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白井聡著『長期腐敗体制』より(5)

 萩生田、杉田、生稲・・・残念ながら、長期腐敗体制が続いている。

 岸田という人、いったい何を考えているんだろう。
 コロナ感染拡大には、いまだに、無策。すでに医療は崩壊している、というのに。
 閣僚や自民党議員と統一教会との関係には、個々の議員が「ていねいに」説明し「適切な」対応をすればいいらしい。

 そして、個々の議員は、そのビルの壁に大きく書いてある団体の名前もよく見ずに、集まった人たちを前にスピーチするらしい。

 平気で嘘をつくのも、不正・無能・腐敗の三拍子揃った「2012年体制」の特徴だ。

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白井聡著『長期腐敗体制』

 6月10日に角川新書から刊行された白井聡著『長期腐敗体制』から、五回目。

 著者の白井聡は、1977年生まれの思想史家、政治学者で、『永続敗戦論ー戦後日本の核心』などの著作がある。

 目次を確認。
***********************************************
 □序章 すべての道は統治崩壊に通ず
       ー私たちはどこに立っているのか?ー
 □第一章 2012年体制とは何か?
       ー腐敗はかくして加速したー
 □第二章 2012年体制の経済対策
       ーアベノミクスからアベノリベラリズムへー
 □第三章 2012年体制の外交・安全保障Ⅰ
       ー戦後史から位置づけるー
 □第四章 2012年体制の外交・安全保障Ⅱ
       ー「冷戦秩序」幻想は崩壊したー
 □第五章 2012年体制と市民社会
       ー命令拒絶は倫理的行為であるー
 □あとがき
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 巻末に説明があるが、第一章から第四章は、2021年3月から6月に朝日カルチャーセンター中之島教室で行われた連続講座「戦後史のなかの安倍・菅政権」の講義録を元にしている。
 その内容を全面的に改稿し、他の章を書き下ろしたとのこと。

 引き続き、第一章 2012年体制とは何か?ー腐敗はかくして加速したー、から。

 少し時間が空いたが、前回は、不正・無能・腐敗の三つの悪にまみれた「2012年体制」は、「体制」であるがために、トップが替わろうがその本質が変わらないという著者の指摘をご紹介した。

 だから、安倍政権、菅政権、そして岸田政権も、「2012年体制」なのである。


 本書は、7月8日の前に刊行されている。

 岸田政権の実態を見るにつけ、安倍晋三という「2012年体制」の創始者が亡くなった後の今も、この「体制」の強固なことを、再認識する。

 本書では、過去の55年体制を説明し、ポスト55年体制としての期待のあった二大政党制が長続きしなかったことが記されている。

 なぜ、民主党は、あのようになったのか。

 興味深い指摘を引用する。

 辺野古の基地問題で、当時の鳩山由紀夫首相は、県外への基地移設を公言した。

 しかし、その後、どうなったのか。

 鳩山氏がこの問題に本気で取り組み始めると、基地移設についてのアメリカのの合意を見直すと日本側が言い出せば、アメリカが立腹するかもしれないと喚き立てるキャンペーンが炸裂しました。かくして、アメリカの機嫌を損ねたということですらなく、損ねる「かもしれない」というだけで、政、官、財、学、メディアからの集中砲火を受け、「あいつは宇宙人だ」等々の人格否定まで受けるのが、日本の権力構造だったことが明らかになりました。
 鳩山、小沢の両名は、基本的にどちらも保守の系譜に属する人です。ところが保守の系譜に属するにもかかわらず彼らが異端だと言えるのは、戦後日本の保守がずっと維持してきた、良く言えば親米の路線、悪く言えば対米従属の路線を健全化させたい、相対化しなければ、といった考えをはっきり持っているからです。この点が、主流派の保守との根本的な違いです。言い方を換えれば、日米安保体制を否定しているわけではないが、絶対視もしていない。まさにそうであるがために、両名は権力の座に就いた途端に、あるいはその直前から、激しい攻撃を受けました。

 小沢一郎への攻撃については、カレル・ヴァン・ウォルフレン『人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか?』 から、十年前に紹介したことがある。ご興味のある方は、ご覧のほどを。
2012年4月27日のブログ

