アメリカの「リアルID」は、2025年まで延期。マイナンバーカードは、どうなる。
2023年 09月 11日
9.11で思うことは、いろいろあるが、9.11を契機に、テロ対策として、アメリカは統一された「ID(身分証明書)」の導入を決めた。
「リアルID」と言われる。
しかし、当初の実施予定は、どんどん延びている。
ロサンゼルスを本拠とする日本語版ニュースサイト、DAILY SUN(日刊サン)の昨年12月の記事を引用。
DAILY SUNの該当記事
12/06/2022
リアルID提示義務、再び延期
2025年5月まで
米国土安全保障省(HSI)は5日、リアルID提示義務を2025年5月7日まで遅らせると発表した。6日、ニューヨーク・タイムズが報じた。
2001年の米同時多発テロ(9.11)後ハイジャック防止のため05年に成立したリアルID法。もともと08年に施行する予定だったが複数回延期され、コロナ下でさらに23年5月まで延びていた。施行後は空港の保安検査所でリアルIDおよびリアルID発行基準に沿った運転免許証ならびにパスポートなどの米運輸保安庁(TSI)が認めた身分証明証を提示することが18歳以上の旅行者に求められる。星型のリアルIDシールのない州政府発行の運転免許証だけでは検査所を通過できなくなる。
今回施行をさらに遅らせたのはリアルID発行を巡って、混乱が生じているため。ニューヨーク州やミシガン州では、リアルIDの代わりに、その発行基準に沿った強化型運転免許証(EDL)を入手する選択肢がある。ただしシールは星型ではなくは国旗だ。一方、ワシントン州のようにEDLのみで、リアルIDを発行していない州もある。連邦政府はリアルIDが十分浸透しておらず、施行は時期尚早と判断した。HSIの報道官は「コロナ下で過去2年、リアルID発行が遅延した。州政府に十分な猶予を与えることが必要だ」としている。
米国土安全保障省(HSI)報道官の、「州政府に十分な猶予を与えることが必要」という言葉、マイナンバーカードにより、健康保険証を来年廃止する、と言い続ける日本の永田町、霞が関の当事者に聞かせたい。
この「リアルID法」が施行されると、定住地を持たない人々は、困る。
定住地を持たない人=ホームレス、ではない。

ジェシカ・ブルーダー著『ノマドー漂流する高齢労働者たち』
「リアルID法」のことは、映画「ノマドランド」の原作を読んだ際に知った。
二年半ほど前の拙ブログから、ご紹介。
2021年4月23日のブログ
原作者のジェシカは、ノマドの先駆者ともいわれる人物ボブ・ウェルズが開催する集会、RTR(ラバー・トランプ・ランデヴー)を訪ねた。
あるセミナーで、ボブは「リアルID法」のことを口にした。運転免許証交付の際のセキュリティ基準を強化する施策だ。〔リアルIDは連邦統一基準での運転免許証や身分証。9.11同時テロを受けて2005年に成立した。これにより、各州が施行に向け動いている〕。ノマドは長年、郵便転送サービスの住所を居住証明に使ってきた。だがリアルID法以来、車両管理局に住所をインターネットで確認されることが増えている。どこかの店の住所を使っていたのがばれれば、実際の居住地を要求される。リアルID法のねらいはテロの根絶だが、ノマドはますます生きづらくなり、その結果、家族や友人の家にいると嘘をついたり、たまたま見かけた売り物件の住所を使用したりして、いんちき情報をひねり出さざるを得なくなっている。
「政府は国民に定住して欲しいんだ」、ボブは受講者に警告した。「ぼくたちが何をしているか、政府は知っている。そしてたゆまず規制を強化し続けている」
ジェシカは、こういった法律による圧迫がある中、リンダやラヴォンヌ、スワンキーたちノマド達は、今後いったいどうなっていくのか、不安になってきた。
映画「ノマドランド」で、フランシス・マクドーマンド演じる主人公ファーンは、廃村となった故郷エンパイア時代の知り合いの家族とDIYの店で出会う。
代用教員時代の教え子だった女の子から「ホームレスになったの?」と聞かれたファーン。
一瞬の間の後、「いえ、ホームレスじゃないの、ハウスレスよ」と答える。
