王位戦第五局ー藤井王位四連覇し、王座戦で八冠制覇に挑む。
2023年 08月 24日
初日の封じ手以降、Abema将棋チャンネルから画像を借りて、振り返りたい。
Abema将棋チャンネル
佐々木七段が、二時間超えの長考の末に選んだ46手目の封じ手は、☖1四角。

私の予想は、見事に外れた。
☖7四歩だと思っていた。
ほぼ互角。
この☖1四角、藤井王位も読みが外れたのか、1時間超えの長考。
結果、47手☗4七銀。
その後、48手☖3五歩-49手☗1六歩-50手☖3六歩-51手☗1五歩-52手☖2五角と続いた後、藤井王位の53手目☗5六角の場面。

この手には驚いた。
この手は、佐々木七段を74分の長考に追い込んで、選んだのが54手目☖7四歩。

勝勢は後手有利を示している。
55手☗7五歩-56手5四歩-57手☗7四歩-58手☖7四歩-59手☗8五桂-60手☖5五歩となり、先手の角は、ほぼ助からない。
だから、藤井王位は攻める。
61手☗8三歩の後、当然歩で取るのだろうと思ったら、62手目は☖同金だった。
これで、勝勢が先手に移った。

その後、63手☗7三歩成-64手☖5六歩-65手☗6三と-66手☖4一玉まで進み、先手優勢のまま。

その後、67手☗5三歩-68手☖3五金-69手☗5七玉-70手☖2七歩成-71手☗同歩のあと、佐々木七段は、72手目☖3七歩成と踏み込んだ。
ここで、先手勝勢は70%となった。

ここで藤井王位、長考。持ち時間は1時間を切った。
☗同桂か☗5二銀かでの検討か。

結果、73手☗同桂とし、74手☖4七角成の王手に、75手は☗同金と対応。
佐々木七段は、玉で取ってきたらできなかったが金だったので、76手の☖2七飛成と竜をつくる。
AIや、将棋連盟の棋譜速報の解説陣は、☗5三と、☗5三銀打を候補としている。
しかし、藤井王位、長考の結果77手目は☗2四歩だった。

驚きの、一手。
と金をそのままにし、左右で後手玉を迎撃する体制づくりの手だが、AIも解説陣も誰も想像していなかった手。
先手勝勢の割合は60%台に落ちた。
ここで、佐々木七段が、長考に入ったが、当然だろう。

AIや、将棋連盟の棋譜速報の解説陣は、☖3六銀を予想している。
96分の長考の末、最善手と思われる☖3六銀。
藤井王位は6分の考慮で☗同金、佐々木七段は即座に☖同金と進む。
81手目藤井王位は、☗6八玉と左側に玉の逃げ開始。
82手☖2八竜の王手の場面。
ここからは、画像がやや不鮮明になるが、ご容赦のほどを。

先手の勝勢は、70%台に戻った。
83手目、藤井王位は☗3八歩とし、☖同竜とさせ、1九の香車取りを遅らせて、85手目☗7八玉と玉の安全を確保。
86手目、佐々木七段、☖5九角の場面。

先手勝勢が、90%台となった。
AIは、次に☗5二銀打の王手を推奨しているが、こういう時は、いったん守ることが多い藤井王位、87手目を☗6八銀として、竜、角の双方の詰めろを防御。

勝勢は少し落ちたが、優勢であることに変わりはない。
佐々木七段は、☖3七角成で馬をつくる。

AIは次の推奨手に☗7三桂成を挙げている。
Abemaの解説者中村太地八段は、これは思いつかない、と言っていたが、藤井王位は、その手を選ぶ。

8三の金狙いであるし、飛車が進む道が空いた。
佐々木七段は、90手目☖8七桂と打った。
いわば、捨て身の王手。藤井王位のミスを誘う一手。

ここで、先手勝勢が90%台となった。
ここで、ミスをする藤井王位ではない。
91手☗同飛-92手☖2九竜-93手☗6九桂-94手☖4七馬の場面。

さて、フィナーレが近づいた。
複数の選択肢はあるが、藤井王位は95手目、☗8三飛成で金を取りながら、左方に玉の逃げ道をつくる手を選択。
これで、先手玉の詰みは、ほぼ消えた。
逆に、後手玉は、風前の灯となり、佐々木七段が、投了。
藤井王位、四連覇達成。

77手目の☗2四歩が、印象に残る。
AIの中には、「疑問手」という評価もあった。
しかし、結果として、佐々木七段が1時間半の長考を強いられたことが、終盤戦に影響したように思う。
藤井七冠の妙手には「AI超え」と形容されることが多いが、この一手もその一つに加わったかもしれない。
佐々木七段も、棋聖戦、王位戦で1勝ずつしたし、今後さらなる飛躍につながる二つの棋戦だったように思う。
藤井七冠、これで後顧の憂いなく、八冠を目指す31日からの永瀬王座との対局に臨める。
日本将棋連盟のサイトから、王座戦の日程表を拝借。
日本将棋連盟サイトの該当ページ

天候のみならず、将棋界の暑い夏が、まだ続く。
そして、王座戦がどちらかの三連勝で決まらなければ、10月に始まる藤井竜王と同級生の挑戦者伊藤匠七段との対局が、並行して行われることになる。
日本将棋連盟サイトの該当ページ

秋も、将棋界は、熱いのだ。
AIは、最短で勝利する手順を優先しますが、藤井七冠は、それを分かった上で、よりリスクの少ない手順を選択することがあります。
もちろん、AI超えの選択も。
あくまで人間藤井聡太だからこその強さ、と言えますね。
