政府のコロナ対策は、「感染」対策ではない。
2022年 08月 25日
全数把握の見直し、入国制限の緩和など、感染を収束させるどころか、被害者の増大、感染の拡大につながることばかりではないのか。
たしかに、全数把握による、医療現場や保健所の疲弊はあるだろう。
しかし、全数把握の内容には、感染者の健康管理という目的もある。
感染者数がもっとも多い東京は、政府の意向に沿うつもりはないようだ。
東京新聞から。
東京新聞の該当記事
全数把握、東京都は当面継続 政府の見直し方針に「待った」 症状急変の見逃しを懸念<新型コロナ>
2022年8月25日 06時00分
新型コロナウイルス感染者発生の届け出を自治体の判断に委ねるとした24日の政府方針に対し、東京都が待ったをかけた。小池百合子知事は「目の前の話を追いかける対症療法」と政府を批判し、当面は、全感染者の確認作業を続ける考えを示した。全数把握の見直しは保健所や医療現場の負担軽減につながると期待されているが、知事はこれまでも「数字をモニタリングすることで読み取れる動きがある」と見直しに慎重な姿勢をとっていた。(加藤健太)
◆都の傾向が見えなくなると現場は混乱する
都内では、連日2万人を超える新規感染者が確認され、発熱外来を担う医療機関や、患者の発生届を処理する保健所の業務は逼迫。氏名や症状、ワクチン接種の有無などの感染者情報を政府の情報共有システム「HER―SYS(ハーシス)」に入力する作業は項目が多岐にわたり、現場の負担になっている。
政府の見直し方針では、重症化リスクの低い人は保健所による健康観察の対象外だ。都幹部は「発生届は健康観察の起点。発生届が提出されない人の容体急変を追い切れなくなるのではないか」と懸念した。
都の新規感染者については、都内の医療機関が他県の感染者を陽性判定して入力する例が多く、24日の他県分の割合は14%を占めた。もし、感染者の全数把握をやめれば、都内の感染状況の分析が正確に把握できなくなるとして、かねて小池知事は「都の傾向が見えなくなると、現場が混乱する」と語っていた。
都は既に医療機関の負担を考慮し、ハーシスを使って発生届を出す医療機関に対し、患者1人あたり3万1200円の協力金を支給している。小池知事は24日、報道陣の取材に「インセンティブを生かして記入のアシスタントをつけるなどクリニックごとのマネジメントの問題(もあるの)ではないか」と指摘。事務の手続きを医師以外に託し、医師が患者の健康観察に集中することなどを求めた。
◆「取りこぼし」ない体制を 都内の保健所は…
政府が感染者の全数把握見直しを打ち出した24日、コロナ対策の最前線を担う東京都港区のみなと保健所では、約30人の職員が感染者の発生届の確認業務などに当たっていた。
同保健所の二宮博文・地域医療連携担当課長は「最近は少し落ち着いてきたが、新規感染者が最も多かった7月下旬から8月上旬には、作業が終わるのが午後9時になることもあった」と明かした。
港区では、流行の第7波での新規感染者数のピークは7月下旬で約1350人。その後は減少傾向となっているが、現在も500~600人台の新規感染が続いている。
感染者の発生届は、ハーシスを通じて医療機関が入力し、保健所が確認する。ファクスで送ってくる医療機関もまだ2割ほどあるといい、その場合は保健所が入力を代行する。発生届の患者情報は、自宅療養中などの人の健康観察に活用している。
新規感染者のうち、高齢者や基礎疾患があるなど重症化リスクが高い人の割合は1~2割という。政府は、発生届を自治体の判断で重症化リスクが高い人に限定する方針を示したが、小池都知事は全数把握を維持する構えだ。
二宮課長は「新たな方針を導入すれば、業務は軽減されるが、重症化リスクが低い人の情報を保健所としては入手できなくなる」と指摘。「第7波でも数は少ないものの、重症化リスクが低い人でも療養中に症状が悪化するケースはある。そういった患者の『取りこぼし』が起きないような体制にする必要がある」と注文した。(榊原智康)
私は、東京都の主張に賛成だ。
観光客の増加などで一時は、ほぼ医療崩壊状態だった沖縄は、どうか。
琉球新報から引用。
琉球新報の該当記事
全数把握見直し「メリットない」の声も 沖縄県、医療現場混乱の懸念 週末に専門家会議で対応議論へ
2022年8月25日 06:30
新型コロナウイルスの感染症対策をめぐって岸田文雄首相が、感染者数の全数把握を見直し、医療機関などによる感染者の発生届を自治体の裁量で高齢者や妊婦などのハイリスク者に限定できると表明したことに、沖縄県対策本部内では「導入するメリットがない」との声も挙がっている。
県では発生届の情報を一元化して入院調整などに当たるシステムが軌道に乗っており、新たな基準を追加することで業務が煩雑になり、医療現場の混乱を招きかねない。県は週末にも専門家会議を開き、対応を議論するという。
