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国谷裕子著『キャスターという仕事』より(6)


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国谷裕子著『キャスターという仕事』(岩波新書)

 国谷裕子(くにや ひろこ)著『キャスターという仕事』から六回目。
 本書は、2017年1月に岩波新書から発行された。

 目次。
 □第1章 ハルバースタムの警告
 □第2章 自分へのリベンジ
 □第3章 クローズアップ現代
 □第4章 キャスターの役割
 □第5章 試写という役割
 □第6章 前説とゲストトーク
 □第7章 インタビューの仕事
 □第8章 問い続けること
 □第9章 失った信頼
 □第10章 変わりゆく時代のなかで
 □終 章 クローズアップ現代の23年を終えて

 引き続き、「第2章 自分へのリベンジ」から。

 少しおさらい。
 1988年4月に始まったNHK総合9時から80分枠の新番組「ニューストゥデー」。 
 その国際ニュース担当に抜擢され帰国した国谷さん。

 しかし、生放送での突発的な内容変更などの対応などに追われ、緊張のあまりミスが続いた結果、半年で同番組を降ろされてしまった。

 しかし、挫折を経験したからこそ、どうしてもキャスターになりたいという思いを強くした。

 そんな国谷さんに、思いがけず、セカンドチャンスが巡ってきた。

 1989年6月に本放送が始まる衛星放送の「ワールドニュース」のキャスターを担当することになったのだ。

 放送が始まる前の5月、中国の鄧小平とソ連のゴルバチョフ書記長の歴史的会談の取材で北京を訪れた国谷さん。
 しかし、あの天安門事件に遭遇する。
 5月20日、戒厳令が発令され、生中継は許されなくなり、日本から国谷さんに帰国するよう要請があった。

 さて、その後のこと。

 空港でチェックインを待っていると、取材のVTRテープが届けられた。見つかれば没収される。私はトランクと機内持ち込みの荷物にテープを入れた。トランクをセキュリティチェックの機械に通すときはドキドキした。検査官が私の荷物の映像を見て、「何か機会が入っているのか?」と質問した。「ヘアドライヤー」と答えると黙って通してくれた。手荷物検査場を通る前にシルク製品の店に入り、ピンク色のネグリジェを購入し、テープをそれでくるんだ。気休めとわかっていたが、大事な取材テープを無事に日本に持ち帰れるよう、少しでも何かしたかった。無事セキュリティを通過し、出発ゲート前のベンチに座ったときは本当にほっとした記憶がある。
 私が持ち帰ったテープは、成田空港で待ち構えていたNHK職員によってすぐさま伝送され、戒厳令が発令された北京の様子が放送された。NHKの取材陣がリスクを負い、心身をすり減らしながら現場取材を行い、それをVTRに収めて視聴者に送り届けた。その有様を直接、肌で感じたこの体験は、キャスターへの再チャレンジを始めたばかりの私にとって貴重なものとなった。

 まるで、映画のような筋書き。
 
 その後、世界の注目は、鄧小平とゴルバチョフの歴史的会談はほとんど忘れられ、主役は天安門事件になった。

 そして、その後、1989年という年は、世界が大きく揺れ動いた年になった。

 歴史が私を押し出した
 
 私が衛星放送に戻った1989年から、世界では世界史の教科書を塗り替える歴史的な出来事が次々と起こった。私はキャスターとして、生放送を切り盛りしたり、複数のゲストたちとの討論を仕切り、ゲストを多元的に結ぶ衛星中継インタビューを行うなど、喉から手が出るほど欲しかったキャスターとしての仕事をたっぷりと経験することが出来た。天安門事件の衝撃が収まるや否や、今度は東ヨーロッパ諸国で次々と民主化の動きが相次ぎ、ポーランド、ハンガリー、ベルリンの壁の崩壊、そしてルーマニアのチャウシェスク政権の崩壊と、本放送が始まったばかりの衛星放送は、毎日世界中から刻々と届くニュース映像を使いながら長時間の番組を積極的に編成し続けた。
 私がキャスターを担当していた<ワールドニュース>は、本来一時間の番組であったが、事態が大きく動いているときは、番組の終わりがいつになるかわからないまま放送をスタートした日もあった。ニュース映像を見ながらスタジオの複数のゲストと分析したり、海外のシンクタンクの専門家と結んで議論したり、途中でゲストが入れ替わりながら長時間の放送を出し続けるときもあった。冷戦が終結していくまさに歴史の節目に、私はキャスターとしての経験を積むことが出来たのだ。

 まさに、時代が、国谷裕子キャスターを創造して、とも言える。

 そして、衛星放送の本放送が始まったばかり、ということも、今では考えられない柔軟な番組づくりを許したと言える。

 翌1990年、国谷さんは同じNHK衛星放送の新番組「世界を読む」を担当することになった。
 この番組は、毎日1時間のインタビューを通して、世界、そして日本の今を伝えようとする番組だった。

 そして、この番組で、国谷さんは、インタビューのいわば「1000本ノック」の体験をし、その後、あの番組のキャスターとなるのだが、「1000本ノック」の相手を含め、次回。


 今日は飲食店のバイトが昼のシフトで、忙しかった。

 帰宅してユウの散歩をしてからブログを書き始めた。

 晩酌をしながら、NHK BSプレミアムで「プロジェクトX」の4Kリストア版を見ていた。

 公害対策のホンダCVCCの物語。

 衛星放送だからこそ、こういう番組ができるのだろう。

 国谷さんは、その衛星放送の草創期に、一度挫折を味わったキャスターの仕事に、再挑戦する機会を得た。


 さて、明日は、いろんな物が値上がりする6月だ。

 しかし、給料は上がらない。

 コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻、などの影響も物価高には影響しているが、そのため忘れがちなアベノミクスの失敗も要因の一つである。

 その政策を継続しようとしている岸田内閣。

 どこが、骨太、なのか不明だ。
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by kogotokoubei | 2022-05-31 22:09 | 今週の一冊、あるいは二冊。 | Trackback | Comments(0)

あっちに行ったりこっちに来たり、いろんなことを書きなぐっております。


by 小言幸兵衛
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