やはり強い、藤井七冠。
2024年 09月 05日
王位戦の第五局について、記事にしていなかった。
強い藤井七冠、というか、また一歩さらなる高みに登っている藤井七冠の姿を見たような気がする。
Abema将棋チャンネルのハイライトから、一手だけ盤面画像を紹介。
Abema将棋チャンネル

先手藤井王位が63手目☗5六歩を打ったばかりで、62手目のAI予想が残っている。
最善手は、☗5四歩になっている。
☗5六歩では、勝勢が落ちる。
あるAIは、「悪手」と判断している。
しかし、終局まで残ったこの歩は、大きく勝利に貢献した。
AIは最短での勝利を計算して推奨手を提示するが、将棋を指しているのは、人間。
以前に書いたように、AIの勝勢99:1は、次の一手で1:99に逆転することもある。
渡辺九段も、てっきり☗5四歩と思っていたようで、この手は相手を悩ませた。
棋譜速報では、控室にいた立会人の福崎文吾九段が「着眼点がすごい」と言っていたようだ。
「AI超え」という言葉があるが、これは、誤解をよぶ。
自分自身の読み、そして、相手がどう読んでいるかという想像力も含めた総合的な判断が、次の一手を生む。
くどいようだが、人間と人間の勝負。
時には、相手の読みを外して、時間を使わせることも勝敗を左右する。
王位戦の第四局、第五局で、私は、叡王戦での不振からは脱したと思った。
そして、昨日の王座戦第一局。
先手の永瀬前王座の誘いで得意な角換わりに応じたが、いわゆる「3三金型」で、これは、叡王戦第二局で伊藤匠挑戦者に敗れた型。「3三銀型」に比べ、珍しい型である。

相当、研究して、この型に再挑戦したと思われる。
普通なら、一度敗れたこの型を捨てそうなものだが、将棋を極めたいと常に思う藤井七冠は、挑戦する気持ちを忘れずに研究していたのだと察する。
結果として、一般的な「3三銀型」を予想していたであろう永瀬九段の手が、次第に微妙に乱れ、藤井王座の勝利。
「ひふみんアイ」では、「肉を切らせて骨を断つ」と形容していた。
「日刊スポーツ」の該当記事
剣豪のような姿を、加藤一二三先生は感じたのかもしれない。
挑戦者だった昨年は、初戦を落としていたが、今回は、後手での勝利で、防衛に前進。
タイトル獲得が目標ではなく、もっと将棋を極めたいという思いが、敗戦となった型を練り直して、また、一回り強くなったような気がする第一局だった。
とはいえ、もっとも練習対局(VS)をする相手同士、永瀬九段も、このまま簡単に引き下がることはないだろう。
日本将棋連盟から王座戦の日程表を拝借。
日本将棋連盟サイトの該当ページ

今月中に三局予定されている。
果たして、来月まで決着が延びるのかどうか、興味深い。
その来月には、順位戦A級で連勝中、絶好調とも言える佐々木勇気八段との竜王戦がある。
こちらも連盟のサイトから日程表をお借りした。
日本将棋連盟サイトの該当ページ

もし、王座戦が来月に延びると、藤井七冠は、結構タイトなスケジュールで二つのタイトル戦をこなすことになる。
そういったスケジュール面も、微妙に影響はするだろう。
迷いがなくなったような藤井七冠と、徹底して藤井将棋を研究している挑戦者たちの対局が、楽しみでならない。
