青山透子著『日航123便墜落 遺物は真相を語る』より(1)
2023年 08月 19日

青山透子著『日航123便墜落 遺物は真相を語る』
『日航123便墜落 遺物は真相を語る』は、2018年に単行本で発行され、この8月に河出文庫で再刊された。
目次。
□文庫版 はじめに
□第一章 この墜落は何を物語るのかー国産ミサイル開発の最中の墜落
□第二章 焼死体が訴えていることは何かー乗客乗員全員分の未公開資料から
□第三章 遺物調査からわかったことは何かー機体の声が聴こえる
□第四章 証拠物と証言が訴えていることは何かー未来の在り様を考える
□あとがき
□文庫版 おわりに
□主な参考文献
すでに、12日の記事で、「文庫版 はじめに」の一部を紹介したので、「第一章 この墜落は何を物語るのかー国産ミサイル開発の最中の墜落」から。
墜落直前まで国産ミサイル開発本格推進
墜落四日前ー8月8日
「地対空ミサイル部隊を新設ー防衛庁59中期業務見積り原案を報告(毎日新聞1985年8月8日付)」
当時の中曽根康弘首相は「海空重視」として、シーレーン防御や水際撃破能力強化を整備方針とするとし、防衛費の対国民総生産(GNP)比1%枠撤廃を目指す発言をしていた。それを受けて防衛庁が国防会議で公式に報告した内容は次の通りである。
①北方重視の観点より、陸上自衛隊の師団改編や地対空ミサイル部隊も新設する。
②P3C対潜哨戒機を百機体制とする。
③地対空ミサイル部隊は旧式ナイキからすべて新型パトリオットに切り替える。
これらを軸として、具体的には、陸上自衛隊は全国の戦車部隊の北海道、青森に占める比率を47%から60%へ高め、昭和62年度に開発予定の地対空ミサイルSSM-1を導入、空中機動力強化のための対戦車ヘリコプターのAH-1S、輸送ヘリCH-47の増強を図ると書かれている。海上自衛隊も主力としてP3Cを百機体制に充実させ、新型艦対空ミサイルシステム護衛艦のイージス艦調達を視野に入れて、洋上防空全般の研究を続けていきながら導入を検討する、としている。航空自衛隊は、作戦用飛行機の約430機調達を期し、F15戦闘機とF4の比率を5対5から7対3に高め、地対空ミサイルは新型パトリオットにすべて切り替えるということだ。
これが墜落四日前の1985年8月8日、防衛庁発表の報道内容である。
何か物事が起きるには必ず予兆がある、とすれば、この日航機墜落四日前の首相の発言と公式発表は無視できない。中曽根首相の発言に基づいて陸海空と一斉に装備増強をぶち上げており、これはまるで今の安倍内閣と同じ傾向である。
くどいようだが、本書初版は2018年。そして、安倍内閣が菅内閣、岸田内閣に移っても、1985年当時と今は軍拡の面で酷似している。
引用を続ける。
最大の脅威となっていたのがソビエト連邦(当時、現在のロシア)であった。実はこの年1985年3月にソビエト連邦共産党書記長に就任したのがミハイル・ゴルバチョフ氏で、ソ連国家の指導者として米国との冷戦や軍拡競争に終止符を打った人である。軍縮と経済政策を一気に推し進め、四年後にはベルリンの壁崩壊、東西統一につながった業績が評価されて1990年にノーベル平和賞を受賞した。一方、ソ連の脅威に対して軍拡を進めていたロナルド・レーガン米国大統領は当時「スターウォーズ計画」を推し進めていたが、ゴルバチョフ氏の登場でこの計画はその後消えた。その時日本は、北方を意識して仮想的の存在を強調することで軍備を増強していたのである。
さて、防衛庁は洋上研究を行いながら、二年後に開発完了を目指して地対艦ミサイルSSM-1を実験している様子が手に取るようにわかってくる。地対空ミサイルにおいても新型パトリオットに
切り替えることや、艦対空ミサイルシステム護衛艦調達を検討中とすれば、そういう訓練を日々していた時期だった、という事実が明確となってくる。
1985年には、ゴルバチョフの登場で、当時のソ連を仮想敵国とする作戦は消えたわけだが、その代わり、北方の敵を強調することで、軍拡は続いた。
現在は、もちろん、ロシアも北朝鮮も中国も、仮想敵国として、自民党政権は「戦う覚悟」を示そうとしている。
ある意味、事態は悪化している。
SSMは、surface-to-ship missile、の略で、地対艦ミサイル。
今回、いろいろ調べてみて、発見したのは、自衛隊が、この「ミサイル」という言葉を使わず、「誘導弾」という、なんともいかがわしい誤魔化しの言葉を使いたがっている、ということ。
「陸上自衛隊応援サイト 陸自調査団」なるサイトを見つけた。
「88式地対艦誘導弾」のページの画像をコピペした。
陸上自衛隊応援サイトの該当ページ

説明の文も一部引用。
88式地対艦誘導弾は、航空自衛隊のF-1支援戦闘機に搭載されていた80式空対艦誘導弾ASM-1を地上発射用に改良した、自走式の地対艦誘導弾システムです。1979年から開発が始まり1988年に制式採用されました。
誘導弾(ミサイル)自体はASM-1と同様のものが使用されていますが、地上から射撃するため誘導弾のエンジンに改良が加えられています。改修箇所としては、地上から撃ち出すため誘導弾後部にロケットブースターを追加。エンジンも固体燃料ロケットモーターからターボジェットに換装して有効射程を延長しています。
このように、誘導弾(ミサイル)、と説明している。
では、なぜ、見出しを含め「ミサイル」としないのか。
今夜のニュースでも、このような露骨な誤魔化しがあった。
「防衛装備品」は、「武器」である。
