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噺の話

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2009年 08月 29日 ( 1 )

駅前での選挙演説の“騒音”から逃げるように会場へ。二年前の4月に会議室で開催された遊雀と白酒の会以来である。開演前に主催の日本文化情報会の須加さんからご挨拶があったが、南大沢寄席としては二年前の第30回開催以降久しく休んでおり、捲土重来を期したのが今回の第31回とのこと。しかし、500席の会場は満席とはいかず、七割強の入り。採算がちょっと心配。しかし、菊之丞を中心としたかつての会の会場は会議室でパイプ椅子だった。遊雀の『初天神』を唾がかかるかと思えるような席で聞き笑い転げたことが、今や懐かしい。日本文化情報会の現在の主要落語会は八王子で開催されているが、日曜が多く、20年来の仲間と毎日曜はテニス(とアフターテニス)と決めている私は、好みの噺家さんの名前が並んでいるのを眺め、いつも歯軋りしている。南大沢が土曜開催で復活してくれるのであれば、できる限り足を運びたい。

さて、演者とネタ。
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(開口一番 柳家おじさん  子ほめ)
柳家ほたる   反対車
柳家甚語楼  狸の賽
柳家権太楼  火焔太鼓
(仲入り)
古今亭菊之丞 天狗裁き
柳家権太楼  代書屋
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おじさん(14:04-14:15)
なんともユニークな名である。一昨日の立川らく兵などに比べたら、決しておじさんぽくないが・・・・・・。残念ながらも声がハスキーというか、枯れ気味。声は大きく出そうという努力はわかるが、持ち味としては少し損であろう。しかし、志の輔のことを考え、がんばりましょう。

ほたる(14:16-14:32)
前座時代は数多く聞いた気がするが二つ目になってからは、たぶん初めて。ずいぶん上手くなった。この噺で思い浮かぶのは談志家元や圓蔵。いずれにしても二つ目が演じることは、あまりないはず。しかし、若さを生かした座布団上での「ジャンプ」を含め、会場を沸かせっぱなしだったことが、出来野よさを物語っている。見た目を裏切るブラックなクスグリを磨いていけば、見た目(メタボ系?)からも桃月庵白酒と同じような路線になるような気もした。将来を期待させる芸だった。

甚語楼(14:33-14:53)
ほたるとネタが逆だろと思わせる前座噺だが、良かった。先日の鈴本から日が空いてなく、これで顔と名前を覚えられそうだ。将来寄席の重要な中堅にはなり得る。しかし、もう一皮向ければ、寄席で欠かせない一朝師匠のような存在になる可能性もある。そんな印象を受けた。

権太楼『火焔太鼓』(14:54-15:28)
選挙と酒井法子ネタのマクラから会場はエンジンがかかりっぱなし。たぶん定番ネタだろうとは思ったが、まさか『火焔太鼓』とは思わなかった。権太楼版の特徴はいくつかあるが、もっとも効果的なのは甚兵衛さんと侍との会話で鸚鵡返しを上手く使って笑いを倍増させるところだろう。『青菜』もそうだが強い女房と少しとぼけた旦那を演じさせた時の表情を含めた演技は、あまりにもオリジナリティに富んでいて、そして笑わせてくれる。

菊之丞(15:43-16:08)
この人のこの噺は初めて。一昨日の『船徳』ではないことだけ願っていたが、うれしい誤算とも言えるネタに出会えた。一月の青森での保育園での落語会のネタは今年の定番でもいえるが、会場の雰囲気に合わせて選んだのだろう。丁寧な語り口で、ところどころで伏線を散りばめながら、噺を盛り上げた技量に、あらためて感心した。

権太楼『代書屋』(16:09-16:35)
これこそ定番である。しかし、会場は終始笑いっぱなし。主任以外の場合の寄席より少し長い分だけマクラも長く、ところどころの演出に工夫もこらしていたが、ともかく「安定」した笑いで、会場に大勢いたと思われる“初権太楼”のお客さんを圧倒した。私の隣の席の中年女性など涙を流しながら笑っていた。これぞ“権太楼ワールド”である。個人的には、次のテニス仲間との合宿の余興でこのネタをかけるつもりなので、大いに勉強になった。微妙な“間”と計算され尽くされた緩急の演出の凄さが、演じる観点から見ているとよく分かった。


主催者の須加さんの強い思い入れと、東京都心を離れた地域の落語ファンの気持ちを、権太楼師匠が十分に汲み取ってくれた、そんな落語会だった。まさに、“これぞ権太楼落語”という爆笑ネタを二席たっぷり。お客さんは団体で来ていた女子高校生を含め大満足だったのではなかろうか。以前に八王子での喬太郎・菊之丞の会の時は、珍しく連れ合いと一緒だった。南大沢が継続するためなら、カミさんに限らず知り合いにもぜひ声をかけよう、とそんな思いで会場を出た。大変でしょうが、ぜひ続けてください。
by kogotokoubei | 2009-08-29 18:32 | 寄席・落語会 | Comments(0)

落語のことを中心に、ときたま小言や独り言。


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