必要だと思う。この人達が出演する定席には、今後もぜひ行きたいと思った。
 なお、彼らのホームページの予定表にあるように、日替わりメンバーで楽日まで出演予定。
「ザ・ニュースペーパー」HPのスケジュールのページ

桂文治『湯屋番』 (14分)
 仲入り後は贅沢な顔ぶれが続く。十一代目文治は、師匠の十八番でもあった楽しい噺で客席を沸かした。
 まず、前半の細かな演出に笑った。若旦那を住まわせている熊五郎(大工の熊、大熊)が、ようやく働く気になった若旦那を浜町の桜湯に紹介する手紙を書く。封筒がないので巻紙を止める飯粒を若旦那に持ってくるよう頼むと御飯の固まりを持ってきてしまう。

 熊「ふたっ粒か三粒で間に合うのに」と巻紙を飯粒で止めてから、残ったご飯を食べて、「なんか水っぽいな」
 若「そりゃあ、猫のお椀の御飯だから」
 熊「えっ、大丈夫?!」
 若「大丈夫、猫は見ていなかったから」
 師匠のこのネタを聴いていないが、きっと師匠譲りなのだろう。こういうやりとり、私は好きだなぁ。
 憧れの番台に座ってからの若旦那の一人芝居も絶好調。
 
笑福亭鶴光『試し酒』 (14分)
 日替わり真打出演のこの日は、この人。
 米朝も演じるらしいが、今村信雄作の古典化しつつある新作落語を、上方の噺家さんでは初めて聴いた。
 温泉旅行の費用を賭けるのは尾張屋と近江屋。尾張屋の使用人で酒を五升飲むのは久蔵ではなく井上。少し現代化している。飲む合間のサラリーマン川柳で笑わせる。鶴光では地噺を聴くことが多いのだが、こういうネタも上手い。伊達に六代目の弟子ではなかった、と再認識。

翁家 喜楽・喜乃 太神楽 (10分)
 卵の芸が成功して、客席もほっとした^^
 娘さんの喜乃ちゃんの、父を心配そうに見る視線が可愛い。

春風亭小柳枝『星野屋』 (24分 *~21:00)
 雷が鳴り響く中で相応しい小咄をいくつかふってくれた。引き出しの多さがこういう芸に生きる。
 「楽屋で話題になっているのですが、雷様は一人者かどうか・・・一人者じゃないことになりました・・・いな“妻”が付いている」 なんてのも結構ですなぁ。
 夕立屋や湿気の幽霊のマクラ、男と女の小噺を挟んでから本編という流れは、実は二年前の池袋とほぼ同じ構成。あの時はリズムが合わない感じだったが、この日は非常に結構。
2012年5月3日のブログ
 マクラが12分近かったので本編は星野屋の旦那が妾のお花に別れ話を言いに行く場面から。旦那とつるんでお花を騙した重吉が、心中するはずだったのに旦那を裏切ったお花に、いきさつと旦那が成仏せず夢枕に現われた、と話す場面は、技術的に難しいと思うが、程よいテンポでしっかり。期待した『青菜』ではなかったが、時間配分もピッタリに、この人の持ち味を十分に楽しませてくれた。

 終演後外に出ると、嬉しいことに雨が上がっていた。
 帰宅して、ビールをちびちびやりながら、録画していた「花子とアン」そして「吉原裏同心」を観た。医者の役で林隆三が登場。なんとも言えない感情が沸く。
 パソコンを開いて少し書きはじめた時は日付変更線越え。紀伊國屋の権太楼に行っていたI女史からメールが入っており、三席熱演で会場も大いに沸いたとのこと。あちらこちらで落語を楽しんでいる人がいる。結構なことである。返信を打って風呂に入り爆睡。
  
 暑さのせいもあり、このところ早く目が覚める。あらためて思うが、この席は後半が充実している。ニュースペーパーは7時台の上りなので、末広亭の夜間割引(六時以降一般2,500円、七時以降 1,500円)でも、落語も色物も結構楽しめるだろう。私はもう一度は行けそうにないが、ご都合がつく方には、ぜひお奨めしたい。

 昨夜を振り返ってみて、高座で手を抜くような芸人さんは一人も見当たらなかったし、それぞれが持ち味を発揮して楽しい席だった。お客さんの入りは多いとは言えなかったが、こういう高座を続けていれば、確実に良い方向に向かうように思う。来年の真打昇進者の発表も楽しみになってきた。
 もう一方の協会に、ぜひ良い刺激を与え続けて欲しいものだ。
by kogotokoubei | 2014-07-25 00:10 | 寄席・落語会 | Comments(8)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