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噺の話

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2011年 12月 22日 ( 1 )

 昨年の第六回は、渋谷で土曜日の開催(2010年12月11日のブログ)だったが、また元の赤坂に戻って平日の開催。400席程の会場の入りは八割程度だろうか。落語研究会などど重なっているし、開演時間が早いせもあるのかもしれない。この会場は昨年の8月以来、久しぶりである。

次のような構成だった。
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(開口一番 古今亭半輔 『たらちね』)
古今亭朝太   『あくび指南』
ホンキートンク  漫才
古今亭志ん輔  『明烏』
(仲入り)
内海英華    女道楽
桂春団治    『お玉牛』
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古今亭半輔『たらちね』 (18:00-18:15)
ずいぶん上手くなったと思う。また、師匠にどんどん似てきた。大家が八五郎に嫁を世話すると言う前段で、あえて「実はうちの婆さんがお前を好きでねぇ」という言葉を挟み、「えっ、婆さんはいらねえ!」という会話も結構笑えた。「たまごの会」を含む精進で成長していることが分かる高座。今後も楽しみだ。

古今亭朝太『あくび指南』 (18:16-18:37)
これまでは、何か落ち着きのない高座が少なくなかったのだが、今回はなかなか堂々としたものだった。来年秋の真打ち昇進が良い方向に作用しているのだろう。途中で「湯屋のあくび」を挟んだが、これは初めて聞く。「うなって、都都逸、最後は念仏」というなかなか難しい“あくび”なので、やはり“夏のあくび”の稽古となる。「おい船頭さん」以降の調子の良い軽いリズムの語り口が、この人の若さに似合って好ましい。煙草(高級煙草の水戸産の「水府」の名も登場)を素材としたクスグリは、小三治(そして喜多八、三三)も挟むが、少し演出が違う。と言うか、全体のリズム、スピードが違う。どちらかと言うと小三治版が“スローバラード”のリズムなら、朝太はアップテンポのジャムセッション、という感じ。(つい、前回の内容を引きずってジャズで喩えてしまった^^)これまた良し、である。

ホンキートンク『漫才』 (18:38-18:54)
寄席の雰囲気を醸し出すための人選だと思うが、最初はちょっと会場と温度差はあった。しかし、出身地のネタになり、客席から左側の弾(DAN)が「愛知出身の人」と会場に声をかけ、元気に手のあがった前の方のお客さんに助けられるなどして、次第にいつものペースに。私はこの二人、嫌いではない。

古今亭志ん輔『明烏』 (18:55-19:40)
 震災復興ハガキのことをマクラで宣伝していたが、その効果はてきめん(?)で、仲入りで私が買いに言ったらすでに売り切れだった。奥さんと志ん輔の二人で、「もっと用意したら良かった」と言いながらも笑っていた姿が、微笑ましかったなぁ。
 さて本編。前半は何とも言えずリズムに乗り切れない感じ。堅物の息子時次郎を父の日向屋半兵衛が叱る場面なども、何かぎこちない。この人独特の“間”の効果ではなく、少しリズムが狂って言葉を探し探ししながら進んだような、そんな印象。
 しかし、源兵衛と太助が登場したあたりから、だんだん好転してきた。二人の会話でどちらが源兵衛で、どちらが太助かを分かるように工夫して会話していたように思う。実はこの噺を聞くと、ほぼ必ず途中から“喉にひっかかった小骨”のように、「どっちが源兵衛だったっけぇ?」という疑問が沸くのだ。そういった、高座を楽しむ上で邪魔になる、いわば“ノイズ”を減らしてくれた。結構、意識してそうしていたのではなかろうか。そして、ついそんな思いで聞いていたものだから、お茶屋の女将が、「あ~ら、源兵衛さんお久しぶりじゃありませんか」と言った科白に、“おっ、この演出はオリジナルか?!”と喜んで、終演後の「居残り会」でも自説を披露したのだが、残念。帰りの電車で志ん朝の音源を聞いたら、女将が「源兵衛さん」と、しっかり言っている・・・・・・。
 それはともかく、主役は三代目、という遠慮などもあるように思えた前半に比べ、後半の高座には、師匠の呪縛から解放された、新生志ん輔版『明烏』の片鱗を見たように思う。時次郎が駄々を捏ねる場面や翌朝の源兵衛と太助とのグチ噺も、工夫が見られた。「成績」の悪かった二人の会話で、。兵衛が、文楽なら有名な“甘納豆”のところを、お茶に“小梅”とする。ちなみに師匠志ん朝は砂糖まぶしの“梅干”である。三つも食べてはタネを太助めがけて吹き飛ばすのだが、この人の強みである顔の表情による演技が生きていて、サゲに向かう前の楽しいアクセントになっていた。
 前半のもたつきさえなければ、今年のマイベスト十席候補にしていたのだが。しかし、今後に大いに期待させた高座であった。

