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映画「ホーリー・カウ」について(3)


 映画「ホーリー・カウ」の最終三回目。

 映画指南役である居残り会のIさんのお薦めで、先月、有楽町の最終日に見た映画。

 タイトルは、「マジか!」とか「なってこった!」という意味。
 つまり、ワールドシリーズの第三戦で、延長18回にブルペンに向かった山本由伸の姿に、佐々木朗希がつぶやいた、あの一言だ。

 こちらが公式サイト。
映画「ホーリー・カウ」公式サイト

 公式サイトから引用。

フランス、コンテチーズの故郷ジュラ地方。18歳のトトンヌは、仲間と酒を飲み、パーティに明け暮れ気ままに過ごしている。しかし現実は容赦無く彼に襲いかかる。ある日チーズ職人だった父親が不慮の事故で亡くなり、7 歳の妹の面倒を見ながら、生計を立てる方法を見つけなければならない事態に……。そんな時、チーズのコンテストで金メダルを獲得すれば3万ユーロの賞金が出ることを知り、伝統的な製法で最高のコンテチーズを作ることを決意する。
押し寄せる現実の荒波と不確かな未来、打算とロマンス。不器用な手つきで人生を切り開こうとする彼らの日々を鮮やかに描いた青春譚。

 パンフレットを買った。

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 パンフレットにも、ジュラ地方のコンテチーズのことが詳しく紹介されている。

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 公式サイトから、監督のことやこの映画のこと。

監督のルイーズ・クルヴォワジエは、本作の舞台であるジュラ地方で育ち、リヨンの映画学校La CinéFabriqueでの卒業制作がカンヌの若手育成部門 “シネフォンダシオン” でグランプリを獲得した注目の女性監督。2024年のカンヌ国際映画祭を皮切りに、夭折の天才ジャン・ヴィゴにちなみ若手監督に授与されるジャン・ヴィゴ賞、フランスのアカデミー賞と言われるセザール賞など数々の映画祭を席巻。小規模な作品ながらフランスで約100万人を動員し、オスカー受賞作を上回るサプライズヒットとなった。
キャストには地元の演技未経験者を起用し、農場を営む監督の家族が音楽や美術スタッフとして参加。ジュラ山地が生み出す壮大な自然の景色と共に、美しいだけでない農村のリアルな暮らしに確かな息吹を与えている。

 予告編。



<スタッフ>
□監督:ルイーズ・クルヴォワジエ
□脚本:ルイーズ・クルヴォワジエ、テオ・アバディ
□撮影:エリオ・バレゾー
□編集:サラ・グロセ
□音響:フランソワ・アブデルヌール
□美術:エラ・クルヴォワジエ
□音楽:リンダ・クルヴォワジエ、シャルリ・クルヴォワジエ

<キャスト> ※役名:俳優名
□トトンヌ:クレマン・ファヴォー
□クレール:ルナ・ガレ
□ジャン=イヴ:マティス・ベルナール
□フランシス:ディミトリ・ボードリ
□マリー=リーズ:マイウェン・バルテレミ
□シリル:アルマン・サンセ・リシャール
□ピエリック:リュカ・マリリエ
□ナディーヌ:イザベル・クラジョー

 では、感想などを記したい。
 もちろん、ネタバレになるので、ご留意のほどを。

 前回までのあらすじ見出し。
(1)やんちゃなトトンヌ
(2)シリル、ピエリック兄弟との喧嘩
(3)父の死
(4)自立を目指すトトンヌ
(5)あの兄弟と再会、また喧嘩
(6)自分たちのチーズづくりへ
(7)牛乳泥棒
(8)チーズづくり再開と出品
(9)カーレースとラスト

 では、この映画の魅力について。

(A)故郷の大地で生きることへの賛歌
 舞台となる地域は、私の故郷北海道を思い出させて親しみがあった。
 この映画の舞台、フランス東部・ジュラ山脈の一帯は、1000年以上にわたって作られてきた長期熟成型のコンテチーズの産地。
 この映画は、このチーズづくりと切り離すことはできない。
 大小、多くのチーズ工場、工房がある中で、主人公トトンヌの父親が営む工房は、決して大きいとは言えないし、経営的にもギリギリという状況だった。
 その父の突然の死により、いったんは、自らがチーズを作ることを諦めたトトンヌだが、やはり、その家業の血を途絶えさせてはいけない、という思いが強く、七転八倒しながらも前へ進もうとする。
 良くも悪くも、故郷にしばられ、その地で生きていこうとする少年は、友人、そして妹の支えによって、なんとか、明日への希望を見いだそうとしている。
 そんな、故郷の大地で生きる者に対する賛歌が、この映画第一の魅力だ。

