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池田雅之著『小泉八雲』より(14)


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池田雅之著『小泉八雲』(平凡社新書)

 池田雅之著『小泉八雲』(副題「今、日本人に伝えたいこと」)の十四回目。
 本書は、8月7日に平凡社新書で初版。
 著者は、八雲(ラフカディオ・ヘルン)の『新編 日本の面影』や『新編 日本の怪談』などの訳者として知られる。


<目次>
□はじめにー共生きのいのちを生きる
□第一章 甦る八雲の現代日本への警告
□第二章 八雲と漱石の異文化体験から学ぶ
□第三章 欧米人は八雲をどう見てきたか
□第四章 八雲の人生と文学の素地をたどる
□あとがきー日本を取り戻す
□主要参考文献一覧
□小泉八雲略年譜


 引き続き「第四章 八雲の人生と文学の素地をたどる」の「第四節 八雲を立ち直らせたクレオール文化の可能性」から。

 その前に、前の記事でも紹介した、NHKの特別番組を、もう一度ご紹介。
 3日「文化の日」に総合で放送され、22日にBSで再放送される。

 NHKサイトから、引用。
NHKサイトの該当ページ

小泉八雲のおもかげ ばけばけ トミー・バストウが巡るアイルランドとニューオーリンズ
【放送予定】11月3日(月・祝) [総合] 午前9:15
11月22日(土) [BS] 午後10:30

【出演】トミー・バストウ
 
連続テレビ小説「ばけばけ」でヘブン役を演じるトミー・バストウさん。徹底した役作りでドラマに臨むトミーが、ヘブンのモデルとなった小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の足跡を追います。

ドラマの舞台である松江、そして、ハーンの人生に大きな影響をあたえたアイルランドとニューオーリンズ。ハーンのおもかげを追って世界を旅するトミーの役作りに密着しました。

 ニューオーリンズでは、八雲がクレオール料理のレシピ本を出版し、今なお、シェフたちの座右にあるなど、実に興味深い内容だった。

 こえが、小泉八雲記念館サイトにある、過去の企画展のページに掲載されたレシピ本の画像。
小泉八雲記念館サイトの該当ページ

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 同ページには、ニューオーリンズ時代に八雲が描いた記事の挿絵なども掲載されているので、ご興味のある方は、ご覧のほどを。


 さて、本書に戻る。

 シンシナティの新聞記者時代、心身ともに不安定だった八雲だが、ニューオーリンズでクレオール文化にふれて、彼は元気を取り戻した。

 クレオールとは何か

 もともと「クレオール」という語は、植民地生まれの「白人」を指す言葉でした。フランス人が海外に、とくにカリブ海地域の島々に植民地を作ると、やがて本国を知らない混血にお子どもたちがその地に誕生します。そしてその子どもたちを本国生まれのフランス人と区別するために、「クレオール」という呼称が用いられるようになったといわれています。
 あるいは、アフリカから連れてこられた黒人奴隷が、植民地で子どもをもうけた場合、その奴隷の子孫たちをアフリカ育ちの奴隷と区別して「クレオール」と呼ぶこともあったようです。またその幸甚奴隷たちが、アフリカの母語に白人の主人たちのフランス語を混ぜて独特な言葉を作り上げていきましたが、それも「クレオール」と呼ばれるようになりました。
 要するに、このように植民地生まれの「白人」も「黒人」も「言語」も、さらには「文化」も、すべて「クレオール」という総称名で呼ばれるようになったのです。このように「クレオール」とは、きわめて広い意味をもつようになった言葉ですが、植民地に花開いた混血文化、異種混交的な生活文化の総称といいかえてもよいでしょう。

 八雲は、作品の中で描いたものは、クレオール語、クレオール料理、クレオールの黒人、クレオールの生活風習など多岐にわたった。

 クレオールの多様性こそが、彼に自由と開放感をもたらしたと言えるだろう。

 文化人類学者の今福龍太は、クレオールとは「植民地の密林から生まれた異種混交的(ヘテロジニアス)な言語であり、文化である。国境を越え、人種を超え、性差を超えて、虹のように変異する文化の混血主義である」と見事な定義を下しています。
 アイルランド人を父に、ギリシャ人を母として生まれた八雲は、そういう意味では、文化的にも人種的にもまさしくクレオール的存在といってよいでしょう。八雲の体内の血のなかでは、異文化と異人種が交差し、感応し合い、あるいは融合し、沸き立っていたのです。

 四歳にして親の元を離れ、七歳にして両親が離婚。

 預けられた神学校に馴染めず、16歳の時に事故で左目を失う。

 17歳で大叔母が破産し、19歳の時、単身アメリカに渡った。

 職を転々とし、ようやくシンシナティで新聞記者となったものの、心身ともに不安定な日々を暮らした後、ニューオーリンズへやって来て、八雲は、ようやく、自らの混血という出自への劣等感を脱し、心は解放された。

 それは、混血であるからこそ誇れるものがある、という自信の獲得であったのかもしれない。


 転機の地ニューオーリンズでの10年の生活を経て、八雲は日本にやって来た。


 小泉セツと八雲による傑作の誕生のことは、次回。


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by kogotokoubei | 2025-11-06 12:57 | 今週の一冊、あるいは二冊。 | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛
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