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噺の話

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2014年 01月 26日 ( 1 )

昨年三月以来、久し振りの見番である。前回は『よかちょろ~山崎屋』が結構だった。
2013年3月31日のブログ

 少し仲見世をひやかしてから早めに席を確保し、二年ほど前にこの会に初めて来た時にも行った見番近くの大衆的な中華料理屋さんで昼食。
 店の名は変わっていないが、以前来た時は老夫婦で店を切り盛りしていたのが、息子さんと思しき方が厨房の中で調理をしていた。
 あの時はちょうど平成中村座の最中だった。その時の内容から少し引用する。
2012年4月21日のブログ

懐かしい屋台の味の醤油ラーメンを食べていると電話。奥さんと思しき女性が電話を受ける。「はい、橋之助さんですね、ワンタンとチャーハン、2時ですね、分かりました。毎度ありがとうございます。」と電話を切った。そうか、今、平成中村座が墨田公園で芝居をしている。注文を確認した主、「そうか、じゃあ勘三郎さんの注文と一緒に持っていけばいいな」ときた。この夫婦二人の小さな中華屋さん、ただものではなかった^^

 あの時、勘三郎は何を注文していたのだろう・・・・・・。
 今回は瓶ビールと焼き飯にしたが、これまた結構な味だった。帰りがけに、「以前うかがった時はご夫婦でやってらっしゃいましたよね」とお聞きすると「ええ、父と母です」とのこと、つい「ご両親はお元気ですか」と尋ねると、「ええ、家で元気にしています」との答えに、なぜかほっとした。

 開演直前に会場に戻った時は、ほぼ満席に近い百名ほどのお客さんで広間が埋まっていた。

 次のような構成。
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(開口一番 林家なな子『やかん』)
柳亭市楽  『松山鏡』
五街道雲助 『初天神』
五街道雲助 『初霜』
(仲入り)
五街道雲助 『三枚起請』
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林家なな子『やかん』 (14分 *13:50~)
 同じ正蔵門下の後輩のつる子よりはマシな高座だが、そういう比較をされることは、なな子にとって本意ではないだろう。言い立ての多い厄介な噺だが、なかなか良かった。しかし、後半、カミシモがいい加減になった。それについては、この後に市楽がバラしたのだが、年末から首を痛めてカミシモを振るのがきついらしい。なるほど、そういうことか。
 今回は、よく覚えたで賞、を贈呈できるが、今後も一層がんばってもらいましょう。

柳亭市楽『松山鏡』 (17分)
 マクラでは、ある地方の落語会。師匠の市馬と出かけ、市馬が約1時間に渡る『文七元結』の力作。終演後の打ち上げで主催者の地元の方々が師匠の高座を褒めるのだが、そのうち「雲助師匠も凄かった!」という話題になる。市楽が「どんなネタだったんですか?」と聞くと『目薬』とのこと。実はその落語会の何十周年とかの祝賀会の余興で雲助が呼ばれ、挨拶などですっかり時間が延びて十分しか残っていない段階で、「師匠、お願いします」となったらしい。
一時間の長講人情噺『文七元結』より十分の『目薬』、と笑わせるが、これは比較の問題ではなかろう。あくまで、限られた時間で寄席で鍛えられた芸を雲助が披露したことが客に強い印象を与えた、という逸話かと思う。
 市楽は、前座の市朗時代に比べあまり良い印象を受ける高座に出会わなかったが、この日は非常に良かった。しかし、前から二列目で見ると、顔がでかい^^

五街道雲助『初天神』 (26分)
 マクラで、「蔵出し」と言っても、ほとんどネタが尽きて会のタイトルを変えようということになった、とのこと。ただし、今回を「蔵出し ふたたび」の最終回として案内しようと、“テキ屋的な”企画を考えていたが、すでにミックス寄席のサイトで新タイトルの「蔵出し ぞろぞろ」と掲載されてしまった、とのことで雲助ファンで埋まった会場が沸く。また、「蔵出し ふたたび」での高座は録音されており、キントトレコードから発売予定、との案内。
 キントトレコードのサイトに、さっそく雲助のマクラの内容を含め、今後発売予定の演題が掲載されているので、せっかくなのでご紹介しよう。「キントトレコード」のサイト

雲助 蔵出し 制作決定 ~ 2014年03月25日リリース?

