森永卓郎著『書いてはいけない』(三五館シンシャ)より(8)
2024年 12月 24日

森永卓郎著『書いてはいけない』
『書いてはいけない』の八回目。
本書は、森永卓郎さんが、前著『ザイム真理教』刊行の際に苦労して探した出版社、三五館シンシャから2024年3月20日初版。
副題は、「日本経済墜落の真相」である。
<目次>
□まえがき
□第一章 ジャニーズ事務所
□第二章 ザイム真理教
□第三章 日航123便はなぜ墜落したのか
□第四章 日本経済墜落の真相
□あとがき
引き続き、「第二章 ザイム真理教」から。
森友学園事件を、本書から振り返る。
その前に、以前の拙ブログで何度か掲載した東京新聞の記事から借りた表で、あの事件の経緯を確認したい。
なお、残念ながら、該当記事はのリンクは、すでに切れている。

3月7日に赤木俊夫さんが亡くなった後になって、3月2日の朝日新聞の報道について、財務省がコメントを出した。
本書から引用。
3月12日に財務省はこの報道が事実であることを認め、当初の決裁文書から削除された内容は「本件の特殊性」といった文章や、昭恵夫人および政治家らについての記載だったとして。書き換えは2017年2月下旬から4月にかけて行われており、財務省は1年間もウソの決裁文書を示すことで国会と国民を欺いていたことになる。しかも、財務省は、改ざんは本省(佐川宣寿理財局長)からの指示で近畿財務局が行ったことも認めた。
虚偽公文書作成は、懲役1年以上10年以下の重大犯罪だ。ところが、大阪地検特捜部はこの事件を不起訴としたのだ。同時に、国有地を格安で払い下げたことによる背任容疑に関しても、違法性があったとはいえないとした。
一般常識で考えられない検察の判断で、公文書改ざんの刑事責任は問われないことになった。
検察官も行政機構の一部だ。彼らの予算は、財務省が握っている。また捜査に必要な銀行取引や税務関連のデータも財務省の協力なしには得られない。明確な証拠があるわけではないが、検察が財務省への忖度をした可能性は否定できないだろう。
虚偽公文書作成も背任容疑も問われなかったことに加え、当事者への懲戒処分も、いたって軽かった。
森永さんも書いているが、佐川元理財局長は懲戒免職にすべきだった。
しかし、単に辞職しただけで、高額の退職金を得ている。原資は、税金だ。
検察が罰しないのならばと、自殺した赤木俊夫さんの妻雅子さんが、悩みに悩んだ末に、立ち上がった。
最初の裁判を起こした際に出版された、赤木雅子さんと相澤冬樹さんの共著『私は真実が知りたい』については、以前10回にわたってご紹介した。ご興味のある方は、ご覧のほどを。
2021年2月19日のブログ
2021年2月20日のブログ
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同書出版後も、複数の裁判が続いた。
本書から。
雅子氏が起こした裁判は3ルートが存在した。1つは、国に対する約1億円の補償を求めた損害賠償請求、2つ目は、佐川元理財局長に対して550万円(その後1650万円に増額)の補償を求めた損害賠償請求、3つ目が、財務省が検察に任意提出した文書を開示する情報開示請求だ。
このうち国への損害賠償請求の裁判は、驚愕の結末を迎えた。
2021年12月15日、大阪地裁で行われた裁判で、国側はその場で賠償責任を認め、1億円の請求を受け入れる書面を提出して、裁判が終結したのだ。全面的に賠償責任を認めることを法律用語では「認諾」というそうだが、私はその言葉を初めて聞いた。国が全面的に責任を認めたのは反省したからではない。裁判が長引くことで真実が明らかになることを防ぎたかったのだろう。もちろん、この賠償金は国民の税金から支払われるのだ。
二つ目の、佐川元理財局長を相手にした裁判では、地裁での敗訴の後に高裁に舞台が移った。
雅子さんは、強く佐川本人への尋問を要求したが、裁判所は認めず、2023年12月19日に大阪高裁は雅子さんの控訴を棄却した。雅子さんは最高裁への闘いに挑んでいる。
三つ目の、文書開示請求は2023年9月14日に地裁判決があり、「捜査手法や対象が推知され証拠隠滅が容易になるなど、将来の刑事事件の捜査に支障が及ぶ恐れがある」という、理解不能の理由で開示必要ないと判決が下された。
現在、控訴審が行われている。
森永さんはこう書いている。
この事件では、財務省本省の命令で公務員としてもっともやってはいけない「決裁文書の改ざん」という重大犯罪が行なわれ、しかも一人の財務局職員が苦悩のなか、命を落としているのだ。真実を明らかにするほうが同様の事件発生を抑制できるのではないか。
まったくその通りである。
「財務省は、司法・立法の上に位置する」、という森永さんの見解については次回。
