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筒井康隆著『敵』を読み直す(4)


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 筒井康隆著『敵』の四回目。

 本書を原作とする映画が、東京国際映画祭の最高賞、最優秀監督賞(吉田大八)、最優秀男優賞(長塚京三)を受賞したと知り、本棚から24年前に読んだ文庫を取り出して読み直した次第。

 こちらが、同映画の公式サイト。

映画「敵」公式サイト

「Story」を引用。

渡辺儀助、77歳。

大学教授の職を辞して10年―妻には先立たれ、祖父の代から続く日本家屋に暮らしている。料理は自分でつくり、晩酌を楽しみ、多くの友人たちとは疎遠になったが、気の置けない僅かな友人と酒を飲み交わし、時には教え子を招いてディナーを振る舞う。預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。
だがそんなある日、パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。


 来年1月の封切りだ。

 映画のネタバレになるので、知りたくない方は映画をご覧になってからお立ち寄りのほどを。

 こちらが、文庫の目次。

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 これまで、「朝食」「友人」「物置」「講演」「病気」までご紹介した。

 今回は、「麺類」から。

 なお、朝食のみ白飯、ということはご紹介済み。

 昼食は麺類である。それ以外のものは滅多に食べない。いちばんよく食べるのは蕎麦であるがこれは中元歳暮として送られてきたり通信販売で各地の名産を取り寄せたりしてものだ。生の蕎麦が送られてくると早く食べてしまわなければならないから昼食は当分蕎麦が続く。乾燥した蕎麦なら茹でる時間が三、四分と短くてすう細いものが好ましい。長さにもよるがこれをだいたい自分の勃起したペニスを握る加減に掴み取って茹でるとざる蕎麦用の四角い笊(ざる)に軽く一杯となる。茹でる時間は包装紙に書いてあるが儀助はこれを信用せず茹でながら自分で何度か一、二本食べてみて好みのやや固いめで揚げる。時間を計っておいて以後は試食しない。揚げるのは金属製の笊で丹念に水道に水にさらす。細くてやや固めのさらさらしたざる蕎麦がいちばんの好みなのだ。

 蕎麦を掴む目安が、なんとも・・・・・・。
 茹で方にはこだわるものの蕎麦つゆは、さすがに自分では作らず、もともと酒屋で今は食料品店になった蔦屋で、缶入りのものを買う。
 蔦屋でそのつゆを買うのは儀助だけとのことで、品切れの時もあり、その際は、濃縮したつゆを薄めて使うが、旨くないらしい。

 蕎麦つゆにはこまかく刻んだ葱(ねぎ)と胡麻(ごま)を入れ練り山葵(わさび)を溶かす。胡麻は煎った白胡麻を買ってきて擂り鉢でこまかく擂る。山葵は買ってきてもすぐ真っ黒に変色して縮んでしまうのでしかたなくチューブ入りの和風練り山葵を使っている。笊に盛った蕎麦の上には海苔を鋏で短冊に切って散らす。味付海苔も焼海苔も貰いものだけで間に合う。出来上がったものを食堂に運び庭を眺めながら食べる。自分の作ったざる蕎麦がいちばん旨くてこれ以上のものは蕎麦屋でお食べられまいと儀助は思っている。

 ちなみに、私は、海苔は蕎麦の味を邪魔すると思っており、乗せない。
 テニスの後の居残り昼食会(飲み会?)では、締めに手打ちのせいろに海苔なしでいただく。

 儀助はざる蕎麦一辺倒かと言うとそうではなく、蕎麦つゆがない時、水に出汁(だし)昆布を入れ笊の底に煎り子を二、三匹入れて出汁を作って、汁蕎麦を食べる。

 具はその時によって蒲鉾たったり鶏肉だったり牛肉だったり豚肉だったちする。何もない時には前夜に大江戸から松花堂弁当をとって天婦羅だけを残しておきこれを入れて食べる。刻んだ葱も入れる。煮抜き卵が残っていれば一片浮かべる。そして七味唐辛子を振りかける。

 儀助がいちばん好きなのは、実は拉麺(らーめん)。
 しかし、油で胃が悪くなることがあり、なるべく食べないようにしている。
 とはいえ、蔦屋に行くと旨そうな生拉麺が売っているので、つい買ってしまうこともある。
 焼き豚が家にない時は、一緒に買う。
 
 拉麺には白葱を細切りにして入れる。焼き豚は一枚だけ茹で卵を一片瓶詰めの支那竹をふた切れ擂り胡麻をひと匙辣油を三滴、以前はこれへさらにキムチを入れていたが出口が壊れるのを心配して入れないと決定した。

 冷し中華も蔦屋に売っているが、甘ったるののが性に合わない。
 しかし、韓国冷麺は好きで、市場にある韓国料理の食材店で冷麺に加えキムチや豚足をたまに買う。
 本書では、韓国冷麺の作り方の詳細も記されているが、割愛。

 他に素麺も食べるし、椛島光則の四国土産の讃岐うどんも、たまに食べる。

 この章は、次のように締めくくられている。

 五年前鎌倉の鷹司(たかつかさ)靖子がパスタを持ってきてくれた。たまたまあった明太子といかそうめん用の烏賊を入れて食べたが旨かった。また持ってきてくれないかなあと思うが実は儀助はパスタが食べたいのではなく鷹司靖子に会いたいのである。

 ということで、次の章は「鷹司靖子」だが、その内容は次回。


 昨日の記事でもご案内したが、本日夜10:30から、NHK BSで「筒井康隆の世界」が放送される。
NHKサイトの該当ページ

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 3年前にTikTokで若者が取り上げたことで『残像に口紅を』が話題になったことが背景にあるだろうし、『敵』の映画化もこの番組制作のきっかけの一つかもしれない。

 ぜひ、観ようと思っている。


 竜王戦の第四局二日目、先手、挑戦者佐々木勇気八段が優勢。

 このまま藤井竜王の逆転がなければ、二勝二敗のタイ。

 あの連勝ストッパー佐々木勇気が、藤井七冠の棋戦連勝もストップする可能性が出て来る。

 しばらく、盤面から目が離せない。

Commented by tanatali3 at 2024-11-20 11:56
80年後半当時、駐在員が古本屋さんにタダ同然で寄付するので、筒井康隆はよく読みました。ですが断筆宣言あたりで読まなくなったかな。この作品は作者自身の日常を投影しつつ(?)、物語の展開がおもしろそうですね。
Commented by kogotokoubei at 2024-11-20 12:56
>tanatali3さんへ

そうなんです。
とはいえ、他の傑作と同様の筒井ワールドでもあるのです。
というのは・・・・・・。

これ以上は、今後の記事をお待ちください(^^)
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by kogotokoubei | 2024-11-16 14:47 | 今週の一冊、あるいは二冊。 | Trackback | Comments(2)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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