伊藤匠六段のことー谷川浩司著『藤井聡太はどこまで強くなるのかー名人への道』より。
2023年 06月 25日

谷川浩司著『藤井聡太はどこまで強くなるのか』
谷川浩司十七世名人著、今年1月18日初版の『藤井聡太はどこまで強くなるのかー名人への道』からは、何度か引用しているが、本書に次のような文章がある。
段位は、執筆当時のもの。
若手ホープの追い上げ
藤井さんと同学年の伊藤匠五段は、急速に力を付けた若手のホープだ。小学生時代、二人はライバルとして知られ、大会で伊藤君に敗れた藤井少年が号泣したこともあったという。
十七歳でプロ棋士になった伊藤君は十月生まれで、七月生まれの藤井さんよりも三ヵ月生まれが遅い。2022年10月に藤本渚君が新四段になるまで現役最年少棋士だった。
2021年度の新人王戦で棋戦初優勝を飾り、王位戦予選では永瀬拓矢さんを降して、初の挑戦者決定リーグ進出を決めた。順位戦では9勝1敗の好成績でC2からC1に一期で抜けた。2021年度の年間勝率は8割1分8厘(45勝10敗)と、藤井さんの8割1分3厘を抜いて一位に躍り出た。確かに指し回しはしっかりしていて、弱点も見当たらない。
2022年6月の棋聖戦一次予選の伊藤匠ー石田直裕戦には驚かされた。
持ち時間は1時間で角換わりの最新形になったが、84手目まで3分しか使っていない。伊藤君の指し手は42手だから一手わずか5秒ほどの計算になる。AIを駆使して、最新形とともに対戦相手のことも調べ尽くしていることがよくわかった。
その戦型を調べているということは、その他の戦型のさまざまな展開も研究していることが推測できる。初見の局面になっても、正確に対応できる強さもある。結局、対局は112手、消費時間25分ほどで伊藤君が勝った。
伊藤君が新人王を獲得した時、師匠の宮田利男八段が、表彰式で、
「同い年の四冠と二十五歳までにタイトル戦で戦う時が来る」
と激励した。当時十九歳だったから、六年以内に藤井さんとタイトル戦で戦うと予言したわけだ。現在の快進撃を見ていると、六年もかからないような気がする。
もちろん、伊藤君と藤井さんは同い年でも、現状では実績に大差がある。
ただ、例えば中原誠先生と米長邦雄先生は、まさにライバル関係だった。米長先生が四歳上で、初タイトルは中原先生が二十歳で米長先生が三十歳だった。初タイトルの時期にそれだけ差があっても、二人はライバル関係になったのだから、藤井さんと伊藤君もいまは実績に大差があっても五年後はわからない。
実際、伊藤君はタイトル戦に登場しても驚かないほどの力をすでに身につけている。これからどんどん勝ち上がっていっても不思議はない。いつの段階でタイトル戦に出てくるか、楽しみな存在である。
谷川十七世名人が、これほど評価する逸材なのである。
そのプロフィールは、日本将棋連盟サイトでご確認のほどを。
日本将棋連盟サイトの該当ページ
期待のホープであることは間違いないが、順位戦C級1組では9勝1敗で四人が並び、昇級直後で順位がもっとも低いため、B級2組への昇級を逃したことは、拙ブログでお知らせした通り。
しかし、羽生九段も藤井名人も通ってきた道だ。
急速に上がっていくと、すでに在席している棋士が順位が上になるので、同じ成績でも、こういうことがある。
あらためて、日本将棋連盟のサイトから、竜王戦挑戦者決定トーナメント表を拝借。
日本将棋連盟サイトの該当ページ

27日に、伊藤匠六段と出口六段の対局がある。
出口六段は、昨年叡王戦で藤井叡王に挑戦した実力者だ。
この対局、楽しみだ。
伊藤匠六段は、棋王戦の挑戦者決定トーナメントにも進出している。
藤井対伊藤匠のタイトル戦は、結構、早い時期に実現しそうな気がしている。
五年後、藤井伊藤時代が来ても、なんら不思議はないだろう。
