青山透子著『日航123便墜落事件 JAL裁判』より(30)
2023年 08月 17日

青山透子著『日航123便墜落事件 JAL裁判』
青山透子著『日航123便墜落事件 JAL裁判』(河出書房新社、2022年11月30日初版)の最終三十回目。
目次。
□訴状
□はじめに
□第一章 歴史的裁判開始
□第二章 法廷への道
□第三章 情報開示請求裁判ー東京地方裁判所706号法廷
□第四章 茨の道
□第五章 判決
□おわりに
【裁判資料】
「第四章 茨の道」から。
地裁における異例の裁判長を含む三人中二人の裁判官変更や、送ったはずの原告吉備素子さんの陳述を録画したDVDの到着遅延などがあったが、2022年8月25日の口頭弁論で結審となった。
開かれるべき第一歩ー1985年から続く妨害行為
裁判から垣間見えるJALの姿勢
ここまでの裁判を通じて見えてきたJALの方針と姿勢をまとめてみる。
大前提として、JALは、520人のお客様を墜落死させた真の原因を、いつでも知り得る環境にある。従って、裁判開始前にも、ボイスレコーダーを聞いてチェックしているはずである。そのうえで、墜落死させた乗客の遺族・吉備素子さんの「知る権利」を無視し、その訴えにまともに答えようとする努力すらしてこなかった。さらに、真の墜落原因がわかってしまうボイスレコーダー等の生データを、遺族から隠そうとする方針を固めた。情報開示請求に対して、まともに正面から答えずに適当にはぐらかすという弁護方針を立てたと推定する。
従って、あのような説得力に欠けた合理性のない答弁書を平気で出した。そして、仕方がなくやらされているという姿勢と言動につながった。もしそうでなければ、このJAL訴訟代理人弁護士は、まともな答弁書が書けないほど、程度が低いことになる。最高裁まで行くとしても、そのうち遺族は死ぬから大丈夫という魂胆もあろう。この裁判は、時間稼ぎのようなものである。
次は、原告の市原和子さんが、E老人ホームの事務局長である元日本航空客室乗務員によって隔離され、訴訟を取り下げさせられた。しかも、20年以上も祈りの集いで一緒だった市原和子さんの仲間の「キリスト教信者に騙されたから」というのが取り下げ理由だとして、親族から三宅弘弁護士に連絡があった。もしも、この親族が、「JALから聞いたことをそのまま鵜呑みにしてしまった。自分はJALに騙された」というのであれば、JALとその親族との関係の中で解決すればいい。ただし、こちら側に対して不利益を被らせたことは事実であり、こういう場合、原告から訴えられても文句は言えない。なぜならば、後から元日本航空社員の事務局長のウソがばれたことからもわかったように、何の罪もない信者を悪者にして作為的に仕組んだ訴訟妨害事件に関与したと思われて当然だからである。
これまでご紹介してきたように、JAL側は、原告の訴えや、交代する前の裁判長の指導などに、まったく向き合おうとしてこなかった。
私も、青山さんの分析と同様、ボイスレコーダーの生データは絶対に渡さない、そのためには恥も外聞も捨てて、この裁判に臨む、ということだったと察する。
原告側の、青山さんの書籍を含む証拠資料も、全てに弁護士が目を通したとは思えない。
しかし、裁判官は違うはずだ。
そう、原告側も思っていたはずだ。
しかし、昨年10月、期待を大きく裏切る判決が出た。
「第五章 判決」から。
「令和4年10月13日判決言渡」
冬がすぐそこに近づいている肌寒い日だった。
重く垂れこめた鉛色の空から小雨がパラパラと落ちる中、判決の日を迎えた。
法廷報告ー午前11時開廷
裁判長 加本牧子
裁判官 (法廷前貼り紙では)中井彩子(実際に法廷にいたのは)岩田真吾
裁判官 矢崎達彦
書記官 曽山将広
原告訴訟代理人弁護士 三宅弘 光前幸一 赤石あゆ子 佐久間敬子 安齋由紀
被告訴訟代理人弁護士 空席
