青山透子著『日航123便墜落事件 JAL裁判』より(19)
2023年 06月 22日

青山透子著『日航123便墜落事件 JAL裁判』
青山透子著『日航123便墜落事件 JAL裁判』(河出書房新社、2022年11月30日初版)の十九回目。
目次。
□訴状
□はじめに
□第一章 歴史的裁判開始
□第二章 法廷への道
□第三章 情報開示請求裁判ー東京地方裁判所706号法廷
□第四章 茨の道
□第五章 判決
□おわりに
【裁判資料】
引き続き、「第三章 情報開示請求裁判ー東京地方裁判所706号法廷」から。
前回、2021年6月の地裁での口頭弁論を前にして、原告の吉備素子さんに対し、共同通信社前橋支局のH記者から、実に失礼な取材、それも、検査入院中の病院への電話取材があったことを紹介した。
その取材は、吉備さんから、弁護士に騙されたという言質を引き出すために行われたようなものだった。
青山さんは、吉備さんから怒りの報告を受けたこの不可思議な取材について、H記者からの取材依頼を受けた赤石弁護士に伝えるとともに、8名の弁護士で取材内容を共有した。
そして、2021年6月14日付で、共同通信社前橋支局H記者あてに通知を出した。
1
吉備素子氏への電話取材については、入院中ゆえ短時間でという条件を提示、それでもかまわないというので応じたが、結局長くかかった。
2
質問の内容に違和感を覚えた吉備氏が、「青山透子や弁護士にそそのかされて提訴したと思っているのか?」と問うと、H記者は、その通りだと言い、勝手なストーリーを作って取材を続けた。それは違うと説明しても、結局受け入れなかった。
3
吉備氏は遺族としての想いを真摯に聴き取ってもらうことを期待して取材に応じた。それにもかかわらず、提訴の動機そのものを最初から疑うような発言ばかりをされた。
4
取材依頼に最大限協力したにもかかわらず、遺族としての心情を傷つけられたことは極めて遺憾である。
ここで問題なのは、取材マナーの問題ではなく、今回の訴訟の動機そのものを勝手に決めつけて、取材対象者を傷つけたことであり、ましてや原告の動機を疑うような記者は、その時点で記者失格である。この通知書は群馬県高崎市で投函されて、次の日の6月15日に群馬県前橋市のH記者に届いたはずだが、届いた時点で即、赤石弁護士に電話を入れるなり、吉備素子さんに直接謝罪の電話があってしかるべきであるし、それが常識である。ところがH記者からなんと一週間も音沙汰がなかった。そして不思議なことに、JAAL訴訟代理人弁護士が、第一回口頭弁論期日のための答弁書を裁判所に提出した非とあわせたかのように、H記者から赤石弁護士に手紙が届いた。この日付は極めて重要であるため、後ほど時系列に沿って詳細に検証する。
その内容は「自分の勉強不足ですみません。今後気を付けます」といった、一週間も時間を要する必要がないほどの子供じみた手書きの手紙が一枚だけである。あれだけ熱心だったのだから、東京地方裁判所に出向いて裁判を傍聴するか、赤石弁護士に話を聞く、という姿勢があるのかとおもいきや、同じ群馬県にいながら、その後全く音沙汰がなかった。
この後、青山さんは、共同通信社が社団法人から一般法人に移行する際の宣言、「正確公平な内外ニュースその他の情報を提供し、公平な世論の形成と社会の健全な発展、国際相互理解の増進に寄与すること」を目的とするという内容を紹介し、このH記者および上司は、この宣言をまったく理解していないのではないか、と指摘する。
そして、その時、遠い熊本でも、驚くべき事態が発生していた。
もう一人の原告、市原和子さんは、熱心なキリスト教信者である。
市原和子さんは、日航123便の副操縦士が弟であったことを周囲には語らなかった。ただひたすら熱心にキリスト教を信じ、カトリック信者として何十年間も信仰を共にしてきた祈りの集いの人たちに、ようやく心を開いて弟さんの話を始めたのが、私の本との出会いのきっかけであった。長年、市原和子さんは「弟の操縦ミスが原因ではないかと、弟の会社の不祥事で修理ミスを起こして皆様に迷惑をかけたのではないか」と、遺族でありながらも悲しみを共に語り合うことは出来なかったのである。
それが、人生の終盤を迎えて弟への想いがあふれ出てきた頃、信仰の仲間を介して吉備素子さんの想いとつながった。初めて遺族同士としての連帯感が生まれてきたと思われる。
私からの手紙を大変喜んで読んでくださり、電話でははっきりと澄んだ声で、「裁判をよろしくお願いします」と答えられた。
しかし、記者会見から二週間後の2021年4月9日、教会関係者から「市原和子さんが寝込んでしまった。(勝手に訴訟を起こしたことに対して)親族がご立腹であるらしい」という連絡が入ったのである。
いったい、熊本で何が起こっていたのかについては、次回。
明日、藤井棋聖と佐々木大地七段による棋聖戦第二局が淡路島で行われる。
昨日書いたように、一昨日の王座戦挑戦者決定トーナメント準々決勝では、村田六段との対局で、藤井名人は終盤に大逆転勝ちだった。
村田システムで土壇場まで追い込んでいたが、つい、藤井名人のAI超えの手で混乱したのか、81手目で、形勢が変わった。
藤井名人の、最後まで諦めず読み切ったことが、相手を動揺させたとも言える。
JAL裁判も、最高裁で、何があるかは分からない。
元日航社員、元防衛庁関係者などによる告発も、最高裁では、提示されるだろう。
相手を慌てさせる材料は増えてきた。
JAL側も焦ってミスをすることだってあるだろう。
最後まで、原告吉備素子さんも青山さんも、三宅弘弁護士をはじめとする弁護団も諦めないはずだ。
国家的犯罪の真相が明らかになるまで、私も諦めず、この事件について書いていくつもりだ。
