「99:1」の怖さ、大逆転の王位戦第一局。
2024年 07月 08日
都知事選では、逆転は起こらなかったが、将棋の世界では、大逆転があった。
将棋の楽しみ方は、AIによって様変わりしたが、AIが「99対1」と予想しても、実は、その「99」は、ある一つの勝ち筋だけを対象にしていることも多く、それ以外は、大逆転、ということもありうる。
まさに、昨日の王位戦第一局が、そうだった。
昨日の王位戦第一局二日目は、対局者にも将棋ファンにとっても、長い一日だった。
千日手(同じ局面が四回続いた場合は引き分け)での指し直しで、夜、21時過ぎまで、Abema将棋チャンネルから目を離せなかった。
Abema将棋チャンネル
まず、初日の封じ手。
前の記事で、次の初日の終局図を、藤井聡太を忖度なしに応援するブログ、から借りていた。
「藤井聡太を忖度なしに応援するブログ」の該当局のページ

次の手(藤井王位の封じ手)を、三つのAIが、それぞれ違う予想。
私は、☗5九角かと思っていた。
結果は☗2九飛で、3つのAIすべて、予想が外れた。

その後、渡辺明九段の作戦だったのか、先手藤井王位に時間を使わせておいて、千日手。

指し直しの持ち時間は、藤井王位の50分に10分足して1時間とし、渡辺九段にも10分足して2時間20分。
倍以上の時間差で、今度は渡辺九段が先手。
これが、66手目の盤面。ほぼ互角だが、藤井王位の持ち時間は、10分を切っている。

65手目渡辺九段の☗3三歩成を、同金としたのだが、ここは、同銀の方が良く、その後、先手が優勢になっていった。
手は進み、90手目☖6九角成の盤面で、先手70%優勢。

しかし、渡辺九段も時間を使っていて、ほぼ、両者一分将棋目前。
藤井王位は、しばらく時間を使わず手を進めるが、やはり、微妙なミスが起こる。
92手目☖3六桂、AI推奨手は☖8二歩。差が広がった。
とはいえ、次の渡辺九段も☗3八玉以外なら逆転することをAIが示している。

渡辺九段、ミスなく打ち続けた。
116手目、AI予想「99:1」における、藤井王位の姿。

ほぼ、敗戦を覚悟していたと思う。
そして、その二手後、118手目、藤井王位☖4一銀の盤面。

同龍からの19手詰めがあるのだが、終局後の感想戦や解説者の発言から、この時、それに気づいていたのは、藤井王位だけだったようだ。
同龍以外は、逆転の可能性がある。
「99:1」のAI予想は、実は、「これしかない」勝ち筋を前提にしている場合も多く、それを見逃してしまうと、大逆転が起こる。
まさに、そういう状況に近かった。
渡辺九段にしても同龍からの詰みが読めていなかった。
そして、渡辺九段は、運命の119手目、☗3二銀を選択。
勝勢は後手に大きく振れた。

まだ、渡辺九段は、自分のミスに気付いていないようだ。
赤い線が見えずらいが、AI曲線が、先手から後手に真っ逆さまに落ちている。

夕食中で、正面のテレビをつけながら、右横のキャビネットにあるパソコンのAbema将棋チャンネルを見ていた私は、びっくりして、かみさんに「あっ、逆転!」と言ってしまった。
日本将棋連盟サイトの指し直し局の棋譜速報では、120手目☖同玉時点で、控え室でも詰みが見つかっていない。
日本将棋連盟サイトの該当ページ

☗3二銀で、すでに詰み筋が消えていた、ということは、解説陣にも分からなかったのである。
この後、生き返った藤井王位が着実に指し続け、131手目☗2五金を打ったあとの渡辺九段の姿。

136手目☖1三玉で、もはや後手の詰み筋がないと悟った渡辺九段が、投了。

千日手への誘導から先手による指し直し、そして、ほぼ終盤まで完勝路線だった渡辺九段。
しかし、あの難しい19手詰めを、一分将棋で指すのは、渡辺九段にしても困難だったということだろう。
藤井王位にとっては、五連覇で永世王位の称号獲得に向けて、実に幸運と言える一勝。
日本将棋連盟サイトの「棋戦一覧」のページから、各タイトル棋戦の日程などを確認することができる。
日本将棋連盟サイトの該当ページ
王位戦の日程表。

第二局が17日・18日に北海道で開催される。
第三局も今月、30日・31日に徳島で開催。
今月は、22日に、羽生九段と永瀬九段による王座戦の挑戦者決定戦も予定されている。

まだまだ、熱い将棋の季節が続く。
