山田太一で思い出すドラマ、『男たちの旅路』。
2023年 12月 01日
山田太一の訃報に接した。
我が家は、近所に高層マンションが建つ際、工事費無料につられてケーブルテレビを引いた。
だから、古いドラマを楽しむことが多い。
山田太一脚本のドラマで、思い出すのは『男たちの旅路』だ。

画像は、「NHKスクエア」サイトから拝借。
「NHKスクエア」サイトの該当ページ
このドラマ、今年5月にも、NHK BSプレミアムと4Kで再放送されていた。
Wikipedia「男たちの旅路」を元に、このドラマのことを再確認。
Wikipedia「男たちの旅路」
1976年2月から1982年2月までNHKにて放映された山田太一脚本のテレビドラマ。全13話。
主人公を演じた鶴田浩二が、その役を引き受けるまでの経緯を引用。
実際に戦争の惨禍を体験した世代で、自身も特攻機の整備士であった鶴田浩二が主人公に選ばれている。鶴田は一度はこの仕事の依頼を断ったが、山田太一との面会をプロデューサーに求め、山田に特攻崩れとしての自分の経験・思いを脚本に投影するよう求めた。出来上がった脚本を見て、鶴田はこの仕事の依頼を快諾した。当時、鶴田とNHKは絶縁状態にあったが、本作への出演を機に再びNHKの番組に出演する様になった。また山田脚本のドラマにも頻繁に出演し、遺作も山田太一脚本のNHK総合テレビの『ドラマ人間模様・シャツの店』であった。
鶴田の遺作『シャツの店』も思い出すなぁ。
キャストは次の通り。
□吉岡晋太郎 - 鶴田浩二
□杉本陽平 - 水谷豊(第4部第1話まで出演)
□島津悦子 - 桃井かおり(第3部まで出演、第4部第1話に回想シーンで出演)
□浜宮聖子 - 五十嵐淳子(第1部・第2部に出演)
□田中先任長 - 金井大
□柴田竜夫 - 森田健作(第1部のみ出演・第1部での主人公)
□竜夫の母 - 久我美子(第1部のみ出演)
□斎藤司令補 - 中条静夫(第1部のみ出演)
□後藤士長 - 前田吟(第1部のみ出演)
□沢新子 - 木村有里(第1部のみ出演)
□鮫島壮十郎 - 柴俊夫(第2部から出演)
□小田社長 - 池部良(第2部から出演)
□大沢司令補 - 橋爪功(第2部から出演)
□尾島清次 - 清水健太郎(第4部から出演)
□尾島信子 - 岸本加世子(第4部から出演)
戦争を引きずる男吉岡と、そんな吉岡を古い封建的な人物と思いながらも、慕う部下の陽平や悦子たちが、さまざまな事件や社会問題に直面する。
そして、山田太一は、それらの社会問題を、独自の視点で描き出す。
山田太一ならではの、磨かれた科白も、このドラマの魅力だった。
13作のうち、第三部第一話の「シルバー・シート」が、印象に残る。
NHK総合で1977年11月に初回放送された。
NHKオンデマンドのサイトに、短い紹介動画を含め同作品のページがある。
「NHKオンデマンド」サイトの該当ページ

概要を引用する。
空港警備を担当する陽平と悦子は本木という老人と知り合います。話好きの本木はガードマンたちから避けられていましたが、2人は本木を気に掛けていました。ある日、本木は空港ビルのロビーで倒れて息を引き取ります。陽平と悦子は供養のため本木のいた老人ホームを訪れますが、本木の友人たちから思わぬもてなしを受けます。数日後、老人たちは都電の車両を占拠して立てこもります。昭和52年度、芸術祭大賞受賞。
老人たちを演じる俳優がすごいのだ。
本木役は、志村喬。
通信社で記者を永年勤め、ロンドンにも滞在していた。
都電の車庫でバスジャックをする老人たちの顔ぶれ。
門前(笠智衆)、辻本(加藤嘉)、須田(藤原釜足)、曽根(殿山泰司)という豪華さ。
彼らは、皆、ひとかどの仕事をし、子どもを育ててきた。
しかし、今、身寄りがなく、「養老院」と呼ぶ施設に入っていた。
吉岡が人質となって、バスに乗り込んでの、彼らとの会話、その科白が山田太一ならではだった。
