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噺の話

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2013年 12月 04日 ( 1 )

この会には、『柳田格之進』が良かった四月以来。
2013年4月12日のブログ

 当初は行けそうになかったのだが、何とか都合がつき、一週間前に電話でチケットを確保。ということでチケットは完売になっていなかったわけだ。

 会場は七分程の入りだったろうか。

 ネタ出しされていた志ん輔の二席を含め、次のような構成だった。
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(開口一番 古今亭半輔『初天神』)
春雨や雷太  『古着買い』 (『古手買い』)
古今亭志ん輔 『掛取萬歳』
(仲入り)
古今亭志ん輔 『芝浜』
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古今亭半輔『初天神』 (9分 *19:01~)
 来年六月中席から二ツ目昇進が発表されたが、着実に成長しているように思う。この噺でも、金坊の描き方が良かった。ませすぎず、可愛さもほどほどに残していた。団子の蜜の舐め方も結構。次の余興での落語、このネタにしようかな、と思わせた高座だったが、なかなか素人には難しいネタでもあるだろうなぁ。

春雨や雷太『古着(古手)買い』 (19分)
 芸協の二ツ目さんだが、志ん輔が支援する“たまごの会”のメンバー。だから、過去に志ん輔の国立演芸場の独演会、そして三代目春団治をゲストで迎えた“東へ西へ”で聴いている。とはいえ久し振り。だから、なおさら成長の度合いが分かろうと言うものだ。非常に良くなった。
 このネタは、甚兵衛さんが女房に言われて、同居することになった女房の弟のために古着を買いに行くのだが、人のいい甚兵衛さんでは心持たないので、女房の言う通り、“こすっからい”熊五郎に一緒に行ってもらう、という内容。だから、『人形買い』や『壺算』に似ているし、古着屋が甚兵衛さんを馬鹿にしたのに怒って熊さんが江戸弁で啖呵を並べる場面は『大工調べ』的でもある。
 甚兵衛さんが、やや与太郎的にすぎた印象もあるが、熊との掛け合いで啖呵を古着屋の番頭に浴びせる場面は、与太郎風でなければ難しいだろう。
 師匠の雷蔵を末広亭で聴いているが、マクラも楽しかったし本編の『子ほめ』も良かった。志ん輔と雷蔵との交流から“たまごの会”との縁につながったのかどうか詳しくは知らないが、協会を超えて若手噺家が一緒に切磋琢磨することは、大いに結構だと思う。その試みの成果が、この日の半輔、そして雷太の高座に現われていた。

古今亭志ん輔『掛取萬歳』 (35分)
 今年は師匠志ん朝の十三回忌、そして志ん生の没後四十年だったが、何もできなかった。しかし、志ん生の長女美津子さんと日暮里の喫茶店(「ルノアール」)でデートをした、とのこと。なぜ、「ルノアール」かと言うと、コーヒーを飲み終わっても、こぶ茶が出るから、という理由が楽しい。業平時代の思い出では「小学校一年生で御飯を炊いた」と自慢されるらしい。七輪で炊くのだから、自慢するに値するだろう。御飯炊きの母娘の役割分担のことや、月に一度は業平から一駅隣りの曳舟までコロッケを買いに行った、という思い出は美津子さんの著書で読んだことがある。美津子さんに「大変だったでしょう?」と聞くと「そんなことはない。うちだけじゃない、みんな貧乏だったから」という言葉に隔世の感あり、だなぁ。安倍政権が、やろうとしているのは、もっと格差社会を悪化させようとするばかり。貧乏同士でも味噌・醤油を貸しあって楽しく暮らすなんて時代には戻らなくてもいいが、笑顔のある生活は大事だ。その笑顔をなくさせることばかり政府はやろうとしている、なんてことを思いながら聴いていたマクラ七分の後に本編へ。
 掛取りにやってきた集金人と、追い返すネタは次の通りだった。
(1)大家-狂歌 
(2)魚屋の金公-喧嘩 
(3)大坂屋の旦那-義太夫
(4)酒屋の番頭-芝居
(5)三河屋の旦那-万歳
 もちろん、市馬のように“三橋美智也”はない^^
 いわゆる“本寸法”の高座で、堪能した。師匠は高座にかけたことはないように思う。酒屋の番頭の際に、「近江八景」を折り込むことなどを含め、このネタを十八番にしていた円生版がベースだろうか。義太夫の場面でほっぺたを膨らませてブルブル揺らす演出などは、『夕立勘五郎』を思い出して笑った。

 日記風のブログ「志ん輔日々是凡日」には、前日の稽古のことが次のように記されている。 
「志ん輔日々是凡日」の該当記事

14時15分「掛け取り」稽古。34分。
15時 葉書に罫線を引いて遊んでいたらあっと言う間に時間が経った。
16時「掛け取り」稽古。33分。
16時40分 明日の「掛け取り」の合わせに三味線のはるさんが来た。ひと息ついてから早速始めた。義太夫の三味線もやってもらうことになっていて稽古する内に「ああそうか!」という箇所がいくつか出て来たのが嬉しい限り。


 日頃の義太夫の稽古や、直前までの取り組みがしっかりと実ったように思われる高座、今年のマイベスト十席の候補とする。

古今亭志ん輔『芝浜』 (37分 *~20:57)
 チケットを販売している正月の会の案内をしたが、12日は日曜なのだ。『七段目』と『付き馬』のネタ出し。残念だが断念。
 さて、ここ最近、師走ともなると誰彼となく噺家さんが演じるネタ。
 もちろん、師匠志ん朝も、大師匠志ん生も持ちネタにしていた。古今亭は芝で財布を拾う場面をカットする。
 志ん輔も、ほぼ師匠と同じ型と筋書だったが、工夫の跡を感じたのはサゲ前の次の二点。
・大晦日の昼にご贔屓まわりをした熊が客に届けたのは“ヅケ”
・福茶を飲み、畳が替わったことに気づいた後で、実際に雪がふる

 前者は師匠では単に「魚」を届けているのだが、なるほどおせち料理に飽きてから食べる魚なら、保存の効くヅケというのも頷ける。
 後者は師匠はふれない内容。有名な三木助版では、角松の笹が風にゆれる音を雪が降る音と聞き違える、という演出があるが、本物の雪は降らない。志ん輔の工夫なのだろう。
 
 旬のネタかもしれないが、“名作”と言える噺かどうかは見解が別れるだろう。噺家次第だし、このネタへの思い入れにも左右される。賛否あるだろうが、私は三木助版が最良であると思っている。
 志ん輔の高座は、あまり気負わない清々しい高座、という印象で心地よかった。残念だったのは、畳を替えたことを熊に説明する女房が「親方」と言うべきところを「かしら」と言って言い直すなど、二度ほどちょっとした言い間違いがあったのこと。しかし、旬の二席を、十分に楽しませてくれた。


 帰宅して録画していた「ごちろうさん」を見たり、先日の枝雀の番組を見ながら一杯やった。途中で一服しに外へ出たら、旧暦では11月1日の新月。おおいぬ座のシリウスが見事に輝いていた。そうか、まだ“霜月”なんだ、などと思いながら飲んでいるうちに日付変更線は越えていた。旬、旧暦などを考えているうちに、今年一月に座間で聴いた鯉昇の三木助版を元にした『芝浜』の高座を思い出していた。
2013年1月12日のブログ

by kogotokoubei | 2013-12-04 00:47 | 寄席・落語会 | Comments(2)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