人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「GDP」という"量”ではなく、“質”の指標で考える時代。


 GDPで日本はドイツに抜かれ4位、というニュースが飛び交っている。
 東京新聞から。
東京新聞の該当記事

振り向けば韓国…日本のGDP「4位に転落」だけじゃない 実はすでに「G7で最下位」の体たらく
2024年2月16日 06時00分

内閣府が15日に発表した2023年の名目国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、ドル換算で4兆2106億ドルとなり、ドイツに抜かれて世界3位から4位に後退した。日本の1人当たりの名目GDPは、2022年の時点ですでに先進7カ国(G7)最下位に転落している。本紙の試算では、23年は前年より240ドルほど目減りしており、経済協力開発機構(OECD)加盟国中21位だった22年よりも順位を下げる可能性がある。

 このニュースに一喜一憂することはない、と思っている。

 そもそも、GDPという指標そのものが、いったい何を評価するものか、ということを考えるべき時代。


 何度か紹介している、ジェレミー・リフキン著『レジリエンスの時代』(集英社シリーズ・コモン、2023年9月初版)から引用したい。
 本書の副題は、「再野生化する地球で、人類が生き抜くための大転換」。

「GDP」という\"量”ではなく、“質”の指標で考える時代。_e0337777_09141719.png

ジェレミー・リフキン著『レジリエンスの時代』

 本書の著者であるジェレミー・リフキンは、経済社会理論家であり文明批評家。
 EUや中国、独メルケル元首相など各国の首脳・政府高官のアドバイザーを歴任。
 現在は、米経済動向財団会長およびTIRコンサルティング代表。
 ペンシルヴェニア大学ウォートンスクール上級講師も務める。
 1980年代から、気候変動の危機を訴えてきており、著書も多数ある。

 第四部「レジリエンスの時代」ー「工業の時代」の終焉、の「第十章 レジリエンス革命のインフラ」から。

 デジタルでつながった経済では、GDPは景気動向の指標としての地位を急速に失いつつある。そもそもGDPは、効果的な指標ではなかった。GDPは大ざっぱなツールで、生活を豊にするものも社会の健全性を損なものも区別することなく、ありとあらゆる経済生産を同じように測定してしまう。有害なゴミの廃棄場をきれいにしたり、より致命的な大量破壊兵器のシステムを製造したり、より多くの刑務所を建設したり、化石燃料を燃やして出た二酸化炭素にさらされたせいでかかった肺疾患を治療するために入院期間を延ばしたり、気象関連の災害のせいで近隣地域やコミュニティを再建しなければならなくなったりしても、それがすべてGDPに反映されるのだ。
 近年、経済協力開発機構(OECD)や国際連合やEUといった国際的な機関が、経済の健全性を測定するのに「生活の質の指標(QLI)」を採用するようになったので、GDPは権威を失い始めた。QLIという新しい基準は、乳幼児死亡率や平均寿命、教育水準、公共サービスへのアクセス、空気や水の質、余暇、ボランティア活動、共有財(コモンズ)資源の利用可能性、安全なコミュニティでの居住などを測定し、若い世代が良い生活を評価する方法そのものを一変させている。

 この指摘の通り、GDPは、生産、サービスの合計であるから、大量のモノやサービスが作られ、大量のモノやサービスを消費することで、数値が大きくなる。
 そのモノやサービスの目的などは、考慮されない。

 まさに「進歩の時代」の指標であって、「効率」が重要視されていた時代のモノサシ。

 GDPに替わる、「生活の質」(Quoality of Life)についての指標が求められてきた中で、OECDは、BLI(Better Life Index)を加盟国に関して調査し始めた。

 OECDのサイトから引用。
「OECD」サイトの該当ページ
『より良い暮らし指標(BLI)』 は、伝統的なGDP以上に、人々が暮らしを計測、比較することを可能にするインタラクティブな指標です。

BLIは、暮らしの11の分野(住宅、所得、雇用、社会的つながり、教育、環境、市民参画、健康、主観的幸福、安全、ワークライフバランス)について、OECD加盟37カ国とブラジル、ロシア、南アフリカを加え、あわせて40カ国の指標を比較できるようになっています。

 OECDのBLIのページから、最新の国別総合ランキングを表示した画像がこれ。
「OECD 」サイトの該当ページ

「GDP」という\"量”ではなく、“質”の指標で考える時代。_e0337777_11181464.png


 日本は、30位。

 分かりにくいので、トップ10だけ記す。

1位 ノルウェー
2位 アイスランド
3位 スイス
4位 スウェーデン
5位 フィンランド
6位 オランダ
7位 オーストラリア
8位 アメリカ
9位 デンマーク
10位 カナダ

 ちなみに、ドイツは13位。

 

 量ではなく質に関する指標としては、「世界幸福度ランキング」の方が、BLIより有名かもしれない。

 「国際幸福デー」の3月20日に、国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(SDSN)が発表する「World Happiness Report(世界幸福度報告書)」に基づいている。

 朝日の「SDGs Action」のサイトで、日本は、前回より“上昇して”、47位だったことが確認できる。
朝日新聞「SDGs Action」サイトの該当ページ
 トップ10を引用。

1位 フィンランド 7.804
2位 デンマーク 7.586
3位 アイスランド 7.530
4位 イスラエル 7.473
5位 オランダ 7.403
6位 スウェーデン 7.395
7位 ノルウェー 7.315
8位 スイス 7.240
9位 ルクセンブルク 7.228
10位 ニュージーランド 7.123

 ちなみにドイツは16位。


 第二次世界大戦後、日本とドイツは、同じ敗戦国として戦後の歴史を刻んできた。

 そして、GDPという量の指標でドイツに日本が抜かれたことは、それほど、悲しむべきことではないかもしれない。

 しかし、BLIや世界幸福度ランキングでは、大きく、そのドイツに後れをとっている。
 そのことこそ、本質的な要因を探るべきではなかろうか。

 敗戦後、過ちに真正面から向かい合い、ナチスを断罪してきたドイツと、戦犯を靖国神社に祀り、政治家がその神社に参拝している日本との違いと、私は無関係ではないと思う。

 戦犯が合祀されている神社に参拝するのは、たぶんに、選挙の票を意識しているからだろう。
 日本の、特に自民党の政治家は、いったい誰のために政治をしているのか。

 この度の「政治と金」の問題も、日本の政治家が国民のために仕事をしていないことの端的な表れだ。

 
 ちょっと話が別な方向に発展しそうなので、あらためて、指標のこと。

 GDPという「量の指標」ではなく、国民の生活の「質の指標」を重要視すべき時代である。

名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by kogotokoubei | 2024-02-16 12:54 | 社会や政治のこと。 | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31