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噺の話

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2012年 10月 28日 ( 1 )

今月上旬は一度も寄席や落語会に行かなかったこともあり、先週の浅草に続き、小里んが主任の末広亭にやって来た。
 朝の落語協会のサイトを見て一朝の休演は残念だったが、伯楽は出るし川柳もいる。三三の顔を見るのも久し振り。燕路や彦いちも予定通り。それに正太郎がどう成長しているかも興味深かった。笑組もホンキートンクも予定通り出るようで、なかなかの顔ぶれ。お目当てが三人もいたら、寄席は十分に行く甲斐がある。
11時20分頃に新宿三丁目に着き、コンビにで助六とお茶を買い込んで入場。桟敷に落ち着いた。終演時点では一階はほぼ満席で、二階も開放する入り。土曜ということだけではないのだろう。昼の小里ん、夜の正雀という両主任を、知る人は知っている、ということかと思う。

演者とネタ、所要時間に寸評は次の通り。

開口一番 三遊亭ございます『からぬけ』 (9分)*開演11時50分
 初見。歌之介の弟子らしい。正太郎のブログによると、彼の大学落研の後輩のようだが、正朝ではなく、大好きな歌之介に二年前入門したようだ。まだ、落研とプロの途上にある高座。しかし、何とも言えない可能性を、感じないでもない。精進していただきましょう。

春風亭正太郎『反対俥』 (13分)
 袴で登場。なるほど、このネタならそうするだろう。久し振りだが、ずいぶん成長したと思う。二ツ目になる大事な時期に師匠の問題があって辛い時期を過ごしたことが、結果として良い経験になったのではなかろうか。自分でも何かを感じているのだろう。余裕のある高座で、途中でくすぐりもいくつか入るが、韋駄天俥屋の走りで土手に突き当たった後で、「疲れる落語だね」は、笑いはとったものの、私は感心しない。しかし、そういう遊びを挟むだけの技量になったことは、評価したい。(このへんが、落語愛好家として上げたり下げたり、なかなか難しいのだ^^)

ペペ桜井 ギター漫談 (8分)
 浅草と新宿と落語協会の定席が続くと、演者も続く。ほぼ先週と同じネタだが、「禁じられた遊び」を弾きながらの演歌は、今日はなかった^^

林家彦いち 漫談(K大学空手部?) (8分)
 ネタはかけなかったが、会場を沸かせる術は知っている。K大学の先輩と会って「オス!落語家になったらしいな。」と声をかけられた。落語の知識のない先輩が、頭から筋肉に落ちていった(?)筋肉脳を働かせ、「正拳突きとかけて?」とふってきた。いきなりの謎かけに驚いた彦いちだが、なんとか考えて、「演歌ととく。どちらも“こぶし”が効いてます」と答える。しかし、先輩は、「もっと分かりやすく言え!」。ほぼネタなのだろうと思うが、可笑しかった。

柳家三三『真田小僧』 (12分)
 久し振りだが、寄席の短い出番でも、この人の上手さ巧みな芸は結構。
 今春は、一人真打昇進の一之輔が“寄席好き”ということが本人の著書や他のメディアなどで数多く紹介されていたが、実は三三も寄席は嫌いではない。いや、相当好きな方だろう。持ち時間が5分だろうが、20分だろうが、しっかりとこなす寄席の三三を、チケットがすぐ売り切れるような落語会ばかり行っている三三ファンに聴いて欲しいと思う。寄席こそ、三三や一之輔のホームグランドなんだよねぇ。

ホンキートンク 漫才 (9分)
 今日は、色物さんの出番が結構入れ替わった。当初の番組ではペペ桜井の番での登場のはずだった。まぁ、いろいろあるのでしょう。コンビの名前の由来を説明しなかったのを聴いたのは、もしかすると初めてかもしれない。時間の関係だろう。しかし、いつものような軽快な漫才だった。

三遊亭丈二 漫談 (13分)
 彦いちと順番が入れ替わっての登場。結果としてネタの出来る時間ながら、相変わらずの、つまらない漫談。そろそろ二ツ目の頃の名前のことをネタにしたマクラは、やめにして欲しい。まだ、若いのだ。しっかりネタをやりなさい!

柳亭燕路『短命』 (15分)
 丈二に見せたい高座。しっかりとネタをかけてくれた。この人の高座は、語り口や身振り表情などを含め、落語の“教科書”になるような本寸法なもので、きっと沢山の若手が稽古に出かけるのではないか、そんな気がする。

三遊亭小円歌 俗曲 (15分)
 昭和の名人の出囃子の披露を中心に、最後はカッポレで締め。いつもの元気で艶のある時間と空間が、落語協会の寄席には不可欠。

初音家左橋『親子酒』 (14分)
 先代馬生門下から伯楽門下となって、この名は初代らしい。二度目だが、なかなか本寸法の高座。この会場でこの噺となると、歌武蔵を思い出す。息子が酔って帰ってきて、ドタンとあの体で倒れるのが、何と迫力のあったことか。左橋は、そんな大げさな演出はしないのだが、父、母、そして息子いう三人の登場人物をしっかり描いていた。全体の印象もなかなか結構。まだまだ聞くべき噺家さんがいる、と痛感させられた。