 鳩山由紀夫降ろしの背景にあったものについて、引用を続ける。

 鳩山由紀夫が率いたほかの閣僚らが同じ信念を共有していたかというと、していなかった。だから、鳩山氏が「最低でも県外」という公約を何とか実現しようと苦闘するなかで、他の関係閣僚ーこの場合、防衛大臣や外務大臣が職掌上大変重要だったわけですがーは腰が引けていき、鳩山氏は孤立無援な状況に追い込まれて行きます。
 なお、鳩山氏が公約実現の断念を決意する際に、直接的なとどめとなった外務省が作成した文書は、虚偽文書であった疑いが濃厚です。2016年2月23日に「朝日新聞」によって報道されていますが、その要点は以下です。 
 すなわち、外務省は当時移転先候補として想定された徳之島が米軍の訓練場から遠すぎる、米軍の内規が定めている距離を上回ってしまうとの文書をつくって、鳩山氏に差し出しました。これで「万事休すだ」と鳩山氏は判断し、公約を断念、辞任を決断しました。しかし、この文書がでっち上げだったというのです。「米軍の基準としてヘリコプター部隊と訓練場との距離を65カイリ(約120キロ)以内と明示しているが、在日米軍司令部は朝日新聞の取材に『そのような基準はない』とした」(朝日新聞2016年2月23日)。
 この一件は、鳩山氏という、特殊な対米従属レジームにおける異分子を追い出すためには、この体制はいかに手段を選ばなかったかー本件は公文書の偽造であり、犯罪ですーということの証明です。こうして鳩山氏は後ろから撃たれ、倒されてしまった。撃った主犯は官僚であり、従犯が与党まで含めた政界、マスコミ、そして「鳩山氏は権力構造と闘って敗れた」と分析しなかった知識人たちでしょう。

 こういった歴史を振り返ると、2012年体制は、第一次安倍内閣が発足した2006年から、その基盤が構築されてきた、と言えるのだろう。

 政官が一体となって、対米従属構造を創出し、その構造を破壊しようとするものは、メディアも巻き込んで、除外する。

 鳩山由紀夫を「宇宙人」と称するメディアやネットを信じてきた人々は、少なくないだろう。

 しかし、その背景には、今につながる「体制」があったのである。

 そして、重要なことは、民主党の鳩山、小沢以外は、その体制を破壊するつもりがなかった、ということだ。

 だから、二大政党制は、成立しなかった。

 民主党政権が終わり、ついに、2012年、第二次安倍政権が始まった。

 なぜ、この体制がが長続きしているのか。

 いくら権力が集中していても、やり放題で何でもできるかと言えばそうではないはずですし、何と言っても本来、選挙で負けることもあり得ます。そう考えると、政権が長く続くというの、やはり国民的に支持されているのです。不正・無能・腐敗が支持される世の中に、それを指示する国民になってしまった。そこにこそ本当の謎があります。ここを解明しなければ、ポスト55年体制の不成立を説明したことになりません。

 7月の参院選にしても、国民が「不正・無能・腐敗」の政権を支持していることは、票数が示している。

 なぜなのか・・・・・・。

 解明する鍵として、死語化したと思っていた、ある言葉が使われる。

 戦後の国体の終焉を無制限に引き延ばそうとする

 こうしてできてしまった2012年体制とは、どんなものか。これを総括するために、もう一度歴史的な位置づけをしておきます。その歴史的位置づけは、拙著『国体論ー菊と星条旗』(集英社新書、2018年)で示した歴史観から明瞭にできると、私は考えています。
「国体」とは、普通、戦前の天皇制国家のことを指します。それは明治期に、明治維新を実行した人たちが、新生近代日本の国家原理として天皇を頂点・中心とする体制をつくったことによって成立しました。この明治期に、天皇を中心に日本人は団結して頑張りましょうということで、飛躍的な大発展を遂げた。けれども、最終的には1945年、破滅的な戦争により潰れます。大日本帝国の天皇中心主義は、軍国主義、超国家主義、神懸かり的なファシズムの温床だと見なされて、GHQによる民主化改革の対象となり、天皇制は象徴天皇制への再編され、「国体」は死語になりました。
 しかし、「国体」的なものは、実は生き残っているのです。それは戦後、「国体」の頂点を天皇からアメリカにすり替えたような形で機能するようになります。だから、「国体」は、それが形づくられ、発展し、そして壊れるというプロセスを二度繰り返していると見ることができます。


 天皇に代わり、アメリカを頂点とする「国体」が形成される過程などについては、次回。


 テレビ朝日が、自浄作用があったのだろう、統一教会と自民党との問題を、再び放送するようになった。

 有田発言の後、萩生田から圧力があったという話がネットで流れていたが、萩生田への批判も行っている。


 とはいえ、この問題を契機に、「日本会議と自民党」の不適切な関係の追及にまで進めるべきだ。

 憲法改正(改悪)によって戦争のできる国にし、大日本帝国時代への回帰を目指す自民党の背後にいるのは、日本会議である。


 しかし、官邸の圧力と忖度で、メディアは、日本会議という本丸への批判はできないのだろう。

 不正・無能・腐敗の2012年体制を終わらせるには、カルト集団、自民党による政権を終わらせるしかないのだと思う。

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by kogotokoubei | 2022-08-19 12:57 | 今週の一冊、あるいは二冊。 | Trackback | Comments(0)

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by 小言幸兵衛
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