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映画「ワン・バトル・アフタ―・アナザー」について(2)


 「ワン・バトル・アフタ―・アナザー」の最終二回目。

 ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門で作品賞、監督賞、脚本賞、助演女優賞を獲得した。
「映画.com」サイトの該当ページ

 実は、公開直後に観ている。

 こちらが公式サイト。
映画「ワン・バトル・アフタ―・アナザー」公式サイト

 予告編。



 公式サイトから。

映画「ワン・バトル・アフタ―・アナザー」について(2)_e0337777_17252385.jpg


<スタッフ>
□監督:ポール・トーマス・アンダーソン
□製作:ポール・トーマス・アンダーソン、アダム・ソムナー、サラ・マーフィ
□製作総指揮:ウィル・ワイスク
□脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
□撮影:マイケル・バウマン、ポール・トーマス・アンダーソン
□美術:フローレンシア・マーティン
□衣装:コリーン・アトウッド
□編集:アンディ・ユルゲンセン
□音楽:ジョニー・グリーンウッド
□キャスティング:カサンドラ・クルクンディス

<キャスト>
□レオナルド・ディカプリオ:“ゲットー”パット・カルフーン/ボブ・ファーガソン
 革命グループ「フレンチ75」の元メンバーで爆発物の専門家
□ショーン・ペン:スティーブン・J・ロックジョー大佐
 フレンチ75を追う腐敗した軍人
□ベニシオ・デル・トロ:センセイ/セルジオ・セント・カルロス
 空手道の師範であり、バクタン・クロスの不法滞在者コミュニティのリーダー
□テヤナ・テイラー:パーフィディア・ビバリーヒルズ
 フレンチ75のメンバーで、ウィラの母、やや狂気を帯びた革命家
□チェイス・インフィニティ:シャーリーン・カルフーン/ウィラ・ファーガソン
 ボブとパーフィディアの娘
□レジーナ・ホール:ディアンドラ
 フレンチ75のメンバー。ボブとパーフィディアの古くからの同志
□アラナ・ハイム:フランス75人のメンバー、メイ・ウェスト
□ポール・グリムスタッド:ハワード・サマービル
 フレンチ75のメンバー
□トニー・ゴールドウィン:ヴァージル・スロックモートン
 白人至上主義者の秘密結社クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブのメンバー
□ジョン・フーゲナッカー:ティム・スミス
 クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブのメンバー
□スターレッタ・デュポワ:パーフィディアの母、グランマ・ミニー
□エリック・シュヴァイグ:賞金稼ぎアヴァンティ


 前の記事でWikipedia「One Battle After Another」(英語版)を元に、一挙にあらすじをご紹介した。
Wikipedia「One Battle After Another」
 

 見出しを確認。
 
 もちろんネタバレなのでご注意のほどを。

(1)フレンチ75の拘置所襲撃
(2)ロックジョーとパーフィデイア
(3)パーフィディアとパットとの別れ
(4)パーフィディア逮捕とロックジョーとの取引き
(5)「フレンチ75」壊滅
(6)ボブとウィラ
(7)16年後のボブとウィラ
(9)バクタンクロスの戦いと脱出
(10)クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブの追跡
(11)ウィラとロックジョー
(12)セルジオとボブ
(13)アヴェンティとウィラ
(14)ティムとロックジョー
(15)ウィラの逃亡
(16)ロックジョーの最期
(17)ウィラ

 では、この映画の魅力から先に。

(A)ビスタビジョンによる映像効果
 全編を通して、カーチェィスは迫力満点だ。
 なかでも、(14)(15)の場面では、実際に自分が車に乗っているような臨場感たっぷり。

 これは、監督が執着した「ビスタビジョン」の効果も大きい。

 「映画.com」に「ビスタビジョン」の説明があったので引用。
「映画.com」サイトの該当ページ

「SHOT ON VISTAVISION」とは、1950年代にアメリカで開発された撮影方式「ビスタビジョン」を採用した作品を指す。通常は35ミリフィルムを縦向きに撮影するが、ビスタビジョンでは横向きに走らせる。この方式によって、スタンダードサイズの2倍以上の面積で撮像が可能となり、アクセプト比(1.66:1)での高画質で映写できる画期的な技術になっている。

開発当初、ハリウッドで人気を博したビスタビジョンだが、撮影用フィルムが2倍必要となり(撮影可能時間も短い)、カメラが大型化するなど難点も多く、1961年の「片目のジャック」以降は使用されることはなかった。

1977年、ジョージ・ルーカスが「スター・ウォーズ」の特殊撮影にビスタビジョンを採用したことで、その映像表現力が再び注目を集める。以後、「スター・ウォーズ」シリーズを筆頭に、「トロン」(1982)、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985)、「エイリアン」(1986)など、視覚効果と特殊効果を最大限に引き出すために錚々たる作品でビスタビジョン撮影が採用されている。

直近ではアカデミー賞4部門を受賞した「哀れなるものたち」(2023)、同賞3部門受賞作「ブルータリスト」(2024)など、映像の質感を重視する監督たちが本編映像の一部にビスタビジョンを採用している。

