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映画「生きる LIVING」はリスペクトのかたまり(8)

 昨日は、飲食店のアルバイトが昼間のシフトだったが、その後も、いろいろあって、帰りが遅くなった。
 ユウの散歩をし、連れ合いも帰宅して晩酌をすると、とてもブログどころではなかった。


 さて、この映画の八回目。
 
 先に、お詫び。
 あらすじは今回で終わる予定と前の記事で書いたが、次回まで続くことになったので、ご容赦のほどを。


 こちらが公式サイト。
「生きる LIVING」公式サイト

 予告編。



 観終わってから購入したプログラム(パンフレット?)。

映画「生きる LIVING」はリスペクトのかたまり(8)_e0337777_16073218.jpg


 白い点々は汚れではなく、雪。


 スタッフとキャスト。

<スタッフ>
□監督:オリヴァー・ハーマナス
□脚本:カズオ・イシグロ
□原作:黒澤明監督作品「生きる」
    脚本:黒澤明、橋本忍、小國英雄
□製作:スティーヴン・ウーリー、エリザベス・カールセン
□撮影監督:ジェイミー・D・ラムジー
□編集:クリス・ワイアット
□音楽:エミリー・レヴィネイズ・ファルーシュ


<キャスト>※役名:俳優名
□ロドニー・ウィリアムズ : ビル・ナイ
□マーガレット・ハリス :エイミー・ルー・ウッド
□ピーター・ウェイクリング :アレックス・シャープ
□フィオナ・ウィリアムズ :パッツィ・フェラン
□マイケル・ウィリアムズ :バーニー・フィッシュウィック
□サザーランド:トム・バーク
□ミドルトン :エイドリアン・ローリンズ
□ラスブリッジャー :ヒューバート・バートン
□ハート:オリヴァー・クリス
□ジェームズ卿 :マイケル・コクラン
□シン:アーナント・ヴァルマン


 ここからあらすじの続き。
 もちろんネタバレなのでご注意のほどを。

 なお、検索し脚本を見つけた。最終稿ではないと思うが、適宜引用する。

映画「生きる LIVING」はリスペクトのかたまり(8)_e0337777_17480415.png


 これまでの見出しを確認。

(1)通勤列車と出勤
(2)たらい回し
(3)病院での告知
(4)ウィリアムズ宅
(5)海辺のリゾート地とサザーランド
(6)ウィリアムズとマーガレット
(7)ウィリアムズ家の夕食
(8)ウィリアムズとマーガレット、ふたたび
(9)公園づくりへの奮闘開始
(10)教会での葬儀
(11)列車の中での回想-その1
(12)列車の中での回想-その2

 市民課の四名が、葬儀から帰宅する列車の中での回想で、ウィリアムズが、死期が迫っていることを知りながら、チェスター通りの公園づくりのために奔放したのだと考え、自分たちもウィリアムズを見習って、責任から逃げずに頑張るぞ、と意気が上がったのだった。

 では、その後。

(13)その後の市民課
 ウィリアムズの後任で市民課課長となったミドルトンの席には、左右に書類の山(タワー)が積まれていた。
 市民課のアシスタント職員であるシンが、ミドルトンに、「教育課から、これは市民課の仕事だと回してきました」と書類を渡す。
 ある小学校に新たにプレハブを建てて欲しいという要望だった。
 「これは、教育課だろう、ハート」と言うとハートも「教育課ですね」と返す。
 シンは「でも、その教育課がこっちだと言ってきたのですが」
 ミドルトンは、「誰も困るわけではない(no harm)」と言って、書類の山にその要望書を載せる。
 それを見ていたピーターが、持っていたペンを机に叩きつけた。
 他のメンバーがピーターを一瞬見つめた。
 しかし、ピーターも、それ以上何も言うことはなかった。

(14)ピーターへの手紙
 ピーターは、マイケルが渡してくれた、ウィリアムズからの手紙を引き出しから取り出す。
 それを胸ポケットに入れて、帰宅途中に読み返す。
 手紙はウィリアムズの淡々とした声で、読まれている(※)。

 ※脚本では、V.O.(ボイスオーバー)と、記されている。

 ウィリアムズは、「他の同僚にはない輝きを、ピーターに見出していた」と書いていた。
 公衆電話の中で、手紙を読み続けるピーター。

 なお、この手紙は、時系列的には、今後のピーターの行動、たとえば警官との立ち話やマーガレットとのデートの合間にも読まれている(V.O.)のだが、それらのあらすじは後述することにして、先に手紙の内容のあらましをご紹介する。

 ウィリアムズは、「私たちの公園に関し、あなたが過度に失望するのを防ぐために、私は書くことにしました」と綴っていた。
 手紙には、ピーターが意気込んでいただけに、それだけ、同僚の中で幻滅を感じることになるだろう、と記されていた。
 脚本によると、公園についてウィリアムズは、こう書いている。

-------------------------------------------------------
 I have no wish to belittle our playground.
 But I put it to you that it was but a small thing.
 And that it will, before long, go the way of most such small things.

 For the time being, our playground may be safe, a thing of joy for the lacal children.
 In time, however, it may fall into disrepair, or be superseded by some grander scheme.
 In a word, sir, we cannot assume to have erected a lasting monument.
-------------------------------------------------------

-----------拙訳--------------------------
 私たちの公園のことを軽視したくはありません。
 しかし、私はそれがほんの小さなことだったことを、あなたにお伝えします。
 そして、それはやがて、同じような些末なことと、ほとんどと同じ道をたどるでしょう。

 当分の間、私たちの公園は安全で、あの地区の子供たちにとって楽しい場所となるでしょう。
 ただし、いずれは荒廃するか、より壮大な計画に取って代わられる可能性があります。
 一言で言えば、永続的な記念碑を建てたとは、言えないのです。
-------------------------------------------------------

 役所というものの構造的な問題を知り尽くしているウィリアムズの言葉だ。

 文中に、sir、が挟まれるところに、ウィリアムズが最期まで紳士であろうとしていたことがうかがえる。

 そして、この手紙は、次のように結ばれている。
--------------------------------------------------------
But let me counsel you, if I may.
Should there come days when it is no longer clear to what end you are directing your daily efforts,
when the sheer grind of it all threatens to reduce you to the kind of state in which I so long existed...

...I urge you then to recall our little playground, and the modest satisfaction that became our due upon its comletion.

I have, sir, only the best wishes for you future.
Sincerely. Rodney Williams.
--------------------------------------------------------

-----------拙訳--------------------------
 でもよろしければ、私にアドバイスさせてください。
 日々の努力が、何の目的に向けられているかが分からなくなる日が来て、私が長い間味わったような状態に陥ることをなくすために、その時は、私たちの公園が完成した時のささやかな満足感を思い出してください。
 心から、あなたの将来に幸あらんことを。
 ロドニー ウィリアムズ。
-------------------------------------------------------

 手紙は、原作の「生きる」にはなかった脚色だ。

 そして、マイケルとマーガレットとの会話を含め、効果的な脚色だと思う。

 脚本から感じられる手紙の文章の丁寧な言い回しは、紳士であろうとするウィリアムズの人柄が反映している。


 次回こそ(?)、あらすじの最終回で、その後の回に感想などを書くつもり。

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by kogotokoubei | 2023-04-20 12:54 | 映画など | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛
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