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泊原発三号機の危険性ープルサーマルという幻想


 北海道知事が、泊原発三号機の再稼働を認めた。

 「現実的な選択肢の中では再稼働はやむを得ない」というのが、鈴木知事の言い分らしい。

 なぜ、やむを得ないのか。

 それは、政府が原発再稼働に前のめりであり、柏崎刈羽も再稼働するから、という政治的な判断であり、そこには、何ら科学的な裏付けなどは存在しない。

 このニュースで、ほとんど語られていないのは、泊三号機には、「プルサーマル」あるいは「MOX燃料」の危険性が大きいということだ。

 (注)MOX:Mixed Oxide Fuelの略。混合酸化物燃料。ウランとプルトニウムを混ぜた燃料のこと。

 「プルサーマル計画」について、北海道電力サイトから引用する。
北海道電力サイトの該当ページ

泊発電所3号機では、ウランとプルトニウムを混ぜ合わせた燃料(MOX燃料)を使用する計画です。このMOX燃料を原子力発電所で使うことをプルサーマルといいます。

燃料のリサイクル「プルサーマル」

原子燃料サイクルを推進すること、および利用目的のないプルトニウムを持たないためには、プルサーマルが必要であることを踏まえ、当社は、自社で保有するプルトニウムを自社の責任で消費することを考えています。

当社は、プルサーマルについて、福島第一原子力発電所での事故以降の原子力を取り巻く情勢変化やシンポジウムでの不適切事案もあったことなどを踏まえ、2011年10月に、今一度立ち止まって整理することとしました。

その後、不適切事案については、再発防止策を実施しており、現在もコンプライアンスの取り組みの一つとして継続しています。


 この「不適切事案」とは、シンポジウムにおける“やらせ”事件のことなどを指している。

 あの「もんじゅ」の失敗でも明らかだが、プルサーマル計画は幻想であり、実に危険であることは歴史が証明している。
 今は更新していない兄弟ブログ「幸兵衛の小言」で「もんじゅ」について書いたことがある。
「幸兵衛の小言」の該当記事

 この記事で引用した10年前の東京新聞の核燃料サイクルの図を再度お借りする。

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 「もんじゅ」では、廃炉のために今も税金が使われている。
 廃炉工程は2047年度までの4段階。
 第1段階では原子炉と貯蔵庫にあった核燃料530体を水の入ったプールに移した。
 第2段階は、2031年度までの計画で、原子炉の遮蔽体の取り出しや、2026年度までにタービン発電機などを撤去する。
 2028~2031年度には、液体ナトリウムを英国に搬出する計画だ。
Wikipedia「もんじゅ」

 
 「プルサーマル」という破綻している幻想を、いまだに「やめる」勇気を持てないのが、自民党であり、電力会社をメンバーとする経済界なのだ。


 3.11以降、原発のことや時事的な話題についての記事が増え、本来、落語会や寄席の備忘録として始めた「噺の話」というタイトルにふさわしくなくなったと思い、「幸兵衛の小言」という題で、時事ネタはそっちに分家(?)した。

 しかし、そのうち落語の記事もめっきり減ってきて、ブログタイトルを「あちたりこちたり」に変更。

 よって、「幸兵衛の小言」は、更新しなくなった。

 しかし、原発再稼働という暴走により、それらの古い記事が、いまだに存在意義を持っていると感じている。

 「幸兵衛の小言」の過去の記事から、いかにプルサーマルやMOXが危険なのか、あらためてご紹介したい。

 「MOX」は、例えば原子炉のブレーキに相当する制御棒が効きにくいなど原発稼動中の危険性も大きいが、その燃料を作る過程や再処理まで危険がいっぱいであることを、『新装版 反原発、出前します-高木仁三郎講義録-』(反原発出前のお店編、高木仁三郎監修、七つ森書館)から引用したい。

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『新装版 反原発、出前します』(七つ森書館)


 MOX燃料を使うためには、ウラン濃縮度がいろいろ違った燃料を作らなくてはなりません。さらにプルトニウムの冨化度(濃度)もいろいろと違ったものを作らなくてはいけないのです。仮にそれを再処理するとなるとどういうことになるかを考えると、頭が混乱してきます。同じ組成のものは一度に再処理できますが、違った組成のものは一度に再処理できないので、原子炉からでてきた使用済み燃料を何通りにも分けなくてはなりません。このように核燃料サイクルがきわめて複雑になるのです。
 もう一つ、MOX燃料加工の場合に問題になるのは、プルトニウムn半減期の問題です。プルトニウム-239の半減期は2万4000年ですが、プルトニウム-240の半減期は6600年です。それからプルトニウム-241の半減期は14年で、プルトニウム-242の半減期は37万年です。このような放射能ができるのです。これが原子炉ごとに違ってくるのですが、問題はプルトニウム-241です。この半減期が短いので早く崩壊していって、アメリシウム-241になります。半減期が14年ですから、一年もすればけっこうたまってきます。アメリシウム-241はガンマ線を強く出しますので、取り扱いが面倒な上に核特性が違ってきます。燃料としては品質が劣化します。このアメリシウム-241がMOX燃料の加工をやっているうちに、たまってきてしまうと、強いガンマ線のために工場に立ち入れなくなることもあります。ですから、「プルトニウムを長い間置いておくな!」「プルトニウムは取り出したらすぐ使え!」といわれています。