 なるほど、「哀れなるものたち」のあの映像美も、ビスタビジョン効果だったのか。

 日本では1958年に大映が導入し、第一作目は京マチ子、鶴田浩二が主演した『地獄花』とのこと。
Wikipedia「ビスタビジョン」

 ビスタビジョンによる映像美は、この映画の最大の魅力だと思う。
 もちろん、それは、監督、撮影監督などスタッフの努力の成果でもある。

(B)社会問題に正面から向き合う
 レジスタンスによる難民の救助が基底にある映画であり、アメリカの今の問題に真正面に向きあっていることも、この映画が支持される理由だろう。
 製作はトランプ政権ができる前なので、サンクチュアリシティをモデルとする聖域都市を取り上げるなど、先駆的でもある。
 KKKもどきのCACの登場なども、なかなかに鋭い。
 ボブが、フレンチ75の合言葉を思い出せなくて苦労する場面は、IT社会におけるパスワード忘れ、という中高年が日々直面する問題をも描いているといえるだろう。
 わかるのよ、あの苦労。

(C)アクションの中に漂うユーモア
 合言葉忘れも含め、ボブはとことんダメおやじ、である。
 逃走中に捕まったり、酒とドラッグで怠惰な生活を送っていたり、妻からも娘からもないがしろにされたり。ディカプリオ演じるボブの姿は、スリリングなアクションの中で重要なユーモアのオアシスとなっている。
 また、ロックジョーの変態ぶりも、好みにもよるが、笑える。

(D)キャストの魅力
 ダメおやじを演じたディカプリオはもちろん、他の俳優には無理だろうと思わせるショーン・ペンの変態軍人ぶり、そして、日本人には嬉しいセンセイ役のベニシオ・デル・トロ、などなんとも贅沢が顔ぶれが、多彩な人物を演じている。


 こういった魅力は、もちろん否定しない。

 しかし、私は、この映画にいくつか疑問、言い換えるなら違和感を抱いている。

(a)パーフィディアの行動への違和感
 彼女の行動について違和感がある。
 いくら、血の気が多いとはいえ、ボブはともかく、娘のウィラを捨てるのは解せない。
 また、レジスタンスのリーダー的な存在でありながら、ロックジョーとの取引に応じ、自分が助かりたいがために同志を裏切るというのも、解せない。
 この映画の元になっているトーマス・ピンチョンの『ヴィンランド』は読んだことがないが、同書がそのようになっていても、違った脚色もあり得たのではなかろうか。
 たとえば、パーフィディアは取引で仲間を売ったのではなく、何らかのミスで仲間の名が知れた、とか。
 そして、最後に彼女が登場して娘を救う、という筋書きもあり得るし、母と娘を、ダメおやじのボブ最後に救う、なんてのもあるのではないだろうか。

(b)ロックジョーの行動への違和感
 この人の変態的行動はユーモアの味付けになってはいるのだが、やや行き過ぎではないかと思う。
 ショーン・ペン以外のキャストだったら、観ていて引いてしまうだろう。
 もちろん、パーフィディアへの異常なまでの執着があったからこそ、この映画が成り立つとは思うのだが、あそこまでの狂いぶりが必然だったのかどうかは疑問。

(c)ティム・スミスの行動への違和感
 ロックジョーは、白人至上主義のクリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ(CAC)に入会するために、過去に非白人女性との交流の証拠であるウィラを消そうとした。
 そして、ティム・スミスは、CACのメンバーとして、あくまで、ロックジョーを抹殺するよう命じられた。
 しかし、彼は、ロックジョーを撃った(きっと死んだと思っていた)後、なぜ、ウィラをも殺そうとしたのか。
 すでにロックジョーがいなくなれば、ウィラがいたところで、CACにとって都合の悪いことはないはず。
 あのカーチェイスを観ながら、ずっと気になる疑問がこれだった。

 
 ということで、こういった違和感、疑問が私には残った映画。


 評価は人それぞれだが、アカデミー賞作品賞受賞に相応しいのかは、疑問。



 さて、立憲民主党と公明党による新党の名が「中道改革連合」になるようだ。

 「中道って何?」という疑問を抱く人も多いだろう。

 この映画で右と左を象徴的に描くと、こうなる。


    左                   右

 フレンチ75      クリスマス・アドベンチャラーズ・クラブ
    極左                 極右
  多様性支持              白人至上主義
 移民排除政策に反対             移民反対

 わかる範囲では、こんな感じ。

 なお、銃規制については、どちらも反対のようだ。
 

 では、新党が中道とするなら、日本の政党は、どのように位置付けられるのだろうか。

 この件、別途記事にしたいと思う。

Commented by tanatali3 at 2026-02-07 06:12
ごぶさたしております。
ワン・バトル・アフタ―・アナザー、罪人たち、は観ました。カミさんは途中で脱落。
今回の中で個人的に好きな作品はトレイン・ドリーム。抒情的映像に惹かれました。
Commented by kogotokoubei at 2026-02-07 08:09
>tanatali3さんへ

お久しぶりです。
お帰りなさい、かな^_^
アカデミー賞当日まで、ノミネート作品を、あと2、3作観たいものです。

貴ブログを楽しみにしています。
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by kogotokoubei | 2026-01-16 12:54 | 映画など | Trackback | Comments(2)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


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