映画「NO OTHER LAND」が伝えること(3)
2025年 03月 29日
イスラエルのガザへの攻撃が続いている。
共同通信の47NEWSから。
47NEWSの該当記事
ガザ、子ども死亡1万5千人 イスラエル、軍事圧力続行
2025年03月28日 12時23分共同通信
【エルサレム共同】パレスチナ自治区ガザの保健当局は27日、2023年10月の戦闘開始以降に死亡したガザの子どもが1万5613人に上ったと発表した。全体の死者数は5万人を超えている。イスラエルはイスラム組織ハマスに人質解放を求め軍事圧力を強める。イスラエル軍の攻撃が続く中、ガザの犠牲者数は膨らみ続けている。
イスラエルは2日以降、ガザへの支援物資搬入と電力供給を順次停止した。世界食糧計画(WFP)は27日、数十万人のガザ住民に深刻な飢餓と栄養失調が迫っていると訴えた。備蓄として残る約5700トンの食料は、最大2週間ほどの量だという。
停戦と食料支援は、待ったなしだ。
この映画が伝えていることは、まさに、現在進行形なのである。
映画「NO OTHER LAND」の最終三回目。
こちらが、公式サイト。
映画「NO OTHER LAND」公式サイト
公式サイトから。
イスラエル軍による破壊行為と占領が今まさに進行している、ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区<マサーフェル・ヤッタ>。
本作は、この現状をカメラに収め世界に発信することで占領を終結させ故郷の村を守ろうとするパレスチナ人青年バーセル・アドラーと、彼に協力しようとその地にやってきたイスラエル人青年ユヴァル・アブラハームの2人による決死の活動を、2023年10月までの4年間に渡り記録したドキュメンタリーだ。
監督は、彼ら自身を含むパレスチナ人2人・イスラエル人2人による若き映像作家兼活動家の4人。「イスラエル人とパレスチナ人が、抑圧する側とされる側ではなく、本当の平等の中で生きる道を問いかけたい」という彼らの強い意志のもと危険を顧みず製作された。
スマートフォンや手持ちカメラを使用した、そこで暮らす当事者だからこそ捉えることのできた至近距離からの緊迫の映像で、住民たちが家や小学校、ライフラインを目の前で破壊され強制的に追放されていく、あまりに不条理なパレスチナの現実をあぶりだしていく。
予告編。
パンフレットを買った。

まず、ガザとヨルダン川西岸について確認。
公式サイトからコピーしたイスラエルの地図と、この映画の舞台であるマサーフェル・ヤッタ。

こちらは、パンフレットの地図。

ヨルダン川西岸で、パレスチナが行政や治安維持権限を握っている場所は、飛び飛びで散らばっている。
もっとも色の濃いA地区は、行政も治安維持権限もパレスチナ。
しかし、薄いグレーのB地区は、行政はパレスチナで、治安維持権限はイスラエル。
ほとんど色のないC地区は、行政も治安維持権限もイスラエル。
マサーフェル・ヤッタは、C地区である。
だからと言って、イスラエルが好き放題して良いはずはない。
少し歴史を振り返る。
1967年の第三次中東戦争(通称「六日戦争」)で勝利したイスラエルは、エジプトからシナイ半島とガザ地区、ヨルダンからヨルダン川西岸と東エルサレム、そしてシリアからゴラン高原を占領。
後に東エルサレムとゴラン高原は併合し、シナイ半島も82年にエジプトに返還され、ガザ地区とヨルダン川西岸地区にはパレスチナ人自治の地域、いわゆるパレスチナ自治区が存在するようになった。
1993年にイスラエルのラビン首相とPLO(パレスチナ解放機構)のアラファト議長の間で交わされたオスロ合意に基づき、 翌年、ヨルダン川西岸地区は、ガザ地区と共に「パレスチナ自治区」になった。
しかし、ヨルダン川西岸地区は面積の60%以上がイスラエルの軍事支配下に置かれ、 常に厳しく監視されている。
また、各地に多くのイスラエルの入植地が作られている。
そういう地であることを前提として、映画を振り返りたい。
ドキュメンタリーなので、必ずしも映画の進行に合わせて内容を書くことはないと思うが、できるだけ、記憶のあるうちに、記していこうと思う。
ここからは、ネタバレになるので、ご留意のほどを。
前回までの見出し。
(1)バーセルとユヴァル
(2)繰り返されるイスラエル軍の破壊活動
(3)学校の破壊
(4)バーセルへの暴行
(5)銃撃
イスラエル軍のマサーフェル・ヤッタでの住居破壊は続き、銃弾による犠牲者も出た。
(6)デモ
バーセルやマサーフェル・ヤッタの人々は、イスラエル軍の暴挙に対し屈服することなく抗議デモを続けた。
予告編から。

(7)バーセル宅へのイスラエル軍急襲
バーセルは、デモの首謀者の一人とみなされ、イスラエル軍の急襲を受けた。
危機一髪、隠れたバーセルだが、父ナセルが連行された。
その後、バーセルの父は釈放されるが、いつまたイスラエル軍がバーセルを連行しに来るかは分からない。
(8)破壊と暴力は続くが屈しない人々
映画は、2023年10月までの四年間の記録である。
その後も、そして、アカデミー賞受賞後の今も、イスラエル軍と入植者たちのパレスチナ人の家の破壊や暴力は続いている。
パンフレットから。

この少女が大人になる時、目の前から戦車はなくなるのだろうか。
「昔は、こんなこともあった」と笑って振り返ることができればいいのだが。
今日も、いや、今この時間にも、イスラエル軍や入植者たちの破壊行動は続いている。
しかし、バーセルもマサーフェル・ヤッタの人々も屈することはない。
予告編から。

このシリーズは今回で終了。
書いて説明することの限界を感じる。
このドキュメンタリーは、やはり、見てもらうしかないと思う。
とにかく、一人でも多くの人に、見てもらいたい。
まだ、上映中や今後上映予定の映画館は少なくない。
今、パレスチナ人に対し、イスラエル軍や入植者が何をしているか。
とにかく、この映画を観て欲しい。
何らかの理由で映画を観ることができない方は、ぜひ、バーセルのXを確認してもらいたい。
これが、彼のXの固定記事。
The occupation court just decided: My community will be destroyed. I live in Massafer Yatta, Palestine. An unjust 23 year long trial ended today with a verdict of mass eviction. The army can now place us on trucks, 2,400 people, and expel us from our ancient villages, one by one. pic.twitter.com/8szt0OdPdf
— Basel Adra (@basel_adra) May 5, 2022
バーセルのXでは、ガザでの出来事を伝えるXも頻繁に紹介されている。
マサーフェル・ヤッタで行われていることを、彼は体を張って伝え続けている。
公式サイトの劇場情報のページ。
「NO OTHER LAND」公式サイトの該当ページ
私たちは、ヨルダン川西岸やガザで何が行なわれているか、あまりに知らなすぎる。