内海英華『女道楽』 (19:52-20:12)
 いいんだなぁ、この人。まず出囃子「老松」での登場から「おっ!」と思わせる。恩田えりちゃんにお願いしたようだが、会場の多くの志ん朝ファンは喜んだと思う。途中に挟む話でも、「大阪で志ん朝師匠が『明烏』を演じた後、『英華ちゃんは、大阪のお巫女頭だね!』と言ってくれました」、という言葉で、私は熱いものがこみ上げてきた。
 もちろん、その芸も結構なもので、「伊勢音頭」から「さのさ」の本寸法・京都弁版・河内弁版、都都逸と、客がお茶屋で遊ぶ雰囲気を楽しませてくれた。「ぬるい酒でもお前の手からついでくれれば熱くなる」なんて、結構でんなぁ。酒の銚子の色っぽい持ち方と注ぎ方の講義(?)なども良かったが、叶(化膿)姉妹ネタのみ、余計だったかな。

桂春団治『お玉牛』 (20:13-20:32)
 4月27日に腸閉塞で入院し、5月14日に復帰した高座もこのネタだったらしい。また、昨年のNHK新人演芸大賞で桂まん我が、三代目直伝のこの噺で勝負し、その高座は良かったものの、勝負は一之輔に譲ったことを思い出させる。
2010年11月6日のブログ

 昨年の渋谷での会の『代書屋』も楽しかったが、今回のほうがお元気そうにお見受けした。結構前のほうの席だったので、お顔の色合いなども十分に分かったのだが、元気一杯の感じで、うれしかった。志ん輔がマクラで言っていたが、毎年だんだん元気になるような気がする。「百二十歳まで」は無理としても、過去に百歳で現役の落語家は存在したはずなので、頑張っていただきましょう。
 いつものように短いマクラからの本編は、感心と爆笑の連続。
・最初に大勢登場する村の若い衆の名前を並べる、道中言い立て風の楽しくも見事な口調
・アババの茂平が、若い者の憧れであるお玉ちゃんの唾のついた煙管を舐める場面
・夜這い男が、牛と知らずに寝床に忍び込み、牛の尻尾をお玉ちゃんのお下髪げと間違い、
 そのお下げ(尻尾)で頭を叩かれる場面での、扇子を使った見事な芸
・鬢付け油と間違えた○○○の臭いを嗅いだ時の、何とも可笑しな仕草
などなど。
 絶妙と言うか何と言うか、終演後も余韻がしばらく消えない素晴らしい三代目の高座に、ただ感謝である。


 落語会全体としてハズレがまったくなく、十分に満足して、お約束の忘年「居残り会」へ。ある意味でレギュラーと言える、紅一点の美人を含む“よったり”で飲んだお酒の楽しかったこと。もちろん帰宅は日付変更線を超えたのであった。
by kogotokoubei | 2011-12-22 08:44 | 寄席・落語会 | Comments(4)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


by 小言幸兵衛