鈴木エイト著『「山上徹也」とは何者だったのか』より(10)
2023年 08月 30日

鈴木エイト著『「山上徹也」とは何者だったのか』
鈴木エイト著『「山上徹也」とは何者だったのか』(講談社+α新書、7月19日初版)の十回目。
目次。
□はじめに
□序 章 風化する「統一教会問題」と「なかったことにしたい」勢力
□第一章 山上徹也と安倍晋三、鈴木エイトをつなぐ「奇妙な縁」
□第二章 銃撃事件後、逮捕された山上が供述した「恨み」
□第三章 鑑定留置中の山上徹也に送った手紙
□第四章 事件の約一週間前に山上徹也から届いていたメッセージ(前編)
□第五章 山上徹也に複雑な思いを抱く「宗教二世」たち
□第六章 事件の約一週間前に山上徹也から届いていたメッセージ(後編)
□第七章 山上徹也が抱えていた「マグマのような憤り」の正体
□第八章 山上徹也は事件前からSOSを発していた
□第九章 山上徹也が見た「絶望」の正体
□第十章 「統一教会の被害を食い止めた」ために罪が重くなる可能性
□おわりに
引き続き、第二章 銃撃事件後、逮捕された山上が供述した「恨み」、からご紹介。
前回は、都内のホテルに家族で滞在しようとしていた鈴木エイトが、安倍心肺停止の速報に接した時点では、鈴木エイトは、“政治的なイデオロギー対立や暴力団絡みの事件”と思っていた。
だから、自分が追いかけて来た統一教会と国会議員との歪んだ関係、なかでもその象徴的人物の安倍晋三が亡くなることは、追及すべき対象が消滅する危機、と思ったのである。
しかし、事実は、違っていた。
引用する。
「ある団体とは統一教会のことです」
ホテルにチェックインした後も客室内のテレビで報道を追った。現行犯逮捕された被疑者の弁解録取から、犯行の動機として「ある団体への恨み」という文言が報じられた。
この時、私は瞬時に悟った。これは決して政治的イデオロギーや暴力団絡みの事件などではない。統一教会の問題が関係しているに違いない。
ほどなくして携帯端末に電話がかかってきた。奈良にいる知り合いの警察番の記者からだった。
「ある団体とは統一教会のことです」
やはりそうだったのか。この瞬間、私は覚悟を決めた。
安倍晋三という政治家と統一教会との関係性、特に第二次安倍政権発足後の両者の関係を継続して追及し、報じてきたのは私だけだった。それゆえ、大事件の渦中に巻き込まれるのは間違いないと思った。とてつもなく大きな波に飲み込まれていく。そんな予感の中、私は自らその荒波へと飛び込んでいくことを決断した。
名前しか知らない、面識のない著名なジャーナリストや記者からも続々と連絡が入ってきた。私しか「安倍晋三と統一教会」の関係を追っていなかったことが瞬く間に拡散したようだ。以降、様々なメディアからの取材や問い合わせ、資料提供依頼が殺到することになる。
昨年、北海道で7月8日を迎えた私は、ネットで山上徹也が「統一教会」の名を明らかにしたことを知り、テレビや新聞がスルーしていたことについて記事を書いた。
2022年7月11日のブログ
2022年7月13日のブログ
2022年7月16日のブログ
この中の、7月13日の記事は、100を超える「いいね」をいただきびっくりした。
全記事中の最多である。
短くはない記事ばかりの拙ブログなので、この数は異例なのである。
7月11日の記事と、この13日の記事では、クーリエ・ジャパンから英フィナンシャル・タイムズの記事を引用したり、「現代ビジネス」や「デイリー新潮」「文春オンライン」などを引用した。
二つの拙ブログの記事、元信者の多田文明のコメントは引用したが、まだ、鈴木エイトの名は出てこない。
やっと、7月16日の記事で、鈴木エイトの名が登場する。
「日刊ゲンダイ」からの引用だった。
彼への取材によるコメントと、統一教会と密接な関係にある国会議員の表も紹介されていた記事だった。
事件当日、すでに警察番の記者は、山上徹也が統一教会の名を出していたことを知っていた。
しかし、10日の参院選投票日まで、テレビも新聞も、その名を明かすことはなかった。
もちろん、自民党からの圧力もあったに違いないが、警察当局も、山上徹也の言葉を真に受けられなかった、という面もあったのだろう。
