「汚染水」問題を整理するー「FoE Japan」のサイトより(2)
2023年 08月 27日
なお、昨夜のTBS「報道特集」でも、この問題を取り上げたが、トリチウム以外の放射性物質の存在のこと、IAEA(国際原子力機関)が日本の海洋放出にお墨付きをくれたわけではないこと、は扱われていたが、代替案の存在は触れなかった。
スリーマイルのことを取り上げ、コミュニケーションが大事、という当事者の言葉を紹介していた。
原発側と住民や専門家との間で約10年に渡り会合を持ったこと、その結果、トリチウムを気化して放出する選択をした。
だったら、やはり、海洋放出以外の代替案まで、突っ込んで報じて欲しかった。
さて、今回は、先に「原子力市民委員会」という組織をご紹介。
同委員会のサイトから、「設立にあたって」を、少し長くなるが引用。
原子力市民委員会のサイト
あの、高木仁三郎さんの遺志を継ぐ組織であることを、反原発の弁護士河合弘之さんが語っている。
2013年4月15日
「原子力市民委員会」の設立にあたって
認定NPO法人 高木仁三郎市民科学基金
代表理事 河合弘之
東日本大震災と福島第一原発事故から二年が経ちました。自然の脅威とともに近代文明が生み出した巨大科学技術である「原子力発電」の本質を目前にし、多くの人々が一日も早い脱原発への政策転換を望むようになりました。しかしながら、事故炉の安定の確保にはほど遠く、多くの被災者が故郷に戻れぬ一方、生活再建の見通しも立たないという過酷な状況にある中で、長年多くの警告を無視して原子力政策を推し進めてきた政党が政権につき、事故の責任を不問に付したまま、福島原発事故から目をそむけ、あるいはなかったものとして、原発再稼働への動きを強めています。
すでに破綻を来している原子力政策を再び政府が推し進めようとするのであれば、われわれ市民は市民の手で、多数の民意に立脚した脱原子力政策をつくり、実現してゆくよりほかありません。
高木仁三郎市民科学基金(高木基金)では、これまで助成活動を通じてつながりのあった市民グループや自然科学・社会科学・人文科学にわたる幅広い科学者、技術者、弁護士などの方々とともに、この局面において市民が取り組むべき課題について検討を行い、この度、脱原発社会を構築するにあたっての課題を把握・分析し、政策をつくる場として、「原子力市民委員会」を立ち上げることになりました。原子力市民委員会では、次の4つの課題に取り組み、今後一年かけて「脱原子力政策大綱」をまとめ、その成果を広く市民に伝えるとともに、関係機関(主に復興庁、原子力委員会、総合資源エネルギー調査会、原子力規制委員会)等に提言を行います。
<原子力市民委員会が取り組む4つの課題>
・東電福島第一原発事故の被災地対策・被災者支援をどうするか
・使用済核燃料、核廃棄物の管理・処分をどうするか
・原発ゼロ社会構築への具体的な行程をどうするか
・脱原発を前提とした原子力規制をどうするか
これらの政策をまとめる過程では、市民が現状を認識し、幅広い人々による民主的な議論が行われる場を設けていきたいと考えています。また、緊急的な課題については、随時提言を行っていく予定です。福島原発事故の収束と被災者の方々の一日も早い生活の再建、そして脱原発社会の道筋を拓くための政策をまとめ、その実現をめざすには、あらゆる分野の専門家・研究者ならびに市民の英知を結集することが不可欠です。原子力市民委員会の活動に、多くの人々が関心を寄せ、参加してくださることを願っています。
この取り組みは、高木基金の従来の助成活動(調査研究助成、研修奨励、委託研究)の枠組みを超えた特別事業として実施します。今後、高木基金は、原子力市民委員会に対する資金及び運営面での支援を行いますが、委員会での決定や活動内容は、高木基金から独立して行われます。
脱原発社会の実現の過程では、厳しい議論や提言を避けて通るわけにはいきません。この委員会では、全ての子どもたちや将来世代に「原発のない、豊かで持続可能な日本社会」を手渡すために、それぞれの立場や意見の違いを超えた民主的な議論を重ね、知力・知恵を絞ることに力を尽くしたいと考えています。
設立は、あの大震災、そして原発事故から二年後のことである。
原子力市民委員会には、原子力の専門家もいる。
この原子力市民委員会が中心となって、経産省と東電が、海洋放出ありきで進めてきた汚染水問題に、代替策があることを、提案してきた。
「FoE Japan」のサイトに、原子力市民委員会が、経産省・東電に対し提案した内容の資料を掲載している。
「FoE Japan」サイトの該当ページ
コロナ禍の2020年5月に、原子力市民委員会がオンラインで開いた「パブコメセミナー」の資料だ。
PDFの資料なので、画像として紹介したい。
主要代替案は、「大型タンク」で長期保存し、放射能を減衰させる案と、モルタル固化案だ。
まず、大型タンク案。

長期保存による放射能減衰を目指す案に、経産省・東電は、あくまで海洋放出ありきなので、いちゃもんをつけていた。
その内容と反論。

もちろん、大型タンク案にも長所があれば短所もある。
しかし、汚染水を海洋放出するよりは、ずっと良いように思える。
福島第一には、大型タンクを設置可能な土地もある。
しかし、まったく検討するつもりのない、経産省・東電。
そして、もう一つ、より有力な案。
それが、モルタル固化案だ。

この案にも、もちろん長所と短所はある。

原子力市民委員会の提言のまとめ。

私は、「決断」とは、ありえる選択肢の中から最良と思われる案の「選択」だと思っている。
なぜ、大型タンク案、モルタル固化案などの選択肢があるのに、経産省・東電は検討しなかったのか。
海洋放出は、そういう意味では、「決断」ではない。「独断」である。
汚染水海洋放出をすれば、近隣アジア諸国や、海でつながる国・地域から反発があるのは当然予想されたことだし、もちろん、日本国民にとっても食の不安を募らせる事態だ。
それしか方法はないのかというと、違うのである。
今からでも遅くはない。
海洋放出をやめ、より安全な案を早急に真剣に検討すべきである。
さあ、これからテニスに出かける。
35度を下回る予報に、ほっとするようになった。
