東京電力の値上げ案は、見通しの立たない原発再稼働が前提。
2023年 01月 25日
無事(?)、飲食店のアルバイトをこなし、帰宅してユウの散歩をし、パソコンに向かった。
前の記事には、多くの方のコメントを頂戴し、恐縮している。
昨日、この記事について書こうと思っていたのだが、つい、この一週間のことを書いてしまった。
東京電力の値上げ案は、原発再稼働を見込んだものだった。
今の時点では、安全対策などでメドが立っていない計画を下敷きに値上げ案が策定されているのは、まったく理解しがたい。
東京新聞から引用する。
東京新聞の該当記事
原発再稼働を前提に値上げ幅を計算 東京電力 トラブル続きで実現は遠いのに…「理解しがたい」と識者
2023年1月24日 06時00分
東京電力は柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)を2023年10月から順次、再稼働させる前提で、値上げ幅を計算した。ただ、同原発はテロ対策の不備やトラブルが相次ぎ、再稼働のめどは全く立っていない。実現可能性が低い原発再稼働を織り込んだ料金設定に対し、専門家は「理解しがたい」と批判している。(砂本紅年)
◆テロ対策不備、配管に直径6センチの穴
東電は7号機を23年10月から、6号機を25年4月からそれぞれ再稼働することを織り込んだ。これにより火力発電の燃料調達費を抑え、値上げ幅を使用量1キロワット時当たり2.1円圧縮する効果があるとした。
しかし、同原発は21年、多くの侵入検知装置が故障するなどテロ対策の不備が相次いで発覚。原子力規制委員会が事実上の運転禁止命令を出している。
翌22年には、7号機のタービン設備の配管が11年間点検されず、腐食による直径6センチの穴が見つかった。地元の不信感は根強く、再稼働への同意を得るのは容易ではない。
東電ホールディングスの小早川智明社長は23日の会見で「再稼働は(料金圧縮のため)あくまで算定上織り込んだが、見通しは立っていない。時期を申し上げる状況にないが、改善に努めているところ」と説明した。
◆「再生エネ比率を高める転換期ととらえるべきだ」
福島第一原発事故後の12年7月、経営危機に直面した東電に対し、政府と大手電力などでつくる「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」の前身組織が1兆円を出資し、東電は実質国有化された。それ以降、柏崎刈羽原発の再稼働を織り込んだ経営再建計画を3回にわたって公表してきたが、再稼働は実現せず見直しを余儀なくされている。東電が目指す原発に依存した経営は既に限界がきている。
龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「運転禁止が解除されていない原発の再稼働と、電気料金の設定を結び付けるという判断は理解しがたい」と指摘。その上で「エネルギーを取り巻く困難な現状は、火力や原子力を減らし、再生可能エネルギーの比率を高めるための転換期ととらえるべきだ」と話す。
大島堅一教授は『原発のコスト』(岩波新書)などの著作のある専門家で、原発は再生可能エネルギーよりコストが安くないことを実証的に明らかにしている方だ。
教授の指摘の通りであり、もし、値上げがやむを得ないにしても、再生可能エネルギーへの転換プランを策定し、その上で、ある程度の値上げが必要と言うのなら、多くの国民から理解も得られるかもしれない。
しかし、値上げ案が、“あくまで算定上織り込んだが、見通しは立っていない。時期を申し上げる状況にない”という、危険極まりない原発の再稼働を前提としているなど、決して許されるものではない。
政府が前のめりになっていることで緊張感がなくなっているとしか思えないのが、現在の東京電力の状況だ。
今日のNHKニュースでも、同じ柏崎刈羽原発の審査書類で、信じれれない150か所もの誤りがあったことが報じられていた。引用する。
NHKサイトの該当ニュース
柏崎刈羽原発 書類誤り「小さなミスでも問題」山中規制委員長
01月25日 18時14分
東京電力が柏崎刈羽原子力発電所3号機の審査のため原子力規制委員会に提出した書類に150か所の誤りがあった問題で、規制委員会の山中委員長は「小さなミスでもたびたび起こるのは問題だ」と指摘しました。
東京電力は今月19日、柏崎刈羽原発3号機が運転開始から30年となる前に設備の管理状況などの確認を受けるための原子力規制委員会の審査で、提出した書類に150か所の誤りがあったことが明らかになりました。
このうち149か所は記載上の誤りで、多くは素材や使用条件などの詳細を確認できない設備について、安全性の評価に影響が無いことを確認したうえでメーカーや型式が同じ2号機の設備の情報を使っていたとしています。
また、先週は免震重要棟のパソコンからの出火もおきています。
原子力規制委員会の山中伸介委員長は25日の定例会見で、「直接、安全に関わるような重大なミスだとは思っていないが、小さなミスでもたびたび起こるようではやはり問題だ」と述べました。
そのうえで、図面や文書の管理は徹底する必要があるとして、東京電力の姿勢によっては規制委員会で課題として取り上げる可能性があるという考えを示しました。
15か所ではなく、150か所である。
原発の審査書類で、あってはならないことだ。
岸田内閣が原発再稼働や増設などを進めようとしていることでほくそ笑んでいるだろう原子力ムラの親方と言える東京電力が、こんなザル試算、ザル管理をしている実態を、しっかり監視、批判する必要がある。