法廷入り口扉前には、開廷の二時間半も前から列が出来ていた。傍聴人の三十五席はすぐに満席となり、せっかく並んでいた倍以上の人たちが廊下にあふれていた。
そのような中で、JAL側社員席は空席であった。JAL訴訟代理人弁護士用の席も、判決言い渡しであるにもかかわらず、空席のままで一切顔を出さなかった。
開廷する前に、事前に申請した報道各社による法廷内写真撮影が行われた。原告側の関係者席では、吉備素子さんの支援者であるTさんと吉備さんも娘のまり子さんが傍聴した。
裁判長 令和三年(ワ)7609号ボイスレコーダー等開示請求事件の判決を言渡す。主文、原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする・・・・・・。
(筆者注、ここからは、加本裁判長のあまりにも小さい声と早口によって、ほとんどが不明瞭であったため聞き取りにくかった。声のみならず、その態度にも、さっさと早く終わらせようという意識が強く出ている様子であった。誠実さは全く感じられなかった。吉備さんが受け取った判決文の要旨を316~325頁に掲載する9
午前11時10分閉廷
たった10分で閉廷。
加えて、不明瞭な裁判長の言葉。
この判決の日、私は新聞記事を引用して記事を書いた。
2022年10月13日のブログ
本書の判決文の要旨を引用する代わりに、その中の時事ドットコムから裁判長の判決理由を再度引用。
時事ドットコムの該当記事
判決で加本裁判長は「憲法の規定から情報開示請求権は生じず、個人情報保護法に基づく開示請求の対象でもない」と指摘。運送契約に付随する信義則上の情報提供義務があるとの遺族側主張に対しては、レコーダーの内容が航空事故調査委員会の報告書に添付されている上、損害賠償請求訴訟が91年ごろまでに和解していることから「情報提供義務があるとしても、既に消滅した」と述べた。
つまり、ほとんどJAL側の言い分通りなのである。
残念ながら、今年の高裁の判決も、同様の結果だった。
いや、地裁では10分だったが、高裁の判決言い渡しは、約10秒。
その内容についても「青山透子公式ホームページ 日航123便墜落の真相」に掲載された内容を含め記事を書いた。
2023年6月4日のブログ
「青山透子公式ホームページ 日航123便墜落の真相」
高裁でも、被告側席にJAL側の弁護士の姿はなかった。
こんな無礼な態度を、裁判官は許すのか、と思ったものだ。
本書巻末には、裁判資料が掲載されているので、今後、最高裁に進む中で、あらためて紹介するかもしれない。
「おわりに」で、青山さんは、こう締めくくっている。
「日航123便墜落の真相を明らかにする会」の正会員、一般準会員の皆さんによる自発的な活動にも心からお礼を申し上げたい。読者の皆さんの支持と応援があったからこそ、この裁判を乗り切ることが出来た。
弁護団の弁護士の皆様と、これからも長い道のりを一緒に歩んでいただけるとのことで、吉備さんも心から喜んでおられる。
多くの方々との出会いは、全て良い方向に向かう糧となり、最高裁まで行く道は、まっとうな未来に望みをつなぐ道であってほしい。与えられた使命を果たして物事を成し遂げた時、521人と共に喜び合う日が来ることを願っている。
これからも、ノンフィクション作家として誠実な本を世の中に送りつづけていきます。
読者の皆様へ 心から感謝を込めて
2022年10月 青山透子
きっと、今も同じ思いで、日航123便墜落事件の真相を明らかにするため、青山さんも吉備さんも、そして弁護士の皆さん、支援者の多くの方が最高裁への準備をしていることだろう。
私も、真相が明らかになり、521人の犠牲者の方が成仏できるまで、青山さんの著作の紹介を中心に、日航123便墜落事件について書いていくつもりだ。
このシリーズへの、長のお付き合い、誠にありがとうざいます。