五街道雲助師は、2014年1月25日午後2時半過ぎ、浅草見番に於ける「雲助蔵出し ぞろぞろ」の第1席目「初天神」のまくらにて「この会は録音されています。それがCDになります…キントトレーベルから…この会(雲助 蔵出し ふたたび)では随分と、不謹慎な噺、汚い噺、を演っています。キントトレーベルから出すんですから、大手では絶対に出せないそんな噺が収録されます…」
 さらに 「1枚目は、この会(雲助 蔵出し ふたたび)の第1回目の演題である九州吹き戻し、人情話火焔太鼓、新版三十石…」「一枚目が売れなければ、2枚目、3枚目を出すことができません。よろしくお願いいたします。」以上、意訳

 キントトレコード緊急会議の結果、以下を目指し、邁進する所存です。

雲助 蔵出し1
2014年3月25日リリース(予定)収録演題(予定)

CD1
 1:九州吹き戻し 約33分 2009年6月21日収録
 2:人情噺・火焔太鼓 約26分 2012年4月21日収録
 3:新版・三十石 約10分 2009年6月21日収録
CD2
 1:妾馬(通し~馬の下げまで)約1時間 2012年9月30日収録
 収録場所は いずれも、浅草見番、演題解説は、雲助師に執筆を依頼しています。録音、マスタリング、プロデュース:草柳俊一


 この中で、『人情噺・火焔太鼓』は、二年前に初めて来た時に聴いて大笑いしたネタだ。その年の<特別余興賞>として表彰(?)したほどである。
 『新版:三十石』の約10分って、どんな内容なのだろう。『九州吹き戻し』も、意外に短いなぁ。いずれにしても、これらのCDは、どれか買ってしまうことだろう^^

 さて、高座に戻り『初天神』である。噺の途中で「(1月)25日に、このネタをやらないわけにはいかない」と父親に語らせて笑わせたが、まさに“旬”のネタ。それも、寄席や落語会でもほとんど聴くことのない“通し”である。
 飴・(あやめ)団子・凧揚げ、までをしっかり。初天神に向う途中で、父親が金坊に向って「言うこと聞かないと、山に放り出すぞ。狼が来て喰われてもいいのか」と言うと、「この前学校で先生が、日本には狼が一匹もいないって言ってたよ」の後の「そうなのか、ちぃ~っとも知らなかった」が、妙に可笑しかった。
 団子屋を親子でいたぶる場面も楽しい。
 父親が、
 「もう少し奇麗な恰好をしなよ。こういう店でドテラはないだろう。袖がほころびて綿が出てるよ・・・きたねい顔だね。顔洗ってんの」に、団子屋が「日に二度洗ってます」と答えると、「年に二度じゃぁねえのかい」といじめるが、金坊までこの調子で団子屋をからかい、「薮入りみたいに年に二度しか顔を洗ってないんだろ」で、爆笑。お客さんの筋が良いのだよ、この会は。
 凧揚げでの父親の子供じみた楽しみ方も結構で、演者も心底楽しんでいるように見えるのが微笑ましい。凧屋に勧められて渋々、凧も大きなものを買い、糸もガラスが混ぜ込んであり喧嘩しても他の凧に負けない高いもの、加えて良い音のする“うなり”まで買っていた。すぐ近くで凧を揚げていた子供との喧嘩凧になり、その子供の凧の糸を切って「あ~飛んでいかぁ、こっちはガラスが練りこんであるんでぇい」と高笑いしたり、高く揚がって良い音をさせていると、「やっぱり、うなりも買っといて良かったなぁ」と大満足。
 親子が逆転する可笑しさは凧揚げまで演らなければ分からない。最近では三遊亭遊雀の金坊の壊れ方の凄まじさや春風亭一之輔の金坊が親に向かって「Good Job!」と言う今どきの憎たらしさなどが印象的なのだが、そういった若手の内容を数段上回る雲助の旬な『初天神』、今年のマイベスト十席候補にすることをためらわない。これまで聴いたこの噺の中でのベストである。

