将棋の棋戦について。
2024年 06月 21日
叡王戦の熱戦の興奮冷めやらずだが、あらためて、将棋の「棋戦」について確認しておきたい。
現在、タイトル戦と言われる棋戦は、八つ。
序列は、歴史、ではなく、契約金で決まっているのである。
Wikipedia「棋戦(将棋)」から、引用。
Wikipedia「棋戦(将棋)」
タイトル戦の序列
8つのタイトル戦には序列が存在し、2022年現在、竜王戦が1位、名人戦が2位、以下、王位戦→叡王戦→王座戦→棋王戦→王将戦→棋聖戦の順である。タイトル戦の序列は契約金の額による。このため契約金が変更されれば序列も変更される。
日本将棋連盟公式ホームページの棋戦一覧の項では、タイトル戦が序列順に並べられているが、長らく序列3位であった棋聖戦は、2009年8月に序列6位に下がり、2010年10月には7位に、さらに叡王戦がタイトル戦に組み入れられた2015年からは8位に下がっている。2017年のタイトル昇格時には序列3位だった叡王戦は、2020年のスポンサーと契約金の変更に伴い6位となったが、2022年に4位まで序列を戻している。
歴史なら、江戸時代からの名人位がもっとも古いのだが、契約金が竜王(九段戦→十段戦→竜王戦)の方が大きく、両タイトルを持つ場合、藤井竜王・名人、と呼ばれる。
ということで、日本将棋連盟サイトの棋戦のページも、上記の順で並んでいる。
日本将棋連盟サイトの該当ページ
しかし、私自身は、歴史の順で考えたい。
江戸時代、最初世襲制で始まった名人戦の次は、昭和25(1950)年の九段戦を起源とする竜王戦。
その次は、昭和26(1951)年に始まった王将戦を三番目という印象。
昭和35(1960)に王位戦が始まるまで、棋戦は名人戦・九段戦・王将戦の三つが十年続いた。
昭和37(1962)年、十段戦が竜王戦に変わった年に棋聖戦が始まって、五つ。
昭和50(1975)年に棋王戦が加わり、昭和58(1983)年に王座戦が七つ目となった。
それから八つ目に叡王戦が加わったのは、たった七年前、平成29(2017)年のこと。
団体戦の電王戦から発展し、二回目まで一般棋戦で、第三回からタイトル棋戦に昇格。
タイトル戦前の第一回優勝者は、現在棋聖戦に挑戦している山崎隆之八段。
だから、藤井八冠が失冠するなら、叡王戦なら、それほど大きなダメージはない、という思いだった。
さて、その八つの棋戦のスケジュールをWikipediaから確認。

その年最初に始まる名人戦。そして次に叡王戦、すぐに棋聖戦となり、現在真っ最中で7月1日に第三局。
次に控える王位戦は来月始まる。藤井王位と渡辺明九段との対局が7月だけで三局開催される。
その後の王座戦は、今、挑戦者決定トーナメントの真っ最中。
日本将棋連盟サイトから、決勝トーナメントの表を拝借。

昨年、永世王座のチャンスを逃した永瀬九段が、準決勝に残っているし、連盟会長羽生九段の名もある。
しかし、ご覧のように、伊藤匠七段の名は、見当たらない。
棋戦に挑戦するのも、そう簡単なことではないのである。
さあ、次に控えるのは、竜王戦。
こちらが、挑戦者決定トーナメントの表。

昨年は、5組優勝の位置から、並み居る強豪をなぎ倒して伊藤匠七段が挑戦者になったことを思い出すが、今年、この表に名がない。
1組の三位決定戦で、久保利明九段に敗れたのであった。
しかし、今年も、下剋上の楽しみがある。6組優勝の藤本渚五段。
藤井七冠とは誕生日が一日前の7月18日で19歳という若さ。
その後の王将戦は、もうじき二次予選が始まる。
こちらが、対戦表。

ここにも、藤本五段の名があるが、伊藤匠七段は、いない。
今期最後の棋王戦の挑戦者決定トーナメント表には、伊藤匠七段の名が、しっかりある。

棋戦は、挑戦者になることも大変なこと。
また、名人戦は、AーB1-B2ーC1ーC2という各組での順位戦の中で、A組優勝者のみ名人への挑戦権を得る。
上の組に上がれるチャンスは、年に一度。
現在、伊藤匠七段は、B2組。
来年B1に上がり、再来年A組に上がって優勝して初めて、その時の名人に挑戦できるのである。
以前の記事で、藤井七冠にとってライバルは必要だと書いたが、師匠も同じように思っていたようだ。
叡王戦後の、藤井七冠の師匠、杉本昌隆八段の言葉を、日刊スポーツから引用したい。
日刊スポーツの該当記事
杉本氏は、将棋界のレジェンド羽生善治・日本将棋連盟会長を引き合いに「羽生善治九段の時代も、森内俊之さんや佐藤康光さん、郷田真隆さんといった同世代のライバルがいらっしゃって、羽生九段の大記録が生まれたこともあると思う」と指摘。「同世代のライバルというのは、お互いに刺激し合って成長し合う関係。藤井7冠にライバルが誕生したことは本当に素晴らしいことだと思う」と述べ、藤井をやぶり悲願の初タイトルを獲得した伊藤叡王をたたえた。
藤井7冠がこれまでタイトル戦で対戦してきた相手がほぼ年長者だったことを念頭に、「同世代との公式戦対局というのはほとんどなかった。それが今回、伊藤匠さんという強力なライバルがタイトル戦に登場してきて、今回、タイトルホルダーとなった。これで新たに2人のライバル関係、伝説が始まっていくんだろうなと思って、昨日は本当に、いい日だったんじゃないかなと思う」と口にした。
さすが、師匠!
藤井七冠は、昨年、最年少名人となり、今年、初防衛を果たした。
その後の叡王戦では、同級生の伊藤匠七段の粘りに屈したが、まだ、棋戦の防衛戦は続く。
その中で、また、藤井対伊藤、あるいは、藤井対藤本、という若者同士の対局があるかもしれない。
同級生のみならず、年下のライバル出現も、藤井七冠にとっても、将棋界にとっても、良いことだ。
先に楽しみはあるが、来月、まずは、ベテラン陣の山崎隆之八段、渡辺明九段との対局を楽しむことにしよう。