 ウランだけの燃料に比べ、MOXがどれほど危険か少しはお分かりいただけたかと思う。

 こちらも「幸兵衛の小言」で記事にしていたが、高木仁三郎さんの別な著作からも引用したい。

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高木仁三郎著『原子力神話からの解放』

 高木仁三郎さんの『原子力神話からの解放』は、初版が光文社カッパ・ブックスから亡くなる直前2000年8月に発行され、講談社+α文庫で再刊された。

 「第9章 『核燃料はリサイクルできる』という神話」から、MOX燃料が危険なだけでなく、経済性の面でもメリットがないことについて引用。

リサイクルで放射能が増える!

 MOX燃料は私の専門分野ですから、大きな国際研究もやりましたし、いろいろなレポートも書いています。ここではくわしく述べませんが、プルサーマル計画、つまりMOX燃料をやると、どのくらいエネルギー的に得をするのか研究したことがあります。たとえ1パーセント以下とはいえ、本来なら捨ててしまうプルトニウムをまた使うわけですから、それによる燃料節約の効果も一定程度はあるだろうと、計算上は考えられるわけです。そこで、私たちの国際研究であるIMAプロジェクトのなかで、このメリットについて研究してみました。
 IMA研究の正式な名前は「MOX燃料の軽水炉利用の社会的影響に関する包括的評価」というものです。私たちがこの研究をやって明らかにした一つの重要な点は、プルトニウムを取り出して燃やすことは、安全性の問題は別にしても、燃料資源上のメリットはまったくないということです。とくに、リサイクルによって環境の負荷を少なくするといったメリットは、まったくありません。
 ウランが原発の燃料となるプロセスは、非常に長い道のりだという話はすでにしましたけれども、使用済み燃料を再処理して取り出すことは、それをさらに複雑にした流れとなります。プルトニウムをあちこちに動かし、いろいろな工程を経てプルサーマルという名の再利用を行なうと、その過程でいろいろな廃棄物が出てくるうえに、そうやって燃やしたプルトニウム自体が結局、最終的には使用済みのMOX燃料というゴミとなって残ってしまいます。ゴミを減らすことになるどころか、この計画はかえってゴミを増やすことになるのです。


 “リサイクル”などと言う言葉に誤魔化されてはいけない。通常のウラン燃料より放射能のゴミが増えるし、稼動後の危険性も増すのが、経済的な効果もないMOX燃料なのだ。


 過去の兄弟ブログでは、シンポジウムにおける北海道電力の“やらせ”についても紹介していた。

 もちろん“やらせ”や“世論操作”は良くないが、間違いなくこれまで水面下では行われてきたことの、ほんの一部が水面上に出ただけであり、文字通り“氷山の一角”である。
 
 そもそも実際に「世論」が操作されたのかどうかは何とも言えない。シンポジウムに反対派が出ることは稀であり、真っ当な議論などはなく、ほとんど通過儀礼と言っても過言ではないだろう。

 台湾有事問題のみならず、メディアは、「核燃料は再処理して循環させることで、半永久的に使用できる夢の燃料」という「プルサーマル」という幻想を問題視しなくてはならない。


 泊の海は、原発の温排水によって、スケトウダラを奪われた。
「幸兵衛の小言」2011年6月27日の記事
「幸兵衛の小言」2011年6月28日の記事
 
 原発は、それまで仲の良かった地元の人々の分断も生んだ。

 他に産業がないから、電源三法交付金なしでは経済的に立ち行かなくなっている。
 交付金は「アメ」であり、「麻薬」だ。

 柏崎、泊、国の無謀な原発再稼働方針により、危険な廃棄物の処理を棚上げにしたまま、その危険なゴミを一層ためこもうとしている。

 まさに、この国は、トイレのないマンション化している。

 とても、住む場所ではなくなっているのだ。


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by kogotokoubei | 2025-11-27 12:57 | 原発はいらない | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