映画「アイム・スティル・ヒア」について(12)
2025年 09月 28日
映画「アイム・スティル・ヒア」の最終十二回目。
アカデミー賞国際長編映画賞受賞作。
公式サイト。
映画「I'm Still Here」公式サイト
同サイトの「STORY」を引用。
1970年代、軍事独裁政権が支配するブラジル。元国会議員ルーベンス・パイヴァとその妻エウニセは、5人の子どもたちと共にリオデジャネイロで穏やかな暮らしを送っていた。しかしスイス大使誘拐事件を機に空気は一変、軍の抑圧は市民へと雪崩のように押し寄せる。ある日、ルーベンスは軍に連行され、そのまま消息を絶つ。突然、夫を奪われたエウニセは、必死にその行方を追い続けるが、やがて彼女自身も軍に拘束され、過酷な尋問を受けることとなる。数日後に釈放されたものの、夫の消息は一切知らされなかった。沈黙と闘志の狭間で、それでも彼女は夫の名を呼び続けた――。自由を奪われ、絶望の淵に立たされながらも、エウニセの声はやがて、時代を揺るがす静かな力へと変わっていく。
予告編。
パンフレットを買った。

本編はポルトガル語だが、英語版のシナリオを見つけたので、参考にしたい。
英語版脚本
<スタッフ>
□監督:ウォルター・サレス
□製作:マリア・カルロタ・ブルーノ、ホドリゴ・テイシェイラ、
マルティーヌ・ドゥ・クレルモン=トネール
□原作:マルセロ・ルーベンス・パイヴァ
□脚本:ムリロ・ハウザー ヘイター・ロレガ
□撮影:アドリアン・テイジード
□美術:カルロス・コンティ
□衣装:クラウヂア・コブケ
□編集:アフォンソ・ゴンサウベス
□音楽:ウォーレン・エリス
<キャスト>※役名・俳優名
□エウニセ・パイヴァ:フェンルナンダ・トーレス
□エウニセ(老年期):フェルナンダ・モンテネグロ
□ルーベンス・パイヴァ:セルトン・メロ
□ヴェロカ:ヴァレンチナ・ヘルツァジ
□エリアナ:ルイザ・コソフスキ
□ヴェロカ(成人期):マリア・マノエラ
□エリアナ(成人期):マルジョリエ・エスチアーノ
□ナル:バルバラ・ルス
□バビウ:コーラ・モラ
□ナル(成人期):ガブリエラ・カルネイロ・ダ・クーニャ
□バビウ(成人期):オリヴィア・トーレス
□マルセロ:ギリュルメ・シルヴェイラ
□マルセロ(成人期):アントニオ・サボイア
では、感想など。
もちろん、ネタバレなので、ご注意のほどを。
前回までのあらすじの見出し。
(1)レブロンビーチ:エウニセ
(2)レブロンビーチ:子供たちと犬
(3)パイヴァ家:ルーベンスと犬
(4)検問とヴェロカ
(5)パイヴァ家:1970年クリスマス前
(6)パイヴァ家:夫婦の会話
(7)電話
(8)8ミリ映像:新居模型と家族
(9)レストランの家族
(10)ガスパリアン書店
(11)パイヴァ家:書斎
(12)ヴェロカからの便り
(13)ルーベンス連行
(14)エウニセとエリアナの連行
(15)エウニセへの尋問
(16)廊下のエリアナ
(17)エウニセへの尋問(続き)
(18)エウニセへの尋問・二日目
(19)エウニセ釈放
(20)エウニセの帰宅
(21)軍事拘置所
(22)マーサ
(23)銀行
(24)パイヴァ家:ヴェロカの手紙、そしてピンパンのこと
(25)ピンパンの埋葬
(26)ヴェロカの手紙:続き
(27)マーサの手紙
(28)フェリックスとエウニセの会話
(29)新築予定地・ボタニコ
(30)設計事務所
(31)銀行
(32)マリア
(33)ヴェロカの帰国
(34)記念写真
(35)パイヴァ家:居間
(36)パイヴァ家:キッチン
(37)引っ越し
(38)サンパウロ:1996年
(39)法科大学院:講堂
(40)裁判所
(41)記者会見
(42)エウニセのアパート
(43)エウニセのアパート:バビウの旅立ち
(44)エウニセのアパート:苦闘の歴史
(45)8ミリフィルム
(46)サンパウロ:2014年
(47)エウニセ
(48)記念写真
この映画の魅力について記したい。
(A)史実の発掘
日本からは遠いブラジルの軍事独裁政権時代のことを、私はほとんど知らなかった。
一家族の歴史を描きながら、その軍事政権時代に、何があったのかを伝える貴重な映画である。
夫であり父であるルーベンスの連行前と後でのパイヴァ家の状況のあまりにも大きな変化が、どれだけ酷いことがあったのかを訴える。
(B)逞しい家族の姿
もちろん、ルーベンスの妻であり、五人の子の母であるエウニセの逞しさは特筆されるべきだが、湖の事故で下半身不随になりながら、貴重な記録を自伝的小説として発表したマルセロも、親譲りの強靭さがうかがえる。
そういった、一家族の歴史を見ることができるのも、この映画の大きな魅力だ。
(C)俳優の魅力
アカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞では同賞を受賞したフェンルナンダ・トーレスの魅力は言うまでもない。
そして、彼女の実の母、フェルナンダ・モンテネグロのエウニセの晩年の姿も、実に素晴らしい。
子供たちは、上映されている時間が長かったこともあるが、子供の時代の一人一人の演技が印象深い。
アカデミー賞受賞を納得できる映画だった。
まだ上映中、予定のミニシアターもあります。
公式サイトの該当ページ
長らくのお付き合い、ありがとうございます。
今日は久しぶりのテニス。
最高気温が30度に達しない、ほどよい天気で、楽しめた。
ベンチで休憩中、テニス仲間と映画「国宝」の話題になった。
二度見た人もいる。
吉沢亮の演技、そして、田中泯の演技の評価で盛り上がった。
子役への髙い評価も同感。
次は、「宝島」の記事の予定だが、上映中に終わるかどうか分からないので、通常とは違う形式での記事にしようかと思っている。
その後、「国宝」について書くつもり。