印象的な言葉だった。
Amasonの倉庫などで働きながら車で生活する高齢者の姿を描いたのが「ノマドランド」だったが、アメリカには、仕事をリタイア後にトレーラーハウスで生活し、夏は北へ、冬は南へと、トレーラーパークを移動し、自然を満喫しながら生活を楽しむ人もいる。
もし、そういう方々が、“リアル”な家を持たなかったら、この「リアルID法」は、実にやっかいだ。
しかし、紹介したように、テロ対策として考えられた身分証明の仕組みは、州政府ごとに違うシステムがあったり、コロナ禍での混乱などで、導入は延期されている。
果たして、日本のマイナンバーカードは、どうなるのか。
現場の状況を踏まえ、時期尚早と判断したら延期する。
アメリカの「リアルID」延期は、そう教えているが、日本政府は学ぶことができるだろうか。
9.11に、そんなことを思っていた。
まずリアルIDに関しては、カミさんも私も全然知りませんでした。義弟は仕事柄飛行機を頻繁に利用するので、先月その話を空港まで送る際、していたような気がします。
ようするに、大手ニュースメディアでそれほど取り上げられていないのかもしれません。
地中海クルーズは、乗船者向けに、パスポート代りの出入国カードを発行していて、便利なのですが、リアルIDも米国内での安全保障上、どのように対応すべきか業務上の問題でしょうから、国内論争に発展することはないようにおもわれます。
ただノマドの人々に与える影響に関してですが、これもそれほどではとおもわれます。
ちなみにアメリカは戸籍制度がありませんが、出生証明書と紐づけで発行される社会保障番号が運転免許証に紐づけされます。
この運転免許証は州ごとに管理され、免許証の申請には、社会保障番号、他州またはその州の運転免許証、出生証明書またはグリーンカード、パスポート、居住証明として、住所宛てユーティリティー請求書またはそれに準ずる封書などなど、それほど厳しくないのが現状です。地方に行けば行くほど、ゆるくなる感じです。
またスノーバードとしてRV車で動く人々は、車の登録地が現住所になる人がほとんどです。但しスノーバードは定住型が7~8割かな、それも55歳以上のコミュニティー暮らし。RV車のスノーバードは、何年か旅をして結局どこかに落ち着くのでしょう。
実際に家を持たない人々の場合でも、横の繋がりでなんとか凌げるはずです。
というのも、場所さえ選ばなければ、インフレの進んだアメリカでも、安い土地はいくらでもあります。ただそういう場所で生活するとなると、それなりの努力をしなければならず、生活が楽じゃありません。
私の知り合った人々の多くは、仕事を持って旅をするか、リタイア組、あとは地元のウイークエンダー組というところです。
RVパークの長期滞在者は1/3程度、現地で仕事をしながら暮らしています。地域により値段は異なりますが、長期契約者は月800ドル前後、短期は月1200ドル前後、日割りは100ドル前後です。反対に国立公園は極端に安いのですが、6ケ月前からの予約、最長2週間迄などの規制があり、冬の厳しい地域では9月又は10月半ばで半年間閉鎖になります。
移動が頻繁になればなるほど、それに燃料代が加算され、モーターホーム(バスのデラックスタイプ)や大型トラックは、移動のたびにガソリン代だけでも大変になります。
反面、アリゾナ州など特定の地域は6か月間無料という場所もあるようです。
詳細なご説明、誠にありがとうございます。
そうですか、ノマドの人々にとって、それほど:深刻じゃないようなので、安心しました。
また、リアルIDが、それほど浸透していないことも分かりました。
アメリカの状況から考えても、健康保険証をなくしてマイナンバーカード一本にするなんてことは、無謀で非現実的ですね。
また、州「政府」という名のごとく、州が大きな権限を持っていることに、日本とのと違いを感じます。
安倍-菅-岸田と続く2012年体制は、中央集権の悪い面ばかり目立ちます。
地方の時代、なんて言葉がありますが、沖縄の辺野古問題ひとつとっても、そうはなっていないところに、今の日本の大きな課題もあるのでしょう。
勉強になりました。