引用に戻る。
警察も信じなかった「統一教会と安倍晋三の関係」
山上が供述した「統一教会と安倍の関係性」については、当初は警察発表でも「思い込み」
とされていた。これは逮捕直後の奈良県西警察署で弁解録取を行った巡査部長が、「被疑者が主張する安倍元首相と統一教会との深いつながりなんて、実際にあるわけがない」という“思い込み”に基づいて調書を作成したことによるのだろう。
事件当日に21時半に、奈良県警が会見を開いた。その場で容疑者の動機について同県警山村和久捜査第一課長はこ発言している。
「逮捕後の取り調べ、逮捕時の弁解録(弁解録取書)については、『特定の団体に恨みがあり、
安倍元首相がこれとつながりがあると思い込んで、犯行に及んだ』旨、本人が供述しております。詳細については差し控えさせていただきます」
もちろん被疑者自身が「思い込んで」などと言うわけがない。統一教会との関係について山上が確信をもって安倍を銃撃したことは明白である。
その確信は山上の思い込みや勘違いなどではなく、事実だった。小学館より2022年9月に発行した『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』で示したように、安倍と統一教会の間には密接な関係があった。私が提示し、各メディアへ提供した資料や情報が、それを裏付けている。
それらは事件後新たに調べて入手したものではない。事件前から様々な媒体で指摘してきたものだ。
上述した、昨年7月16日の拙ブログで、「日刊ゲンダイ」から引用した内容と、拝借した鈴木エイト作成の表を、再度紹介する。
「日刊ゲンダイ」の該当記事
旧統一教会と「関係アリ」国会議員リスト入手! 歴代政権の重要ポスト経験者が34人も
公開日:2022/07/16 14:05 更新日:2022/07/16 18:14
安倍元首相の暗殺事件でクローズアップされている旧統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)と自民党の関係。山上徹也容疑者(41)の供述によれば、昨年9月に安倍元首相が統一教会の関連団体「天宙平和連合(UPF)」のイベントにリモート出席した動画を見て殺害を決意したという。
◇ ◇ ◇
実際、旧統一教会の政界への浸透は凄まじい。日刊ゲンダイは旧統一教会と関係のある国会議員112人のリストを入手。ジャーナリストの鈴木エイト氏が長年の調査によってリストアップしたものだ。
「統一教会との関わり方はさまざまですが、議員本人のイベント出席や秘書の代理出席、祝電など、教団側が時限的に発表していた画像や残っている公開資料で確認できたものをリスト化しています。公になっていないだけで、関わりのある議員は他にもいると考えられます」(鈴木氏)
リストを見ると、やはり自民党議員が圧倒的に多い。衆院議員78人、参院議員20人が統一教会系の団体等との何らかの関わりが確認された。野党でも立憲民主党6人、日本維新の会5人、国民民主党2人が関わりを持っていた。そのうち閣僚、党幹部の経験者だけでも34人に上る(別表)。
これが別表。

あれから一年余り。
この表に名前のある国会議員は、統一教会との関係を断つ、と誓約書を出せば、禊なのか。
そうではないだろう。
安倍晋三を筆頭に、違法な献金を強いてきた結果、多くの信者家族を崩壊に追いやった統一教会を擁護し、その見返りの選挙応援で国会議員となった人物は、いったん下野しない限り、禊とはならないのではないか。
実態は変わっていない。
萩生田光一は自民党三役の一つ政調会長、高木毅は国会対策委員長。
経済再生担当相時代、意味不明、しどろもどろの弁明を繰り返した山際大志郎を、自民党は次期衆院選の公認候補予定者となる神奈川18区支部長に選任した。
国民を舐め切っている。
そういう体質だから、汚染水の海洋放出問題、マイナンバーカード問題も起こる。
本来なら、政権交代すべき、低支持率。
75日も経てば噂も収まる、とでも思っているのが、自民党なのである。
だから、忘れないように、本書の紹介を続ける。
