映画「生きる LIVING」はリスペクトのかたまり(7)
2023年 04月 18日
さて、この映画の七回目。
こちらが公式サイト。
「生きる LIVING」公式サイト
予告編。
観終わってから購入したプログラム(パンフレット?)。

白い点々は汚れではなく、雪。
スタッフとキャスト。
<スタッフ>
□監督:オリヴァー・ハーマナス
□脚本:カズオ・イシグロ
□原作:黒澤明監督作品「生きる」
脚本:黒澤明、橋本忍、小國英雄
□製作:スティーヴン・ウーリー、エリザベス・カールセン
□撮影監督:ジェイミー・D・ラムジー
□編集:クリス・ワイアット
□音楽:エミリー・レヴィネイズ・ファルーシュ
<キャスト>※役名:俳優名
□ロドニー・ウィリアムズ : ビル・ナイ
□マーガレット・ハリス :エイミー・ルー・ウッド
□ピーター・ウェイクリング :アレックス・シャープ
□フィオナ・ウィリアムズ :パッツィ・フェラン
□マイケル・ウィリアムズ :バーニー・フィッシュウィック
□サザーランド:トム・バーク
□ミドルトン :エイドリアン・ローリンズ
□ラスブリッジャー :ヒューバート・バートン
□ハート:オリヴァー・クリス
□ジェームズ卿 :マイケル・コクラン
□シン:アーナント・ヴァルマン
ここからあらすじの続き。
もちろんネタバレなのでご注意のほどを。
なお、検索し脚本を見つけた。最終稿ではないと思うが、適宜引用する。

これまでの見出しを確認。
(1)通勤列車と出勤
(2)たらい回し
(3)病院での告知
(4)ウィリアムズ宅
(5)海辺のリゾート地とサザーランド
(6)ウィリアムズとマーガレット
(7)ウィリアムズ家の夕食
(8)ウィリアムズとマーガレット、ふたたび
(9)公園づくりへの奮闘開始
(10)教会での葬儀
(11)列車の中での回想-その1
引き続き、市民課四人での回想場面。
(12)列車の中での回想-その2
久し振りに出勤したウィリアムズが、市民課メンバーを伴ってチェスター通りの現地調査をした後、ウィリアムズは、関係部署を辛抱強く回った。
列車の中の四人は、それぞれが目にしたウィリアムズの姿を、思い出す。
ハートが、回想する。
ウィリアムズと一緒に計画書を持って都市計画課に行くと、責任者のタルボットが、さも迷惑そうな顔をして、忙しいから後で見る、と言って、計画書を机に置いて、他の仕事をしようとする。
では、見てくれるまで、とウイリアムズは空いている椅子に座った。
タルボットが見てくれるまでは、そこは離れない、という覚悟が伝わる。
タルボットの顔には「しょうがないな・・・・・・」という表情が浮かんでいた。
ピーターにも、忘れられない思い出がある。
公園課に、ウィリアムズとピーターが、いくつものファイルボックスを抱えて訪ねた時のこと。
プログラムから、その場面の写真を拝借。

ウィリアムズと責任者のジョーンズとの会話やト書きを脚本から。
□Williams
(short of breath)
It's very good of you.
(turns to include everyone in room)
I know we're placing an extra burden on all of you here.
The Junior Clerks and Secretaries ignore him, keep working)
■Jones
So this is what? A kiddie' playground?
□Williams
Yes.
■Jones
Urgent?
□Williams
We'd appreciate your giving it priority.
■Jones
Hmm. Well, if you request it, Mr Williams.
Suddenly Williams offers Jones his hand. Jones is surprised, but by instinct, rises and shake hands.
---------拙訳------------------------------
□ウィリアムズ
(息切れしている)
大変お世話になります。
(部屋の全員を見渡す)
ここにいる皆さんに余計な負担をかけていることは承知しています。
(事務員や秘書は彼を無視し、働き続ける)
■ジョーンズ
それで、これは何ですか?子供の遊び場?
□ウィリアムズ
はい。
■ジョーンズ
緊急ですか?
□ウィリアムズ
優先していただければ幸いです。
■ジョーンズ
ふーむ。 あなたがそう要望されるのなら、ウィリアムズさん。
突然、ウィリアムズがジョーンズに手を差し出す。ジョーンズは驚くが、本能的に立ち上がって握手をする。
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脚本に、youと下線があるのは、察するに、すでにウィリアムズが役所内で噂になっているということを暗示しているのだろう。
その後、あらかじめ(in advance)お礼をします、と言ったウィリアムズが、課員一人一人に丁寧に握手をしていた姿を、ピーターは驚きの顔で眺めていた。
ウィリアムが粘り強く関連部署を廻り、その熱意が伝わったのだろう、あとは、ジェームズ卿の承認を得るだけとなった。
ミドルトンが回想する。
卿の部屋を訪ねたウィリアムズに、彼が計画を認めないと言い放った。
すでに話は終わったと思った卿は、訪問者たちと、風刺漫画雑誌「パンチ」の話題などに興じている。
立ちすくんでいたウィリアムズは、その会話に割って入る。
どうにか、再考してもらいたい、と言う。
その言葉は、no harmを使って、次のような内容だった。
「お願いです。せめて、あと一週間でもいいです、決定を延ばしていただけませんか。
決して、貴方にとって、負担とはならない(no harm)と思いますが」
そのウィリアムズの表情には、人を動かすだけの覚悟が感じられた。
結果として、ジェームズ卿は、公園計画を認めた。
四人の市民課員は、なぜ、ウィリアムズはあんなに頑張ることができたのか、訝る。
ハートが言う。ウィリアムズは、自分の病気のことを知っていたのではないか。
彼は、ウィリアムズがチェスター通りの婦人たちと一緒に関連部署を廻り、むげに断られていた頃のことを思い出した。
スミス婦人がウィリアムズに、「こうまでされて、どうして怒らないのですか」とウィリアムズに言うのだが、ウィリアムズが「私には怒っているような時間が、ないのです」と答えた場面に遭遇していたのだった。
ピーターも思い出した。
公園計画は進んでいる現場をウィリアムズが訪れた際、歩いていて彼はよろめいて転んでしまった。
夫人たちが駆け寄り、彼を椅子に座らせて、マグカップの水を渡した。
あえぎながら水を飲み礼を言うウィリアムズの姿が、蘇った。
市民課のメンバーは、ウィリアムズが病と自分の死期を知っていたのだと結論づける。
もし、そうなったら、自分たちだって、ウィリアムズのように仕事をするだろう、と意気が上がる。
今回は、ここまで。
次回で、あらすじは終了予定。
