青山透子著『日航123便墜落事件 隠された遺体』(22)
2024年 10月 24日

青山透子著『日航123便墜落事件 隠された遺体』
少し時間が空いたが、青山透子さんの『日航123便墜落事件 隠された遺体』(河出書房新社、2024年8月30日初版)の二十二回目。
目次から。
□序 章 最高裁への茨の道
□第一章 独立なき司法の判断
□第二章 看護婦が見た隠された遺体
□第三章 検証ー羽田空港地上衝突・大炎上事故報道
□終 章 未来への道程
あとがき
注釈
補遺
【裁判資料】
引き続き、「第三章 検証ー羽田空港地上衝突・大炎上事故報道」。
JAL516便は、海保機を発見できなかったことに関しては、夜間の見えにくさに加え、最新縁エアバスA-350にも問題を指摘する声がある。
青山さんが取材した現役のパイロットの言葉から。
「B-787やA-350ではHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)が装備されています。これは半透過ガラスのようなものに飛行計器上の情報を映し出し、視線を外に向けたまま(計器を見るために下に目を移すことなく)操縦できる装置です。便利な装置のようですが、これらの情報越しに機外を見るので、もしかしたら外の情報は見えにくいのかも知れません」
JALの公式Xで、「JAL豆知識」としてHUDを紹介していたので引用。
JAL公式Xの該当ページ

青山さんは、HUDを開発した島津製作所の「大型輸送機用ヘッド・アップ・ディスプレイの開発」(野々田郁雄・島崎純弥著、「島津評論」第68巻〔3・4〕、2012年)を中心に、英文論文も含めて調査をした。
そもそもこの装置は、「飛行情報を外界と幾重にも重ねて表示することによって、パイロットの視線移動負担を軽減して安全な運航を支援するもの」であるため、今回の事故がこの装置がもとで外が見えにくいために起きたのであれば、本末転倒になってしまう。
HUDの開発は、それまで防衛庁(当時)向け戦闘機に搭載するHUDの開発・製造を担っていた島津製作所が、1980年代以降、民間の大型輸送機に向けてその技術を転用することで進展してきた。計器への視線移動を容易にし、眼の焦点距離調節時に生じるタイムラグや身体的負担を軽減することで操縦を補助し、結果的に飛行の安全性を向上させることを目的としていた。現在では「山岳地帯や低視程の気象状況が多い空港でに離着率に有効であり、安全性向上に加え、就航率向上にも資する理由」(前出論文)で、これを標準的に装備している民間航空機が増えている。パイロットにとっては離着率時が最も緊張を強いられる瞬間である。HUDが装備されることによって、機外を確認する際(その逆もである)、視線を移動する必要がなくなり、操縦に集中できる。最新のものは、パイロットの視界と視野が広がるよう工夫されており、表示方法の質も向上している。
もちろん、HUDは計器の情報が前方窓に表示されるため、HUDがなければ見えたはずのものが見えたかもしれない。
また、使い慣れていいないため、副操縦士の注意力が散漫になったかもしれない。
オブザーバーのパイロットが、副操縦士の操縦に注意を払って、滑走路上の海保機に注意を向けなかったかもしれない。
とはいえ、HUDのせいにすることは、かなり難しい、と青山さんは指摘する。
1月2日の事故発生から一週間、JALが仕組んだであろう報道によって、夜間飛行は滑走路上が見えにくいから危ないという側面だけが伝わった。JALのOB機長らが「夜間は見えない」と言い続けたのは、JAL機のパイロット三名の過失が問われないようにするためであったと思われるが、その過剰な発言は、世間に「世界中の空港では、特に夜間飛行は危険と隣り合わせの中で離着陸をしている」といった恐怖心を与えた。そして、今までこういった危険性があることを認識しつつ改善されてこなかったことや、羽田空港の滑走路は特に過密状態であり、あらゆるライトがまぶしくて見えない欠陥だらけの滑走路だと一般論にすり替え、なされるべき事故分析への問いを封じ込めたのである。
しかし、夜間は目視確認ができにというのはどういう理屈なのか。“見えづらい”ならばわかるが、一体、誰が目視確認できないパイロットが操縦する飛行機に乗りたいと思うのか。
JALは、墓穴を掘って、夜間飛行は危ない、というイメージを拡散した、と青山さんは指摘する。
私は、夜間飛行で、あのラジオ番組、「ジェットストリーム」を思い出す。
城達也さんは、こう語った。
遠い地平線が消えて深々とした夜の闇に心を休める時、はるか雲海の上を音もなく流れ去る気流はたゆみない宇宙の営みを告げています。
満天の星をいただく果てしない光の海を豊かに流れゆく風に心を開けば、きらめく星座の物語も聞こえてくる夜のしじまの何と饒舌なことでしょうか。
光と影の境に消えていった、はるかな地平線も瞼に浮かんでまいります。
これからのひととき、あなたにお送りする音楽の定期便ジェットストリーム。皆さまのお供をいたしますパイロットは私、城達也です。
夜間飛行のジェット機の翼に点滅するランプは、遠ざかるにつれしだいに星の瞬きを区別がつかなくなります。
お送りしているこの音楽が、美しくあなたの夢に溶け込んでいきますように。
♪ミスター・ロンリー、が聞こえてくるではないか。
しかし、そんな夜間飛行の後に、危険な着陸が待っているなんて思うと、とても、美しい音楽が、夢に溶け込んでくるどころではなくなる。
青山さんは、こう書いている。
自分たちの言い訳をし続けて、罪を逃れたい一心で広めたであろう報道により、逆に顧客を失い、人々を不安にさせた。危機管理という名目で目先の利益を求めるあまり、先見の明もなく自分たちのことしか考えない現在のJALが、自ら偏向報道をさせてしまったのではないか。当然だが、本物の危機管理とは「ごまかすこと」ではない。
都合の悪いことは「なかったこと」にしようと「ごまかす」のは、JALも自民党も共通。
非公認の候補者に政党交付金(=税金)から2000万円をばらまいても、「支部に支給した党勢拡大の資金」と嘘ぶく石破。
その支部の代表が、当の裏金議員なのである。
そんな政治とは、おさらばしよう。
次回も同じ章から。
