有料老人ホームの調理補助のアルバイトを辞めた理由。
2024年 08月 25日

すでに、Wワーカーおやじはお休みなのだが、今月末までバイト先に在籍していることになっているので、この画像を使うことにした。
さっきまで、NHK BSの「またも辞めたか亭主殿」を観ていた。
小栗上野介を主人公にしたドラマ。
まるで、私のアルバイトのことを言われているようだ(^^)
1月下旬から、老健の調理補助のアルバイトを始め、6月中旬に辞め、すぐに有料の老人ホームの調理補助に替わっていた。
老健は、入居者約70名、デイサービス約30名、職員約20名の約120名分の昼食の準備、食出し、洗い物を5か月ほど続けた。
入居者の一階と二階用に配膳車が各2台、デイサービスが配膳車1台。
計5台の配膳車に準備をしたり、食後にそれらの配膳車を運んできて解体(バラシ)して食器を洗ったり、という仕事で、足腰が悲鳴を上げたのだった。
ちなみに、昼シフトのアルバイトは、三人。とはいえ、午後に洗い場担当の私以外のお二人は、夕食の配膳車の準備、食器の準備までを行う。だから、洗い場では、最初にトレーを食洗機にかけ乾燥機に移し、できるだけ早く夜の配膳者の準備ができるようにする。
人間関係は、二人の調理師、他のバイトの方含め、非常に良かった。皆、大人だった。
しかし、足腰が、ね。
並行して探していたのが、配膳車を使わない施設の調理補助。
その、6月中旬から始めていた介護施設、有料の老人ホームの調理補助のアルバイトを、水曜のシフトを最後に、辞めた。
以前も書いたが、少し内容が変わってきているので、9:50~13:50を基本とする調理補助の仕事の内容を記す。
これは、それ相応の入居金を支払う有料の老人ホームで、食堂とレストランが渡し口でつながっているので、配膳車ではなく、ホームの介護士さんと一緒に食札(介護食の内容、禁食などを書いた札)と食事内容を確認して食出しするタイプの施設の場合である。
なお、60人分を、調理師一人、バイト(キャスト)一人でこなす。
(1)ダスター準備と拭き取り
仕事の最初は、白ダスター(食器など)、赤ダスター(その他の部分)、黄色ダスター
(トイレの取っ手など)の準備。
バケツに決められた量の水とブリーチを加えて、用意した時刻と期限の時刻(4時間)を
記入した用紙を貼る。
赤ダスターで冷蔵庫の取っ手などを拭く。
(2)副菜二品をつくる
主菜は調理師が担当で、調理補助(キャスト)は副菜の二品を担当。
例えば、全員で60名前後だが、そのうち、常食(半数の30名前後)・一口(10名程)・
刻み(10名程)までを担当し、ソフト(10名程、老健では極刻み)・ミキサー(数名)は、
調理師が担当。老健で数名いらっしゃった流動食の方は、いなかった。
常食と一口が全体の約7割。ちなみに、以前の老健は四割位。
副菜1、副菜2を作るのだが、まず、朝番の方が用意してくれた食器(陶器)の数を
確認し、刻みの数、一口の数、常食の数をトレイに分ける。
それぞれ、刻み分の材料を分けておく。
調理師さんが、素材はすべて作ってくれている。
たとえば、冬瓜のあんかけ、なら、茹でた冬瓜と人参、肉そぼろのあんが
それぞれ用意されている。
器に野菜の素材を入れ、あんをかける。
一口は、材料によって一口サイズにし、常食はそのまま、器に盛っていく。
刻みは、フードプロセッサーで刻む。2mmより小さく、が基本だが、あまり
細かく過ぎるとソフトやミキサーに近くなってしまうので、少し刻んでは中身を確認。
材料によっては、プロセッサーの後に、まな板に乗せ、包丁で整える。
その後、とろみ(水溶き片栗粉の粉をお湯で溶いたもの)を材料にまんべんなく
混ぜる。
このあたりは、前の老健でも経験済み。
違うのは、老健では、配膳車にトレイ、食札、箸、スプーン、小皿などをセットし、
内容別に差し込んでいたが、新たな施設は、配膳口で順番にお出しする。
用意できた副菜は、トレー全体をラップして、冷菜は冷蔵庫、温かな副菜は乾燥庫
(温度65度設定)に入れておく。
(3)デザート(おやつ)の準備
8月から、15時のおやつを昼食のデザートとして提供することになった。
ということで、7月までなかった新たな仕事として、常食から一口までのデザートを用意。
たとえば、クリームどら焼きなら、常食は袋から出して一つづつ皿に盛り、一口は、包丁で四等分。
乳製品禁食の方には、中身がアンコのどら焼きを用意、という具合。
(4)汁の準備
