「ドライブ・マイ・カー」の3時間は、あっと言う間だった(1)
2022年 02月 14日
とはいえ、その連絡は、行くつもりで最寄り駅近くのドトールでモーニングを食べている最中だった。
さあ、どうするか。
帰宅するか、それとも、あの映画か。
観たかった「ドライブ・マイ・カー」の上映時間を調べ、再上映が11日から始まったばかり、自宅からもっとも近いTOHOシネマズ海老名へ、そのまま向かった。
乗換駅のトイレで、テニス用の服装から着替えた。
11:45からの上映だったが、1時間前には映画館に到着し、チケットを購入。
ネット予約せずに、大丈夫だろうと思って行ったのだが、やはり結構混んでいる。
アカデミー賞作品賞ノミネートによる動員効果だろう。
周囲が空いている、前から三列目の中央を確保。
その後、お気に入りのラーメン屋さんで腹ごしらえ。
まだ少し時間があったので、ドトールでコーヒーと一服。
上映10分前に館内へ。
高齢のご夫婦の姿が目立つ。
見終えて思ったことは、記事の題と重複するが、あっと言う間の3時間、だった。
公式サイトから、あらすじ部分を引用。
「ドライブ・マイ・カー」公式サイト
舞台俳優であり演出家の家福(かふく)は、愛する妻の音(おと)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう――。2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。さらに、かつて音から紹介された俳優・高槻の姿をオーディションで見つけるが…。
喪失感と“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福。みさきと過ごし、お互いの過去を明かすなかで、家福はそれまで目を背けてきたあることに気づかされていく。
人を愛する痛みと尊さ、信じることの難しさと強さ、生きることの苦しさと美しさ。最愛の妻を失った男が葛藤の果てに辿りつく先とは――。登場人物が再生へと向かう姿が観る者の魂を震わせる圧巻のラスト20分。誰しもの人生に寄り添う、新たなる傑作が誕生した。
こちらが予告動画。
パンフレットを買ったのは、久し振りだ。

キャストとスタッフをご紹介。
<キャスト>
家福悠介:西島秀俊
渡利みさき:三浦透子
高槻耕史:岡田将生
家福音:霧島れいか
イ・ユナ:パク・ユリム
柚原:安部聡子
コン・ユンス:ジン・デヨン
ジャニス・チャン:ソニア・ユアン
Roy Lucelo:ペリー・ディゾン
Ryu Jeong-eui:アン・フィテ
<スタッフ>
監督:濱口竜介
脚本:濱口竜介・大江崇允
プロデューサー:山本晃久
音楽:石橋英子
撮影:四宮秀俊
照明:高井大樹
さて、ここからはネタバレご注意。
この映画のストーリーを、起承転結で分けるなら、こんな感じかな。
起:妻への疑惑と別れ
承:舞台「ワーニャ伯父さん」とドライバーみさき
転:高槻との会話と彼の離脱
結:二人の浄化と再生
まず先に、映画の鑑賞者に関する区分について確認。
G:年齢を問わず、誰でも鑑賞可
PG12:12歳未満は、保護者の助言・指導が必要
R15+:15歳以上が鑑賞可
R18+:18歳以上が鑑賞可
この映画は、PG12指定である。
では、あらすじを振り返る。
起承転結
「妻への疑惑と別れ」
(1)音の創作の秘密
PG12指定になっている理由は、冒頭部分を含むシーンによる。
主人公家福悠介の妻の音は、かつては女優、今は脚本家である。
彼女の脚本づくりは、セックスの後にストーリーが浮かび、それを夫に語ることが習慣化されている。
しかし、朝起きると、音は筋書きを忘れているので、悠介が前夜聞いた内容を語る必要があった。
冒頭は、その筋書きを音が語る場面で始まる。
