映画「宝島」と「国宝」を見て思うこと。
2025年 09月 24日
21日に「宝島」、23日に「国宝」を見た。
後者は、あまりのヒットに驚き、見るのを躊躇っていたのだが、アカデミー賞国際長編部門の日本代表ということなら、見ないわけにはいかないと思い、混んでいるのを知りつつ見た次第。
それぞれの映画のことは、後日ご紹介するつもりだが、SNSでいろいろと雑音が聞こえてくるので、先に私の思いを書くことにした。
「宝島」は、直木賞受賞作である真藤順丈の小説『宝島』が原作。
こちらが「宝島」の公式サイト。
映画「宝島」公式サイト
同サイトの画像から。

同サイトから、「STORY」を引用。
英雄はなぜ消えたのか?
幼馴染3人が20年後にたどり着いた真実とはー。
1952年、沖縄がアメリカだった時代。米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちがいた。いつか「でっかい戦果」を上げることを夢見る幼馴染のグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)の3人。そして、彼らの英雄的存在であり、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが、一番年上のオン(永山瑛太)だった。全てを懸けて臨んだある襲撃の夜、オンは“予定外の戦果”を手に入れ、突然消息を絶つ…。残された3人は、「オンが目指した本物の英雄」を心に秘め、やがてグスクは刑事に、ヤマコは教師に、そしてレイはヤクザになり、オンの影を追いながらそれぞれの道を歩み始める。しかし、アメリカに支配され、本土からも見捨てられた環境では何も思い通りにならない現実に、やり場のない怒りを募らせ、ある事件をきっかけに抑えていた感情が爆発する。
やがて、オンが基地から持ち出した“何か”を追い、米軍も動き出す――。
消えた英雄が手にした“予定外の戦果”とは何だったのか?そして、20年の歳月を経て明かされる衝撃の真実とは――。
「国宝」は、吉田修一の小説『国宝』が原作。
こちらが「国宝」の公式サイト。
映画「国宝」公式サイト
同サイトの画像から。

同サイトから、「STORY」を引用。
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。
この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、
上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。
そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。
正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。
ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく...。
誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。
血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。
もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。
何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?
圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる―― 。
まず、「宝島」の監督がネットでの辛口評価に絡んでいることへの非難を目にした。
「週刊女性PRIME」の該当記事
たしかに監督の行為は大人げないが、それだけ早々に見てくれたお客さんの評価が気になったのであろう。
絡んだから、と言って興覚めするのも、大人げない。
「国宝」のヒットについてその理由を考えてみると、たしかにSNSの力は大きかったと思うが、受賞はならなかったが、カンヌでの上映に関するニュースも要因の一つだろう。
そして、何より多くの観客の母集団のことを考えると、こう言えるのではないか。
歌舞伎には興味はあるが、よく知らない。
この映画では、歌舞伎の世界を教えてくれるらしい。
ネットでも、そういう情報が大量に流れたと思う。
「娘道成寺」「曽根崎心中」「鷺娘」などの演目が物語の重要な要素ともなっているし、吉沢亮、横浜流星の演技は、圧巻だ。
二人が歌舞伎、日本舞踊の稽古を十分に行ったことが察せられる。
また、紆余曲折はあるが、喜久雄にとってはサクセスストーリーと言えるので、観客のカタルシスもある。
そして、脇を固める俳優陣がなんとも豪華だ。
吉沢、横浜の子供時代を演じた黒川想矢、越山敬達の二人も見事。
「国宝」には、そういう意味で、時間軸の長さがあり、その間のドラマが描かれる。
見て良かったと思う。
一方の「宝島」はどうか。
沖縄には興味があるが、よく知らない。
この映画では、戦後の沖縄のことを教えてくれるらしい。
という母集団は、実際のところ少ないだろう。
だから、動員数で「国宝」を「宝島」が抜くようなことは想定できない。
しかし、一人でも多くの方に「宝島」を見て欲しい、と私は思う。
フィクションとはいえ、「戦果アギヤー」も実際に存在したし、モチーフとなる「宮森小学校米軍機墜落事故」「コザ暴動」も、すべて事実である。
それらを素材として、いまだに米軍管理下とも言える沖縄の敗戦後の歴史を描いてくれるし、何と言っても、コザ暴動が圧巻だ。
これまで沖縄に興味がなかった人も含め、必見の映画だと思う。
描かれる時間軸はそう長くはない。
しかし、そこに描かれる人と空間にはリアリズムがあり、この映画が伝えるメッセージは心の奥に突き刺さる。
人気アニメよりはるかに少ない上映回数だが、まだ上映中である。
あえてこの二つの映画のキャストで私が高く評価するのは、まず「国宝」喜久雄役の吉沢亮だが、次は、「宝島」レイ役の窪田正孝だ。
日本アカデミー賞では、主演男優賞を吉沢に、助演男優賞を窪田に受賞してもらいたい。
でも助演は横浜流星になるんだろうね。
徐々に、SNSで「宝島」へのポジティブな評価が増えてきているように思うが、上映期間中に記事にできるか不安なので、こんな記事を書いた次第。
「国宝」も「宝島」も、3時間はあっと言う間だった。
どちらも未見な方は、どちらかだけでもぜひ。
