原発事故による甲状腺がんで、被害者が東電を提訴ーがんばれ、フクシマ・シックス!
2022年 01月 28日
朝日からご紹介。そのうちリンク切れになる恐れもあるので、全文引用する。
朝日新聞の該当記事
「原発事故で甲状腺がん」提訴 当時福島在住6人、東電を
2022年1月28日 5時00分
東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、2011年の事故当時、福島県に住んでいた17~27歳の男女6人が27日、東電に計6億1600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。原告側は提訴後の会見で「原発とがんとの関係について裁判で判断してほしい」と訴えた。
会見した原告の20代女性は16年に甲状腺がんが見つかり、手術をした。希望の仕事に就いたが、体調を考えて退職したという。「差別を受けるのではないかと恐怖を感じ、誰にも言えなかった。同じ状況で苦しむ子どもたちのためにも声をあげた」と語った。原告男性の母親は、男性が就職活動中に甲状腺がんを患っていることを伝えると数社に就職を断られたことを明かした。
訴えによると、原告のうち2人は甲状腺の片側を切除、4人は再発によって全摘した。東電は「誠実に対応する」とコメントした。
県の調査によると、事故後約260人が甲状腺がんかその疑いがあると診断されたが、県の専門委員会は被曝(ひばく)とがんの因果関係を現時点で認めていない。(村上友里)
■被曝と差別・偏見、改めて考えるとき
原発事故による被曝(ひばく)の問題には、甲状腺がんのような健康被害や、福島にいたということで受ける差別・偏見の被害がある。今回提訴した原告は主に健康被害を訴えた。裁判は東京電力福島第一原発の事故と甲状腺がんとの因果関係を最大の争点に進む。
原発事故の損害賠償には国の中間指針があるが、指針は被曝の被害にほとんど触れていない。甲状腺がんは被曝して数年後に増えるとされ、いまの指針ができた2013年、被害実態は把握しきれなかった。裁判の結果次第では、指針で救済する必要性も生じる。
一方、差別・偏見は水面下に潜む。
福島県の検討委員会が19年に「甲状腺がんと被曝との関連は認められない」とすると、被曝による健康被害の問題は薄れていった。だが、事故当時幼かった10~20代の一部は「結婚や友達付き合いで、健康被害は出ていなくても相手の親から交際を反対されるなどの被害にあっている」。ふくしま母子サポートネット(福島市)の三浦恵美里事業長はそう指摘する。
事故からまもなく11年。6人の提訴を機に差別や偏見の問題について改めて考える必要がある。(編集委員・大月規義)
訴えたのは6人だが、彼らは260人の被害者の思いを代表している。
三年前の3月11日、風化しつつある甲状腺がん被害問題について記事を書いた。
2019年3月11日のブログ
その際に引用した「福島原発事故の真実と放射能健康被害」のサイトで、被害状況が更新されているので、あらためて紹介したい。
「福島原発事故の真実と放射能健康被害」のサイトの該当ページ
同サイトには複数の記事があるが、2018年9月時点での実態を、表を含め引用する。
この記事の時点で207人だったのが、その後260人に増えているということだ。
なぜ福島県は多発する甲状腺がんの子ども達を…次々と隠すのか?
2018年12月27日に公表された最新の福島県民調査報告書によると、福島県の小児甲状腺がん及び疑いの子供達は、3か月半前…前回の201人から5人増えて合計206人になりました。
それから手術で良性結節だったことが確定し甲状腺がんではなかった1人も元々は、この甲状腺がん及び疑いにカウントされていましたから、この1人も数えれば甲状腺がん及び疑いは合計207人となります。
福島県の発表は甲状腺がんを、悪性…悪性とはがんのことですが『悪性ないし悪性の疑い』という言葉を使い、あたかも甲状腺がんでない子ども達もこの中に含まれているように書くことで、焦点をぼかしチェルノブイリ原発事故との比較を困難にしています。
しかし手術を終えた167人の中で、良性結節だったのはたった1人にすぎず、164人が乳頭癌、1人が低分化癌、1人がその他の甲状腺癌との診断です。
つまり手術を終えた167人中166人が小児甲状腺癌でした。
%表記にすれば『悪性ないし悪性の疑い』のうち99%は、小児甲状腺癌。
ですので疑いという言葉を過大評価して安心するのは危険です。
この記事は現状、福島県で甲状腺癌と考えられる206人の子どもたちを市町村別、事故から病気発見までの経過年数別、男女別、事故当時の年齢別、地方別にそれぞれ分類して、チェルノブイリ原発事故や過去の日本や福島県のデータと比較しています。比較することで、現状の福島の小児甲状腺がん患者数が多いのか?少ないのか?放射能の影響はあるのか?ないのか?客観的に見ることができます。
ということで、詳しくはサイトでご確認いただきたいが、明らかに原発を原因とする甲状腺がん被害としか思えない。
あの原発事故の反省など忘れ、危険極まりないアメリカの高速炉に技術協力しようとしている日本の原子力ムラの実態には、歯がゆいばかりだ。
核燃料サイクルなど、とうの昔に破綻しているじゃないか。
もんじゅの失敗をも、忘れようとしている。
「次世代原子炉」という文字も、メディアは修正すべきである。どこが、次世代なものか。
“同じ状況で苦しむ子どもたちのために”声をあげた6人を、“フクシマ・シックス”と呼びたい。
頑張れ、フクシマ・シックス!

