映画「レンタル・ファミリー」について(4)
2026年 03月 03日
映画「レンタル・ファミリー」の最終四回目。
こちらが公式サイト
映画「レンタル・ファミリー」公式サイト
同サイトより。
東京で暮らす落ちぶれた俳優フィリップは、日本での生活に居心地の良さを感じながらも、本来の自分自身を見失いかけていた。そんな中、“レンタル家族”として他人の人生の中で“仮の”役割を演じる仕事に出会い、想像もしなかった人生の一部を体験する。そこで見つける、生きる喜びとは?
アカデミー賞®俳優ブレンダン・フレイザー、日本を代表する多彩なキャストとともに、注目の日本人監督HIKARIが日本を舞台に贈る、世界が経験したことのない未知の出会いに満ちた、感動ドラマ。
予告編。
<スタッフ>
□監督:HIKARI
□製作:エディ・ベイスマン、ジュリア・レベデフ、HIKARI、山口晋
□製作総指揮:ジェニファー・セムラー、小泉朋、スティーブン・ブレイハット、
レオニード・レベデフ、ブレンダン・フレイザー、オーレン・ムーバーマン
□脚本:HIKARI、スティーブン・ブレイハット
□撮影:石坂拓郎
□美術:磯田典宏、高山雅子
□衣装:望月恵
□ヘアメイク:百瀬広美
□編集:アラン・ボームガーテン、トーマス・A・クルーガー
□音楽:ヨンシー アレックス・ソマーズ
□キャスティング:川村恵、高田ゆみ
<キャスト> ※役名:俳優名
□フィリップ・ヴァンダープルーグ:ブレンダン・フレイザー、日本に住むアメリカ人俳優
□多田信二:平岳大、会社「・ファミリーの社長
□中島愛子:山本真理、レンタル・ファミリーの従業員
□光太:木村文、レンタル・ファミリーの従業員
□川崎美亜:ゴーマン シャノン眞陽
□川崎瞳:篠﨑しの、美亜の母
□長谷川喜久雄:柄本明
□雅美:真飛聖、喜久雄の娘
□LOLA:安藤玉恵、フィリップと仲の良い風俗嬢
□佳恵:森田望智、レンタル・ファミリーの客
□多田の妻:板谷由夏
では、この映画の魅力などについて。
もちろん、ネタバレなのでご注意のほどを。
前回までの題。
(1)フィリップの職探し
(2)レンタル・ファミリー事務所訪問
(3)最初の仕事
(4)美亜ーフィリップは父になれるか
(5)認知症の老優
(6)多田の家族
(7)愛子の仕事
(8)フィリップと愛子
(9)美亜と親密に
(10)俳優の仕事を断るフィリップ
(11)化け猫まつり
(12)天草へ
(13)美亜の面接
(14)喜久雄倒れる
(15)多田の家族
(16)愛子キレる
(17)警察と弁護士
(18)美亜合格とその後
(19)喜久雄の葬儀
(20)美亜との再会
(21)神社にあったもの
さて、この映画の魅力について。
(A)永遠のテーマ「家族とは何か」の問いかけ
この映画は、永遠のテーマとも言える「家族とは何か」という問いを突きつける。
中核となるストーリーの一つである美亜の父親役において、示唆するものは大きい。
会社の社長多田は、決して依頼人と親密になるなとフィリップに言う。
また、美亜の母瞳は、携帯で連絡を取り合うようになった美亜とフィリップの関係を割こうとする。
美亜にとっての父の存在に加え、詳しくは語られないが、フィリップにとっての子供という、失われていたピースが埋まったことが、ビジネスライクにはできない展開を迎える。
また、せっかく親密になった父フィリップを再び失うことによる美亜の心情を、残念ながら瞳が真剣に危惧する様子は見えない。
肉親だからと言って、親子は十分に理解しているのだろうか、という疑問は、喜久雄と娘雅美との関係でも提起される。
認知症が進む喜久雄のことを、娘雅美が心配するのは当然だろう。
しかし、家に縛り付けることが、喜久雄にとって幸せな最期につながるのだろうか。
そういう思いやりは、逆に家族ではないフィリップだから理解できるのかもしれない。
観ていて、「万引き家族」とともに思い浮かべた映画がある。
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンによる映画「最高の人生の見つけ方」(2007年、日本版は吉永小百合と天海祐希で2019年)だ。
オリジナルの英語タイトルは「The Bucket List」
余命宣告を受けた2人の主人公が、「死ぬまでにやりたいことリスト(バケット・リスト)」を抱えて最後の冒険に出るあらすじだ。
もし、肉親なら、そんな冒険を止めるに違いない。
喜久雄の「バケット・リスト」は、生まれ故郷天草で、タイムカプセルを掘り出すことだった。
その夢をかなえての最期は、きっと幸福だったに違いない。
そして、多田の家族のこと。
「嘘でも時には本当になる」が、大半は嘘はやはり嘘なのだという制作者のバランス感覚が効いていた。
予告編から。

※中華料理屋におけるフィリップへの愛子の言葉が、美亜のシーンに重なっている
(B)日本再発見の魅力
この映画には、東京の下町や神楽坂などはもちろん、天草ロケなどによる日本の再発見という魅力がある。
なかでも天草の喜久雄の生家の姿には、原風景とも言える趣があった。
ちょっとした、都会と地方を含むロードムービー的な楽しさがあった。
公式サイトより「ロケ地マップ」。

浅草のお好み焼き屋なども含め、ロケ地の選択に監督、脚本家のセンスの良さを感じる。
また、天草の旧家を喜久雄の生家として作り上げた美術の「汚し」の貢献なども大きい。
製作陣のチームワークの良さがうかがえる。
(C)キャストの魅力
主演のブレンダン・フレイザーは、難しい役回りを見事に演じている。
さすが、オスカー俳優。
そして、柄本明も、想定範囲とはいえ、その演技が光る。
フィリップが喜久雄の家に忍び込んで天草に行く際、とっておきの逃亡衣装(?)を着こなした場面などは、この人ならではの秀逸さ。
天草での二人の演技が、この映画の一つの見どころ。
予告編から。

また、忘れてならないのは、美亜役のゴーマン シャノン眞陽(まひな)。
フィリップとの関係が次第に親密になっていく過程を、見事に演じていた。
この映画は、彼女なしにはなり得なかったとさえ思う。
他のキャストも、それぞれ好演。
ということで、アクション映画やサスペンス映画などとは異なり、心にじんわりと沁みる、お薦めの映画です。
観ましたよ。観てからじゃないとネタバレもあるのでコメントできないので。^^
主役のブレンダンさん、なかなかいい味を出していました。昔の知り合いに日本在住のオーストラリア人がいるのですが(現在は本国に帰国)、その彼を彷彿とさせる演技でした。ストリーも後半軽いツイストを効かせながらの結末。監督のHIKARIさんのBEEFを2年前に観ましたが、油に乗り始めた感じです。これから益々の活躍を期待したいですね。