一口、常食には具入りの汁がつく。
お椀を並べ、具を入れておく。
一口の方には、大きな具なら一口サイズに切っておく。
刻みの方は、具なしの汁。
一部、とろみの汁の方がいるので、事前に用意し、乾燥機で温めておく。
(5)お粥づくり
刻み以下の方で、お粥は全粥とゼリー粥、パン粥の三種。
老健ではあったハーフ(粥+ご飯)は、ない。その代わりパン粥は初めて。
また、老健ではゼリー粥も作ったが、ゼリー粥もパン粥も出来ているものを、
湯煎して温めておき、時間が来たら丼に入れる。
全粥が10名、ゼリー粥(6~8)とパン粥(1)程度。
全粥は、160g~320gまでの三種。
人数が少ないので、そう時間はかからない。
すべて、乾燥機で温めておく。
(6)食器出し
以上までを、11時頃まで終えておければ、それから、ホーム側で使うコップやポットなどを朝番の方が洗って乾燥機に入れてくれたものを、かご単位で渡し口に出す。
もしも、お粥づくりが遅れていたら、食器出しをして、残作業を行う。
(7)食出し準備
冷菜を冷蔵庫から、温かな副菜を乾燥庫から出して、配膳口近くに並べて置く。
(8)検食
11:45に、調理師が内線で施設のリーダーに連絡し、検食。
常食一人前を配膳口に用意し、検食担当が来たら、料理の確認、その日の欠食者の確認、
禁食の代替食(たとえば、お肉の入った料理の時に肉禁の方へ出す料理)、塩分濃度の説明をし、
検食していただく。
OKが出れば、食出しが可能。
(9)食出し
12時から食出し。
食札は施設の職員の方が並べてくれている。
それを元に、3名分ずつトレイを出し、食札を置く。
ほぼ、刻み以下の方から順。
ここから、忙しくなる。
例えば、「Aさん 刻み」「Bさん 刻み、とろみ汁」「Cさん 一口」の場合、
キャストは食札を確認し、「刻み二つ、一口一つ」と調理師に伝える。
調理師は、主菜をトレイに運ぶ。
キャストは、副菜を2種トレイに並べる。
Aさんには具のない汁、Bさんには、とろみ汁、一口の方には、一口にした具の
入った汁を出す。汁(すまし、みそ汁)は、すぐ近くに湯煎してある。
三つとも用意できたら、職員さんとダブルチェック。
キャストは、「確認お願いできますか」と言ってから、
「Aさん、刻み、お粥、汁具なし、禁食なし」
「Bさん、刻み、ゼリー粥、汁とろみ、禁食なし」
「Cさん、一口、ご飯、禁食なし」
など。
次の三人、「常食三つ、お一人Fさん肉禁」などと調理師に告げる。
そして、並べてから、
「Dさん常食、ご飯、禁食なし」
「Eさん、常食、ご飯、禁食なし」
「Fさん、常食、ご飯、肉禁で代わりに白身魚です」
など。
ご飯は、事前に職員さん側に渡してあるジャーから職員さんが盛ってくれる。
箸やスプーンなども職員さんが準備。
三人分ずつなので、20回ほど、この繰り返し。
配膳車ではなく、箸、スプーンなども施設の職員さんの担当。
(10)夜の器の準備
食出しが終ったら、夜の副菜を確認し、副菜二種類の器を調理師に確認し、必要数を
トレイに準備
(11)洗い場
温めていた料理を出した後、乾燥機は85度設定に変える。
入居者の方の食事が終わった順に、トレイが戻ってくるので、適宜、食器を洗って、
食洗器にかけ、駕籠に同じ種類ごとに入れておく。
ある程度たまったら、乾燥機へ。
配膳車で一気に運ぶのではなく、数食分ずつが戻されるので、それほど時間に
追われることはない。
ただし、陶器なので、要注意、ではある。
だいたい、13時15分頃、食器が戻るピークを迎える。
洗い終えて、全てを乾燥機に収め、シンクを綺麗にし、床を掃除し、夜用のダスターを
準備して、終了。
とりあえず、こういう仕事を二ヵ月程、週に二日あるいは三日、会社の休みの日にやってきた。
しかし、もう限界だった。
理由は大きく二つ。
(A)物理的環境
特に猛暑の日にシフトが多かったこともあるが、洗いの時間、85度設定の乾燥機の影響で、
軽い熱中症になった。
洗い場が、以前の老健ほど広くないので、軽く洗って食洗機に入れるシンクと食洗機の後ろ
にある乾燥機との間隔は、1メートルほどしかない。
小さな扇風機が回っているが、ほとんど効果がない。
とにかく、熱い。
この夏、何度も、洗っている途中でクラクラし、作業も遅くなった。
その結果、調理師の出す洗い物も増えて、また、遅くなる悪循環。
終わるのが、14:30、あるいは、15:00頃になっていた。
そして、終わると、ほぼ、へとへと。
さすがに、体がもたない、と思った。