 なお、『初天神』については、ずいぶん前のことになるが書いたことがあるので、ご興味のある方はご覧のほどを。2009年1月24日のブログ

五街道雲助『初霜』 (25分)
 高座に残ったままの二席目は、初めて聴く、三席目のマクラで判明した宇野信夫が師匠馬生のために作った新作。
 二人の植木屋が主人公。『笠碁』に似た味わいもあるが、昭和の黙阿弥と言われた宇野信夫の作なので、芝居がかった演出。師匠馬生が宇野の前で稽古し、相当ダメを出されたため、ほとんど演じなくなったようだ。雲助がこの噺をすることを宇野の親族の了解を得た際に台本をもらい、師匠の音源と比べたところ、だいぶ内容は違っていたらしい。
 留(吉)さんが
060.gifそなたと供に~と言いたいが~愛(いと)しいこなたも手にかけて~”
 と口ずさみながら松の枝を揃えていく。平(へい、作)さんは怪我をしていて梯子に上れないので留さんに高い松は任せている。留さんは娘が大店に奉公していて娘の支援で悪くない生活をしている。平さんは一人息子が病で亡くなって寂しい暮らし。その息子が死ぬ間際に残した一両、これがこの噺の鍵となる。
 終演後、居残り会でOさんが、宇野信夫が円生のために創作した『小判一両』のことをおっしゃっていたが、なるほど、どちらも“一両”が鍵を握っているなぁ。
 サゲの唐突感は、芝居なら良いのかもしれないが、落語としては違和感が残る。師匠が宇野信夫にダメを出されているのは、この噺そのものが、なかなか落語には染まりにくいということかもしれない。

五街道雲助『三枚起請』 (34分 *~16:03)
 マクラで二席目のことを説明。その後、飼っている老犬(16歳)の公園の散歩の話題から、雀が犬に寄ってくるのはいいが、烏が三匹いて犬に寄って来ると心配で追い払う、という話から本編へ。
 三人の起請文仲間を楽しく描いたのだが、途中はあまり楽しめなかった。というのは、手拭いを忘れたのだろう、三人の起請は“エアー”手拭いで表現。また、最初に熊野権現の誓紙のこと、誓いに背いたら熊野で烏が三匹死ぬ、という仕込みをしなかった。サゲの直前で熊野の烏のことを差し挟んだが、手拭いのことも含め、残念ながら聴く私が集中できにくい高座であった。手拭いさえ忘れなければ、きっとマクラでも仕込みが出来たのではなかろうか・・・・・・。
 しかし、ご通家さんの中でも、もしかすると多くの方が手拭いのないことを気が付かないかもしれない、見事な芸であったことも事実だ。惜しかったなぁ。


 終演後は、新年居残り会。リーダーSさん、ほぼレギュラーI女史とM女史、そして昨年から仲間入りのOさんの五人で雷門の近くの魚の美味しいお店へ。刺身の盛り合わせも結構だったし、めひかりの唐揚げ、ほやの塩辛も美味。何より落語の話を肴に二合徳利が空いていく。
 今年も、楽しい落語と居残りを楽しめそうだ。レギュラーのYさんが仕事で参加できなかったのは残念。次の居残りは、来月の、あの会だなぁ。そういえば、居残り会は、皆さん(私も含め)なかなか話題になる固有名詞が思い出せず、ほとんど「あれだよ」「ああ、あれねぇ」と言う会話だったなぁ^^
by kogotokoubei | 2014-01-26 15:14 | 寄席・落語会 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