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『金明竹』の言い立てで、ちょっと、言葉狩り遊び。

 昨日の記事で、あのテレビドラマで扱われた昭和の歌のコンプライアンス問題から、過去の言葉狩りのことに話が発展し、筒井康隆の実験的小説『残像に口紅を』が、リバイバルヒットしていることも紹介した。

 同書は、日本語の音が消えていく「文字落とし」という、和歌などで古来より使われている手法で書かれていて、「あ」という音がなくなれば「愛」という言葉は消える、という実験小説だ

 もし、落語で「文字落とし」をしたらどうなるか、遊んでみた。

『金明竹』の言い立てで、ちょっと、言葉狩り遊び。_e0337777_09145747.png


 写真は、落語ネタを調べる時にお世話になる「落語の舞台を歩く」サイトの『金明竹』のページから拝借。
 黄檗山ではなく、皇居東御苑の金明竹とのこと。
「落語の舞台を歩く」サイトの該当ページ

 『金明竹』の謎の上方人の言い立てから、「き」「ん」「め」「い」「ち」「く」の六文字を落としてみた。
 なお、言い立ては、三代目三遊亭金馬版。

 まず、文字落とし前。
「わてナ、中橋の加賀屋佐吉方から参じました。先度、仲買いの弥市が取り次ぎました道具七品のうち、祐乗、光乗、宗乗三作の三所物、ならびに備前長船の則光、四分一ごしらえ横谷宗みん小柄付きの脇差ナ、あの柄前は旦那はんが古たがやと言やはったが、あれ埋れ木やそうで、木~ぃが違(ちご)うでおりますさかいにナ、念のため、ちょっとお断り申します。
 次はのんこの茶碗、黄檗山金明竹(おうばくさんきんめいちく)ずんどの花活(はないけ)、古池や蛙とびこむ水の音と申します、ありゃ、風羅坊正筆(ふうらぼうしょうひつ)の掛け物(もん)、沢庵木庵隠元禅師(たくあん・もくあん・いんげんぜんじ)張りまぜの小屏風、あの屏風はなァもし、わての旦那の檀那寺が兵庫におましてナ、ヘイ、その兵庫の坊主の好みます屏風じゃによって、表具にやり、兵庫の坊主の屏風になりますとナ、かよう、お言伝(ことづけ)願いまぁ」

 では、六文字を落とす。
 落とした部分を□と記す。

 最初の部分。
「わてナ、中橋の加賀屋佐吉方からさ□じました。」

 被害(?)は、一か所。

 次。
「せ□ど、仲買□のや□□が取り次ぎました道□七品のう□、祐乗、光乗、宗乗さ□さ□の三所も□、ならびにびぜ□長船の則光、しぶ□□ごしらえ横谷宗み□小柄付□のわ□差ナ、あの柄前は旦那は□が古たがやと□やはったが、あれ埋れ木やそうで、□~ぃが□ごうでおりますさか□にナ、念のた□、□ょっとお断り申します。」

 被害が広がってきた。

 続ける。
「次はの□この□ゃわ□、おうば□ざ□□□□□□□ず□どの花□け、古□けや蛙とびこむ水の音と申します、ありゃ、風羅坊正筆(ふうらぼうしょうひつ)の掛けも□、た□あ□、も□あ□、□□げ□ぜ□じ張りまぜの小屏風、あの屏風はなァもし、わてのだ□なのだ□な寺が兵庫におましてナ、ヘ□、その兵庫の坊主の好みます屏風じゃによって、表□にやり、兵庫の坊主の屏風になりますとナ、かよう、お言伝願□まぁ」

 もはや、日本語の体は、なさない。

 「おうばざずどの」って、どんな殿?

 「わてのだなのだな」って、笠置シズ子の歌みたい。


 なお、「木が違った」=「気が違った」の地口は、テレビ放送される高座では、省略されることが多い。

 やはり、言葉狩りは、怖いねえ。
 

 そういえば、『金明竹』には、柳家小袁治による東北弁バージョンもあるし、三遊亭円丈による名古屋弁バージョンもあった。

 もし、落語で、いわゆる標準語を禁止したら、なんて考えないでもない。

 
 そうそう、岸田総理から「しっかり」を禁止し、政治家には「記憶にございません」を禁止しよう。


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by kogotokoubei | 2024-02-18 19:27 | 落語のネタ | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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