県は、医療機関の状況をリアルタイムで把握しながら、入院調整や自宅療養者の健康管理、生活物資の配達など網羅的に対応してきた。流行拡大時は医療機関の負荷を軽減するため、救急搬送時に遠隔診療で薬を処方して自宅待機としたり、待機ステーションへ案内したりした事例もある。
仮に発生届が高齢者などに限定されると、対象外となる軽症者の待機期間などが把握できず、結果的に流行拡大につながる恐れがある。無料検査などで陽性が判明した場合、年齢以外のハイリスク要因を誰が確認してどのように発生届を出すのか不明で、新たな業務が増えかねないという。
救急搬送においても課題が発生する。これまでの流行拡大時には、軽症患者の119番にも県対策本部で入院の是否を決めてきた。しかし発生届を限定すると対象外の患者への県の介入がなくなり、救急隊や各医療機関が独自に陽性を確認したり、入院調整したりする必要があり、医療現場の負担増加が懸念されるという。
県対策本部内の担当者らは「感染が収束していない中では、重点化を取り入れる理由が見つからない」と語った。(嘉陽拓也)
沖縄は、国のシステムなどに頼れないと、独自で一元化の仕組みを構築したようだ。
政府の考え方の根底には、まず、国民の安全、生命を守るという大前提が欠落している。
感染が拡大したのは、検査して陽性者を隔離して治療する、という基本を実施する仕組みを、いまだに国が構築できなかったからである。
しかし、その結果、感染拡大により医療現場や保健所が疲弊して、自治体や医療関係者から、全数把握見直しの声が上がった。
国が考えるべきことは、いかにして、医療現場の工数を削減して、かつ、必要な感染データ、健康管理に必要な情報を入手し感染拡大を阻止するか、ということ。
東京都のように、ハーシス登録に(本来は不要なのだが)協力金を支払い、入力業務を行う人材を雇うことを可能とすることも一つの案である。パソナやパーソルに外注ではなく、病院で募集したら、いくらでも働き手はいるはず。
重症患者かどうかの判断を自治体に任せるなども、厚労省も国も、あまりに無責任すぎる。
自治体ごとに重症者の基準が違うなら、そこから上がって来た全国統計には、統計としての有効性がなくなるのではないか。
感染が拡大中に、海外からの観光客を今より多く招こうとする考えには、まったく賛成できない。
入国制限緩和は、感染が収束傾向になって、初めて考えればいいこと。
今回の対策は、コロナ対策ではあるかもしれないが、「感染」対策ではない。
永田町と霞が関の声は、こんなところか。
■うるさい知事が全数把握をやめろと言っているから、やめていいけど、基準や責任はそっちだよ。
■手続きが面倒で海外からの観光客が増えないから、手続き減らしてインバウンドに期待しよう。
私事だが、つい最近の経験。
飲食店のアルバイトをしているお店で、感染していた人が三日ほど前に復帰した。
孫が感染し、奥さんが感染し、最後に本人が感染。
奥さんは、PCR検査で陽性だった。しばらくして本人も発熱。
保健所は、「家庭内感染です。検査はしません。十日間隔離です」とのこと。
38度台の熱が二三日続き、喉も痛かったらしい。
しかし、隔離期間終了にあたって抗原検査さえもせず、職場復帰。
マスクはしているものの、私は、その人と、できるだけ距離をとって、仕事をしている。
一ヶ月前に同じように感染した方も、検査せず、復帰。
昨年のデルタ株以降、店のバイトメンバーでは、5人感染。
濃厚接触者も数人。
シフト変更が続く。
また、休みの方が相次いだ時期に新たに入った方の負担が増え、一か月で辞めてしまった。
経済は、回っていない。
感染を収束しない限り、不安も消えず、安心して仕事もできない。
神奈川県は、現在、病床使用率90%超えで、医療現場も保健所も逼迫しているが、全国的にこうなのだろう。
入国制限緩和で、イギリスの例を出す人がいる。
イギリスは、すぐに検査する仕組みもあるし、文化も違う。何より、感染が収束傾向にある。
札幌医大の特設サイトに、各国の一週間、100万人当たり感染者数の図があるので、拝借。
札幌医大の特設サイト

全数把握していない国と比較はできない、と言う人がいそうだが、同じ基準で統計的に有効なデータを継続して入手することが大事なのである。
数も大事だし、傾向を知ることも重要だ。
今回の政府の対策は、国民の安全、生命を守るという原則から離れた愚策であり、感染対策ではない。
声の大きな知事への対策であり、観光業界と密接な、これまた声の大きな議員への対策ではないのか。
陽性反応が出るとその場で抗ウイルス薬が出されるそうです。
そういうコロナ対策をしているから
国民はもし新型コロナウイルスに感染しても安心が得られるということではないでしょうか?
おっしゃる遠いだと思います。
ロンドンでも、ほぼ徒歩圏内に検査場があるらしいです。
不安ならすぐ検査できる仕組みを、これまでに構築しないまま、行動制限もなく、海外からもどんどん人を呼び込もうとしている。
現在の感染拡大は、永田町と霞が関の人災です。
