青山透子著『日航123便墜落事件 JAL裁判』より(29)
2023年 08月 13日

青山透子著『日航123便墜落事件 JAL裁判』
青山透子著『日航123便墜落事件 JAL裁判』(河出書房新社、2022年11月30日初版)の二十九回目。
目次。
□訴状
□はじめに
□第一章 歴史的裁判開始
□第二章 法廷への道
□第三章 情報開示請求裁判ー東京地方裁判所706号法廷
□第四章 茨の道
□第五章 判決
□おわりに
【裁判資料】
「四章 茨の道」から。
少し時間が空いた。
2022年4月28日の第五回口頭弁論で、裁判長を含め裁判官三人のうち二人が交代するという異例の事態が発生。
加えて、三日前に郵送していた原告吉備素子さんの証言DVDが裁判所にも被告側にも届かないということも加わった。
代わった加本裁判長は、そんな状況でも結審させようとしていた。
結果、DVDは5月2日に届いた。それだけ時間がかかった謎は、解けていない。
口頭弁論で吉備素子さんの映像を公開するつもりでいた三宅弘弁護士は、このまま結審させるわけにはいかなかった。
三宅弘弁護士は、口頭弁論再開申立書を提出。
結果、申し立ては認められ、最終第六回口頭弁論が、2022年8月25日に開かれた。
第六回口頭弁論期日 再開日2022年8月25日
法廷報告ー午後四時開廷
裁判長 加本牧子
裁判官 岩田真吾 矢崎達彦
書記官 高橋泰
原告訴訟代理人弁護士 三宅弘 光前幸一 安齋由紀
被告訴訟代理人弁護士 山下淳 寺前翔平(二名のみ)
今回の最終弁論ではコロナ禍の人数制限が無くなり、法廷は自由席となっていた。
JAL側は事前に三席を確保しており、吉備素子さん側は、親族一名が傍聴した。全体で33名、年齢層は40代以上、そのうち二割が女性であった。
毎度のことだが、三宅弘弁護士たちの机の上には沢山の資料が山積み状態である。JAL側代理人弁護士の机の上には、比較にならないほど少なく数枚程度であった。被告側の若手弁護士はパソコンのいである。そして、傍聴人の誰もが感じたように、やる気がない様子だ。最終弁論にもかかわらず、JAL側は弁護士が一名欠けて二名だけである。
岩田真吾裁判官 令和三年(ワ)7609号ボイスレコーダー等開示請求事件を開廷する。
加本牧子裁判長 原告から、甲52、甲53、甲54が提出された。これで問題はないか。
三宅弘弁護士 内容はご確認いただいたか?
加本牧子裁判長 はい、すでに見た。
三宅弘弁護士 前回提出しようとした吉備素子さんのビデオメッセージに加えて、吉備さんのインタビュー記事が先日発売された『女性自身』に掲載されたので、それも併せて提出した。
原告の敬愛追慕の念をよく伝えているので、これも証拠として提出した。
加本牧子裁判長 はい、読んだ。被告はこれらの書類は届いているか?
山下淳弁護士 はい、届いて確認している。
加本牧子裁判長 それでは、結審にしたいと思うが、大丈夫か。
原告側および被告側弁護士 はい、問題ない。
加本牧子裁判長 それでは判決日程は、9月28日の午後、15時とする。法廷は706号法廷を予定。
三宅弘弁護士 裁判長、すみません。この翌日から旭川で日弁連の人権擁護大会とシンポジウムが予定されており、それに参加するため前日から現地入りをすることになっている。日程の変更を希望する。翌週も先約があり、判決日を前倒ししていただくか、10月中旬以降でお願いできないか。
加本牧子裁判長 判決は広い法廷を予定しているため、追って連絡をする。
原告側および被告側弁護士 はい、了解した。
次回の法廷期日と時間は未定 追って連絡
前回の郵便事故という扱いで提出されなかったことになったため、再度、甲52「近江幸治著・民法講義Ⅴ 契約法」と、甲53ー1吉備素子陳述書原本、甲53ー2陳述書DVD、さらに新たに甲54「女性自身記事・日航123便墜落事故遺族吉備素子さん(光文社)」(本書353頁)が提出された。
これが本書353頁である。

この「女性自身」の記事は、「青山透子公式サイト 日航123便墜落の真相」からリンクしてくれていたので、引用したことがある。
記事の題。
“シリーズ人間「御巣鷹山から37年ー天国の夫に誓う真相究明」~なぜあなたは、バラバラになって死んだのか?日航123便墜落事故遺族 吉備素子さんへのインタビュー”
という見出しの記事の一部を、あらためて引用する。
「女性自身」サイトの該当記事
【御巣鷹山から37年】「なぜ、救助は翌朝に?」天国の夫に誓う墜落の真相究明
記事投稿日:2022/08/07 06:00 最終更新日:2022/08/07 06:00
『女性自身』編集部
「21年間の結婚生活で夫婦げんかは一度もありませんでした。
百貨店に行けば、私を着せ替え人形のように頭の先から爪先まで、ぜんぶコーディネートしてくれた主人です。
生まれつき股関節脱臼がある私を『歩けなくなったら、必ずおんぶしてあげる』と。
この幸せが、ずっと続くように祈っていました。