うろ覚えだが、こんな内容だったはず。
「自分を必要としてくれる人がいない」
「他人から愛されることがない」
「棄てられた人間だ」などなど。
今は、体も不自由で他人のお世話になっているが、これまでの人生に対して、もう少し敬意を払ってもらってもいいのではないか、という思いが、事件につながったことが吉岡に伝わる。
吉岡は、自分は戦争を引きずっている。多くの仲間が死んだ。
しかし、彼らは忘れ去られようとしている。また、誤解されてもいる。
せめて、自分だけでも、彼らの本当の姿を忘れないようにしたい。
しかし、それを世間に訴えようとは思わない。
皆さんも、こんなことをしたら、せっかくのこれまでの人生が台無しになるじゃないですか、と説く。
門前は、「それは、理屈だ」「あなたの20年後ですよ」と迫る。
吉岡は、「20年後の覚悟ができています。少なくともこんなことはしない」と言う場面が、
NHKオンデマンドの短い紹介動画だ。
高齢化社会の問題を、こういう形でドラマにする山田太一の発想の豊かさに驚いた。
今頃、あのバスジャックを演じた名優たち、そして、鶴田浩二たちと再会していることだろう。
昭和を代表する脚本家、山田太一のご冥福を祈る。
鶴田浩二が「貴様、ふざけるな!二度と許さん」なんて、怖い(笑)
>都電の車庫でバスジャックをする老人たちの顔ぶれ。
たしかに豪華ですね。
加藤嘉
痩せていて眼光鋭く、ときに悪役もやるんですが、存在感があります。
こういう日本のドラマを楽しめるのは羨ましいかぎりです。
役者さんもそうそうたるメンバー。
先日、日本に帰省した際、ホテルのTVをつけっ放しにして深夜、某公共放送を見たり眠ったり。時差ボケもあり所々しか覚えていませんが、教養番組やドラマ技法が新鮮でした。
ご飯はうまいし、やっぱり日本はいいなぁ!
そうなんです。
旧世代と新世代は対立するんですが、次第に相手のことを、少しづつ理解していく。
しかし、溝は完全には埋まりません。
一人一人が違うのですから、それは仕方がない。
違いを認め合うことの大切さを教えてくれるドラマだったかもしれません。
加藤嘉は、「たんぽぽ」の渋い演技も印象的でした。
最初の奥さんが、山田五十鈴ですね。
しばらくぶりの日本をご堪能なさったようですね。
鶴田浩二演じる吉岡は、先日亡くなった伊集院静と、年齢は離れてはいますが、少し重なるイメージがあります。
安易に時代に迎合しない、そんな意志を感じます。
今、そういう感性が、失われたつつあると思うと、山田太一を含め、慕うべき大人が一人づつ去って行く、そんな喪失感があります。
スポーツ新聞で読んだ倉本聰さんの追悼文は素晴らしいもので「古い戦友」と称していました。
伊集院静さん。
ユーミンとコラボしていたそうですね。ライブでゾウに乗って登場する演出など。
ユーミンさん。
先週「ザワつく!金曜日」に出演(自ら希望して、とか)。お洒落で若い、若い!
高島、長嶋、石原三氏の挙げたユーミン曲ベスト3にも納得しました。
私も、倉本聰の追悼文読みました。
向田邦子を含め三人でよく会っていたらしいですね。
視聴率競争が、ドラマを堕落させたと指摘していましたね。
今は、録画視聴やネットでの視聴など多様化していて、視聴率という指標は、ほとんど意味をなくしています。
テレビ関係者は、一人一人の価値基準が求められている時代。
しかし、そういうモノサシを持った人たちが、次第に姿を消していくのが寂しい限りです。
凄いものを作っていたと思いました。この体制を続けていたら、批判する輩も出なかったものの。
コメントありがとうございます。
確かに、戦前、戦中、戦後、ですね。
今の子供たちは、戦無世代であって欲しいのですが、きな臭くなってきました。
NHK、最近は再放送のオンパレード。
新作ドラマも、あまり魅力を感じません。
