映画「幻の光」について(3)ー能登再生への祈りを込めた29年ぶりの上映
2024年 10月 16日
映画「幻の光」の三回目。
こちらが公式サイト。
「幻の光」公式サイト
予告篇。
予告篇から。


1995年、是枝裕和監督の長編映画デビュー作が、能登半島地震の輪島復興支援のため再上映されたのである。
地震前の輪島、能登の貴重な映像の記録でもある。
こちらが、公開当時のものを全ページ精密にスキャンしで復刻したパンフレット。

先日亡くなった白井佳夫さんの映画評、原作者宮本輝の言葉や、是枝監督の「演出ノート」など、実に充実している。
スタッフとキャスト。
<主なスタッフ>
□製作:重延浩
□企画・プロデューサー:合津直枝
□監督:是枝裕和
□原作:宮本輝
□脚本:荻田芳久
□音楽:陳明韋
□撮影:中堀正夫
□美術:部谷京子
□衣装:北村道子
<主なキャスト>
□ゆみ子:江角マキコ
□郁夫:浅野忠信
□勇一:柏山剛毅
□友子:渡辺奈臣
□道子:木内みどり
□弘:大杉漣
□キヨ:橋本菊子
□民雄:内藤剛志
□喜大:柄本明
□とめの:桜むつ子
□初子:市田ひろみ
□喫茶店のマスター:赤井英和
□刑事:寺田農
□少女時代のゆみ子:吉野紗香
□少年時代の郁夫:市原紳吾
□MUKUMUKU:MUKUMUKU
前回のあらすじの見出し。
(1)尼崎トンネル長屋
(2)祖母の失踪
(3)郁夫
(4)ゆみ子の夢
(5)郁夫の自転車泥棒とペンキ塗り
あらすじの続き。
もちろん、ネタバレ、なのでご留意いただきたい。
また、説明の都合で必ずしも時間軸通りではない部分もあるし、科白は正確ではないかもしれないので、ご容赦のほどを。
(6)運送屋の元相撲取り
自転車を盗みに遠くまで行っていたせいか、元気のない郁夫を気にかけるゆみ子。
「遠くまで行って、疲れたんか」
郁夫が話し始めた。
「得意先の運送屋に、相撲取りが入ったんや。相撲取りゆうても、廃業して、トラックの助手に雇われてきたんや。もう30過ぎて、まだチョンマゲ結うたままで、それが18か19の若い運転手に顎で使われとった。あんなチョンマゲ、何で切ってしまわへんのやろ。あのチョンマゲ見てると、何や元気がのうなってくるんや」
ゆみ子が言う。
「でも郁ちゃんには、チョンマゲなんてないで。それにまだ、30まで間があるし・・・・・・」
(7)ゆみ子の工場訪問と喫茶店
前の日の会話が気になったのか、ゆみ子は、郁夫の勤めている工場に出かけた。
ガラス窓の外からおかしな顔で押し付けて、郁夫を笑わせようとする。
微笑する郁夫。
二人は一緒に帰り、途中で行きつけの喫茶店に寄った。
カウンターのスツールに座り、マスターがドリップしたコーヒーを美味そうに飲む二人。
その後、例の緑に塗った自転車で、楽しそうに二人乗りして帰宅。
(8)郁夫の死
ゆみ子が窓の外を眺めている。
郁夫が、自転車で戻って来た。
玄関を開けると、郁夫が「雨が降りそうやから」と傘を持って、また、工場に戻って行った。
ゆみ子は、その後ろ姿を、いつまでも見送っていた。
パンフレットから、その画像。

郁夫を見送った後、生後三ヵ月の勇一を、ベビーバスに入れて、体を洗ってあげるゆみ子。
幸せそうな笑顔。
外は雨。窓の外を眺めるゆみ子。
郁夫が帰宅する姿が、なかなか現れない。
夜も遅くなって、布団を敷いた脇に不安そうに座っているゆみ子。
つい、うたたねしていたゆみ子は、玄関の戸を強く叩く音で起こされた。
扉を開けると、そこには一人の警官。
警官は、電車に轢かれた男性がいて、それがゆみ子の夫であるかを確認に来て欲しい、と言う。
不安そうなパトカーの中の、ゆみ子。
警察署に着き、刑事が待つ部屋へ。
刑事は、被害者の男性は線路の真ん中を進行方向に歩いていて、警笛の音にも、ブレーキの音にも振り返らす歩き続けていた、とのこと。
「会わせてください」とゆみ子は言うが、刑事は、会っても分からない、と言う。
机の上に、遺品として自転車の鍵と靴が片方置いてある。鍵には、ゆみ子が付けた鈴。
郁夫に、間違いない。
ゆみ子は、12歳の時の祖母の後ろ姿と、25歳で、まったく思いがけず見納めとなった郁夫の後ろ姿が、脳裏から離れなくなる。
それから五年後のことは、次回。