 パンフレットから、ルイーズ・クルヴォワジエ監督のインタビューの一部を引用。

映画を作りはじめたきっかけをおしえてください
 映画を撮りたいという気持ちは、偶然のような形で生まれました。私はジュラ地方のクレシアという人口約300人の小さな村で育ちましたが、あるときその場所を離れたいという思いが沸き、高校では寄宿舎に入れることを理由に映画の授業を選びました。もっと広い世界を知りたかったんです。そこから少しずつ映画への関心が芽生え、「自分にも語りたい物語がある」と感じるようになり、リヨンの映画学校CinéFabriqueに進学しました。同校は新設校で、多様性や実践的な学び、そして現役プロによる授業を重視しており、私にぴったりだと思いました。実際、私はそこであらゆることを学び、後に映画製作に加わるメンバーにも出会いました。

初の長編でジュラを舞台にした理由は?
 この地域は映画の舞台としてあまり描かれてこなかった場所で、映像的なポテンシャルを強く感じていました。私の頭の中には明確なイメージがあり、この作品はここで撮らなければならないと思ったのです。また、私にとってそれは、映画ではほとんど表現されないフランスの一部を見せるという政治的な行為でもあります。

登場人物たちはどのようにして生まれたのですか?
 子どもの頃から暮らしてきた地域社会をもとにしています。トトンヌとその友人たちは、私の村にいた仲間たちのような存在です。彼らの多くは早くに学校を辞め、親と一緒に農場で働いています。家庭に複雑な事情を抱えている人も少なくありません。私は、人生のスタートが平坦ではなかった若者たちを、外側からではなく“内側”の視点から、前向きに、そして丁寧に描きたかったんです。すべては、コンテチーズの故郷であるこの土地で、です!

 生まれ故郷北海道を大学進学以降離れていた私は、この感覚、というか思いが分かる気がする。
 故郷への恩返し、という思いも強かったに違いない。

(B)少年の成長を描く
 フランスは18歳で大人とみなされ、飲酒も可能となる。
 とはいえ、トトンヌは、酒と喧嘩にあけくれる日々。 
 そんな彼が、父の死をきっかけに、大人へと成長し始める、そんな姿が描かれる。
 女性との付き合い方も、当初の本能のおもむくままの状態から、次第に精神的なつながりを大事にするような成長を示している。
 そんなトトンヌの姿を、見る者は、最初はハラハラしながら、徐々に笑みを浮かべて見守ることになる。
 
(C)キャストの素晴らしさ
 地元の素人をキャスティングした監督の眼力に拍手だ。
 主人公トトンヌも良いし、マリー、友人たちなども自然な演技が良いが、なんと言っても、妹クレールが出色。
 父親が亡くなってからも、気丈に兄を支え、チーズづくりでも、めげそうな兄を叱咤激励する姿が、なんとも良いのだ。
 
 パンフレットから。

クレール:ルナ・ガレ(LUNA GARRET)
 監督と同じクレシアで生まれ、赤ちゃんの頃から見守ってきた少女。成熟した表情と強い存在感をもち、監督は早い段階から彼女を思い描いていたという。多くの候補者に会ったものの、頭から離れなかったのはルナに姿で、最終的にプロデューサーを説得して妹役に抜擢された。

 予告編から、トトンヌの髪を洗うクレール。

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 なるほど、フランスでアカデミー賞受賞作以上の観客動員を記録しただけの映画だと納得。

 上映中や上映予定の映画館は限られてきたが、ご興味とご縁のある方は、ぜひ。
「映画.com」の「ホーリー・カウ」上映館ページ

 この映画については、これにてお開き。


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by kogotokoubei | 2025-11-13 14:36 | 映画など | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛
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