女子高校生が、好きな男子の家へ忍び込む、という物語を語る音。
翌日、家福は、多言語劇の「ゴドーを待ちながら」の初日。音はテレビ局で自分の作品のドラマのキャストとの顔合わせだった。家福が運転する愛車(SAAB 900 turbo)の助手席で、家福から忘れていた筋書きを聞き、スマホにメモする音。
テレビ局で音を降ろし、舞台へ向かう家福。
(2)高槻との出会い
初日を終えたばかりの楽屋で、付け髭を外しているところへ、音がやって来た。
音は、ドラマの顔合わせで一緒だった俳優の高槻を連れてきた。
「奥様にはいつもお世話になっています」と語る高槻に、「奥様はやめてよ」と言う、音。
二人の親密さを感じた、家福。
舞台に感動したという高槻。
(3)音の浮気
ウラジオストックの演劇祭に招待された家福は、寝ている音を起こさないよう出かけようとするが、起こしてしまう。
9時のフライトだからと出かけようとする家福に、「吹き込んでおいた。もう要るでしょう」と音が、カセットテープを渡す。
次の舞台「ワーニャ伯父さん」の台本を吹き込んだものだった。
愛車で成田空港へ向かった。音が吹き込んだ科白を聞きながら、ワーニャ役の部分を暗唱する家福。
彼は、舞台の前に、自分の役以外の科白を音が録音したものを聴きながら、科白の稽古をするのが習慣だった。
家福のスマホに、演劇祭事務局から、寒波のため飛行機が飛ばないので一日延期の連絡。演劇祭側でホテル代を支払うとのことだが、家福は家へ戻る。
しかし、家の中から聞こえる、クラシックのBGMと、音の声。
そっとドアを開けた家福が居間で見たのは、男に抱かれている音の姿だった。
音は、目を閉じて恍惚感に浸っているので、見られていないだろうと、また、外へ出て、そっとドアを閉める家福。
空港近くのホテルにいる家福のパソコンに、音からビデオ通話が入る。
ウラジオストックにいると思っている音。家福も、何事もなかったかのように振る舞う。
(4)亡くなった娘の法事
家福と音は、寺で女の子の位牌を見ている。
二人の娘は、四歳で肺炎で亡くなっていた。
「本当は、もう一度、子どもが欲しかった?」と聞く、音。
「わからない・・・・・・。誰もあの子の代わりにはなれない」
「私ね、あなたのことが本当に好きなの」
音の手を握る、家福。
帰宅後、二人は強く求めあった。
その後、音は、あの物語の続きを語り始めた。
しかし、その物語は、浮気現場を眼にした家福の姿を彷彿とさせるものだった。
<音は、私が見たことに気づいているのか・・・・・・>
家福の心に、そんな思いがよぎったはずだ。
(5)音の死
翌朝、音が、昨夜の物語を覚えているかと問うと、寝ていたので覚えていない、と誤魔化す家福。
ワークショップがあると嘘をついてに出かけようとする家福に、音が「今夜帰ったら話せる時間ある?」と聞く。
「なんで、わざわざそんなこと聞くの」と返す家福。
愛車を目的もなく走らせながら、音の出がけの言葉に不安を募らせている、家福。
「なんてつらいんだろう。この僕のつらさがお前に分かればー」と、「ワーニャ伯父さん」の科白を暗唱する家福。
なんとか腹を決めて夜遅く帰宅すると、部屋の明かりは消えていて、音が床に倒れている。
「音、音!」、家福が声をかけても、反応しない。
今回は、この「起」まで。
この部分でのシーンがPG12指定の理由だと思うが、R15+やR18+にならないよう、演出、照明、カメラがぎりぎりの仕事をしている。
この後、舞台の様子の後に車に乗って西に向かう家福の場面までの約40分が経過し、ようやく、クレジット(キャスト名)が出た。
セクシーなショットから謎めいた展開で、一気にスクリーンに観客を引き込む脚本、演出で、まったく時間を感じなかった。
この後どうなるかは、次回。
まあまあ、かな。
3時間は老いたる私には無理かもしれないなあ。