(B)人間関係
研修期間の一か月、店長を含む3人の調理師も皆、優しかったが、その後、私が一人でキャストを担当するようになり、店長も他の調理師も、いきなり態度がきつくなった。
特に、8月から加わった、かつての「おやつ」、今の「デザート」が、要領が分からないのに、詳しく教えてくれず、しかし、分からないので聞き返すと、「前にも言ったよね」と、聞いたこともないのに、言われてしまうことが、二度、三度。
水曜日は、そのデザートを半分位用意した時点で、「器が違う!」と言われた。
それは、私が事前に確認した器だったのに。
「ムッ」としたが、やり直した。
食出しを始めても、そのデザートの出し方に注意があり、「チェっ」と舌打ちされてしまった。
そして、食出しの後の、洗い場での軽い熱中症である。
すでにシフトに入っている夜番の調理師(私と同じ年齢)も、私の状況など関係なく、容赦なくまな板や鍋などの新たな洗い物を追加する。
店長や時折来る管理栄養士は、状況を察してくれて、洗い場を手伝ってくれたが、この二人は、まったくそんな気がない。
その日は、最悪の顔ぶれだったと言える。
「これは、続かない」、と思った。
しかし、その日は店長が休みで伝えることができなかった。
その水曜日に帰宅し、かかりつけの、家から徒歩3分の内科医に、月に一度の血圧の処方箋をもらうための診察。
私の一歳上の馴染みの先生が、油汗を流し、手の指がつっている私を診て、「熱中症だよ」と言う。
アルバイトのことを話すと、「辞めた方がいい。倒れてもしらないよ」と言う。
ということもあり、木曜の朝5時半、朝番の店長が出勤している時間に電話。
急で申し訳ないことを深く詫びながら、体と心がもたない、ということで辞めさせてもらった次第。
店長曰く、水曜日一緒だった調理師は、前の週にホーム責任者から、私がシフトに入った時の言葉や態度が「パワハラに近い」と注意の連絡があったとのこと。
また、軽い熱中症なのは、店長も察していたようで、ご了解をいただいた。
ということで、スゥーッと肩の力が楽になった週末。
昨日も今日も、映画を観て、英気を養うことができたのだった。
その方々も仕事が大変でそうなってしまうという事情があるのかも知れませんが、
兵庫県知事みたいな人たちですね。
社会の縮図を見るようで、辛い気持になります。
お辞めになられたということで、勝手ながらこちらまでほっとしてしまいました。
人それぞれ、という個性ではなく、残念ながら、一緒に働く人をパートナーと考えるか、見下しているか、その人の品性の問題なんでしょうね。
以前の老健は、人は皆、まともでした。
なかなか、難しいものですね。
我ながら頑張ったとは思います。
もちろん、すべての介護施設の調理の現場が問題だとは思いません。
調理師と栄養士、調理補助が良好な関係の現場もあるとは思います。
しかし、そういう現場も、一歩間違えば、亀裂が広がる、ギリギリの犠牲精神の上に成り立っているように察します。
おっしゃる通りです。
委託された給食業者は、少ない請負金額でのやりくりで人件費を抑えるために、人数を必要数確保するなら時給を下げる(以前の老健がそうです)、時給を上げるなら人数は絞る(今回)。
適正報酬で適正人員数のところは、ありそうに思えません。
研修中に一緒にシフトに入りいろいろ教わった先輩の二人は、どちらも50歳台の主婦ですが、定刻の結構前に出社し仕事をしています。これ、サービス早出残業なんです。
私も朝20分は早出していました。
調理師の仕事も大変ではありますが、彼らは社員です。
いろいろ、介護施設の調理の現場を勉強したので、何か記事を書くつもりです。
お疲れ様でした。職場の人間関係に恵まれたとしても、食洗機と乾燥機の環境は最悪のようですね。
私も義兄のデッキ造りをした際、高温多湿にほとほと参りました。自分独りですので熱中症にならずに済みましたが、体力的にはかなり消耗しました。健康あっての人生ですから、止めて正解でしょう。
日本の介護施設の状況は、街場のレストラン以上に過酷かもしれませんね。経営陣の経営体質に問題がありそうですね。
ありがとうございます。
さすがに心身ともに、限界でした。
老健、有料老人ホームの二か所を経験して、介護施設の給食委託業者の問題を実体験しました。
利益追求のしわ寄せが、パートの過酷な労働につながっています。
その問題の根源は国の政策にありますが、そのことは、もう少ししたらブログでも書こうと思っています。