川柳川柳 『ガーコン』 (20分)
 高座に釈台が置かれてから、ご本人登場。交通事故で怪我をしたらしい。正座ができないので釈台で隠していると言い、わざわざ釈台をはずして、「こんな恰好では失礼でしょう」と解説&言訳。数えで82歳。その十八番は、いつも通りで健在を示した。弟子のつくしも来年真打昇進、まだ頑張ってもらいましょう。

アサダ二世 奇術 (10分)
 色物さんは時間変更が多かった。この時間は予定ではペペ桜井の出番。結局、マギー隆司の予定時間にホンキートンク、ホンキートンクの時間にペペ、マギーは休演だった。この人も、私には先週の浅草から連続。ほとんど同じ基本(?)の芸だったが、時間が短い分だけお客さんからお金を預かってのマジックはなかった。

柳家小さん『家見舞』 (15分)
 仲入り前は、この人。寄席でたまたま出ている時にしか聴かない人なので、久し振りだ。失礼な言い方になるが、期待していなかった分、なかなかの高座に驚いた、というのが正直な感想。語り口が以前に比べて、良い意味で渋くなり味わいが出てきた印象。この名前でさえなければ、もっと褒めるのだが・・・・・・。

入船亭扇好『のっぺらぼう』 (12分)
 いわゆる“くいつき”は、この人。実は初見。当初は扇辰よりもこの人のほうが将来を期待されていた、という落語愛好家の方の情報をコメントでいただいたことがある。なるほど、三升家小勝の作といわれる短い怪談噺をしっかり演じていた。ただし、現在後輩扇辰が高座で醸し出す味というか、深みのようなものは残念ながら感じられない。軽快でリズミカルは結構。あと少し“何か”が欲しい。

笑組 漫才 (12分)
 時事ネタとしてiPS細胞の話題から。iPSからつくった自分の肝臓(レバー)を食べる回数は1000度。なぜならレバーはXXが命、でサゲ。この地口には、ちょっと笑えなかったなぁ。七福神は実は十人の神様がいて、三人が宝船に乗り遅れた、遅れた理由は・・・・・・というネタは初めて聴いた。こちらはなかなか結構。以前に聴いた「銀河鉄道の夜」を題材にしたネタには、この人たちならではのメルヘンを感じた。新たな作品として「坊ちゃん」に挑戦しているとコメントをいただいたが、さて、その進捗はどうなっているのだろう。

金原亭馬の助『手紙無筆』 (14分)
 一朝の代演はこの人。先週の浅草と同様、ネタの後で百面相。大黒、恵比寿、達磨そして狸。この芸はぜひ誰かに継いでもらいたい。見た目からは志ん陽を推薦^^

金原亭伯楽『目黒のさんま』 (14分)
 「秋らしくなってまいりました。季節にふさわしいお噺を」と、うれしいこのネタ。「カタカナのトの字に一の引き様で、上になったり下になったり」で、このネタを察した時は、何ともうれしくてたまらなかった。実は、電車の中で、ちょうど三遊亭金馬のこの噺を聴いていたのだ^^
 もちろん師匠先代馬生も十八番だったネタ。実に結構だった。昭和14年生まれは小三治と一緒で志ん朝の一つ下。総領弟子だったのだが、弟弟子に馬生襲名を譲った。かつて時代劇などで活躍した「桂太」も、七十三歳。しかし、まだまだ現役バリバリの高座。それも、旬のネタを見事に聴かせてくれた。この高座だけでも、来た甲斐があった。年末に振り返る時に、何らかの賞に価する高座だと思うので、赤い色を付けておこう。

翁家勝丸 太神楽 (10分)
 太神楽の若手では、三本の指に入る芸と話芸。傘と鞠の芸では、客席の二人が上手く投げることができないハプニングがあったが、それもこなしての達者の技だった。

柳家小里ん『木乃伊とり』 (33分)*終演午後4時38分
 期待したネタは『うどん屋』だったが、十日間通うわけでもないのに、それは無理と言うものだろう。このネタも実に結構だった。飯炊きの清蔵がいい。まさに、この人にはニンな役柄。このネタでは白酒の大爆笑ものを思い出すが、小里んのような本寸法があってこそなのだと思う。小さん門下で、権太楼とは年も真打昇進も一つ違いの実力者。渋すぎて目立たないが、寄席ではこの人や南喬などベテランの存在が、実は落語協会と芸術協会の底力の差になっているように思う。


 主任小里ん、そして伯楽の高座に十分満足して帰宅。もちろん、他にも数多くの噺家さんや芸人さんが、ゆったりと寄席の気分を楽しませてくれた。
 帰宅し、一杯飲みながらブログを書こうとしたのだが、途中で外の空気を吸って空を見上げれば、雲間に見える十三夜の月。これは、月見酒を楽しまないわけにはいかない。パソコンを閉じて、つい酒量が増えていき、ブログを書くのは日曜の夜、となった次第。やっぱり、寄席はいいね。
by kogotokoubei | 2012-10-28 19:48 | 寄席・落語会 | Comments(10)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


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