あの年の8月12日、主人は急な日帰り出張で東京に行きました。
帰りの飛行機の前に電話をくれた主人は、とても疲れた声でした」
それが、吉備素子さん(79)が聞いた最愛の夫・雅男さん(享年45)の最後の肉声だった。
「いまから帰る。19時に伊丹空港に着く便に乗るーー」
■「主人がなぜ亡くならなければならなかったのか?」
1985年8月12日に発生した日航123便墜落事故。
群馬県上野村の御巣鷹の尾根に18時56分に墜落した羽田発大阪行き(ボーイング747)には、乗員・乗客524人が搭乗していたが生存者はわずか4人(すべて女性)。
520人もの尊い命が犠牲となった単独機世界最大の大惨事だった。
犠牲者の中には、国民的歌手の坂本九さんも含まれていた。
また、同事故を扱った山崎豊子原作の映画『沈まぬ太陽』(2009年)では主演の渡辺謙が航空会社社員として遺族の世話役を演じた。
夫の雅男さんはその犠牲者であり、吉備さんは遺族となったのだ。
「4カ月間、私は遺体安置所で、身元不明の部分遺体をひとつずつ手に取って、主人を捜しました。でも主人は手も足もバラバラで、ぜんぶは見つかりませんでした」
9月の誕生日で満80歳となる。昨年は大腸がんの摘出手術をした。さらに先天的な股関節脱臼で激痛があり、歩くのには杖が必要だ。
そんな吉備さんが日航に対し、民事訴訟を東京地裁に起こしたのは、2021年3月26日のこと。当初、この7月に判決予定だったが、8月25日の口頭弁論を経て、9月以降になる見込みだ。
「墜落機のボイスレコーダー(音声記録装置)とフライトレコーダー(飛行記録装置)の生データ開示請求」が趣旨だが、なんと発生から36年、日本では同事故の裁判が一度も行われてこなかった。
それを、なぜいま吉備さんが、ひとりで闘おうとしているのか。
「ひとえに、主人がなぜ亡くならなければならなかったのかの事実、真実を知りたいだけなんです。
今日の今日まで、日航から直接、事故原因を説明されたことなど、一度もないんですから」
同事故は、事故調査委員会の1987年の事故調査報告書で「ボーイング社の修理ミスが原因で後部圧力隔壁が破壊、急減圧が発生し垂直尾翼が吹き飛ばされたことが原因」とされ、ほとんどの人が「不運な事故」と記憶しているはずだ。
しかし吉備さんは目を見開いて「真実は明かされていないんです」と訴える。
「日航や国の対応は辻褄が合わず、おかしな点ばかり。夕方に墜落したのに救助は翌朝やっと始まった。夜に始めていれば100人ほどは助かったのではとも聞きました。
国も日航も、なにか隠している。私は墜落原因にずっと疑問を持ってきました」
今日までの出来事と疑問、闘いのすべてを振り返ってもらった。
(なお、判決の行方は、河出書房新社より10月25日に発売される青山透子さん著『JAL裁判 日航123便墜落事件と1985』で詳しく綴られる)
ぜひリンク先で全文ご確認のほどを。
この記事について青山さんは、裁判のかなめとなる「故吉備雅男氏の相続人である遺族の敬愛追慕の念」における情報開示請求が、リアリティをもって立ち上がってくる優れた記事、と形容している。
この記事、そして吉備素子さんの陳述DVDを見た上で、昨年10月に、判決が下された。
結果は、すでにお分かりの通りだが、次回、このシリーズ最終回でご紹介する。
「青山透子公式サイト 日航123便墜落の真相」では、8月11日付で記事が更新されている。
「青山透子公式サイト 日航123便墜落の真相」
私が小言を書いた、NHKニュースウオッチ9の、安全啓発センターを取り上げた内容に、青山さんも憤慨している。
少しだけ引用。
私たちは、このJAL安全啓発センターの語り部と、いわゆる戦争の語り部が、同じだと勘違いしてはならない。このJAL社員の語り部たちは、JAL側の「広報宣伝部長」のような役割をしているのである。NHKはそれを知っていてインタビューしたのか?
JAL側の人間の、しかも偽りの原因を流布する役割の人間の言い訳をニュースで流したのである。単なる地上サービス職の伊藤由美子氏が、いかにもJALを代表して反省しているがごとくのまったく意味のない記事であったが、これならば、情報開示裁判について、直接JALの赤坂社長にインタビューをすべきだ。
このNHK記事ように、いつも同じ遺族を出してJALの反省の態度をほめて、ただ悲しみだけを伝える記事を出すことにどういった価値があるのだろうか。風化防止にしてはJALにおもねりすぎる。NHKの記者たちはJALに加担してまで、何を隠したいのだろうか。NHKの役割は何なのだろうか。
青山さんは、あのニュースで、私など及ばないほど大きな怒りを覚えたに違いない。
公式サイト11日付の記事では、文庫最新刊『日航123便墜落 遺物は真相を語る』に関連する内容も紹介されているので、ぜひご覧のほどを。
昨日、それほど多くのニュースを見たわけではないが、日航123便のことは、ほとんどスルーされていたように思う。
この風化が、いちばん怖い。
