ペシャワール会会報No.151記念号より(1)。
2022年 04月 27日
それで、思い出したのだが、昨日のNHKスペシャル「ブルカの向こう側~タリバン統治下の女性たち~」の記事で、紹介し忘れた写真があった。

タリバンは国際社会から制裁を受けているため、彼らがアフガニスタン国民を支援するにも、経済的には困難な状況が続いている。
アフガニスタンは、ロシアではない。あえて言うならウクライナ側だ。
イスラム教の熱心な信者で、「学生」や「神学生」を意味するのが、タリバンである。
ソ連の侵攻、アメリカ軍の攻撃に抵抗する組織はタリバン中心に構成された。
しかし、彼らはテロ組織と見なされ、いまだに経済的な制裁を受けているため、アフガニスタン国民は苦境にあえいでいる。
もちろん、タリバンにも負の側面はある。
正も負もある政権に関し、その実態を知るためにも、ペシャワール会会報の最新151記念号から引用したい。

念のためおさらいしておくが、ペシャワール会は1983年9月、中村哲医師のパキスタンでの医療活動を支援する目的で結成された国際NGO(NPO)団体である。
また、PMSは、Peace (Japan) Medical Servicesの略で、平和医療団のことで、中村哲医師が率いてきた現地事業体である。
最新の会報に、現地からの貴重な情報がいくつも掲載されている。
まず、その中から、PMSダラエヌール診療所医師、ハフィズラー カニの報告を全文紹介したい。
アフガン新政権の正と負
治安は改善したものの・・・・・・
皆さん、こんにちは。変わらぬご支援に感謝しております。私はPMSの職員で医師のハフィズラーと申します。
私たちアフガン人は、皆、新アフガン政権が国民に与える正の影響も負の影響もよく理解しているので、現状について少しお話をしたいと思います。
新政権になって良かった点は、治安が改善したことです。以前起きていた殺害、爆撃、誘拐、汚職がほとんどゼロになりました。教育については、少女たちが登校を止められている学校もありましたが、3月5日より大学も含めて全校が再開され、少女たちも通学を始めました。
一方、政変がもたらした負の部分は、新政権になってアフガニスタンの資産が全て凍結され、経済状況が悪化したために多くの人が失業していることです。失職しなくても給料あ未払いです。また食料や日用品の価格が日々上昇しています。
医療システムは崩壊
医療においても負の影響が出ており、政府のい経済力がないため多くの公営病院では薬や検査キットなどが底をつき、職員たちには給与が払えなくなっています。そのため私たちPMS診療所にやって来る患者が日々増えており、時には外来患者の診療終了が午後三時までずれ込むことがあります。
首都カブールには「アフガン ジャパン病院」と呼ばれる新型コロナ感染症専門病院がありますが、そこでも酸素ボンベやオミクロン変異株対応の検査キットや薬が不足しています。
行政は新型コロナ感染に関するデータ収集などの指揮監督をしておらず、アフガンの医療システム全体が完全に崩壊していると言えます。
アフガニスタンでは今も新型コロナ感染者が出ており、感染が疑われる患者が私たちの診療所に来院した際はバルコット診療所に送っています。またヨセフやグラム モハマッドのように、PMS診療所の職員の中にも感染して重篤な症状に陥った者が三名います。幸い、彼らは現在、快復して元気にしています。
今年初めから現在まで、アフガン ジャパン病院やジャララバード市や他の地域からデータを集計したところ、アフガニスタンでは1万1千人以上が新型コロナに感染し、約120人が感染後に死亡しています。医療設備の整っていないアフガニスタンでのこのデータは氷山の一角であると判断しています。
最後になりましたが、私たちの国アフガニスタンが再び繁栄を取り戻せますよう、アッラーの御加護を祈ります。
ハフィズラー医師が指摘する新政権の負の側面は、決して、タリバン政権そのものによる問題とは言えない。
いまだに、経済制裁を続ける、各国の問題なのである。
経済制裁を主導するアメリカが、過去どんな経緯でタリバンと敵対することになったかを、振り返る必要がある。
中村哲医師の本の紹介でも記したことだが、アメリカのアフガン侵攻の過程は、欺瞞に満ちている。
9.11後のアメリカのアフガン侵攻の標的は、当初の標的であったオサマ・ビンラディンやアルカイダから、次第にタリバンに置き換わっていった。
そして、テロとの戦いと言いながら、結婚式場やアフガニスタンの人々にとって大事が集会場であり学校であるマドラッサなどが爆撃されていた。
これは、今ロシアがウクライナに行っていることと、本質的に変わらない。
アフガニスタンのために、まず第一にすべきことは、国際社会が経済制裁を解除することだ。
そして、日本には、それを主導すべき役割がある。
中村哲さんという偉大な日本人を誇りに思うなら、日本政府は国際社会に制裁解除を訴えることの説得力を持つはずだ。
日本政府は、アメリカの属国となることをやめ、いち早く制裁を解除すべきだ。
防衛費(軍事費)を増やして、アメリカの軍産複合体に今まで以上の血税を投入することなど、とんでもないことである。
会報には、今年1月に干ばつで苦しむ人々に、PMS/ペシャワール会によって緊急食糧配給があったことが、写真で紹介されている。

今年の会費を郵便局から送った後、ペシャワール会から届いた領収したことを告げるハガキには、手書きの文字も添えられていた。
私の、気持ちばかりの会費が、少しでも役立ったのなら、こんなうれしいことはない。
もし、拙ブログを読んでペシャワール会の支援をするお気持ちになった方は、同会のサイトの次のページにその方法が記載されているのでご確認ください。
ペシャワール会サイトの該当ページ
この会報からは、まだいくつかご紹介したい。
